5月 29

点字を電波や信号で遠方の人間の体表に情報として伝える「体表点字」

 点字は、文字情報を取得出来る範囲が手の届く範囲にとどまってしまいます。しかし、点字の書かれてある場所に指を差し出さなくても、点字を電波などで体表のセンサーを通じて情報として伝えられる「体表点字」という技術があるそうです。

  目を見える人は、看板や施設内の案内図にある文字情報を離れたところから取得することができますが、この「体表点字」も同じようなことが実現できる仕組みかもしれません。ネットワークを介してはるか遠方の人に伝えることももちろん可能でしょうから、いろいろな可能性がありそうです。

 以下のような基礎実験が行われた(行われている?)そうです。

1.一人住まいの盲ろう者に対する遠隔からの支援
 「テレサポート」(テレビ携帯電話遠隔支援)により、テレビカメラで映した缶詰などの文字を、遠く離れたサポーターに体表点字を使ってすぐに説明してもらうことができます。また、手紙なども読んでもらえます。
2.視覚障害者の歩行支援
 電車や自動車などの騒音が激しい場所では、視覚障害者は周囲の状況を正確に把握することが難しくなり、音声だけで適切な情報を提供できないこともあります。体表点字なら、騒音に妨げられることなく情報を伝えることができます。
3.聴覚障害者への応用の可能性
 電波によって伝えられる体表点字を用いれば、音声による呼びかけを受けられない聴覚障害者に対する呼び掛けも可能となります。
from 体表点字

関連エントリ

5月 27

EPUB3 ≒ DAISY4 — EPUB 3とDAISY 4の関係と現在の状況 —

EPUB 3とDAISY 4との関係についてまとめました。

DAISY 4とは

 正式には“Authoring and Interchange Framework for Adaptive XML Publishing Specification”(ANSI/NISO Z39.98-2012)と呼ばれる米国情報標準化機構(NISO)の規格のとして2012年8月に公開されたフォーマットです。

 なお、海外では、“ANSI/NISO Z39.98-2012”、”DAISY AI”もしくは、”ZedAI(”Z39.86 Authoring and Interchange Framework”の略)“のほうが通称として使用されることが多く、「DAISY4」というナンバリングされた名称は現在、通称としてはほとんど使用されていないようです(ここでは便宜上「DAISY 4」という呼称も使用します)。

 「DAISY AI」のAI(Authoring and Interchange)が意味するように、DAISY4は「交換フォーマット(中間フォーマット)」です。コンテンツの提供者側が保有するフォーマットで、そのまま読者が利用するためのフォーマット(「配布フォーマット」)ではありません。イメージは以下のような感じです。
次のテキストでイメージの説明あり 

 コンテンツのテキストや動画、音声などを格納したDAISY AIという交換フォーマットからテキストDAISY的なEPUB、マルチメディアDAISY的なEPUB、点字データ、アクセシブルPDFなどアクセシブルな形で利用者が利用する各種配布フォーマットに変換するイメージです。

ANSI/NISO Z39.98-2012 (DAISY4)仕様のOverview部分だけ以下のエントリで訳してみましたので、こちらも参照してください。

DAISY 4とEPUB 3の関係

 2011年10月に仕様が正式に公開されたEPUB 3は、DAISY4の主要な配布フォーマットに位置づけられ、テキストDAISYやマルチメディアDAISYのような利用が想定されています。「EPUB3とDAISY4は統合した」という説明がされることがありますが、その「統合された」部分とは、配布フォーマットを指しています。ちなみにEPUB3の各仕様のエディタに名を連ねている方々を見ていただいても分かりますが、EPUB 3の開発にもDAISYコンソーシアムは非常に深く関わっています。

 DAISY4の開発当初は交換フォーマットだけではなく、DAISY4の配布フォーマット版の開発も検討されていたようですが、EPUB3にDAISY4の配布フォーマットとしての要件がほぼ受け入れれることになったため、DAISY独自の配布フォーマットの開発はやめて、DAISYの交換フォーマットとEPUB3の開発に力を入れる事になったそうです。そのあたりの経緯は以下をご参照ください。

 EPUB2からEPUB 3への主な変更点は以下の通りで、HTML5対応、インタラクティブ機能の他に全体的なアクセシビリティの強化がはかられています。

  • 動画・音声ファイルのサポート
  • SMIL3.0のサブセットが仕様に組み込まれ、テキストと同期した形で音声を再生することが可能に(EPUB Media Overlays)。
  • MathMLのサポート
  • JavaScriptのサポート
  • Text-to-speechのサポート機能強化(CSS3 Speech Module、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)
  • HTML5(XHTML5)マークアップ
  • 国際化対応(縦書きなどの日本語組版対応など)

 マルチメディアDAISY的な機能は、音声とテキストを同期させるEPUB Media Overlaysによって実現されます。


例: EPUBリーダーReadiumでMedia Overlays付きEPUB3を再生するデモ

 テキストと動画の同期は、残念ながら現時点ではEPUB Media Overlaysではサポートされていません。動画とテキストを同期させることができれば、手話通訳動画を挿入したり、読み上げにあわせて絵が動く絵本のなどが実現できるので、ぜひ対応して欲しいところです。 

DAISY4の現在の状況

DAISY4の現時点での状況をまとめると以下の通りです。

DAISY的EPUB3の閲覧環境

EPUBリーダーのMedia Overlays対応

 EPUB 3の閲覧環境はこの1年で大きく改善されましたが、EPUB Media Overlaysに対応しているEPUBリーダーはまだ多くありません。私が把握している限りでは、ReadiumとiOSのiBooksです。

 Media Overlaysに対応はしても、音声の再生制御(音量、スピード、再生間隔)や読み上げ箇所の様々なレベルでの移動(特にキーボードを使用しての)機能等は既存のDAISYリーダーのそれと比較するとまだ十分ではありません。
 

DAISYリーダーのEPUB 3対応

 従来のDAISYユーザーに特化したDAISYリーダーでのEPUB対応も重要です。DAISYリーダーのEPUB対応については、以下のエントリで述べた通りで、EPUB2に対応しているDAISYリーダーはいくつかあるものの、EPUB3対応しているリーダはida-readerVoice Dream Readerぐらいでで、どちらもMedia Overlaysには対応していません。

 なお、話は少し変わりますが、EPUBに対応したDAISYリーダーでは、当然ですが以下のデモのようにEPUBをテキストDAISYと同様にTTSで再生を細かく制御しながら読み上げることが可能です。


例: EPUB2に対応したDAISYリーダーDolphin EasyReaderで広報ひらつかEPUB版を読み上げる。

 上のデモで使用したDolphin EasyReaderは残念ながらEPUB3未対応ですが、日本語TTSエンジンを搭載したEPUB2/EPUB3両対応のDAISYリーダーが登場すれば、日本のDAISYユーザーの選択肢が大幅に広がるかもしれません。

配布フォーマットへの変換ツール

 DAISY4は交換フォーマットですので、利用者が利用できる各種「配布フォーマット」に変換するツールが必要です。そのツールとしてDAISYコンソーシアムが開発しているのが、以下の「DAISY Pipeline 2」です。

 開発ロードマップを見る限り、2013年で開発は終了するようです。DAISY4からEPUB 3への変換モジュールは、一応提供されているものの、課題は残っているようで開発が続けられています(「ZedAI」はDAISY4を指す)。

音声とテキストに同期させるための編集ツールであるTobiはEPUB 3 Media Overlays生成にすでに対応しています。

米国の全国指導教材アクセシビリティー標準規格

 米国では個別障害者教育法(IDEA 2004)によって電子教科書の電子ファイルをNIMAS形式(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)でNIMAC(全国指導教材アクセスセンター)に提供する義務が出版社に課されています。そのNIMAS形式は実質、DAISYなのですが、そのNIMAS形式が現時点ではまだDAISY3ベースです。しかし、これは時間の問題で、DAISY 4に移行すると思われます。

まとめ

 DAISY4の作る/読む環境は現時点では十分とはいえませんが、DAISY4の仕様の正式な公開が2012年8月ですので、まだ1年を経過していません。環境が整備されるまでもう少し時間は必要ではないかと思われます。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 23

EPUB2に対応したDAISYリーダーDolphin EasyReaderで広報ひらつかEPUB版を読み上げる

前のエントリで紹介したように日本語及びEPUB3に対応したDAISYリーダーは現時点ではないようなので、日本語に対応し、かつEPUB2に対応しているDAISYリーダーDolphin EasyReader広報ひらつかEPUB版を読み上げてみました。読み上げたのは、平成25年5月3週号です。

 以下はその動画キャプチャです。

 私がちょっと使ってみた感じではテキストDAISYに近い使い方はできそうに感じられましたが、実際のところはどうなのでしょうか。DAISYリーダーで読み込んだEPUBは、テキストDAISYにどこまで近づけているのか。テキストDAISYに及ばないとするなら、どの部分が及ばないのか。今回試してみて気になったことでした。足り部分をまとめて、EPUBコンテンツの制作者にそこをばしっと示せるとよいのですが。

使用ソフト
Dolphin EasyReader ver.6.03 日本語版(現時点での安定版の最新版です)Trial版
参考 :Dolphin EasyReader6.03 日本語版 販売 | 支援技術開発機構

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 17

EPUB3に対応しているDAISY再生ソフトida-readerでEPUBを試す。

 先のエントリでEPUBに対応しているDAISY再生ソフト/機器を調べてみましたが、その中で唯一EPUB3に対応していたida-readerのトライアル版でEPUBを試してみました。

ida-reader
http://www.idareader.com/

 気になっていた以下の2点を中心に確認してみました。

  1. ida-readerで開いたEPUBがテキストDAISY的に使用できるか
  2. ida-readerがEPUB Media Overlays対応しているか

なお、使用するEPUB3のサンプルファイルは主に以下で公開されているファイルを使用します。

  なお、私が今回使用したida-readerはMac版です。Windows用とMac用で若干機能に差があるようですので、ご注意ください。

1.EPUBをテキストDAISY的に使用してみる

 普通のEPUBファイル、ということで一番問題なさそうな、欧文のみの”EPUB 3.0 Specifications“をida-readerで開いてみました。これがida-readerのUIです。

ida-readerのスクリーンショット

 下部のナビゲーション部分にある「Sound」でTTSエンジンによって読み上げるのか、コンテンツが同梱している録画された音声ファイルを読み上げるのかを選択することができます。テキストDAISY的な使用感を確認したいので、まずはTTSエンジンによる読み上げを試します。
Sound欄のTTSボタンを押した状態

  再生ボタン(start)を押すと、TTSエンジンによる読み上げがスタートします。

ida-readerによるEPUBのTTS読み上げ。読みあげているパラグラフは黄色、単語は水色にハイライトされている

 読み上げているパラグラフは黄色、読み上げている単語は水色でハイライト表示されています。なお、現時点では日本語のTTSエンジンを搭載していないので、日本語の読み上げには対応していません。

 GUIのナビゲーションでは、

・文字の拡大縮小
・読み上げ音声のボリューム調整
・読み上げスピードの調整
・再生箇所の移動(戻る、繰り返す、進む)
・セクションの移動

などが用意されています。キーボードショートカットを使用すればより細かな制御が可能になるのでしょうか(ショートカットの案内を見つけられなかった・・・・)。

 

2.EPUB Media Overlaysに対応しているか

 EPUBでマルチメディアDAISYのような機能を実現するためには、リーダーがEPUB Media Overlaysに対応している必要があります。EPUBリーダーだとiBooksやReadiumなどが一応対応している機能です。DAISY再生ソフトであるida-readerには対応していてほしいところですが、どうでしょうか。

 epub-samplesで公開されている以下のMedia Overlays対応のサンプルEPUBファイルで試してみました。

 「Sound」欄で「Audio」を選択します。
Sound欄のAudioボタンを押した状態

 これで、ida-readerがMedia Overlaysに対応しているならば、再生ボタンを押せば、EPUBに同梱された音声ファイルを読み上げつつ、読み上げている箇所にテキストをハイライト表示させるはずです。

 
 が・・・・、一向にに音声の再生も、テキストのハイライトもされません・・・。うーん。
Media Overlays対応のEPUBの録画音声による読み上げを試みたスクリーンショット。読み上げも始まらず、テキストのハイライトもされない

 
 IMAGEDRIVEさんが以下で公開されているMedia Overlays対応のEPUBファイルも一通り試してみましたが、どれも結果は同じでした。

  現時点ではEPUB Media Overlaysには対応してないようです。残念・・。

まとめ

 DAISY再生ソフトであるならばMedia Overlaysに対応して欲しかったところですが、特にDAISY再生ソフト向けに加工されたわけではない、普通のEPUBでも、TTSで読み上げたり、読み上げているテキストをハイライトさせたり等々、テキストDASIYに近い使い方がida-reader上でならできる(らしい)ことは確認できてよかったです。

他のEPUB対応DAISY再生ソフトでもEPUBファイルが

  • リフロー型である。
  • 文字情報がテキストデータとして提供されている。
  • 目次が用意されている。
  • 代替テキストが提供されている。

などの要件を満たせば、同様のことが可能であろうと思われます。iBooksなどのEPUBリーダーではTTS読み上げによるテキストハイライトはまだできないようですし、ナビゲーション機能が強化されているDAISYリーダーでEPUBを読むという選択肢もありかもしれません。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 16

EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器

 DAISY4とEPUB3の関係は以前、別のブログで書いた以下のエントリの通り、DAISY4は交換フォーマット、EPUB3はDAISY4の配布フォーマット(の1つ)という関係にあります。

 つまり、DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生機器、再生ソフトウェアに対応していなければならないわけですが、考えられる対応のパターンは以下の2つだと思います。

  1. DAISY再生ソフトウェア/機器がたDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。
  2. EPUBリーダーがDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。

 個人的には2が非常に気になるところですが、1も興味があるところなので、1の可能性の下調べてとして、現時点でDAISY再生ソフトウェア/機器がEPUBに対応しているかを調べてみました。「DAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」への対応状況を調べたいところだったのですが、調べ始めてすぐに「あっ、これはない・・・」と思い至りまして・・、単純にEPUBに対応しているか否かで調べてみました。

 確認したのは、DAISY Consortiumがウェブサイトで掲載している以下のリストです。リストと各メーカのウェブサイト上で確認できる範囲で洗い出しただけですので、漏れがあるかもしれません(もし掲載漏れ等ありましたらお知らせいただけると嬉しいです)

 
  確認した結果が以下の表です。

EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器
名前 種別 OS 備考
BookSense DS 機器
DAISY / EPUB Reader for Android ソフトウェア Android EPUB対応を目指しているが、現時点では未対応。開発が止まっている?
Dolphin EasyReader ソフトウェア Windows
Emerson ソフトウェア Windows/Mac/Linux
Go Read ソフトウェア Android EPUB2対応
ida-reader ソフトウェア Windows/Mac EPUB2 / EPUB3対応
Milestone 212 DAISY Player 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
Milestone 312 DAISY Player/Recorder 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
ReadHear PC ソフトウェア Windows Premium版のみの対応。ReadHearのMac版は近いうちにEPUB対応とのこと。
Victor Reader Stream 機器

 辛うじて10に届くくらいで多いとは言えません。しかも、EPUB3対応と明記しているのはida-readerくらいでした。

  調べてみて気になる点は以下の2点でした。

  • ida-readerがどこまでEPUB3に対応しているか(「DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」に対応している可能性は高くなさそうですが・・・)。
  • DAISY4から生成されたものではない、普通に作られたEPUB2やEPUB3を、視覚障害者ユーザーに特化したDAISY再生ソフトウェア/機器で読む場合の「読みやすさ」。DAISYコンテンツによる読書ほどではないとしても、視覚障害者の方々にとってそこそこ読みやすく、実用に耐えうる読みやすさなのでしょうか。

  (時間と)機会があれば確認してみたいところです。

※2013/06/07追記
日本語の読み上げにも対応した以下のアプリを見落としていました。EPUBも対応しています(EPUB3も一応、対応しています)。

 

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 11

脳から発信する信号を検知して身体を動かせない人でもPCへの入力を可能とする支援技術「スイッチHAL」

  筑波大学の山海嘉之教授の研究グループがロボットスーツHALの応用技術として開発した「スイッチHAL(仮称)」がすごい。脳から筋肉に向けて発信する信号を検知して身体を動かせない人でもPCへの入力を可能とする技術です。

 3月24日に行われたITパラリンピック2013では、スイッチHALのデモが行われ、その様子をUstreamのアーカイブからみることができます。下の動画の00:40:00あたりからです。



Video streaming by Ustream

 ロボットスーツを支える技術の1つとして、脳からの発せられる信号を皮膚の表面から取り出す技術があります。取り出した信号を解析し、ロボットスーツの装着者の運動意図を推測し、それをスーツのモータのトルクに反映することで装着者の動きを支援する流れになるそうです。その脳から発せられる信号を検知する技術を入力支援技術として応用したのがスイッチHALです。上のデモでは、デモを実演する人の腕につけたセンサーで、脳からの発せられた信号自体を拾い、処理をしてPCへの入力しています。

 従来の入力支援技術は、脳からの信号によって筋肉が収縮し、その結果として生じた身体の動きを微才なレベルでも如何に検知するかに力が入れられていたそうですが、このスイッチHALはその脳からの信号の段階で検知しています。筋力がない状態でも使える可能性があるそうです。

 この技術は応用範囲がすごく広いのではないでしょうか。

 信号検知の標準化が今後の課題のようですが、2014年3月までになんとか商品化したいとのこと。期待が高まります。
 

5月 09

点字データのフォーマットに関するメモ

点字の電子データのフォーマットに、どういうものが存在するのか興味があったため調べてみました。私は点字を読むことができず、点字の利用状況を具体的に把握しているわけはないため、表面を撫でる程度に調べたものをまとめたにすぎません。ご了承ください。

 点字データのフォーマットについて、視覚障害者ITサポートとやまさんが以下にまとめてくれています。

 視覚障害者ITサポートとやまさんの上の紹介では、以下のフォーマットが紹介されています。

  • BET形式
  • BES形式
  • BSE形式
  • ブレイルスターが採用している形式(BLS形式、BLE形式、BS形式)
  • など

 各フォーマットの詳細は上の視覚障害者ITサポートとやまさんのページをご覧ください。ソフトウェアごとに異なるフォーマットが採用されているというのが、フォーマットが複数存在する原因のようです。上に挙げられているフォーマット以外にMBD形式やMSE形式というものもあるようです。あるなぁ・・。

 ちなみにサピエ図書館では、IBMのBES形式を使用しています。

 
 北米では、BRF(Braille Refreshable Format)が広く普及しているようです(おそらく・・・)。

 視覚障害者のためのオンライン図書館である米国のBookShareが点字コンテンツのフォーマットとしてBRF形式を採用しています。

 DAISY ConsortiumはPEF(Portable Embosser Format)を提案してます。

 環境に依存せずに点字データの交換をできるようにすることを目的とするフォーマットのようです。名前からもその意図が感じられますが、PDF形式の点字版といったところでしょうか。

 PEF形式は、DAISY形式(DAISY3、DAISY4など)を各種フォーマットに変換するツールであるDAISY Pipeline 2の点字データのインプット/アウトプット形式としても採用されています(アウトプットについては、BRF形式も対応しているようです)。

5月 06

世界知的所有権機関(WIPO)が6月17日から28日にモロッコで視覚障害者等のための権利制限及び例外に関する国際条約について外交会議を開催。そして、採択へ?

 視覚障害者等のための権利制限及び例外に関する国際条約の制定に向けた世界知的所有権機関(WIPO)の外交会議が6月17日から28日にかけてモロッコのマラケシュで開催されます。うまくいけば、この会議で国際条約の「採択(adopt)」という運びになるようです。

 なお、国際条約の2012年11月23日時点の草案は、文化庁の文化審議会著作権分科会の平成24年第3回国際小委員会(2012年年12月4日開催)の資料として、日本語訳(参考訳)が公開されています。

参考

5月 03

PDFのリフロー表示

 PDFは固定レイアウトの印象が強いフォーマットですが、テキスト情報を持っていれば、リフロー表示に切り替えることができるPDFリーダーもあります。代表的なものはAdobeが出しているAcrobatシリーズでしょうか。

  例えば、内閣府が公開している『平成24年版障害者白書』のPDF版をAcrobat Readerで開いてみます。

『平成24年版障害者白書』
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/pdf/index.html

  とくに設定をせずにPDFを開くと、レイアウトが固定された状態で表示されます。
固定レイアウト時の平成24年版障害者白書。2段レイアウト。

 固定レイアウトですので、ウィンドの大きさを変更すれば、レイアウトを保持しつつ、文字も縮小されます。

 これをリフロー表示します。

 Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択してください。

Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択
 
 

  「折り返し」を選択すると、表示がリフロー型に変更されます。

リフロー型表示に変更された平成24年版障害者白書。1段レイアウトに変更されている
 

 ウィンドウのサイズを変更しても、フォントのサイズを維持したまま、テキストはウィンドウの幅に合わせて改行されます。

ウィンドウの幅に合わせて改行されたテキスト

 
 
 フォントを拡大してもこの通りウィンドウの幅に合わせて改行されます。

フォントを拡大しても文字数はかわっても幅は変わらない

 
 Acrobat Readerのリフロー型への切り替え機能は、内部的には一時的にタグを付与することで実現されているそうです。プログラムが判別して機械的にタグを付与しますので、文章や図が正しい順序で表示されるとは限りませんが、あらかじめ作成者がタグをPDFにふっている場合(つまり、タグ付きPDFの場合)、作成者が意図とした通りの正しい順序でリフロー表示されます。

 リフロー表示機能を実装しているPDFリーダーはあまり多くないようですが、願わくばモバイル端末用のPDFリーダーではぜひ実装していただきたいものです。あと、6インチサイズの電子書籍端末とか(ブツブツブツ・・・・

5月 03

アクセシブルPDF(その2) – アクセシビリティに配慮したPDF作成のガイドライン WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)  –

 前のエントリに続いてアクセシビリティに配慮したPDFについて。 

 アクセシビリティに配慮したPDF作成のための公的なガイドラインとしてWCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)の2つのガイドラインがあります。 

 PDF/UA(ISO 14289-1)の策定時にインプットとしてWCAG2.0が用いられたことから、この2つのガイドラインの要件に矛盾はないそうですが、立ち位置が異なるため完全に同一というわけではありません。PDF/UA(ISO 14289-1)の要件を満たすことと、WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)の要件を満たすことは区別して考えなければなりません。

 PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を作成したAIIMが”Achieving WCAG 2.0 with PDF/UA“というWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)の違いを解説したドキュメントを公開していますので、それをベースにWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)を比較してみたいと思います。

PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を超えるWCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)の要件

 以下は、PDF/UA(ISO 14289-1)に言及がないため、WCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)を参照しなければなりません。

  • 映像・音声の代替コンテンツ、試験に用いられる非テキストコンテンツ、感覚的な非テキストコンテンツ、CAPTCHA
  • 音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ(PDF/UAは文法的な要件についてのみ触れている)
  • 映像コンテンツのキャプション
  • JavaScript設計
  • JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ
  • 特定デバイスの制御
  • 設計上の考慮事項(PDF/UAは全般的に外観、内容、またはデザインについて言及していない)

 また、動的なXFA(Adobe XML Forms Architecture )の使用はWCAG 2.0では禁止されていませんが、はPDF/UAでは使用が禁止されているので注意が必要です。

 

WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)で言及されていないPDF/UA(ISO 14289-1)の要件

 逆に以下のようなWCAG2.0では言及されていないPDF/UAの要件もあります。

  • 相互運用性(PDFでは重要な相互運用性をWCAG2.0は規範的に求めていない)
  • フォント(WCAG2.0には、視認性の観点からのフォントに関する要件がない)
  • ナビゲーションとしての見出し
  • 記事スレッド

 

WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)マッピング表

 PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を作成したAIIMとAdobeがそれぞれWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)マッピング表を以下の文書で公開しています。

 

 これらをを総合する形で以下のようにまとめてみました。どちらか一方にしか掲載されていないものについても基本的に削らずに掲載しています。

WCAG 2.0
(括弧内は達成等級)※1
ISO 14289-1
(PDF/UA)
PDFファイルの要件
ISO 14289-1
(PDF/UA)
PDFリーダーの要件
ISO 32000-1 (PDF1.7) ※2 PDF/UAを超えるWCAG2.0の要件 関連のWCAG2.0の解説書実装方法集 ※3
1.1.1 非テキストコンテンツ (A) 7.3
7.18.1(パラグラフ4)
7.18.6.2
7.1(パラグラフ1)
8.1 14.8.4.5
14.9.3
映像・音声の代替コンテンツ、試験に用いられる非テキストコンテンツ、感覚的な非テキストコンテンツ、CAPTCHA 実装PDF1
実装PDF4
解説書
1.2.1 収録済の音声しか含まないメディア及び収録済の映像しか含まないメディア(A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.2 収録済の音声コンテンツのキャプション (A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
映像コンテンツのキャプション 解説書
1.2.3 収録済の映像コンテンツの代替コンテンツ又は音声ガイド(A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.4 ライブの音声コンテンツのキャプション (AA) 7.18.6.2 8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
映像コンテンツのキャプション 解説書
1.2.5 収録済の映像コンテンツの音声ガイド (AA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.6 収録済の音声コンテンツの手話通訳(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.7 収録済の映像コンテンツの拡張した音声ガイド(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.8 収録済のメディアの代替コンテンツ(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.9 ライブの音声しか含まないコンテンツの代替コンテンツ(AAA) 7.11
7.18.6.2
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.3.1 情報及び関係性(A) ○コンテンツ内の構造と関係性について
7.1
7.2
7.3
7.4.1
7.5
7.6
7.7
7.8
7.9
7.10
7.20○annotation内の構造と関係性にについて
7.17と7.18
8.1 7.7.2
7.7.3.3
7.9.2
8.11.2.1
8.11.4.5
9.10.2
12.2
12.3.3
12.5.6.5
12.5.6.15
12.6
13.2.4.2
14.7.2
14.8
14.9.2
14.9.3
14.9.4
実装PDF6
実装PDF9
実装PDF10
実装PDF11
実装PDF12
実装PDF17
実装PDF20
実装PDF21
解説書
1.3.2 意味のある順序(A) 7.2(パラグラフ2)
7.17
7.18.3
8.2 (パラグラフ1) 7.9.2
14.8.2.4.2
14.9.2
14.9.4
実装PDF3
解説書
1.3.3 感覚的な特徴(A) 7.1(パラグラフ6、7) 解説書
1.4.1 色の使用(A) 7.1(パラグラフ6) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.2 音声制御(A) 適応不可 8.10.3 解説書
1.4.3 最低限のコントラスト(AA) 7.1 (パラグラフ6、ノート4) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.4 テキストのサイズ変更(AA) 7.2 7.9.2
14.8.2.4.2
14.9.2
14.9.4
解説書
1.4.5 画像化された文字(AA) 7.3(パラグラフ6) 実装PDF7
解説書
1.4.6 より十分なコントラスト(AAA) 7.1(パラグラフ6) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.7 小さい背景音又は背景音なし(AAA) 音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.4.8 視覚的な表現(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.9 画像化された文字(例外なし)(AAA) 7.3(パラグラフ1) Graphic design 解説書
2.1.1 キーボード操作(A) 7.19(パラグラフ3) 8.1 (パラグラフ2の箇条2と箇条3) 12.6 Control device specific 実装PDF3
実装PDF11
実装PDF23
解説書
2.1.2 フォーカス移動(A) 8.7 JavaScript設計 解説書
2.1.3 キーボード操作(例外なし)(AAA) 7.19(パラグラフ3) 8.1 (パラグラフ2の箇条2と箇条3) 12.6 Control device specific 解説書
2.2.1 調整可能な制限時間(A) 7.19(パラグラフ3) 8.10.3 (パラグラフ2,3) 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.2 一時停止、停止、非表示(A) 7.19 8.6
8.7
8.10.3
12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.3 制限時間なし(AAA) 7.19 8.7 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.4 中断(AAA) 7.19 8.7 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.5 再認証(AAA) 7.19 12.6 JavaScript設計 解説書
2.3.1 3回の閃光又は閾値以下(A) 7.1 (パラグラフ5) 解説書
2.3.2 3回の閃光(AAA) 7.1 (パラグラフ5) 解説書
2.4.1 ブロック・スキップ(A) 7.4
7.8
7.1 (パラグラフ1、2)
8.9 (箇条2) 14.8 実装PDF9
解説書
2.4.2 ページタイトル(A) 7.1 (パラグラフ8、9) 8.8 12.2 実装PDF18
解説書
2.4.3 フォーカス順序(A) 7.1 (パラグラフ2)
7.18.1 (パラグラフ2)
7.18.3
8.1
8.9
14.8.4.4.3 実装PDF3
解説書
2.4.4 文脈におけるリンクの目的(A) 7.18.1 (パラグラフ2)
7.18.5
8.1 12.5.6.5
12.6.4.7
14.8.4.4.3
14.9.3
実装PDF11
実装PDF13
解説書
2.4.5 複数の到達手段(AA) 7.17
7.18.5
8.9 12.3.3
12.5.6.5
12.6.4.7
Table 28
14.9.3
実装PDF2
解説書
2.4.6 見出し及びラベル(AA) 7.4 設計上の考慮事項 解説書
2.4.7 視覚的に認識可能なフォーカス (AA) 設計上の考慮事項 解説書
2.4.8 現在位置(AAA) 7.4
7.17
設計上の考慮事項 解説書
2.4.9 リンクの目的(AAA) 7.18.5(パラグラフ2) 8.10.1 14.9.3 設計上の考慮事項 解説書
2.4.10 セクション見出し(AAA) 7.4 8.9(箇条2) 14.8.4.3.2
14.8.4.3.5
設計上の考慮事項 解説書
3.1.1 ページの言語(A) 7.2(パラグラフ3) 8.2(パラグラフ3) 実装PDF16
実装PDF19
解説書
3.1.2 部分的に用いられている言語(AA) 7.2(3パラグラフ目) 8.2(2パラグラフ目と3パラグラフ目) 実装PDF19
解説書
3.1.3 一般的ではない用語(AAA) 14.9.5 設計上の考慮事項 解説書
3.1.4 略語(AAA) 14.9.5 実装PDF8
解説書
3.1.5 読解(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.1.6 発音及び読み仮名(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.2.1 オン・フォーカス(A) 7.19(パラグラフ2) 8.7 設計上の考慮事項 解説書
3.2.2 ユーザインタフェース・コンポーネントによる状況の変化(A) 7.19(パラグラフ2) 8.7 設計上の考慮事項 実装PDF15
解説書
3.2.3 一貫したナビゲーション(AA) 7.1(パラグラフ1)
7.17
設計上の考慮事項 実装PDF14
実装PDF17
解説書
3.2.4 一貫した識別性(AA) 7.1(パラグラフ1) 設計上の考慮事項 解説書
3.2.5 利用者の要求による状況の変化(AAA) 7.19(パラグラフ2) JavaScript設計 解説書
3.3.1 入力エラー箇所の特定(A) 設計上の考慮事項 8.7 JavaScript設計 実装PDF5
実装PDF22
解説書
3.3.2 ラベル又は説明文(A) 6.2
7.18.1
7.18.3
7.18.4
8.10.2 14.8.4.4.3
14.9.3
14.8.4.5
実装PDF5
実装PDF10
解説書
3.3.3 入力エラー修正方法の提示(AA) 8.10.2 設計上の考慮事項 解説書
3.3.4 法的義務・金銭的取引・データ変更・回答送信のエラー回避(AA) 8.10.2 設計上の考慮事項 解説書
3.3.5 ヘルプ(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.3.6 エラー回避に関する例外なし(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
4.1.1 構文解析(A) 動的なXFA 解説書
4.1.2 プログラムが解釈可能な識別名・役割及び設定可能な値(A) 7.13
7.14
7.18
8.10
8.11.2
実装PDF10
実装PDF12
解説書

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