アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン (Accessible Books Consortium)

世界知的所有権機関(WIPO)のマラケシュ条約で中心的な役割を果たすAccessible Books Consortium(ABC)は、”born accessible”な出版物の普及促進を目的とするInclusive Publishing、アクセシブルなコンテンツの共有・交換の促進を目的とするTIGAR Service、DAISYを利用できるICTスキルを持っていないプリントディスアビリティが発展途上国には多いため、そのICTスキル向上を目的とするCapacity Buildingの3つのプロジェクトを遂行しています。この3つのプロジェクトの中のInclusive Publishingの中で、「アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン」(Accessible Publishing Best Practice Guidelines for Publishers)というものを公開しています。

これは、WIPOの出資によってEDItEURのSarah Hilderley氏が作成したもので、これまではEDItEURのウェブサイトで公開されていたのですが、2014年6月にABCが発足したタイミングでABCのウェブサイトに移ったみたいです。ちなみにこのガイドラインは日本障害者リハビリテーション協会が日本語に翻訳して公開しています。

 なお、Accessible Books Consortiumについては、一度このブログでも紹介したことがありますので、こちらをご参照ください。

全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?(DAISYpediaの記事紹介)

 DAISYコンソーシアムがDAISY規格に関する情報発信を体系的に行うために設置しているDAISYpedia で「全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?」(Making publications accessible for all)というエントリが掲載され、出版物をアクセシブルにする条件や方法等を紹介しています。

 全ての人にとってアクセシブルな出版物の条件として以下を挙げています。

  • Compatibility with screen readers and text to speech (TTS)
    スクリーンリーダー及び音声合成に対応していること
  • Reflowability in order to fit all screen sizes
    全てのスクリーンサイズに対応できるようリフローであること
  • Rich navigability
    章節単位、ページ単位、センテンス単位など様々なレベルでのフォーカスの移動が可能なほか、注やサイドバーなどのスキップが可能であるなど、豊富なナビゲーションを用意していること
  • Support for multiple input methods
    キーボード、マウス、タッチ入力など多様な入力方法に対応していること
  • Accessible images: 画像についてキャプションやテキストによる説明が用意されているなど、画像がアクセブルであること。ビデオについても字幕かテキストのスクリプトが用意されているべきである
  • Multi-platform support
    PC、携帯、タブレット、点字ディスプレイなど様々な端末に対応していること

 

「視覚障害児童生徒のための『音訳教材』製作マニュアル」(日本ライトハウス)

 日本ライトハウスが文部科学省の「平成25年度民間組織・支援技術を活用した特別支援教育研究事業障害のある児童生徒のための教材普及推進事業)」を受託する形で「視覚障害児童生徒のための『音訳教材』製作マニュアル」を作成し、平成26年3月に公開しています。視覚障害児童生徒のために教科書等を音訳しDAISY編集するためのマニュアルです。

 日本ライトハウスは平成26年度には、文部科学省の事業(音声教材の効率的な提供方法等に関する調査研究事業)を受託する形で、「音訳教材データベース」を構築しているようです。以下は、「ワンブック」2014年11月号(に掲載されているイメージ図です。
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from 「ワンブック」2014年11月号(PDF)p4
 「ワンブック」2014年11月号のp3-p4に事業の紹介が掲載されています。