ISO/IEC JTC1/SC34/AHG4 ※1においてEPUB3の国際規格化に向けた議論が進められています。そのAHG4のコンビーナを務める村田真氏(@muratamakoto)の先日のツィート(以下)によると、議論の結果、EPUB3を正式規格IS(International Standard:ISOの正式規格)の一歩手前の段階であるISO/TS (Technical Specification)※2にすることでIDPF※3、ISO/TC46※4、IEC/TC100※5、JTC1/SC34の間で合意したとのことです。
SC34/AHG4の電話会議の議長を務め、IDPF, ISO/TC46, IEC/TC100, JTC1/SC34の間の合意を達成! 肩の荷を一つ降ろせた。合意の骨子を連続tweetする。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
EPUB3は、韓国からDraft Technical SpecificationとしてJTC1にfast-track submissionし、一回の投票でTechnical Specificationにする。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
SC34の下にjoint working groupを作り、そこにISO/TC46とIEC/TC100が入る。ここにEPUB3 as a Technical Specificationを割り当てる。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
IDPFとの合意文書によって、EPUB3とEPUB3 as a Technical Specificationの技術的同一性、無償で入手可能なことを保証し、保守手続きも明確化する。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
EPUB3 as a technical specificaitonが早期に出来ることによって、EPUBの世界展開、公的事業(とくに公教育)での採用、図書館の長期保存への利用が進むものと期待する。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
韓国からEPUB3をfast-trackするという奇手は、三つのメリットをもたらす。ひとつは、IDPFの事務負担が減る。もう一つは、期間短縮。もう一つは、韓国が喜ぶ。
— 村田 真 (@muratamakoto) June 15, 2012
村田真氏とともにAHG4の共同コンビーナを勤める韓国のYong-Sang Cho氏(@zzosang)のツィートもあわせて以下に掲載します。
예상된 바와 같이 전자출판표준 #EPUB3는 ISO/IEC의 Technical Specification으로 추진될 것 같습니다. 기술위원회들간의 합의에 의해… 한국에서 제안합니다. 목표는 2013년 상반기 안에 끝내기. #idpf
— Yong-Sang Cho (@zzosang) June 15, 2012
(上をGoogle翻訳)
予想されるように、電子出版の標準#EPUB3はISO/ IECのTechnical Specificationに推進そうです。技術委員会の間の合意によって…韓国で提案します。目標は、2013年上半期中に終了。
韓国語を私が読むことができないため、Yong-Sang Cho氏のツィートは機械翻訳に頼ってしまいました。そのため、翻訳もやや不確かなところがありますが、おおよそのところは理解できるのではないかと思います。2013年上半期にISO/TS化ということなのでしょうか?
村田真氏とYong-Sang Cho氏が言及されているISO/IEC JTC1/SC34/AHGの電話会議の議事録がすでに公開されています(以下)。
・[PDF]Minutes of the 2012-06-20 Teleconference of ISO/IEC JTC1/SC34/AHG4 (第6回電話会議議事録)
結論部分はまだドラフトの段階ではありますが、ここでは以下の3つが挙げられています。
- 本件について最終的な議決をするためにJTC1/SC34はAHG4(の活動期間?)をさらに更新することをAHG4は勧める。
- JTC/SC34の下にJWG(Joint Working Group)を作り、ISO/TC46、IEC/TC100のようにEPUBに関心を持つ委員会がこのJWGに参加することをAHG4は勧める。
- 韓国からEPUB3がTechnical Specificationの草案としてJTC1にfast-track submission ※6されることをAHG4は歓迎する。
この会議では長期保存(digital preservation)や韓国のEPUB国家規格化にむけた動向についてもトピックにあがっており、なかなか興味深いところです。
【参考】第5回以前の電話会議の議事録。
・[PDF]第5回電話会議議事録(2011-08-2)
・[PDF]第4回電話会議議事録(2011-07-27)
・第3回電話会議議事録(公開されているか不明)
・第2回電話会議議事録(公開されているか不明)
・[PDF]第1回電話会議議事録(2011-02-09)
目次
※2012/07/02追記
・[PDF]Resolutions of the ISO/IEC JTC 1/SC 34 Plenary Meeting, Brasilia, Brazil, 2012-06-25, 29
Resolution 8: Re-establishment of Ad Hoc Group 4 on EPUB
SC 34 re-establishes Ad Hoc Group 4 on EPUB of IDPF* with the following terms of
reference:
– to prepare the creation of a Joint Working Group (JWG) for EPUB (and possibly
other related topics) under JTC 1/SC 34 with ISO TC 46 and IEC TC 100 /TA 10
involved.
SC 34 notes that EPUB 3 will be submitted as a Draft Technical Specification by the
Korean National Body via the JTC 1 fast-track procedure and it will be assigned to the
SC 34/JWG when approved.
SC 34 re-appoints Dr. Makoto MURATA (Japan) and Dr. Yong-Sang CHO (Korea) as the
Co-Convenors of this ad hoc group.
*=International Digital Publishing Forum (http://www.idpf.org/)
【註】
※1 ISO/IEC JTC1/SC34/AHG4
International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1/SubCommittee 34/Ad Hoc Group4。日本語に訳すなら国際標準化機構 (ISO) と国際電気標準会議 (IEC) の第一合同技術委員会第34専門委員会第4特別班。つまり、文書の記述と処理の言語の標準化について検討する専門委員会(SC 34)の下にアドホックグループがつくられて、その中で議論が進められています。
ISO/IEC JTC 1/SC 34
http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc34/
※2 ISO/TS (Technical Specification)
ISO/TS (Technical Specification)については、以下をご覧ください。
・用語の知識 ISOにおける技術文書
・ISO規格 | 調べ方案内 | 国立国会図書館
※3 IDPF
International Digital Publishing Forum。EPUBの標準化団体。
http://idpf.org/
※4 ISO/TC46
ISO/TC46(International Organization for Standardization/Technical Committee 46。「情報とドキュメンテーション」に関する技術委員会。
http://www.iso.org/iso/iso_technical_committee.html?commid=48750
・E1300 – 2012年ISO/TC46国際会議<報告> | カレントアウェアネス・ポータル
※5 IEC/TC100
International Electrotechnical Commission/Technical Committee 100。オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステムおよび機器に関する専門委員会。
http://tc100.iec.ch/index_tc100.html
ISO/IEC JTC1/SC34/AHG4には、TC100/TA10(マルチメディア電子出版及び電子書籍)の人が主に参加しているようです。
※6 fast-track submission
いくつかの段階を省略して規格化を迅速に行うための手続きのことのようです(詳細は以下の26、27ページをご覧下さい)。
・[PDF]標準化教育プログラム [共通知識編] 第8章 国際規格の作り方