DAISY Pipeline2 ver. 2.1.5についているモジュールを見てみると、「mediaoverlay-utils-1.0.0-20130420.014217-13.jar」というモジュールがついています。これでMedia OverlaysありのEPUB 3も変換できるのではないかと思われたので試してみました。
音声ファイルとsmilファイルも梱包されたDASIY AI(DAISY4)が見つかりませんでしたので、DAISY 3版マルチメディアDAISYから EPUB 3への変換を試みてみました。
DAISY Pipeline2の使い方の詳細は以下をご覧ください。
たとえば、DAISY Pipeline2のサンプルとしてついているDAISY 3を変換してみます。
Pipeline2でDAISY 3をEPUB 3に変換するには、Mac OSの場合、以下のようなコマンドを打ちます。変換元のDAISY 3を指定する場合は、OPFファイルを指定します。この場合は、「speechgen.opf」です。
cli/dp2 daisy3-to-epub3 --i-source samples/daisy3/dontworrybehappy/speechgen.opf --x-output-dir samples/output3
上のコマンドを分解すると以下のようになります。
- cli/dp2: アプリケーションの指定。Windowsなら cli/dp2.exe
- daisy3-to-epub3: DAISY3からepub3を生成を命令するコマンド
- -i-source:入力ファイルを指定するオプション。今回は”samples/daisy3/dontworrybehappy/speechgen.opf ”と指定。
- –x-output-dir:変換して出力するEPUB3の置き場所を指定するオプション。今回は”samples/output3”ディレクトリ下に出力するように指定。
生成したEPUB 3は以下のとおりです。きちんとEPUB 3 with Media Overlaysが生成されています。
生成ファイル:result.epub [575KB]
上で生成されたresul.epubをMedia Overlaysに対応しているReadiumで読み上げてみました。
少し分かりづらいですが、読み上げている箇所の文字の表示と音声が同期されています(読み上げている箇所のフォントの色が黒、読み上げていない箇所の文字がグレーとかなり分かりづらいですね・・)。
おまけでもう1つ。
DAISY Consortiumが以下で公開しているDAISY 3のサンプル”Are You Ready?“でも試してみました。
生成ファイルは以下です。
生成ファイル:result2.epub [13.6MB]
変換したEPUB 3版”Are You Ready?”をReadiumで読み上げたの以下の動画です。この書籍のプリント版のページ数がきちんとEPUBに移行されていることもわかります。
DAISY由来のepub3:typeでコンテンツにセマンティクスも与えられ、 Media Overlaysもある。DAISY Pipeline2のDAISY-AI(DAISY4)対応がまだ発展途上であるため、現時点では、マルチメディアDAISY(DAISY 3)から生成されたEPUB 3が(マルチメディア)DAISY的EPUBに近いかもしれません。
DAISYから作ったEPUBがDAISIYの要素を多く持つのは当然といえば当然なのですが、EPUBでどこまでDAISYに近づけるかという到達点を示すものとして(は、言い過ぎか)。
目次
関連エントリ
EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
- DAISY4からEPUB3への橋渡し役、DAISY Pipeline 2
- DAISY Pipeline 2のGUI版
- 音声のみのDAISY(DAISY 2.02)から EPUB 3 with Media Overlaysを生成する
- マルチメディアDAISY(DAISY 3)から EPUB 3 with Media Overlaysを生成する
- DAISY-AI(DAISY4)から生成したEPUB 3のセマンティクス(epub:type属性)