1月 29

いわゆるウェブサイトの「障害者対応」のページについて

 ウェブサイトのアクセシビリティについて、JIS規格に準拠してウェブアクセシビリティを確保することとは別に、いわゆる「障害者対応」のためにはテキストベースのサイトを用意しなければ十分に対応できない(そして、それが別インターフェイスを用意することを意味するので、なかなかできない)、みたいな話をいろいろなところで聞くことがあります。そういう話を聞く度にもやもやっとするので、この「もやもや」について、少し考えを整理しておきたい。あくまで私の理解なので、正しいかどうかは分からない。なお、そういうUIを設けているサービスもありますが、それ自体は素晴らしいことで、当然ながらそのサイトを否定するものではありません。設けられるなら設けたほうがよいし、内容によっては必要なサイトもあるだろうと思います。
 
 私がもやもやっとしているのは、

「障害者対応」のためにはテキストベースのサイトを用意しなければ十分に対応できない、からの、それが別インターフェイスを用意することを意味する、からの、なかなか難しい

になりがちなところです。

 テキストのみが使用されているサイトであろうが、画像がびしばし使われたビジュアルなサイトであろうが、読み上げソフトは基本、テキストしか読まないので、読み上げソフト利用者から見れば、どちらも「テキストベースのサイト」になります。ビジュアルなサイトのアクセシビリティが問題になる場合は、読み上げソフトから見た「テキストベースのサイト」としてみた場合の、読み上げソフトユーザーにとってもそのサイトが使い勝手がわるいとか、読み上げソフトで使えない機能があるということから問題なのであって、画像をふんだんに使用したビジュアルなサイトだからではないはず。

 だから、ビジュアルなサイトをだから、「障害者対応のテキスト版サイト」を別に用意しなければという話でもないのではないかは思う。障害者対応のページ、或いは、テキスト版のサイトが必要であるという認識が広まることは、逆にそういうサイトを設け無ければ、いわゆる「障害者対応」ができないという認識が広まることになり、普通は同じサイトに複数のインターフェイスを持つことはなかなか困難なので、自分のところは「障害者対応」はできないんだというあきらめがひろまってしまうことを恐れている。

 読み上げソフトユーザーは、音声でサイトを利用する。つまり、フォーカスを一カ所ずつあてながら、音声で順番に読み上げてサイトを理解する。視覚的に全体の構成を把握し、必要な箇所をすぐに特定して、そこを読むということが難しい。読み上げソフトユーザーの利用を想定する場合、それを考慮したサイトにしなければならないと思う。不必要な情報がすくなく、そのページのメインコンテンツにすぐにたどり着けるシンプルな構成のサイトのほうがつかいやすいのだろうと思う。

 「障害者対応」と銘打っているサイトが読み上げソフト利用者にとって使いやすいのは、テキスト版サイトだからというよりも、ターゲットが読み上げソフト利用者に絞られているから、その辺がしっかり考慮されているという話だろうと思います(無論、それだけではないですが)。

 実はモバイル向けのサイトは上で書いたシンプルなそれに該当することが多いのではないかと思う。個人的には、JIS規格にはもちろん準拠しつつ、

レスポンシブウェブデザイン×モバイルファースト

のコンセプトでつくれば、読み上げソフトの利用者にも使いやすいサイトになるのではないかと思うのだけど、どうなのだろうか。JIS規格に準拠してウェブサイトを構築しても、レイアウトが複雑だったり、一ページの情報量が多すぎて読み上げソフト利用者には使いづらいサイトになる可能性もあるが、レスポンシブウェブデザインで製作すれば、少なくともスマホ利用を想定した線形のコンテンツも想定するだろうし、それにモバイルファーストをかみ合わせれば、必要な情報がすぐにたどり着くように、また、無駄な情報がそぎ落とされるようになるのではないか。

 ウェブ利用時間におけるスマホの占める割合の増加や、Googleの最近の以下の動きもある。SSOといっしょに一緒に考えてみる価値はあると思う。

Google ウェブマスター向け公式ブログ: モバイル ファースト インデックスに向けて

 無論、レスポンシブウェブデザイン×モバイスファーストだけで、全てが解決するわけではなく、サイトの内容によっては、シンプルにすることが難しく、読み上げソフトの利用者にとって使いやすいUIを用意したほうが望ましいものもあると思いますが、スマホ版を用意できるようなほとんどウェブサイトにとっては、できることがまだまだあるのではないかと思う。

1月 07

EPUB 3.1の仕様とそれに含まれるEPUBのアクセシビリティに関する仕様

 1月5日にEPUB 3.1の仕様がIDPFで承認されました。

 EPUB 3.1の仕様は、EPUB Packages 3.1、EPUB Content Documents 3.1、EPUB Open Container Format (OCF) 3.1などの複数の仕様で構成されています。2016年に公開されていたEPUB 3.1のドラフト版はありがたいことにIMAGEDRIVEさんが日本語訳を公開してくれています。EPUB3.01からの変更点を解説した”EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1″も含めて翻訳してくださっていますので、ご参照ください。

 EPUB 3.1の仕様では、アクセシビリティに関する仕様が規定され、その関連文書としての実装方法をまとめた文書が公開されました。

 よりアクセシブルなEPUBコンテンツを制作する要件についてまとめられているほか、必要な人が自分にあったアクセシブルなコンテンツをきちんとを発見できるようにするため、EPUBコンテンツに包含すべきアクセシビリティメタデータの要件についても整理されています。

EPUB Accessibility 1.0と関連文書であるEPUB Accessibility Techniques 1.0(実装方法集)の関係は、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0/a>とそのTechniques for WCAG 2.0(実装方法集)の関係に倣ったものだと思われます。技術的なテクニックは随時変更できるように仕様本体から切り離したのでしょう。WCAGと実装方法集の関係の詳細については、以下をご参照ください。