「Amazon Kindle パブリッシングガイドライン」が画像に代替テキストを求めるようになっていた

Amazon Kindle向けコンテンツ作成の仕様書である「Amazon Kindle パブリッシングガイドライン」に画像のalt属性に代替テキストを提供する記述が追加されていました。「9.4 画像のガイドライン」の「9.4.1 サポートされている入力形式を使用する」のところです。

画像をソースに追加するには、標準HTML のタグを使用します。コンテンツを理解するうえで不可欠な画像の場合、支援テクノロジーを使用する利用者向けに、alt属性を使用してその意味を伝えるテキストを提供します。altテキストは140 文字未満で、画像とその意味を説明する必要があります。コンテンツの理解に必須ではない、装飾目的の画像の場合、支援テクノロジーが無視できるよう、alt属性はalt =””のようにnull にしてください。
「9.4.1 サポートされている入力形式を使用する」より

いつからだろうと思いましたが、英語版では、2017.4からのようです。 日本語版も同じタイミングなのでしょうか。少なくとも2018.2では上のパラグラフは追加されていたようです。

Revision Number :2017.4
Updated 9.4.1 Use Supported Input Formats: Added guidance on specifying alt text within the  tag for accessibility compliance
from “Revision History” [PDF]Amazon Kindle Publishing Guidelines version 2017.4

実際にどの程度、代替テキストが提供されているのかが、気になるところです。後日、Webアクセシビリティ Advent Calendar 2018 のエントリとして書こうかと思っているところですが、Kindleガイドラインを読む限り、出版社がAmazonに提出しているEPUB自体は少なくともかなりアクセシブルなもののような気がしていて、問題があるとするなら画像に代替テキストが提供されていないくらいではないか、と思っていたのですが、代替テキストまで提供されるようになっているとすると、ガイドライン上は、求められるアクセシビリィ上の要件は、かなり満たされてきているかもしれません。問題は支援技術による利用を阻害しているDRMなのですが・・

アクセシビリティメタデータを提供する、ということ(その2)

 一年前に書いたアクセシビリティメタデータを提供する、ということの続きを今になってなんとなく書いてみます。問題意識は1年前から変わっていませんが、このエントリでも書いた「だれでもない、自分が今、読むことができるコンテンツを探せる」メタデータのあり方についてもう少し考えてみたい。

 アクセシビリティメタデータの1つとして、その資料、データ、コンテンツがどのようなアクセシビリティ上の措置がなされているかという情報があります。たとえば、以下のようなものです。

  • 代替テキストが提供されている
  • 読み上げ対応している
  • バリアフリー対応の字幕や音声ガイドがついている

 これについては、表に出る形ではアマゾンが頑張っています。

 どのようなアクセシビリティ上の措置がなされているという情報がメタデータとして提供される動きが出てきていることは、本当に歓迎しています。ただ、この情報の意味するところを理解し自分が使える/使えないコンテンツだと、ユーザー側で判断するのは、まだ1つ大きな山があるように感じています。そこで、アクセシビリティ上の措置がメタデータとして提供される動きがでてくるようになったので、さらにもう1歩踏み込んで、そのアクセシビリティ上の措置の結果としてどのような人がこのコンテンツを利用できるのかという情報もメタデータとして提供することについても考えてみたい。つまり、例えば、

  • 「バリアフリー字幕:日本語」の結果、視覚機能を持ち(つまり、視覚障害ではない)かつ日本語を利用できる方が利用できる
  • 「バリアフリー音声ガイド:日本語」の結果、聴覚機能を持ち(つまり、聴覚障害ではない)かつ日本語を利用できる方が利用できる
  • つまり、「バリアフリー字幕:日本語」と「バリアフリー音声ガイド:日本語の両方を備えたDVDの場合、そのDVDは以下の方が利用できることなる
    • 日本語を利用できる方であり、かつ
    • 視覚機能または聴覚機能の少なくともいずれかを持っている方

こういう情報までメタデータとして提供することはできないかと。

 すでにこれを目的とするメタデータの語彙がSchema.org にあります。以下の2つの語彙です。

  • accessMode (そのコンテンツが製作されたままの状態で正確に理解するに必要な人間の機能を明示する語彙)
  • accessModeSufficient (代替テキスト、音声ガイド等の追加されたアクセシリティ機能を考慮した上でそのコンテンツの内容を利用するのに必要な人間の機能を示す語彙)

 それぞれの語彙の詳細については、EPUBのアクセシビリティ仕様が求めるアクセシビリティメタデータでも書きましたので、詳しくはそちらを参照してください。このエントリにも書いたてあるとおり、EPUBのアクセシビリティ仕様EPUB Accessibility 1.0でもEPUBに同梱すべきアクセシビリティメタデータとして採用されています(これがEPUB Accessibility 1.0を推したい理由の1つでもあります)。

 図書館の話。図書館では、資料についてなされたアクセシビリティ上の措置についてさえも、メタデータとして提供することは実は十分にされていません(少なくとも私はそう認識。注記にその種の情報が書かれることもあるはあるのですが、自由記述の注記欄だけに、その対応も一律ではなかったり、記述が統一されていないような)。代わりに図書館の障害者サービスでは、多くの場合、点字資料、録音図書、拡大図書、LLブックといった障害者向け資料の区分で、資料種別単位で管理することで障害者サービスにおいて資料提供をしています。前のエントリでも書いたように、自分の障害の特性を自覚かつ理解し、かつ、点字資料、録音図書、拡大図書、マルチメディアDAISYのような資料の特徴の理解した上で資料のジャンルから、自分が利用できるもの選ぶと利用者自身で行うことはかなり難しいと思います。場合によって図書館司書の介在が必要になってしまいます。

 しかし、ここ最近の図書館の動きで「おおぉ」と思ったのが、昨年のエントリで紹介したMARC21に上のアクセシビリティメタデータを追加する提案に関する動きの続報です。2017年から2018年の議論の結果、11月にMARC21の341のフィールド532のフィールドにアクセシビリティに関する項目が追加されました。

 これは別のエントリで少し詳しく書きますが、341のフィールドでaccessModeとaccessModeSufficientの概念が導入されているっぽいですね。どの範囲の資料までこのフィールドが使用されるかわかりませんが、障害者用資料に限定されず、広範な資料にこのフィールドが使用されるようになると非常に大きいかも(「障害者用資料」という区分が良い意味で意味がなくなりますね)。注目したいと思います。

 見つけられないコンテンツはそのユーザーにとって存在しないと同義です。必要な人に必要な時に自分が利用できるコンテンツが発見できる、を実現するためには、アクセシビリティメタデータの提供が欠かせません。というわけで、アクセシビリティメタデータの情報はまめに収集してこのブログでもエントリを書いて行きたいと思います(このブログでも「アクセシビリティメタデータ」のカテゴリを新設)。