12月 24

アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン (Accessible Books Consortium)

世界知的所有権機関(WIPO)のマラケシュ条約で中心的な役割を果たすAccessible Books Consortium(ABC)は、”born accessible”な出版物の普及促進を目的とするInclusive Publishing、アクセシブルなコンテンツの共有・交換の促進を目的とするTIGAR Service、DAISYを利用できるICTスキルを持っていないプリントディスアビリティが発展途上国には多いため、そのICTスキル向上を目的とするCapacity Buildingの3つのプロジェクトを遂行しています。この3つのプロジェクトの中のInclusive Publishingの中で、「アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン」(Accessible Publishing Best Practice Guidelines for Publishers)というものを公開しています。

これは、WIPOの出資によってEDItEURのSarah Hilderley氏が作成したもので、これまではEDItEURのウェブサイトで公開されていたのですが、2014年6月にABCが発足したタイミングでABCのウェブサイトに移ったみたいです。ちなみにこのガイドラインは日本障害者リハビリテーション協会が日本語に翻訳して公開しています。

 なお、Accessible Books Consortiumについては、一度このブログでも紹介したことがありますので、こちらをご参照ください。

12月 24

全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?(DAISYpediaの記事紹介)

 DAISYコンソーシアムがDAISY規格に関する情報発信を体系的に行うために設置しているDAISYpedia で「全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?」(Making publications accessible for all)というエントリが掲載され、出版物をアクセシブルにする条件や方法等を紹介しています。

 全ての人にとってアクセシブルな出版物の条件として以下を挙げています。

  • Compatibility with screen readers and text to speech (TTS)
    スクリーンリーダー及び音声合成に対応していること
  • Reflowability in order to fit all screen sizes
    全てのスクリーンサイズに対応できるようリフローであること
  • Rich navigability
    章節単位、ページ単位、センテンス単位など様々なレベルでのフォーカスの移動が可能なほか、注やサイドバーなどのスキップが可能であるなど、豊富なナビゲーションを用意していること
  • Support for multiple input methods
    キーボード、マウス、タッチ入力など多様な入力方法に対応していること
  • Accessible images: 画像についてキャプションやテキストによる説明が用意されているなど、画像がアクセブルであること。ビデオについても字幕かテキストのスクリプトが用意されているべきである
  • Multi-platform support
    PC、携帯、タブレット、点字ディスプレイなど様々な端末に対応していること

 

12月 23

「視覚障害児童生徒のための『音訳教材』製作マニュアル」(日本ライトハウス)

 日本ライトハウスが文部科学省の「平成25年度民間組織・支援技術を活用した特別支援教育研究事業障害のある児童生徒のための教材普及推進事業)」を受託する形で「視覚障害児童生徒のための『音訳教材』製作マニュアル」を作成し、平成26年3月に公開しています。視覚障害児童生徒のために教科書等を音訳しDAISY編集するためのマニュアルです。

 日本ライトハウスは平成26年度には、文部科学省の事業(音声教材の効率的な提供方法等に関する調査研究事業)を受託する形で、「音訳教材データベース」を構築しているようです。以下は、「ワンブック」2014年11月号(に掲載されているイメージ図です。

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from 「ワンブック」2014年11月号(PDF)p4

 「ワンブック」2014年11月号のp3-p4に事業の紹介が掲載されています。

12月 14

アクセシブルな電子書籍をテーマとしたIFLA LPD サテライト会議の発表資料とアブストラクトが公開されている

2014年8月に開催されたIFLA World Library and Information Congress 2014にあわせて開催された、IFLA LPD(Libraries Serving Persons with Print Disabilities Section)主催のサテライト会議のアブストラクトと発表資料が公開されています。サテライト会議のテーマは”eBooks for everyone! An opportunity for more inclusive libraries”ということで、アクセシブルな電子書籍、マラケシュ条約に関係する発表が多いようです。

12月 01

DAISY Planet 2014年11月号紹介

DAISYコンソーシムは、月刊のDAISY Planetというウェブマガジンを刊行しています。海外のアクセシビリティに関するイベントや動向を追うのであれば、これを読むがよいと思います。

 といいつつ、私もきちんと毎号読んでいるわけでもないのですが、少し勉強する気になったので、気が向いた時にこのブログでDAISY Planet を紹介していきたいと思います。「感想」業界には、ささくれというブログがCA-E感想を隔週で更新するというすごいことをやっているのですが、ここまで自信もあまりないので、もう少しだらけた感じで簡単にこんなこと書いてあったと紹介することにしたいと思います。

 というわけで、最新号の2014年11月号の紹介をします。実は11月号、イベント紹介ばかりでさほど面白くはなかったですね・・・。

Techshare Middle East 2014: A Successful First

 11月4日から11月5日の2日間、カタールのドーハで行われた支援技術とアクセシビリティをテーマにした会議 Techshare Middle Eastの紹介記事。Techshare Middle EastはQatar Assistive Technology Center (Mada)主催、DAISY Consortiumとボーダフォンの後援という形で行われたそうで、アラビア語圏で支援技術とアクセシビリティをテーマにした国際会議が開催されたことにこの会議の意義があったようです。

From Exclusion to Empowerment: Role of ICT for Persons with Disabilities: UNESCO Conference

 10月24から26日の3日間、インドのニューデリーで行われたUNESCOの国際会議”From Exclusion to Empowerment: Role of ICT for Persons with Disabilities”の紹介記事。3日間行われたこの会議をこの字数でまとめるのもなかかな苦労したのではないかというのが最初読んだ時の感想でしたが、全体的テーマとして、教育や情報アクセシビリティの南北格差の解消が縦軸になっているのかになっているようです。
 
 マラケシュ条約の最初の批准国となったインドだけに、TIGARプロジェクトAccessible Books Consortiumの動向に関心が集まっている印象を記事を読んで受けました。

 あと、日本から発表者として記事では、日本大学教授の山口 雄仁氏の発表の紹介されていました。

DAISY Delivers at Techshare Middle East

 上で紹介したTechshare Middle EastにあわせてDAISYコンソーシアムの理事会が初めて中東で開催されたよという記事ですが、記事そのものは、Techshare Middle Eastでは、DAISYコンソーシアム関係者がたくさん発表したよという内容になっていたり。Techshare Middle Eastの発表資料一覧は公式サイトで公開されていますが、DAISYコンソーシアム関係者のスライドの一覧が抜き出されてこの記事に掲載されていたので、以下にそれらを参考までに転載。興味深い発表が多いですが、Pedro Millet氏のクラウドでDAISYを製作するシステムDORINA DAISY PLATFORMは面白そうですね。PDFのインポートもできるようにしたいとか。あと、韓国国立中央図書館もDAISYコンソーシアムのメンバーで、中東で発表とかしていたりするのかー。

In France Productivity Improves with Obi

 フランスのAssociation Valentin Haüy (AVH)がDAISYコンソーシマムのOSSであるObiのフランス語へのローカライズを行っているという記事です。ちなみにObiはおもに音声DAISYの製作に力点が置かれたアプリケーションで、最近公開されたver3.5でaudio onlyのEPUB3の製作にも対応しています。

Center on Technology and Disability: Assistive and Instructional Technology Supporting Learners with Disabilities

 11月に米国のCTD(Center on Technology and Disability)がオンラインサービスの提供を開始したという記事ですか?CTDという組織を不勉強ながら、初めて知りましたが、障害者の家族や支援者・団体をICT技術やその単お支援技術の情報提供等で支援する団体だそうです。LibraryCTD CaféLearning Centerで構成されて、登録すれば様々なサービスが受けられるとのこと。

10月 20

「DAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)仕様(2010年5月29日付)」の日本語訳を公開します。

DAISY ConsortiumのDAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)の仕様を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

 この日本語訳は、私自身がDAISYオンライン配信プロトコルを理解するために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。

 DAISYオンライン配信プロトコルについては、以下の記事をご参照ください。

関連エントリ

9月 21

「インクルーシブ教育システム構築の 基礎的環境整備としての デジタル教科書」(井上 芳郎さん発表資料@日本デジタル教科書学会)

井上 芳郎さんが8月に新潟で行われた日本デジタル教科書学会で発表されたスライドが公開されています。イクルーシブ教育に関する政府の政策的動向と法制度的動向、デジタル教科書に関する教科書出版社の動向などがまとめられています。

9月 09

DAISYユーザーのためにEPUB 3リーディングシステムはまだか、という話

 先日、 「DAISYの種類とバージョン」というエントリでDAISYの各バージョンについて紹介しましたが、EPUB 3で、読み情報を格納できるようになったことは、日本語圏のDAISYユーザーにとって非常に大きいことだと改めて感じました。なるべく早いEPUB 3への移行が望まれるのですが、EPUB 3でDAISYユーザーが満足するリーディングシステムはまだないため、残念ながら現状では難しいと思われます。

 昨年、以下のようなエントリで、私案でDAISYユーザーが利用するためのEPUBのリーディングシステムの要件を整理したことがありますが、EPUBの閲覧環境はアクセシビリティ視点でこれを書いた当時とあまり状況は変わっていないような気もします。

とはいえ・・見落としているリーディングシステムが結構あるような気もしますので、ちょっと調べねばとも思っています。

 EPUBTestBISG EPUB 3 Support Grid: Current Resultsで、各リーディングシステムの実装状況が一覧できるようになっており、項目として”Accessibility”も評価項目が設けられています。現時点で”Accessibility”の評価が掲載されているリーディングシステムが2つしかないのは、残念ですね。

関連エントリ

9月 05

DAISYの種類とバージョン

DAISYは、Digital Accessible Information SYstemの略で、視覚障害者や発達障害者など読書に困難のある方々のための書籍コンテンツの国際規格です。日本では、「デジタル録音図書の国際標準規格」と紹介されることが多いですが、DAISYの種類としてテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYがあるように、「録音図書」より幅広いコンテンツを包含するフォーマットです。DAISYには、現在も使用されている、または使用されようとしている仕様のバージョンとして、DAISY 2.02、DAISY3、EPUB 3があります。これらのDAISYの種類とバージョンを整理してみました。

  1. DAISYの種類
  2. DAISYのバージョン

1. DAISYの種類

DAISYには、おおざっぱに言ってテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYの3つの種類のDAISYがあります。特徴を表にまとめると以下のような感じになります。

DAISYの種類
種類 目次のテキストデータ 本文フルテキスト 目次・本文等を読み上げた音声データ
テキストDAISY 有り 有り 無し
音声DAISY 有り 無し 有り
マルチメディアDAISY 有り 有り 有り

2.DAISYのバージョン」で紹介するように、DAISYには、DAISY2.02、DAISY3、EPUB3(DAISY4世代)の3つのバージョンがありますが、いずれのバージョンでもテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYを製作することが可能です。

テキストDAISY

目次と本文のテキストデータで構成されるDAISYです。音声DAISYやマルチメディアDAISYのように音声ファイルをもっていないため、音声DAISYやマルチメディアDAISYと比べると、ファイルサイズは非常に軽量です。ユーザーが用意する必要がありますが、機械音声(TTS)によって読み上げさせることが可能です。TTSが利用できない環境でも、本文テキストの文字の拡大縮小や配色の変更等が可能であるため、ロービジョンの方にとって有用です。

欧米言語には、日本語のように読みの問題等がないこと、そして、特に英語について言えることですが、優れた機械音声(TTS)が多く存在することから、このテキストDAISYがよく使われているそうです。日本語の場合は、それと逆の理由でテキストDAISYはまだあまり普及はしていません。しかし、商用で流通しているいわゆる「電子書籍」は、目次とテキストデータで構成されるテキストDAISYとも言えますので、日本でも「テキストDAISY」的なコンテンツは、電子書籍の普及で一気に増えると思われます。EPUB3では、ruby要素を使用できるようになったほか、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)などTTSをサポートする機能が大幅に強化されましたので、日本語でテキストDAISYを利用できる環境が整いつつあります。

音声DAISY

「録音図書」という言葉から最もイメージしやすいのが音声DAISYでしょうか。目次等のナビゲーションに係る部分のテキストデータは保持しますが、本文部分は本文を音訳した(視覚情報である本文を音声化した)音声データのみになります。音声ファイルを保持しているので、ファイルサイズは大きくなります。「DAISY」という名称が、もともと”Digital Audio-based Information SYstem”であったように、当初は録音図書テープではできなかった録音図書のランダムアクセスを可能とするデジタル録音図書の規格として策定されたものでした。音声DAISYがもっとも歴史のあるタイプのDAISYになるかと思います。現在も日本では、音声DAISYが最も多く製作されています。

EPUB3で製作した「音声DAISY」(DAISY2.02からの変換。音声の再生は0:40あたりから)

マルチメディアDAISY

テキストDAISYと音声DAISYの特徴をあわせもったDAISYで、本文のテキストデータと読み上げ音声の両方をもち、音声を再生する際には以下のように本文テキストの該当箇所をハイライト表示させる機能を持っています。音声ファイルを保持しているので、ファイルサイズは大きくなります。マルチメディアDAISYは全盲の視覚障害者だけではなく、ロービジョン、発達障害、知的障害など通常の紙の書籍では読書するのに困難のある様々な方にも有用であるため、今後普及が期待されているDAISYです。


マルチメディアDAISY図書の「ごん狐」

2. DAISYのバージョン

DAISYにはDAISY2.02、DAISY3、DAISY4世代のEPUB3の3つのバージョンがあります。
DAISYのバージョンの図。DAISY2.02からDAISY3、続いて、DAISY4世代へ。DAISY4世代は交換フォーマットと配布フォーマットに分かれ。交換フォーマットはDAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)、配布フォーマットがEPUB

DAISY2.02

Recommendation, February 28 2001(DAISY Consortium)
URL: http://www.daisy.org/z3986/specifications/daisy_202.html非公式日本語訳
ファイル: SMIL1.0 + XHTML1.0 + CSS2.1 + 音声ファイル(MP3、PCMなど)など
目次ファイル:Navigation Control Center (NCC) document(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)
メタデータを格納しているファイル:Navigation Control Center (NCC)ドキュメント(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)

日本では、もっとも普及しているDAISYのバージョンがDAISY2.02です。
以下、DAISY2.02に関する仕様の概要です。

  • 必須ファイルは、1つのNavigation Control Center (NCC) document(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)と1つ以上のSMILファイル。
  • Navigation Control Center (NCC)ドキュメントとテキストコンテンツドキュメントファイル(本文部分のテキスト)はXHTML1.0に準拠したドキュメント。
  • SMILドキュメントはSMIL1.0に準拠したドキュメント。
  • CSS2.1仕様に付録として記載されているAudio CSS(ACSS)も使用可。
  • ルビ表示を含め、漢字などの読み情報を格納する機能はサポートされていない。
  • CDなどの媒体にいれて配布する想定だったためか、EPUBのようなZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットは特に規定されていない。
参考 DAISY 2.0

URL: http://www.daisy.org/daisy20.html日本語訳
ファイル:SMIL1.0 + HTML4.0 + CSS + 音声ファイル(MP3、PCMなど)など

DAISY2.02の前のバージョンとして、DAISY2.0があります。ファイルの構成はDAISY2.02とほぼ同じですが、テキストベースのコンテンツファイルのhtmlファイルが、DAISY2.0はHTML4.0となっています(DAISY2.02では、XHTML1.0)。現在、DAISYが2.0の仕様に基づいて製作されることはさすがにないと思われますが、過去に製作されたDAISYの中にはDAISY2.0のものが結構あるようです。AMISなど、DAISY2.02に対応しても、DAISY2.0には対応してないという再生ソフトがちらほらとあるようなので、再生環境の観点からそのままでの利用には課題があるようです。

ANSI/NISO Z39.86-2005 (DAISY3)

Approved April 21, 2005 by the American National Standards Institute
Reaffirmation approved April, 2012 by the American National Standards Institute
ANSI/NISO Z39.86-2005
URL: http://www.daisy.org/z3986/2005/Z3986-2005.html
ファイル: SMIL2.0 + XML1.0(DTBook XML) + CSS2.1+ 音声ファイル(MP3、PCMなど)+OPF+NCX など
目次ファイル:NCX(Navigation Control file for XML applications)ファイル
メタデータを格納しているファイル: Open eBook Forum Package File (OPF)

欧米圏では、このDAISY3が主に使用されているようです。DAISY 3という名称で知られていますが、米国の標準規格として認証されていますので、”ANSI/NISO Z39.86-2005″と呼ばれることも多いです。2012年に再確認(reaffirmed)されたので末尾に”R2012″がついて、”ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)”と表記されることもあります。名称にあるとおり、”ANSI/NISO Z39.86-2005″は2005年に承認されたものですが、”ANSI/NISO Z39.86-2005″の前のバージョンの仕様として2002年に承認された”ANSI/NISO Z39.86-2002″もあります。”ANSI/NISO Z39.86-2002″もDAISY3です。

米国では、個別障害者教育法(IDEA 2004)により、出版者は教科書などの教材のデータをNIMAS(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)というフォーマットで提出することが義務づけられています。そのNIMASにDAISY3のサブセットが採用されています。

なお、DAISY3の策定の経緯は、国立国会図書館が2003年に公開した図書館調査研究リポート『デジタル環境下における視覚障害者等図書館サービスの海外動向』の2章と3章の中でくわしく紹介されています。

DAISY3は、米国議会図書館の盲人・身体障害者全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)が米国情報標準化機構(National Information Standards Organization:NISO)を通じて開始したデジタル録音図書の標準化の検討にDAISYコンソーシアムが参加するという経緯で策定されたそうで、DAISYコンソーシアム内で策定されたDAISY2とは、策定の経緯が大きく異なるようです。

以下、DAISY3仕様の概要です。

  • パッケージファイルであるOPFファイルはOpen eBook Publication Structure 1.2仕様に準拠。
  • 目次ファイル:NCX(Navigation Control file for XML applications)ファイルはEPUB2でも採用されている。
  • DAISY XML(またはDTBook XML):DTBook XML要素セットを使用して記述されたXML1.0のテキストベースのコンテンツファイル。
  • DTBook XML要素セットを使用したコンテンツファイル(DAISY XML)はEPUB2でも使用可。
  • CSS2.1仕様に付録として記載されているAudio CSS(ACSS)も使用可。
  • ルビ表示を含め、漢字などの読み情報を格納する機能はサポートされていない(日本では、独自の実装でルビ表示を実現しているところがあるようですが、仕様上はサポートされていない)。
  • CDなどの媒体にいれて配布する想定だったためか、EPUBのようなZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットは特に規定されていない。

DAISY4世代(DAISY AIとEPUB3)

DAISY4世代は、製作者側がもつ交換フォーマットと、ユーザーが使用する配布フォーマットに分かれています。交換フォーマットがDAISY AI(Authoring and Interchange)で米国の標準規格として認証もされましたので”ANSI/NISO Z39.98-2012″と呼ばれます。配布フォーマットはEPUB 3です。

メタデータ、音声、本文データ、SMILなどを持った交換フォーマットDAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)から配布フォーマットであるEPUBと点字データ、拡大図書などに変換される図です

DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)

Approved July 9, 2012 by the American National Standards Institute
URL:http://www.daisy.org/z3998/2012/z3998-2012.html
ANSI/NISO Z39.98-2012

策定の経緯を含めて詳細は以下にまとめてあります。

DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)に準拠したファイルを少なくとも私はほとんど見たことがありません。DAISYコンソーシアムもEPUB 3 移行プロジェクトでEPUB3への移行は力入れているようですが、DAISY AIはあまり力を入れているように見えませんし、使用されている例があるのかもよくわかりません。NIMAS(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)がDAISY3からこちらに移行すると一気に使用されるようになるかもしれません。

EPUB 3

Recommended Specification 26 June 2014 by International Digital Publishing Forum ※
URL:http://idpf.org/epub/301
※EPUB 3.0は2011年10月11日勧告
ファイル:HTML5(XHTML5)+CSS2.1(と一部のCSS3)+SMIL3.0+音声や動画ファイル+OPF など
目次ファイル:EPUB Navigation Document(ファイル名は”nav.xhtml”とされていることが多い)
メタデータを格納しているファイル: パッケージドキュメントファイルのOPFファイル

EPUB3の特徴は主に以下の通りです。TTSサポートのところで触れているが、ruby要素、インラインSSML、PLSによっての読みの情報を格納できるようになりました。日本語コンテンツとしては非常に大きなことですね。

  • パッケージファイルであるOPFファイルはEPUB Publications 3.0.1に準拠。
  • 動画・音声ファイルのサポート。
  • SMIL3.0のサブセットが仕様に組み込まれ、テキストと同期した形で音声を再生することが可能になった(EPUB Media Overlays)。DAISYとしては、当たり前の機能ですが、EPUBとしては大きな機能の追加です(動画とテキストの同期は不可)。
  • MathMLのサポート。
  • JavaScriptのサポート。
  • Text-to-speechのサポート機能強化(ruby要素、CSS3 Speech Module、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)をサポート)。
  • 国際化対応(縦書きなどの日本語組版対応など)。
  • (EPUBとしては、当然のことであるが、)ZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットの仕様が「DAISY」としてはようやく盛り込まれた。

ちなみにEPUBで作れば、全てがDAISYユーザーが満足するアクセシブルなコンテンツになるかというとそうではありません。作り手がアクセシビリティを意識して製作する必要があります。DAISYコンソーシアムは、DAISYユーザーが満足するようなアクセシブルなEPUBを”Accessible EPUB“と呼び、一応、他のEPUBと区別しているようです。

8月 20

訳しました→DAISYコンソーシアムの音声DAISY的EPUBの作成ガイドライン

 前のエントリで紹介したDAISYコンソーシアムの音声DAISY的EPUBの作成ガイドラインを訳しましたので、公開します。

参考