MyBook ⅢがEPUB3に対応していた

 様々なデジタルコンテンツをPC-Talkerというスクリーンリーダーで閲覧することができるバリアフリー読書ソフトMyBook Ⅲ(MyBook 3)が、いつの間にかEPUB3に対応していたという話。

 このソフトウェアを一言で説明するのはなかかな難しいので、上の高知システムのサイトをご覧いただければと思いますが、スクリーンリーダーでの利用に対応したデジタルコンテンツの閲覧ソフトウェアです。UIもスクリーンリーダーのユーザーが利用しやすいように設計されています。対応する形式は、DAISYやEPUB、PDFだけではなく、Word、Excel、PowerPoint、点字ファイルなど非常に多岐にわたります。また、サピエ図書館国立国会図書館のDAISY配信サービスに対応しており、これらのサービスをソフトウェアから直接利用(検索・ダウンロード・再生)できるようになっています。スクリーンリーダーのユーザーが様々なデジタルコンテンツを読むにあたって、なるべくMyBook Ⅲの中で操作が完結するように、あるいは起点になるように設計されています。日本語のWindows環境で最もよく使用されている(と思われる)スクリーンリーダー PC-Talkerに対応するこのソフトウェアでEPUB 3に読めることは大きいと思います。MyBook Ⅲというバージョンがどこまで利用されているかはわかりませんが、MyBookはスクリーンリーダーを用いる視覚障害者がWindows環境でよく利用していると聞いています。
 メニューに「EPUB」という項目があるので、EPUBに対応しているということは知っていたのですが、上記の高知システムのHPでは、EPUB 3と明記されていなかったので、EPUB2にのみ対応しているのかと思っていました。 @SGTMSYK さんによると、マニュアルにはきちんと対応が明記されているとのことで、「ええぇ、まじですかー」と思い、確認してみると、以下のように明記されていました。

EPUBファイルは、国際的な電子書籍フォーマットであり、特に英語圏では電子書籍の標準規格として扱われています。
主に、文庫や漫画、雑誌と言った、一般的な書籍がEPUBファイル化されています。
日本では、今後の普及が予測されそうです。
マイブックは、次のバージョンのEPUBファイルが読み込めます。
 EPUBバージョン 2.0
 EPUBバージョン 3.0
補足1.
文庫の場合、その殆どがテキストをベースに作成されていますので音声読み上げによる読書には適しています。
しかし、漫画や雑誌のように画像で文書化されているものに対しては、音声読み上げによる読書ができませんので、ご注意願います。

 EPUB3で作成されたファイルをいくつか読み込んでみましたが、こんな感じでした。

  • rubyタグの対応について。たとえば、<ruby>私<rp>(</rp><rt>わちき</rt><rp>)</rp></ruby> となっていても「私(わちき)」と表示されてしまい、ルビ表示はされません。しかし、rubyタグの情報は、読み上げには活用されるので、きちんと「わちき」と読み上げてくれる(スクリーンリーダーのPC-Talker側の対応かもしれませんが)。
  • 縦書きには未対応。
  • Media Overlaysにも未対応なので、音声のみのEPUBやマルチメディアDAISY的なEPUBの再生はできない。

 スクリーンリーダーの利用に焦点をあてたソフトウェアと考えれば、縦書きには未対応であることやルビ表示がされないことは、あまり問題ではないかもしれません。Media Overlaysにまだ対応していないのは残念ですが、rubyタグを読み上げに活用できるのであれば、テキストDAISY的なEPUBを読むには、スクリーンリーダーを利用する視覚障害者にとって利用しやすいソフトウェアかもしれません。

DAISYオンライン配信プロトコル ver2.0の草案がパブリックレビュー開始

 DAISYコンソーシアムがDAISYオンライン配信プロトコルver2.0の草案についてついてパブリックレビューをしています。

 現行のDAISYオンライン配信プロトコル 1.0とどこが違うのかというところが一番気になるところですが、それを説明する文書が見つかりませんので、今回はこれくらいで。

参考