合理的配慮のあり方も検討した文科省の特別支援教育の在り方に関する特別委員会(H22年度〜H24年度)

 2010(平成22)年7月から2012(平成24)年6月にかけて、文部科学省が中央教育審議会の下に特別支援教育の在り方に関する特別委員会を設置し、インクルーシブ教育のあり方について検討を行っています。ここで、障害児教育で提供するべき合理的配慮及びその基礎となる環境整備のあり方についても検討されています。

 設置は、2010(平成22)年6月29日の閣議決定(「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」)を受けてのようです。この特別委員会は最終的に以下の報告書をまとめました。

 この3章が「障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」であり、合理的配慮とその前提となる基礎的環境整備の考え方についてまとめられています。ここでは、内容については詳しく触れませんが、合理的配慮の提供は、あくまで個別の事例に対応するためのものであり、その前提として基礎的な環境の整備が重要であることが繰り返し述べられています。課題の整理もどちらかと言えば、基礎的環境整備を中心にまとめられています。
合理的配慮と基礎的環境整備については、以下のエントリでまとめましたことがあります。上の委員会時にはまだ存在しない障害者差別解消法における考え方ではありますが、同じであるはずですので、ご参照ください。

  合理的配慮の検討については、この特別委員会のさらに下にワーキンググループが2011(平成23)年7月に設置され、そこで主な検討がなされています。

ちなみに時期的には、日本の法律で初めて合理的配慮の概念を採用する改正障害者基本法が参議院で可決されるのが2011(平成23)年7月29日で、上のワーキンググループの設置が特別委員会で決まったのが同年5月というのですから、政府内の合理的配慮に関する検討ではおそらくかなり早い方ではないでしょうか。
 この特別委員会が終わる時期とほぼかぶるタイミングで、同じ文部科学省内で「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が2012(平成24)年6月に立ち上がり、今度は大学などの高等教育における「教育上の合理的配慮等」の検討が開始されています。