EPUB3で製作された録音図書にも対応したDAISY再生機器PTR3

発売が予定されているDAISY再生機器プレクストークPTR3がEPUB3にも対応しています。これが、EPUB3のMedia Overlaysに対応しており、EPUB3で製作された録音図書(本文部分が音声のみ)に対応しているようです(おそらくは、すでに発売されているプレクストーク PTN3も)。
 以下のエントリを書いたのが2013年6月だから、EPUB3で録音図書を製作できることを私が知ったのもそのあたり。

そのことを知ってから、EPUB3で録音図書が再生できる環境が整備されれば、

  • 特定の機器や再生環境に依存せず、メインストリームなEPUBの環境で録音図書が再生できるようになる(それは、たくさんあるEPUBの閲覧環境を選択できることを意味し、自分にあった閲覧環境を選ぶことができる選択肢ができる
  • 商用のオーディオブックがEPUB3で販売されるようになれば、それはいわゆるDAISY録音図書、あるいはその近似値。図書館や点字図書館が著作権法の権利制限規定で製作するのを待つまでもなく、ユーザーが購入することができるようになる<(商用コンテンツと、図書館製作コンテンツのフォーマット上の境目が曖昧になる)/li>

 ということが実現されるのではないかとわくわくしていました。EPUB3録音図書の閲覧環境が整備されることを今か今かと待ちわびていましたが、その一歩がついに現実に。
 

EPUB 3.1の仕様とそれに含まれるEPUBのアクセシビリティに関する仕様

 1月5日にEPUB 3.1の仕様がIDPFで承認されました。

 EPUB 3.1の仕様は、EPUB Packages 3.1、EPUB Content Documents 3.1、EPUB Open Container Format (OCF) 3.1などの複数の仕様で構成されています。2016年に公開されていたEPUB 3.1のドラフト版はありがたいことにIMAGEDRIVEさんが日本語訳を公開してくれています。EPUB3.01からの変更点を解説した”EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1″も含めて翻訳してくださっていますので、ご参照ください。

 EPUB 3.1の仕様では、アクセシビリティに関する仕様が規定され、その関連文書としての実装方法をまとめた文書が公開されました。

 よりアクセシブルなEPUBコンテンツを制作する要件についてまとめられているほか、必要な人が自分にあったアクセシブルなコンテンツをきちんとを発見できるようにするため、EPUBコンテンツに包含すべきアクセシビリティメタデータの要件についても整理されています。
EPUB Accessibility 1.0と関連文書であるEPUB Accessibility Techniques 1.0(実装方法集)の関係は、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0/a>とそのTechniques for WCAG 2.0(実装方法集)の関係に倣ったものだと思われます。技術的なテクニックは随時変更できるように仕様本体から切り離したのでしょう。WCAGと実装方法集の関係の詳細については、以下をご参照ください。