障害者差別解消法に基づく基本方針案のパブリックコメント開始

障害者差別解消法に基づく基本方針(原案)に関する意見募集に(パブリックコメント)が開始されました。期間は平成26年11月26日(水)~12月25日(木)。

 基本方針は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」第6条(以下)に基づいて策定されるされるもので、障害者差別解消法の施行における基本的な事項を定めるものです。最終的に閣議決定(行政の最高意思決定)されます。年内の閣議決定が目標とされていると最近報道されたばかりですが、今年の仕事納めは12月26日(金)なので、パブコメを終えた翌日に閣議決定になる?

第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向
二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項
三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項
四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項
3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。
5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。

この基本方針に基づいて、国の行政機関と独立行政法人等、主務大臣は、以下のとおり対応要領と対応指針を作成することになります。

  • 国の行政機関と独立行政法人等(いずれも同法第2条参照)は職員が適切に対応するために必要な要領(対応要領)を作成し、公表しなければなりません。(対応要領の作成・公表は義務)(同法第9条)。
  • 地方公共団体に職員が適切に対応するために必要な要領(対応要領)を作成することに努めなければなりません。(対応要領の作成・公表は努力義務)(同法第10条)
  • 主務大臣にこの基本方針に基づいて事業者が適切に対応するために必要なガイドライン(「対応指針」)を作成し、公表しなければなりません。(対応指針の作成・公表は義務)(同法第11条)

 基本方針原案は、上の作成にあたり、障害者その他の関係者を構成員に含む会議の開催、障害者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を反映させるための必要な措置を講ずることを求めています。
 検討の経緯は、障害者政策委員会の配付資料や議事録で確認することができます。

 平成26年9月1日時点の以下のスケジュールでは、平成27年の夏頃を目途にま基本方針を踏まえ、行政機関等において「対応要領」、主務大臣において「対応指針」を作成することになっているようです。

シンポジウム「図書館におけるディスレクシアの人への支援」(11月8日 新宿区)に参加しました。

11月8日(土曜日)に行われたリハビリテーション協会が主催するシンポジウム「「図書館におけるディスレクシアの人への支援」」に参加してきました。
 
 シンポジウムの内容は、Twitterで実況したものを以下にまとめましたので、こちらをご覧ください。

 
 なお、実況はあくまで私の主観によるものであり、講演者の意図とした内容と異なる場合があります。ご注意ください。また、講演についていくために速度優先で投稿していったので、普段から多い誤字脱字がさらに多くなってしまいました。大変申し訳ございません。
 日本では、ディスレクシアを診断できる医療機関がかなり少ないのが現状ですが、著作権法第37条及びそのガイドラインで、図書館職員がその利用者がディレクシアだと判断すれば、著作権法第37条に基づいて製作されたDAISYなどのその利用者にとって使いやすい資料を医師の判断を待たずに提供することができます。抱える困難を軽減できる手段や方法を図書館が持っているにも関わらず、図書館がもっとも救えていない層がディスレクシアの方々なのかもしれない。図書館職員がディスレクシアに対する理解を深め、自信をもって判断できるようになることが重要だろうと今回のシンポジウムと、先週の図書館大会、先々週の全視情協徳島大会に参加して思いました。
 あと、このシンポジウムで河村宏さんが「アクセシブルな電子書籍」について以下のように少し触れられていましたが、全く同感です。


 図書館は、「アクセシブルな電子書籍」を企業が出してくれることをただ期待するのではなくて、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」が何かを明示する必要があると思います。「アクセシブルな電子書籍」と一言で言っても、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」と企業側が考えるそれが同じとは限りません(というより、まず同じではない)。図書館側が求める「アクセシブルな電子書籍」の要件を整理して、まずは認識に齟齬が生じさせないことが重要です。
 少なくとも以下ぐらいは要件を整理し、優先順位を示したガイドラインを提示するべきではないかと思います。

  • 出版社と電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」とは何か。
  • 電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の提供方法とは何か。
  • ビューワー開発者に対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の閲覧環境とは何か。

 図書館が求める「合理的配慮」を優先順位をつけたガイドラインという形で明示しておけば、企業も全ての要件を一気に満たすことは難しくても、「合理的配慮」の範囲内で少しずつ実装してくれるかもしれない。
 障害のある利用者に対して直接接サービスを提供する図書館は、障害者のニーズをくみ上げて出版社やベンダーに「アクセシブルな電子書籍」とは何かを伝えることができるし、その役割を果たすことでアクセシブルな電子書籍の普及に貢献することができる。
以上、「図書館」を中心に述べてきましたが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる、点字図書館)に置き換えても同じことが言えるはず。図書館と点字図書館が連携して取り組めればよいですね。