9月 30

テレビ放送のバリアフリー化(視聴覚障害者向け放送の普及促進)の状況について

 子どもがいるとなかなか騒がしくて、テレビ放送を静かな環境でじっくり聞くことがなかなか難しいため、字幕表示をすることがよくあります。デジタル放送になって字幕表示が容易になり、NHKが聴覚障害者向けの字幕をがんばって提供していることは認識していたのですが、民法もドラゴンボールも仮面ライダーも生放送のニュース番組も字幕を提供していて、「あれ?以前からこんなに提供されていたっけ?」と思うことがたびたび。

 ということで、少し調べてみました。調べたといっても、総務省のサイトを調べただけですが、以下のページに情報が集約されています。

公開されているもので最新のものは以下の平成25年度実績です。

 上から、聴覚障害者向けの字幕放送と手話、視覚障害者向けの音声解説の実績を以下に転載します。聴覚障害者向けの字幕放送はそれなりに提供されているようですが、聴覚障害者向けの手話と視覚障害者向けの音声解説は、まだまだこれからという状況のようです。

聴覚障害者向け情報保障

字幕放送

平成25年度における字幕放送等の実績の概要は、以下のとおりです。(注1)(注1) マルチ編成を行っている場合には、放送時間は、チャンネルごとの放送時間を合計したもの。(テキスト版はこちら

【字幕放送】(注2)(注3)

  「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」の普及目標の対象となる放送番組における字幕番組の割合(注4) 総放送時間に占める字幕放送時間の割合
NHK(総合) 84.8% [+1.3ポイント] 72.3% [+4.4ポイント]
NHK(教育) 63.2% [+7.9ポイント] 54.5% [+6.4ポイント]
在京キー5局(注5) 95.5% [+2.2ポイント] 52.3% [+2.4ポイント]
在阪準キー4局(注6) 94.1% [+2.1ポイント] 47.5% [+3.1ポイント]
在名広域4局(注7) 89.2% [+4.5ポイント] 44.4% [-0.1ポイント]
全国の系列ローカル局(在阪準キー4局及び在名広域4局を除く101社) 69.4% [+3.0ポイント] 38.1% [+2.0ポイント]

                                                 ※[ ]は対前年度比
(注2) 各放送事業者における個別の字幕放送実績については別表2参照。
(注3) 字幕放送の実施事業者数は、平成25年度において地上民放テレビ127社中125社(※オープンキャプションを含むと127社)。(平成24年度と同じ。)
(注4) 2週間のサンプル週(平成25年5月27日(月)~6月2日(日)及び11月25日(月)~12月1日(日))における調査。
 普及目標の対象となる放送番組とは、7時から24時までの間に放送される番組のうち、次に掲げる放送番組を除くすべての放送番組をいう。

  • 技術的に字幕を付すことができない放送番組(例 現在のところ、複数人が同時に会話を行う生放送番組)
  • 外国語の番組
  • 大部分が器楽演奏の音楽番組
  • 権利処理上の理由等により字幕を付すことができない放送番組

(注5) 在京キー5局:日本テレビ放送網(株)、(株)TBSテレビ、(株)テレビ朝日、(株)フジテレビジョン、(株)テレビ東京
(注6) 在阪準キー4局:(株)毎日放送、朝日放送(株)、讀賣テレビ放送(株)、関西テレビ放送(株)
(注7) 在名広域4局:中部日本放送(株)、東海テレビ放送(株)、名古屋テレビ放送(株)、中京テレビ放送(株)
     *平成26年4月1日より、(株)CBCテレビに免許承継

手話放送

【手話放送】(注11)(注12)

  総放送時間に占める手話放送時間の割合
NHK(総合) 0.2% [±0.0ポイント]
NHK(教育) 2.5% [±0.0ポイント]
在京キー5局 0.1% [±0.0ポイント]
在阪準キー4局 0.1% [±0.0ポイント]
在名広域4局 0.1% [±0.0ポイント]
全国の系列ローカル局(在阪準キー4局及び在名広域4局を除く101社) 0.1% [±0.0ポイント]

                                                ※[ ]は対前年度比
(注11) 各放送事業者における個別の手話放送実績については別表4参照。
(注12) 手話放送の実施事業者数は、平成25年度において地上民放テレビ127社中86社。(平成24年度は90社。)

 

視覚障害者向けの情報保障

音声解説放送

【解説放送】(注8)(注9)

  「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」の普及目標の対象となる放送番組における解説番組の割合(注10) 総放送時間に占める解説放送時間の割合
NHK(総合) 9.8% [+0.4ポイント] 8.9% [+0.9ポイント]
NHK(教育) 13.6% [+1.2ポイント] 12.0% [+0.1ポイント]
在京キー5局 5.4% [+1.1ポイント] 2.0% [+0.5ポイント]
在阪準キー4局 5.5% [+1.2ポイント] 2.0% [+0.4ポイント]
在名広域4局 4.7% [+1.5ポイント] 1.7% [+0.5ポイント]
全国の系列ローカル局(在阪準キー4局及び在名広域4局を除く101社) 3.3% [+0.8ポイント] 1.6% [+0.4ポイント]

                                                   ※[ ]は対前年度比
(注8) 各放送事業者における個別の解説放送実績については別表3参照。
(注9) 解説放送の実施事業者数は、平成25年度において地上民放テレビ127社中117社。(平成24年度と同じ。)
(注10) 普及目標の対象となる放送番組とは、7時から24時までの間に放送される番組のうち、権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組を除くすべての放送番組としている。
 なお「権利処理上の理由等により解説を付すことができない放送番組」とは次に掲げる放送番組である。

  • 権利処理上の理由により解説を付すことができない放送番組
  • 2か国語放送や副音声など2以上の音声を使用している放送番組
  • 5.1chサラウンド放送番組
  • 主音声に付与する隙間のない放送番組
7月 26

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)案に衆議院、参議院の付帯決議

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)案に対して衆議院、参議院とも付帯決議がなされていますので、それぞれを掲載。

衆議院の付帯決議

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議(平成二十五年五月二十九日)

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。

二 基本方針、対応要領及び対応指針は障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成すること。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み、基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。

三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。

四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。

五 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。

六 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実及び本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。

七 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。

八 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。

from 第183回国会閣法第69号 附帯決議(衆議院)

参考

参議院の付帯決議

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議(平成二五年六月一八日)
 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。また、同条約の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ること。

二 基本方針、対応要領及び対応指針は、国連障害者権利条約で定めた差別の定義等に基づくとともに、障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成こと。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み、基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。

三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。

四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、その水準が本法の趣旨を不当にゆがめることのない合理的な範囲で設定されるべきであることを念頭に、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。
五 本法の規定に基づき、主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて毎年国会に報告すること。

六 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。

七 本法の規定に基づいて行う啓発活動については、障害者への支援を行っている団体等とも連携を図り、効果的に行うこと。

八 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、財政措置も含め、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実を図ること。また、国の出先機関等が地域協議会に積極的に参加するとともに、本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。

九 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。

十 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。

十一 本法施行後、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」の定義を検討すること。

十二 本法第十六条に基づく国の「障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供」に関する措置のうち、特に内閣府においては、障害者差別解消支援地域協議会と連携するなどして、差別に関する個別事案を収集し、国民に公開し、有効に活用すること。右決議する。

from [PDF]関連資料(提案理由、各院委員長報告、附帯決議)

参考

12月 08

障害者差別解消法と図書館と障害者サービス

全ての利用者に全ての資料・サービスを提供すること

これは図書館の基本的な理念です。この「全ての利用者」には当然ですが、障害者も含まれています。

 全ての資料・サービスを利用する際して、障害等の理由でバリアの存在を感じる利用者がいた場合はそのバリアを取り除くために配慮を行う、それが図書館における障害者サービスの基本的な理念です。そのために図書館は録音図書や点字資料などの障害者が利用できる資料を製作・所蔵し、それを提供していますし、対面朗読サービスなど様々なサービスを提供しています。

先のエントリで「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の概要について紹介しました。

 この法律には、図書館に障害者サービスを提供せよと明言されているわけではありませんが、国の行政機関、地方公共団体等に義務付けている「合理的配慮」の提供も含め、障害者差別解消法が求める実質的平等を図書館利用について考えるならば、そのまま障害者サービスになるのではないかと思います。もちろんこれがすぐに対面朗読サービスや録音図書の製作サービスなどの個別のサービスを全ての図書館で開始せよという話に結びつくわけではありあせん。それぞれが過度に負担を感じない範囲で誠実に図書館利用について社会的障壁の除去を行うことが求められると思うのです。

9月 12

点字図書、DAISY図書、大活字図書が日常生活用具給付対象に

情報・意思疎通支援用具として視覚障害者用図書(点字図書、大活字図書、DAISY図書)が厚生労働省の日常生活用具給付対象になったそうです。