アクセシブルな会議、学会、研究会、シンポジウム、ワークショップ、勉強会を行うためのガイドライン

会議、学会、研究会、シンポジウム、ワークショップ、勉強会等を行うためにはどのような配慮が求められるのかを示すガイドライン類を以下のように整理しました。

1. 全般

 以下の書籍があります。まずはこれを。

会議・プレゼンテーションのバリアフリー (コロナ社、2010年)

2. 開催について

2.1. アクセシブルミーティングのJIS規格

 「高齢者・障害者配慮設計指針-アクセシブルミーティング」が規格番号JISS0042で2010年にJIS規格となっています。規格というよりもガイドラインに相当するもので、障害の種類ごとにどのような準備を行えばよいかが、一覧できるようになっています。
 閲覧だけなら日本工業標準調査会(JISC)のウェブサイトで無料で可能です。JSA Web Storeで購入可能ですが、出版物なら『JISハンドブック 高齢者・障害者等[アクセシブルデザイン]』にアクセシビリティに関係するその他の規格といっしょに掲載されています。
 
 この規格の概要は以下のとおりです。

規格番号: JISS0042
規格名称: 高齢者・障害者配慮設計指針-アクセシブルミーティング
制定年月日: 2010/03/23
原案作成団体:財団法人 共用品推進機構
制定改正JIS概要:
この規格は、高齢者及び障害のある人々が参加する会議を行う場合,会議主催者が,安全かつ円滑に会議を運営するための支援機器の利用方法などに関する配慮事項について標準化を行い、生産及び使用の合理化、品質の向上を図るために制定するものである。
 主な規定項目は、次のとおりである。
1.適用範囲
2.引用規格
3.用語及び定義
4.会議を開催するに当たって配慮する要素
4.1 概要
4.2 個々の表の目的
4.3 表の利用方法
5.支援機器などの種類・その用途及び使用方法
6.障害別の特徴及び主な配慮事項
附属書A(参考)アクセシブルミーティング事前登録票
附属書B(参考)アクセシブルミーティングの会議手順の例

 この規格については、「いくお~る : 聴覚障害に関する情報ブログ」さんが以下のエントリで詳しく紹介しています。

2.2. 学会・研究会等における情報保障マニュアル(Ver.1.0) by 電子情報通信学会

 電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループが主催者を対象にまとめたガイドラインで、学会・研究会での聴覚障害者と視覚障害者に対する情報保障の手配について具体的方法等を示すものです。

3. 資料作成時及びプレゼンテーション時のガイドライン

電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループが主に発表者、及び発表資料作成者を対象にまとめたガイドラインで、論文などの発表資料作成アクセシビリティガイドラインとプレゼンテーション時のガイドラインが掲載されています。

 その他、以下のようなガイドラインもありました。

4. 発表資料公開のガイドライン

これに相当するガイドラインはまだ見つけていません(すいません・・・)。ウェブで公開する場合は、上で紹介した他に、ウェブコンテンツアクセシビリティのガイドラインであるW3CのWCAGやJIS X8341-3:2010に従うべきでしょう。

 視覚に障害がある方を対象にするなら、みんなのデジタル教科書教育研究会の以下のイベントのように、PDF形式のほかに、テキスト形式を提供するのがよいのだろうと思います。あと、可能であれば点字データも。

 そして、当然ですが、公開するPDFもアクセシブルにしましょう。

「DAISY 2.02仕様(2001年2月28日付勧告)」の日本語訳を公開します。

DAISY 2.02に対する理解が必要だと思いまして、仕様を少しずつ訳しながら読んでました。結果として8割ほど訳してしまいました。DAISY 2.0 の日本語訳はすでにありますが、2.02の日本語訳はまだないようですし、せっかくなので全部訳してみました。あくまで「一人輪読会」レベルのものですが、公開します。

 この日本語訳は、上で述べたように私自身のDAISY 2.02に対する理解のために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。

参考

Accessible Books Consortium(ABC )が6月30日に発足

マラケシュ条約が目標とするところを実用レベルで実現することを目的とするコンソーシアムAccessible Books Consortium(ABC )が6月30日に発足するようです。後述のステークホルダー・プラットフォームの後継機関として設置されるようです。

 発足の経緯は、WIPOの27回目のStanding Committee on Copyright and Related Rights(SCRR/27)で提示された、ステークホルダー・プラットフォームの第9回会合(2014年2月14日)の結果をまとめた第8次中間報告(”Eighth Interim Report of the Stakeholders’ Platform(SCCR/27/4)”)が詳しいです。

 ステークホルダー・プラットフォームはWIPOに設置されたステークホルダーのあつまりで、プリントディサビリティへの著作物の提供と著作権の保護の両立についてステークホルダーの間で話し合う場のようです。Accessible Books Consortiumはこのステークホルダー・プラットフォームの後継機関として設置されることになります。
 コンソーシアムは、プリントディサビリティ、権利者、出版社、著者などのステークホルダーを代表する団体、機関によって構成されます。主な機関は以下の通り。

  • World Blind Union
  • DAISY Consortium
  • International Association of Scientific, Technical & Medical Publishers
  • International Authors’ Forum
  • International Federation of Library Associations and Institutions
  • International Federation of Reproduction Rights Organizations
  • International Publishers Association

 これまでステークホルダー・プラットフォームが進めてきた以下の3つのプロジェクトを恒常的な組織として引き続き遂行することが主な活動内容になります。

 また、この1年間の活動内容として、Authorized Entittyを増やすこと、Accessible Publishing憲章の策定に向けた検討が挙げられているようです。