W3CのWeb Accessibility Initiative (WAI)が障害がある人のWeb利用についてまとめた文書(草案)を2012年8月に公開しています。Webの利用に困難を抱えるユーザーの状況をいくつもの事例を交えながら具体的に紹介しています。WCAGのようなガイドラインは便利なもので、それに従っていくだけで、それなりにアクセシブルなコンテンツを作ることはできます。しかし、個々の要件を満たすために作業をしていく中でなぜこれをしなければならないのか、この要件を満たすことで解決できるユーザーの抱える困難がよくわからないと感じる人もいるのではないかと思います。そんなことを思うようになった方におすすめです。
この文書は主に以下の4つで構成されています。
- Stories of Web Users
(Webの利用に障害を持つ以下のWebユーザーの話) - Diversity of Web Users
Webの利用を困難にさせる障害及びその障害を持つ人がWebの利用においてぶつかるバリアについて) - Diversity in Web Use
(Webの利用に障害を持つ人の様々なWebの利用方法について。支援技術の紹介など) - Accessibility Principles
(ウェブサイト、ウェブアプリケーション、ブラウザ、その他ツールに求められる要件)
”Diversity of Web Users“は、身体的障害などに加え、以下をWebを利用する上での困難として紹介しています。
- コンピュータスキルが低いなどの年齢に関係する障害
- 事故や手術などによって一時的な抱えるようになった障害(Temporary impairments)
- 日差しが強いところでスクリーンが見えない、激しい騒音のためにコンテンツの音声が聞こえない等のある状況によって抱える状況的制限(Situational limitations)
克服するべきWeb利用の困難をW3Cが幅広く捉えていることがわかり、大変興味深い文書です。