全国高等教育障害学生支援協議会 第1回大会(2015年6月19日〜20日)

  一般社団法人全国高等教育障害学生支援協議会の第1回大会が以下の日程で開催されるそうです。
日時:2015年6月19日〜20日
会場:東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区駒場4-6-1)

 
 全国高等教育障害学生支援協議会は高等教育機関における障害学生支援に関する相互の連携・協力体制を確保を目的とした団体で、42の大学が発起校として名を連ねています。2014年10月に設立とのこと(定款の施行は2015年1月なので、一般社団法人としては、2015年1月からなのかもしれない)。
 この協議会の設立までの流れとしては、先のエントリでも紹介した障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告書(第一次まとめ)が2012年12月に出されたの受けて、「高等教育機関における障害学生支援に関する全国協議会(仮称)」設立準備大会が2013年10月に開催、そして、一般社団法人として全国高等教育障害学生支援協議会が2014年10月に設立というもののようです。URLに”ahead-japan”とあるように、米国のAHEAD(Association on Higher Education and Disability)をモデルにしているようです。
※2015年4月2日追記 プログラムが公開され、参加申し込みできるようになりました。

プログラム

第1回大会・1日目(プレカンファレンス) 2015年6月19日(金)

時:2015年6月19日(金)10:30~17:30(その後19:30まで情報交換会/レセプション) ※9:30より受付
場所:東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区駒場4-6-1) → アクセスマップ
プログラム
10:30-12:45(3号館南棟ENEOSホール)
セミナー「差別解消法と合理的配慮の提供に向けた体制整備に必要なこと」
・国公立大学における対応要領の作成
・私立大学における体制整備
※途中15分の休憩を挟みます
12:45-14:00 昼食休憩
14:00-17:00(3号館南棟ENEOSホール)
法人分科会「学内体制整備における問題点の共有」
・国公立大学等分科会
・私立大学等分科会
※途中30分の休憩/コーヒーブレイクを挟みます
17:00-17:30 休憩・移動
17:30-19:30(AN棟1階)
情報交換会/レセプション

第1回大会・2日目(メインカンファレンス) 2015年6月20日(土)

日時:2015年6月20日(土)09:00~17:30 ※8:00より受付
場所:東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区駒場4-6-1) → アクセスマップ
プログラム
09:00-09:40(3号館南棟ENEOSホール)
初回大会開催挨拶
全国協議会の現状説明と今後
09:40-10:00 休憩・準備
10:00-11:30(3号館南棟ENEOSホール)
基調講演
ピーター・ブランク教授(シラキュース大学)
「米国の障害学生支援の制度と課題」(仮) Peter Blank 教授
11:30-13:00 昼食休憩
12:00- (4号館2階講堂)
ポスター会場での掲示開始(実践発表・研究発表)
13:00-14:30(3号館南棟ENEOSホール)
情報共有セッション「差別解消法,合理的配慮の現状と今後」
座長:事務局司会
・文部科学省高等教育局
・内閣府
・厚生労働省障害者雇用対策課
14:30-15:00 休憩・移動
15:00-17:00(4号館2階講堂)
ポスター発表・情報交換セッション
17:00-17:30(4号館2階講堂)
クロージング・閉会

『アジ研ワールド・トレンド』2015年4月号の特集が「図書館と障害者サービス—情報アクセシビリティの向上—」

 『アジ研ワールド・トレンド』が2015年4月号で「図書館と障害者サービス—情報アクセシビリティの向上—」という特集を組んでいます。

 特集記事は以下の通りですが、各国事情で取り上げられている国は日本語ではなかなか紹介されない国ばかり。スーダンや南アフリカ共和国の障害者サービス事情が日本語で読めるというのは、本当に凄いことです。

特集 : 図書館と障害者サービス—情報アクセシビリティの向上—
特集にあたって / 澤田裕子
【国際動向】
国連のアクセシビリティ・センター—障害者権利条約とアクセシビリティ— / 森 壮也
国際図書館連盟の障害者の情報アクセスに関する取り組み / 野村美佐子
DAISYとEPUBを活用したインクルーシブな知識アクセスの開発 / 河村 宏
【国内情報】
日本点字図書館の取り組み—アクセシブルな電子書籍の製作と活用— / 天野繁隆
障害者サービスと著作権との関係 / 南 亮一
公共図書館の障害者サービスの現状 / 松延秀一
【各国事情】
日本点字図書館の国際協力事業 / 田中徹二
韓国—国立障害者図書館と障害者サービス— / 崔 善植
中国—8296万人の多様なニーズ— / 小林昌之
シンガポール—国立図書館と盲協会図書館の取り組み— / エイドリアン・ヤプイーミアン
コラム:マレーシア—ささやかな体験への追想— / 東川 繁
バングラデシュ—政府とNGO の取り組み— / 金澤真実
コラム:インド—デリー大学点字図書館を見学して— / 坂井華奈子
アラブ地域—視覚障害者をとりまく現状と課題— / モハメド・オマル・アブディン、福地健太郎
スーダン—視覚障害者の教育分野を中心に— / モハメド・オマル・アブディン、福地健太郎
南アフリカ共和国—点字図書館と地域に根ざした情報センター— / 鷺谷大輔
コラム:ブラジル—大学主導の障害者向けオンライン資料提供サービス— / 則竹理人

 刊行後2カ月を経過したものはPDFで全文公開されているとこのことですので、しばらくしたらウェブ上で全文公開されると思います。PDF版はスクリーンリーダーであまり読みやすいとも言えないとも聞いています。少なくとも段組されたレイアウトだとかなり厳しいと思われますので、せめてこの号の特集だけでもテキスト版も公開されるとよいのですが。
 『アジ研ワールド・トレンド』では、年1回、アジア経済研究所図書館が特集を担当しています。以前は3月号あたりを担当していたのですが、最近は4月号を担当しているようです。過去6年の特集は以下の通りです.

 マレーシアやブラジルの機関リポジトリについて日本語で知ることができるのは、この雑誌ぐらいではないでしょうか。本当に貴重な雑誌です。

MyBook ⅢがEPUB3に対応していた

 様々なデジタルコンテンツをPC-Talkerというスクリーンリーダーで閲覧することができるバリアフリー読書ソフトMyBook Ⅲ(MyBook 3)が、いつの間にかEPUB3に対応していたという話。

 このソフトウェアを一言で説明するのはなかかな難しいので、上の高知システムのサイトをご覧いただければと思いますが、スクリーンリーダーでの利用に対応したデジタルコンテンツの閲覧ソフトウェアです。UIもスクリーンリーダーのユーザーが利用しやすいように設計されています。対応する形式は、DAISYやEPUB、PDFだけではなく、Word、Excel、PowerPoint、点字ファイルなど非常に多岐にわたります。また、サピエ図書館国立国会図書館のDAISY配信サービスに対応しており、これらのサービスをソフトウェアから直接利用(検索・ダウンロード・再生)できるようになっています。スクリーンリーダーのユーザーが様々なデジタルコンテンツを読むにあたって、なるべくMyBook Ⅲの中で操作が完結するように、あるいは起点になるように設計されています。日本語のWindows環境で最もよく使用されている(と思われる)スクリーンリーダー PC-Talkerに対応するこのソフトウェアでEPUB 3に読めることは大きいと思います。MyBook Ⅲというバージョンがどこまで利用されているかはわかりませんが、MyBookはスクリーンリーダーを用いる視覚障害者がWindows環境でよく利用していると聞いています。
 メニューに「EPUB」という項目があるので、EPUBに対応しているということは知っていたのですが、上記の高知システムのHPでは、EPUB 3と明記されていなかったので、EPUB2にのみ対応しているのかと思っていました。 @SGTMSYK さんによると、マニュアルにはきちんと対応が明記されているとのことで、「ええぇ、まじですかー」と思い、確認してみると、以下のように明記されていました。

EPUBファイルは、国際的な電子書籍フォーマットであり、特に英語圏では電子書籍の標準規格として扱われています。
主に、文庫や漫画、雑誌と言った、一般的な書籍がEPUBファイル化されています。
日本では、今後の普及が予測されそうです。
マイブックは、次のバージョンのEPUBファイルが読み込めます。
 EPUBバージョン 2.0
 EPUBバージョン 3.0
補足1.
文庫の場合、その殆どがテキストをベースに作成されていますので音声読み上げによる読書には適しています。
しかし、漫画や雑誌のように画像で文書化されているものに対しては、音声読み上げによる読書ができませんので、ご注意願います。

 EPUB3で作成されたファイルをいくつか読み込んでみましたが、こんな感じでした。

  • rubyタグの対応について。たとえば、<ruby>私<rp>(</rp><rt>わちき</rt><rp>)</rp></ruby> となっていても「私(わちき)」と表示されてしまい、ルビ表示はされません。しかし、rubyタグの情報は、読み上げには活用されるので、きちんと「わちき」と読み上げてくれる(スクリーンリーダーのPC-Talker側の対応かもしれませんが)。
  • 縦書きには未対応。
  • Media Overlaysにも未対応なので、音声のみのEPUBやマルチメディアDAISY的なEPUBの再生はできない。

 スクリーンリーダーの利用に焦点をあてたソフトウェアと考えれば、縦書きには未対応であることやルビ表示がされないことは、あまり問題ではないかもしれません。Media Overlaysにまだ対応していないのは残念ですが、rubyタグを読み上げに活用できるのであれば、テキストDAISY的なEPUBを読むには、スクリーンリーダーを利用する視覚障害者にとって利用しやすいソフトウェアかもしれません。