図書館の「障害者サービス」の英訳について。 “library service for “の後に「障害者」に当たる言葉にどの単語を使うべきかという話で、「障害」を意味する単語の”impairment”、”disability”、”handicap”のどれを使うべきかという話です。
結論は実は出ていて、IFLAでは、いや、国際社会では、「障害者」という言葉に”persons with disabilities”などのように”disability”を用いるので、”library service for persons with disabilities”あるいは、”library service for the disabled”と訳せばよいのだと思う。結論そのものは迷いはないのですが、考え方としてどうなのだろうと思った次第。
それぞれの意味は以下のエントリで触れた通りです。
視覚障害に当てはめるならば、以下のとおりです。
(1)impairment(機能障害)
例: 目という機能に障害があること
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(2)disability(能力障害)
例:目が見えないために墨字を読むという能力に障害があること墨字(インクで書かれた文字)を読めないこと。
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(3)handicap(社会的不利)
例:字で書かれた情報を得られないために社会的な不利を得がちだということ
図書館の障害者サービスは、「障害者」を対象とする対象別のサービスではなく、図書館の全ての資料をすべての利用者に利用できるようにする、資料の利用に困難が利用者がいるなら、その利用者の困難を取り除くというのが図書館における障害者サービスです。だから、録音図書も提供するし、対面朗読サービスも提供しているのですが、障害者サービスをこの意味で考える場合、”library service for the handicapped”は矛盾しています。なぜなら、ここでの”the handicapped”は図書館利用において不利を得ている方ということになり、障害者サービスはそういう方を生じさせないサービスなのだからと。
なので、handicapという言葉は用いず、disabilityという言葉を用いているのだろうか。
なお、impairmentを用いないのは、昨今の「障害者」の定義が医学モデルではなく、社会モデルでされているからかと思う。
以上、つらつらと思ったことでした。