数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3

 数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3というアプリケーション。LaTeX 文書の編集、PDF ファイル出力、MathML などによるWeb教材作成など、数式などを含む理数系の教材の製作に焦点が置かれて開発されているようです。

 鈴木昌和先生のInfty Projectプロジェクトの一環として製作されたもので、他にも日英混在文や数式を含む科学技術分野の文献を対象としたOCRソフトなども開発されているようです。

 ChattyInftyについては以下もご参照ください。

 その他、鈴木昌和先生のお名前でCiniiを検索すると、数学文書点訳について、日本語分かち書き仮名変換処理、文書構造処理、表の自動点訳などおもしろそうな論文がぞろぞろ(一通りざっと読んでみましたが、さすがにちょっと私にはハードルが高かった・・・)

 研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ― デジタル教科書のアクセシビリティ」が今年も2月に東京で開催されることになっていて、私も参加する予定なのですが、そこで鈴木昌和先生と山口雄仁先生のお話が聞けることが楽しみだったりします。
参考(昨年の上の研究集会の案内)

デジタル教科書の固定レイアウトについて(日本DAISYコンソーシアム2014年度総会講演及び意見交換会 2014年10月)

2014年10月18日に行われた日本DAISYコンソーシアム2014年度総会でのJEPA村田真さんの講演と意見交換の会のテキスト書き起こしが掲載されています。

 EDUPUBの最新動向、文部科学省で行われているデジタル教材標準化の話などHPで公開されていない話が結構出ています。DAISYで教科書を実際に制作している関係者が参加しての意見交換会だったので、村田真さんとの意見交換も実務者レベルの踏み込んだものになったようです。行きたかった・・・。
村田真さんのお話では、欧米を中心に検討が進んでいるEDUPUBでは、高等教育寄りでになってしまっており、日本でニースのある小中等教育はそれほどメインじゃないということ(河村宏さん曰く、「アメリカの場合は、もう連邦法で幼稚園から高校まではライマスで全部のテキストファイルがNIMASフォーマットでナショナルレポジトリーに全部入ってしまっているので、そこはもう済んでいる」と)。
 文部科学省では、電通が受託する形で「デジタル教材等の標準化に関する企画開発委員会」(生涯学習局が所管)という事業を行っているようですが、文部科学省のサイトではこの事業についてまったくといってよいほど情報が公開されていないので、状況がほとんど見えていませんでしたが、ここでの検討状況も村田真さんがわりと詳しく話をされていたようです。構成は親委員会があって、その下にコンテンツ関係の第1分科会と、それ以外の第2分科会があるそうです(村田真さんは親委員会の委員)。教科書会社の参加が中心でアクセシビリティ関係者の参加は一人もいないので、村田真さんが孤軍奮闘されている状況がよくわかります。この事業では報告書も作成さているのですが、公開もされていないというのが解せませんね・・・。
 同じ生涯学習局が行っている事業である学びのイノベーション推進協議会でもデジタル教科書のあり方について検証がされているようですが、上の委員会との関係も正直よくわからない。

参考

DAISY Consortiumのアクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)日本語訳を公開します

 DAISY Consortiumが2013年5月20日に公開した「アクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

これは電子書籍ビューアが障害者(全盲者、ロービジョン、ろう者、難聴者、ディスレクシア、学習障害者、そして、移動に障害のある者))にとってどの程度使いやすいものかを評価するためのもので、評価のためのガイドライン及びチェックリストで構成されています。
 まだ、Rev 1.0版ですので、まだドラフトの段階のドキュメントのようです。正直、通して読んでいて全体の構成が分かりづらく、前半はもっと短くできるのではないかと思わせるところがありますが、チェックリストを掲載する「機能テスト」の項は、電子書籍ビューワにどのような機能が求められるかが一覧されていて参考になるところが多いのではないかと思います。ここに上げられた要件に日本語特有の要件を加えれば、必要な要件は揃うのではないかと個人的には思います。

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