障害者政策委員会内でのG3ict ジェームス・サーストン氏の情報アクセシビリティ政策の世界的な動向及び好事例の講演

 2017年6月23日の障害者政策委員会でG3ict(Global Initiative for Inclusive Information and Communication Technologies)副代表のジェームス・サーストン氏が情報アクセシビリティ政策の世界的な動向及び好事例にについて委員に講演をしており、その講演が委員会の議事録という形で文字起こしされています。

 サーストン氏の講演記録をふむふむと読んでいたのですが、講演の中でサーストン氏が触れたGictの「昨年の調査結果」(以下抜粋)が興味深い。G3ictのサイトを探してみたけど、どの調査か特定できなかった(以下のサーストン氏のスライドはあったけど)。どれなんだろうか。「32%の批准国が視覚障害者のための図書館、もしくは公共図書館でeBookサービスを提供している」とあるけど、具体的にどこの国なのか興味ある、というか、知らねばならぬ(ちなみにここの「批准国」は障害者権利条約の批准国のことです)。

課題をグローバルで見ていくために、最近のいくつかのデータで、昨年の調査結果からお話したいと思います。例えば100カ国以上で調査を行い、分析をいたしました。そのうち、57%の国のみが、その国の主要言語でのスクリーンリーダーを持っています。つまり半分程度の国だけしか、主要言語でスクリーンリーダーがない。
 主要言語ではないもの、国によっては、例えばインドなどでは、22の公用語があるのですが、その中でも、権利条約に際して、17%の国だけが、マイノリティーの言語でのスクリーンリーダーがあるといっています。つまりスクリーンリーダーがないと、教育へのアクセスという意味では、大きな障壁になるわけです。
 それと同様に、32%の批准国が視覚障害者のための図書館、もしくは公共図書館でeBookサービスを提供していると答えております。
 27%の批准国は、主要な大学において、学生たちに必要なサポートを提供している。余り勇気づけられる数字ではありません。
 さらにはアクセシブルな政府のウエブサイトです。ウエブでアクセスできる政策は、政府が実際にデジタルインクルージョンの政策を考えるときに、一番やりやすい、始めやすいところだと思うのですが、それも45%のみが、いくつかのウエブサイトがアクセシブルであると答えております。世界中で45%の国のみです。アクセシブルなウエブサイトで、民間部門のものに関して、企業のウエブサイトは、それよりさらに低い数字になっています。
 そういうことで、おわかりいただけたかと思うのですが、私たちは、世界をさらにアクセシブルにしていくためには、もっと前進していかなくてはいけないです。私たちとしては、政策というところから、やるべきことが始まっていくと思います。
 世界のアクセシビリティ業界には、よいニュースもあれば、余りよくないニュースもあります。この調査・分析を2年に一度行っておりますが、それだけではなく、実際に私たちの国で政策がつくられているのか、権利条約に関して、コミットメントをして、アクセシブルなテクノロジーポリシーをつくって、実施しているのかということも確認しております。
障害者政策委員会(第35回)議事録