1月 07

EPUB 3.1の仕様とそれに含まれるEPUBのアクセシビリティに関する仕様

 1月5日にEPUB 3.1の仕様がIDPFで承認されました。

 EPUB 3.1の仕様は、EPUB Packages 3.1、EPUB Content Documents 3.1、EPUB Open Container Format (OCF) 3.1などの複数の仕様で構成されています。2016年に公開されていたEPUB 3.1のドラフト版はありがたいことにIMAGEDRIVEさんが日本語訳を公開してくれています。EPUB3.01からの変更点を解説した”EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1″も含めて翻訳してくださっていますので、ご参照ください。

 EPUB 3.1の仕様では、アクセシビリティに関する仕様が規定され、その関連文書としての実装方法をまとめた文書が公開されました。

 よりアクセシブルなEPUBコンテンツを制作する要件についてまとめられているほか、必要な人が自分にあったアクセシブルなコンテンツをきちんとを発見できるようにするため、EPUBコンテンツに包含すべきアクセシビリティメタデータの要件についても整理されています。

EPUB Accessibility 1.0と関連文書であるEPUB Accessibility Techniques 1.0(実装方法集)の関係は、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0/a>とそのTechniques for WCAG 2.0(実装方法集)の関係に倣ったものだと思われます。技術的なテクニックは随時変更できるように仕様本体から切り離したのでしょう。WCAGと実装方法集の関係の詳細については、以下をご参照ください。

7月 22

IDPFがEPUBのアクセシビリティの要件をまとめた仕様とその実装方法集のドラフトを公開

IDPFがEPUBのアクセシビリティの要件をまとめた仕様のエディターズドラフトとその実装方法を解説したTechniquesのエディターズドラフトを2016年4月に公開しています。そして、この7月にはその第2版が公開されています。

 文書のタイトルに”Discovery”という文言があるように、アクセシブルなコンテンツを発見するためのメタデータの要件にも力点が置かれています。

 この両文書はW3Cの”Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0″とその関連文書である”Techniques for WCAG 2.0″の関係に相当するものを想定しているのでしょうね。

 IDPFはEPUB3のアクセシビティガイドラインを以下のように数年前から公開しています。

 これとの関係はよく分かりませんが、W3Cドキュメントの体裁に則った2016年に公開された仕様書に移行されることになるのでしょうか。たぶん。
 実際、要件とその実装方法を切り離した上のドキュメントのほうが全体的にすっきりしている気がする。

2月 07

マルチメディアDAISYを普及させるための方法としていくつか

 音声とテキストを保持し、音声が読み上げる箇所のテキストをハイライトするマルチメディアDAISYが視覚障害やディスレクシアなどの様々な理由で読書に困難のある人にたいして幅広く有効であることは形式であることは疑いないところですが、テキストと音声それぞれをつくり、さらにそれを掛け合わせる必要があり、製作コストがそれなりにかかるため、普及しているとは言えない状況です。しかし、少しでも(可能であれば、商業ベースで)普及させるために、図書館としてこういう手立ては取り得るんじゃないかと思うところを思いつきで何点か。書いていて、マルチメディアDAISYに限定されるものではないかなと思いましたが。
 

1 アクセシブルな電子書籍の要件をまとめたガイドラインを作成する

  • 最終的にはマルチメデァアDAISYにたどり着くようなアクセシブルな電子書籍製作のためのガイドラインを作成する。
  • そもそも「アクセシブルな電子書籍」に対する関係者の認識に相違がかなりある。その相違を解消し、「アクセシブルな電子書籍」の要件を様々な領域がわかるようにするために要件をまとめたガイドライン。いろいろな業界の関係者を巻き込んで作成すれば、このガイドラインを作成するプロセスそのものがアクセシブルな電子書籍と何かというコンセサンスを形成するはず。
  • ガイドラインは、全ての要件を平たく挙げるのではなく、要件の優先順位を示す。たとえば、等級Aの要件を満たせば、スクリーンリーダーで読み上げさせれば誤読がありうるが、それでも読み上げさせることができるもの、等級AAAであれば、肉声の音声と同期したマルチメディアDAISYか、誤読がないようにSSMLを埋め込んだ電子書籍などになるなど。
  • アクセシブルなテキストDAISYライクな電子書籍も十分に出ていない状態で、出版社にいきなりマルチメディアDAISY作ってほしいと要望を出しても難しいと思う。そこで、まずはアクセシブルなテキストDAISYから目指す(ボランティアベースでマルチメディアDAISYを製作するにしても、紙の書籍からマルチメディアDAISYを作るよりは、テキストDAISYからマルチメディアDAISYを作る方がコストは安く押さえられるはず)。

ガイドラインの作成については、以下でまとめたことがあります。

2 マルチメディアDAISY普及のための団体を図書館の外に立ち上げる

  • 理解のある出版社あるいは出版関係者を巻き込んでマルチメディアDAISY普及のための団体を立ち上げる。
  • 様々な業界におけるマルチメディアDAISYの橋頭堡となるべき団体があるべきだと思う。
  • その団体で商業ベースでマルチメディアDAISYを出版するにはどうすればよいか研究したり、定期的に啓発イベントを行ったりする。
  • 出版社という組織ではなく、まずはその中にいる編集者に興味を持ってもらい、働きかける。そのためには、こういう団体が存在するほうがよいのではないか。
  • 岩田美津子さんがたちあげた「点字つき絵本の出版と普及を考える会」という団体はロールモデルになるのではないか。

3 技術者をもっと巻き込む

  • アクセシビリティに関心のある技術者や研究者は多い。また、技術的にやれる余地はかなり残されているのではないかと思う。著作権法第37条クラスタが抱えている問題をもっとオープンにして様々な技術者や研究者が参加しやすい体制を。
  • 例えば、青空文庫は、こんなに困っているんですということをアピールでアイデアソンを開いて、幅広い技術者の関心を集めた。こういう手法はもっと採用されるべき。
    青空文庫を救え!「Code for 青空文庫」アイデアソン #1 レポート ‪#‎aozorahack‬

4 オーディオブック関係者/団体との連携を図る

  • 商業ベースでマルチメディアDAISYを出版させるビジネスモデルとしては、米国のアマゾンのImmersion Readingがやっているような、オーディオブックとKindle図書を別々に販売し、両方を購入した人にはその両方を掛け合わせて、マルチメディアDAISY機能として利用できる方法はかなり有効ではないか。
    Kindleで洋書を読むならImmersion Readingを使ってみよう
  • オーディオブック業界とはもっと連携を図って、図書館側の要望を伝えてもよいのではないか。ユーザー側の意見として
5月 28

アクセシブルな電子書籍とは何かを示すガイドラインの話(の続き)

 先のエントリで、以下の3つについて図書館がガイドラインを作成して要件を提示してはどうかという話をしました。

  • (出版社と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」とは何か(コンテンツ作成ガイドライン)
  • (ビューワー開発者と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな閲覧環境」とは何か(ビューワーのガイドライン)
  • (電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな提供方法」とは何か(コンテンツ提供ガイドライン)

 
 それぞれについてどのようなガイドラインを作成するべきなのか、参考になる先行的なものを含めてまとめてみました。

1.「アクセシブルな電子書籍」を示すコンテンツ作成ガイドライン

 EPUBのようなHTMLやCSS等のWeb標準技術をベースとした形式は、ウェブアクセシビリティのガイドラインとして知られるW3CのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0( = JIS X8341-3:2010 = ISO/IEC 40500:2012)が対象とする「ウェブコンテンツ(Web技術によって作成されたコンテンツ)」に該当します。 

ウェブコンテンツとは、ウェブブラウザ、支援技術などのユーザーエージェントによって利用者に伝達されるあらゆる情報及び感覚的な体験を指し、例えば、ウェブアプリケーション、ウェブシステム、携帯端末などを用いて利用されるコンテンツ、インターネット、イントラネット、CD-ROMなどの記録媒体を介して配布されるウェブコンテンツ技術を用いて制作された電子文書、ウェブブラウザを用いて操作する機器などに適用する。
from JIS X8341-3:2010「1.適用範囲」
参考: ウェブアクセシビリティガイドラインWCAG 2.0とJIS X8341-3:2010に関する整理

 

 EPUBの場合は、JIS化もISO化もしているWACG2.0に則って製作していけばよいはず、というよりは、本来的には(特に公的機関などは)しなければならないはずです。しかし、WACG及びJIS 8341-3:2010の双方が参照すべきとする具体的な実装方法を説明した「WCAG 2.0 実装方法集」には、まだアクセシブルなEPUBの製作方法が掲載されていません(アクセシブルなPDFの作成方法はすでに掲載されている)。WACGの関連文書において、実装方法が具体的に示されない現時点では、WCAG2.0( = JIS X8341-3:2010)に則って作成せよと言われてもまだ難しいかもしれません。将来的には、「WCAG2.0 実装方法集」にEPUBの実装方法も掲載され、官公庁などが刊行物のEPUB版制作を外注する時にその仕様書に「JIS 8341-3:2010の達成等級AAを準拠すること」等々の一文を追加するだけで済むようになれば理想的ですが、少なくとも今はまだ存在しないため、電子書籍向けにブレークダウンしたものが必要です。

 EPUBについては、IDPFがアクセシビリティガイドラインを公開しています。EPUBについてもっともまとまったものだと思います。

 しかし、上のIDFPのガイドラインは各要件が平たく説明され、優先順位が示されている訳ではありません。優先順位はWCAG2.0( = JIS X8341-3:2010)の達成等級が参考になりますが、米国の出版団体 Association of American Publishers (AAP) が上のガイドラインの中で優先順位の高い要件13を挙げていますので、これも参考になると思います。

2. 電子書籍の「アクセシブルな閲覧環境」を示すビューワーのガイドライン

 閲覧環境についても、W3CのUser Agent Accessibility Guidelines(UAAG)2.0があります。これは上のコンテンツ作成ガイドラインであるWACG 2.0と対になっているようなもので、Web技術を用いて製作される電子書籍の閲覧環境も対象に対象になります。JIS規格どころかまだW3C勧告にもなっていませんが、参考になる部分が大きいはずです。

 米国の出版団体 Association of American Publishers (AAP) もEPUB 3 リーディングシステムに優先的に実装してもらいたい10の機能を公開しています。

 そして、DAISYコンソーシアムが電子書籍リーディングシステムのアクセシビリティを評価するためのチェックリストを公開しています。これについては、手前味噌ながら、私が翻訳して公開しています。

 最後に、これは本当に手前味噌ですが、EPUBの閲覧環境については、私も私案として要件をまとめてみたことがあります。これを、EPUBに限定しないように抽象化しつつ、優先順位の高い要件を3段階くらいでランク付けすれば、それなりにそれなりかも。

3. 「アクセシブルな提供方法」を示すコンテンツ提供ガイドライン

 これについては、参照するべきガイドラインは特に思いつきませんが、少なくとも以下の5点はポイントになるはずです。

  • 上の1と2のガイドラインを準拠すること
  • DRMが上の1と2のガイドラインの準拠を妨げないこと
  • アクセシビリティメタデータの提供(参考:メタデータを電子書籍のアクセシビリティの議論の俎上にそろそろのせませんか
  • 電子書籍プラットフォームのウェブサイトのウェブアクセシビリティをWCAG2.0( = JIS X8341-3:2010)に準拠する形で担保すること
  • ユーザービリティ(コンテンツ入手までの手順をなるべく少なくするなど)

 

関連エントリ

5月 27

アクセシブルな電子書籍とは何かを示すガイドラインを図書館側が作ってはどうか

 障害者差別解消法の施行まであと1年弱となりました。公共図書館向けのいろいろなサービスが障害差差別解消法の対応できる的なことを謳うようになると思いますが、電子書籍サービスもおそらくはその1つでしょう。

 個々の電子書籍ベンダの状況はよくわかりませんが、アクセシビリティ対応についてはベンダごとにそれぞれ重きを置くところがさまざまではないかと思います。「アクセシブルな電子書籍」と一言で言っても、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」とベンダ側(と出版社)が考えるそれが同じとは限らないため、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」が何かを明示する必要があるのではないかと考えています。利用者に対して直接サービスを提供する図書館側が考える「アクセシブルな電子書籍」の要件を整理して提示し、認識に齟齬が生じることを防ぐことが重要です。

 例えば、以下について要件の優先順位を示したガイドラインを提示することで、ベンダやコンテンツプロバイダが自分が提供するサービスやコンテンツが、客観的に自己評価でき、かつ、今後どのように改善していけばよいのか、その道筋を示すというのは一つの方法です。

  • (出版社と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」とは何か。
  • (ビューワー開発者と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな閲覧環境」とは何か。
  • (電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな提供方法」とは何か。

 この方法の大きな利点は、ベンダ側に要件を提示できるだけではなく、図書館側が電子書籍サービスの導入やコンテンツの購入に際して、これらを「障害差差別解消法の対応」という文言に左右されずに客観的に評価できることです。

 障害の状況は人によってそれぞれ異なりますので、全ての方が満足するものを提供することは困難です。ベンダが出してきたものに対して、問題点を指摘することは無論重要ですが、図書館側が考える「アクセシブルな電子書籍」を明示せずに、ベンダが問題を指摘され続けるという状況は、ベンダにとっては、ゴールが見えないため、やる気を削ぐ可能性もあり、あまり望ましいことではありません。

 そこで、ガイドライン的なものを提示することで、だれもがサービスやコンテンツを客観的に評価でき、問題点を顕在化できるようにする。そして、現実的に実装できる道筋を示す。ベンダ側も全ての要件を一気に満たすことは難しくても、道筋が示されれば、優先順位の高い要件から「合理的配慮」の範囲内で少しずつ実装してくれるかもしれない。企業全体としてその気はなくても、内部の人がやる気を出して可能な範囲で少しずつ改善してくれるかもしれないし、あるいは、ガイドラインによる客観的な評価をもって、上を説得するようになるかもしれない。後半は希望的観測もありますが、ガイドラインのあり方は、ウェブアクセシビリティガイドラインで知られるW3CのWCAG2.0( = JIS X8341-3:2010)はロールモデルになるものだと思います。

 利用者に接してサービスを提供する図書館は、障害者のニーズをくみ上げて出版社やベンダーに「アクセシブルな電子書籍」とは何かを伝えることができるし、その役割を果たすことでアクセシブルな電子書籍の普及に貢献することができるはずです。

 要件を整理してガイドラインを作成するということは、関係者間で「アクセシブルな電子書籍」の認識を一致させる必要がまずはあり、相当大変なことだ思いますが、それは必要な調整ではないかととも思います。

 私が図書館側の人間なので、今回は「図書館」を中心に述べてきましたが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる、点字図書館)に置き換えても同じことが言えるはずです。立場としては図書館と点字図書館は同じであるはずですので、連携して取り組めればよいかもしれません。米国のEPUB 3 Implementation Projectが出版社、リーディングシステム開発者、コンテンツ販売者、サービスプロバイダ、そして、アクセシビリティ関係のコミュニティが集まって要件を整理したように、日本でももっと広いくくりで領域をまたいでこういうものが作れると本当はもっとよいのでしょうか。

関連エントリ

2月 16

MyBook ⅢがEPUB3に対応していた

 様々なデジタルコンテンツをPC-Talkerというスクリーンリーダーで閲覧することができるバリアフリー読書ソフトMyBook Ⅲ(MyBook 3)が、いつの間にかEPUB3に対応していたという話。

 このソフトウェアを一言で説明するのはなかかな難しいので、上の高知システムのサイトをご覧いただければと思いますが、スクリーンリーダーでの利用に対応したデジタルコンテンツの閲覧ソフトウェアです。UIもスクリーンリーダーのユーザーが利用しやすいように設計されています。対応する形式は、DAISYやEPUB、PDFだけではなく、Word、Excel、PowerPoint、点字ファイルなど非常に多岐にわたります。また、サピエ図書館国立国会図書館のDAISY配信サービスに対応しており、これらのサービスをソフトウェアから直接利用(検索・ダウンロード・再生)できるようになっています。スクリーンリーダーのユーザーが様々なデジタルコンテンツを読むにあたって、なるべくMyBook Ⅲの中で操作が完結するように、あるいは起点になるように設計されています。日本語のWindows環境で最もよく使用されている(と思われる)スクリーンリーダー PC-Talkerに対応するこのソフトウェアでEPUB 3に読めることは大きいと思います。MyBook Ⅲというバージョンがどこまで利用されているかはわかりませんが、MyBookはスクリーンリーダーを用いる視覚障害者がWindows環境でよく利用していると聞いています。

 メニューに「EPUB」という項目があるので、EPUBに対応しているということは知っていたのですが、上記の高知システムのHPでは、EPUB 3と明記されていなかったので、EPUB2にのみ対応しているのかと思っていました。 @SGTMSYK さんによると、マニュアルにはきちんと対応が明記されているとのことで、「ええぇ、まじですかー」と思い、確認してみると、以下のように明記されていました。

EPUBファイルは、国際的な電子書籍フォーマットであり、特に英語圏では電子書籍の標準規格として扱われています。
主に、文庫や漫画、雑誌と言った、一般的な書籍がEPUBファイル化されています。
日本では、今後の普及が予測されそうです。

マイブックは、次のバージョンのEPUBファイルが読み込めます。
 EPUBバージョン 2.0
 EPUBバージョン 3.0

補足1.
文庫の場合、その殆どがテキストをベースに作成されていますので音声読み上げによる読書には適しています。
しかし、漫画や雑誌のように画像で文書化されているものに対しては、音声読み上げによる読書ができませんので、ご注意願います。

 EPUB3で作成されたファイルをいくつか読み込んでみましたが、こんな感じでした。

  • rubyタグの対応について。たとえば、<ruby>私<rp>(</rp><rt>わちき</rt><rp>)</rp></ruby> となっていても「私(わちき)」と表示されてしまい、ルビ表示はされません。しかし、rubyタグの情報は、読み上げには活用されるので、きちんと「わちき」と読み上げてくれる(スクリーンリーダーのPC-Talker側の対応かもしれませんが)。
  • 縦書きには未対応。
  • Media Overlaysにも未対応なので、音声のみのEPUBやマルチメディアDAISY的なEPUBの再生はできない。

 スクリーンリーダーの利用に焦点をあてたソフトウェアと考えれば、縦書きには未対応であることやルビ表示がされないことは、あまり問題ではないかもしれません。Media Overlaysにまだ対応していないのは残念ですが、rubyタグを読み上げに活用できるのであれば、テキストDAISY的なEPUBを読むには、スクリーンリーダーを利用する視覚障害者にとって利用しやすいソフトウェアかもしれません。

1月 23

DAISY Pipeline 2 ver.1.9公開。EPUB3からDAISY2.02への変換機能を実験的に実装

  DAISY Pipeline 2 ver.1.9が公開されました。

 追加された主な機能は以下の通りで、EPUB3からDAISY2.02への変換機能が実験的に実装されました。数の増えてきたEPUB3コンテンツをDAISY環境で利用することを実現するこの機能は、EPUB3の閲覧環境がDAISYユーザーが整備されるまでの繋ぎとして、非常に重要な機能だと思います。

* a new command line tool, with native executables
* new schema-based DAISY 2.02 validation script
* new DTBook to ODT script
* new EPUB 3 to DAISY 2.02 script (experimental)
* TTS-narration support in DTBook to EPUB 3
* audio-only DAISY 2.02 to EPUB 3 conversion aligned with the TIES guidelines
* and many other bug fixes and improvements

 というわけで、早速試してみました。今回ためしたのは、WebUI版ですが、コマンドラインでも利用することができます。

DAISY Pipeline 2
DAISY Pipeline 2 のWeb UI画面。字が小さくて見づらいがScript欄に”EPUB3 to DAISY 2.02″が表示されている。

 とりあえず以下で公開されているEPUBでDAISY2.02の変換を試みてました。

結果は・・こんな画面が表示されて2つともとりあえず成功です。パチパチパチ。
Successと変換成功を知らせる画面

 しかし、残念ながら、どちらもDAISY2.02の再生ソフトで開けない。具体的にいえば、AMIS 3.13Voice of DAISYで開けない。
 
 まだまだ課題は多そうですが、実験的に実装されたことを考えれば、現時点では暖かい目で見守るべきところでしょうか。今後、どんどん改善されていくでしょうから。

 EPUB3コンテンツの提供者が、DAISY2.02も同時に提供できるようになる日もそう遠くなさそうですね。

1月 12

数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3

 数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3というアプリケーション。LaTeX 文書の編集、PDF ファイル出力、MathML などによるWeb教材作成など、数式などを含む理数系の教材の製作に焦点が置かれて開発されているようです。

 鈴木昌和先生のInfty Projectプロジェクトの一環として製作されたもので、他にも日英混在文や数式を含む科学技術分野の文献を対象としたOCRソフトなども開発されているようです。

 ChattyInftyについては以下もご参照ください。

 その他、鈴木昌和先生のお名前でCiniiを検索すると、数学文書点訳について、日本語分かち書き仮名変換処理、文書構造処理、表の自動点訳などおもしろそうな論文がぞろぞろ(一通りざっと読んでみましたが、さすがにちょっと私にはハードルが高かった・・・)

 研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ― デジタル教科書のアクセシビリティ」が今年も2月に東京で開催されることになっていて、私も参加する予定なのですが、そこで鈴木昌和先生と山口雄仁先生のお話が聞けることが楽しみだったりします。

参考(昨年の上の研究集会の案内)

1月 12

デジタル教科書の固定レイアウトについて(日本DAISYコンソーシアム2014年度総会講演及び意見交換会 2014年10月)

2014年10月18日に行われた日本DAISYコンソーシアム2014年度総会でのJEPA村田真さんの講演と意見交換の会のテキスト書き起こしが掲載されています。

 EDUPUBの最新動向、文部科学省で行われているデジタル教材標準化の話などHPで公開されていない話が結構出ています。DAISYで教科書を実際に制作している関係者が参加しての意見交換会だったので、村田真さんとの意見交換も実務者レベルの踏み込んだものになったようです。行きたかった・・・。

村田真さんのお話では、欧米を中心に検討が進んでいるEDUPUBでは、高等教育寄りでになってしまっており、日本でニースのある小中等教育はそれほどメインじゃないということ(河村宏さん曰く、「アメリカの場合は、もう連邦法で幼稚園から高校まではライマスで全部のテキストファイルがNIMASフォーマットでナショナルレポジトリーに全部入ってしまっているので、そこはもう済んでいる」と)。

 文部科学省では、電通が受託する形で「デジタル教材等の標準化に関する企画開発委員会」(生涯学習局が所管)という事業を行っているようですが、文部科学省のサイトではこの事業についてまったくといってよいほど情報が公開されていないので、状況がほとんど見えていませんでしたが、ここでの検討状況も村田真さんがわりと詳しく話をされていたようです。構成は親委員会があって、その下にコンテンツ関係の第1分科会と、それ以外の第2分科会があるそうです(村田真さんは親委員会の委員)。教科書会社の参加が中心でアクセシビリティ関係者の参加は一人もいないので、村田真さんが孤軍奮闘されている状況がよくわかります。この事業では報告書も作成さているのですが、公開もされていないというのが解せませんね・・・。

 同じ生涯学習局が行っている事業である学びのイノベーション推進協議会でもデジタル教科書のあり方について検証がされているようですが、上の委員会との関係も正直よくわからない。

参考

1月 11

DAISY Consortiumのアクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)日本語訳を公開します

 DAISY Consortiumが2013年5月20日に公開した「アクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

これは電子書籍ビューアが障害者(全盲者、ロービジョン、ろう者、難聴者、ディスレクシア、学習障害者、そして、移動に障害のある者))にとってどの程度使いやすいものかを評価するためのもので、評価のためのガイドライン及びチェックリストで構成されています。

 まだ、Rev 1.0版ですので、まだドラフトの段階のドキュメントのようです。正直、通して読んでいて全体の構成が分かりづらく、前半はもっと短くできるのではないかと思わせるところがありますが、チェックリストを掲載する「機能テスト」の項は、電子書籍ビューワにどのような機能が求められるかが一覧されていて参考になるところが多いのではないかと思います。ここに上げられた要件に日本語特有の要件を加えれば、必要な要件は揃うのではないかと個人的には思います。

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