7月 24

あらゆるデバイスのUIをユーザーに最適化・アクセシブルにいつでも変換するプロジェクトGlobal Public Inclusive Infrastructure (GPII)

 今回はミツエーリンクスさんのブログのエントリ「アクセシビリティに影響を及ぼした10の出来事」で紹介されていたGlobal Public Inclusive Infrastructure (GPII)を紹介します。スイスに拠点をおく国際団体Raising the Floor (RtF)によって進められているコンピュータやウェブ、プラットフォームのインターフェイスをクラウドベースでよりアクセシブルにするプロジェクトです。

Global Public Inclusive Infrastructure (GPII)
http://gpii.net/

 GPIIは標準的なデバイスのインターフェイスでの利用に困難を感じる人たちのために、いつでもどこでもどんなデバイスを使用していても、その標準的なインターフェイスをクラウド経由で各ユーザーに最適化されたアクセシブルなインターフェイスに変換して提供することを目的としています。

 以下の動画がGPIIの概要を非常にわかりやすく紹介しています。

 上の動画に使用されているイメージをお借りしてGPIIのインターフェイス変換の仕組みを紹介すると以下のようになるようです。開発途上のようですので、あくまでイメージです。

ユーザーに最適化されたインターフェイスへの変換は以下の3つの機能をもったシステムを連携させることで実現されます。黄色がユーザー情報を格納する機能を受け持ち、緑色が様々な支援技術機能を格納する機能、オレンジ色が様々なデバイスの情報を格納する機能を受け持ちます。 
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 まずユーザーは、自分自身に適したインタフェースをGPIIのクラウドサーバーにウィザードを用いて登録します。これは上の黄色部分のシステムに登録されます。登録されたパーソナルプロファイルは、インターフェイスのパーソラナイズに使用されます。
スクリーンショット 2013-07-24 0.28.40
 
 
 実際にデバイスのインターフェイスの変換を行うフローは以下になります。

 GPIIのサーバーにアクセスするとまずは黄色部分のシステムにつながります。そこでユーザーが登録したパーソナルプロファイル情報を取得します。
スクリーンショット 2013-07-23 2.04.11
 

 パーソナルプロファイル情報を取得したら、引き続き様々な支援技術機能を格納するサーバー(緑色)に引き継がれます。ここにはアクセシビリティ開発者が様々なニーズに応えるために開発した様々な支援技術が格納されています。この緑色部分に格納された様々なツールを用いてユーザーに適した形式に変換します。テキストを音声に変えたり、テキストを点字に変換するような機能をここで担ったりするのでしょうか?
スクリーンショット 2013-07-23 1.50.45
  

 緑色部分のシステムでユーザーが求めるインターフェイスに適した形式に変換したら、次はオレンジ色部分のシステムに渡されます。ここでは、様々なデバイスに関する情報を格納されていますので、デバイス情報を取得します。

スクリーンショット 2013-07-24 1.19.07
 

 最終的にユーザーとデバイスに最適化されたインターフェイスに変換してユーザーのデバイスに戻します。便宜上、インターフェイスという言葉を用いていますが、もちろん見た目の表面的なものだけではなく、インターフェイスから提供される情報も変換して渡されるのだろうと思います。
スクリーンショット 2013-07-23 1.49.33
 

 Global Public Inclusive Infrastructure (GPII)の「基盤(Infrastructure )」という言葉が意味するように、GPIIはアクセシブルなインターフェイスに変換する新技術を開発してそれを提供しようというよりは、その下の部分、つまり、支援技術をユーザーに提供するために必要な基盤になることを志向しています。GPIIが基盤となり、その上で支援技術をのせることで、支援技術の独自開発が必要な部分を減らし、さらには各技術の相互運用性を向上させる。そうすることで、多種多様な支援技術の開発を促し、それを手頃な価格でクラウド経由であらゆる場所に行き渡らせる。そんなことを目指しているようです。

 GPIIの支援技術開発支援の一例ですが、GPIIは容易かつ低コストに支援技術を開発するツールなどを開発者に提供することで、開発のハードルを下げ、様々なツールの開発を促そうとしています、さらに開発した支援技術を世界中に行き渡らせるためのプラットフォームも用意するそうです(それが緑色部分のシステム)。
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 対象となる「あらゆるデバイス」には空港の発券機や飛行機の座席の背面に据え付けてあるモニタなど公共の場で使用されている据え付けの機器も含まれているようです。これが実現できたら本当に凄いことです。

 一番優れたUIとは何か、という議論に結論が出るとは思えませんが、個々のユーザーとそのユーザーが使用するデバイスに最適化されたUIは、この種の議論の究極に近いところの答えの1つではないかと思います。

7月 16

Accessible EPUB Reading System – DAISYユーザーのためにEPUB 3リーディングシステムが求められること

 DAISYユーザーがDAISY的にEPUBを利用するためにはコンテンツであるEPUBファイルがアクセシブルである必要がありますが、そのアクセシビリティ機能を受け止めるビューワーも必要です。これまでのエントリで、DAISYリーダーのEPUB対応やDAISYから生成したEPUBを確認してきました。確認していく中でDAISYユーザーのためにEPUB 3リーディングシステムの要件がある程度まとまってきましたので、以下にまとめてみました。と言いましても、私のDAISY利用に対する理解が浅いため、知る人が読めば正直いろいろと過不足あろうかと思います(おそらくEPUBも・・・)。お気づきの点はご指摘いただけると幸いです。

 なお、インプットとして、W3CのUser Agent Accessibility Guidelines (UAAG) 2.0を参考にしました。まずはきちんと要件が整理されたW3CのUAAGを参照いただいた上で、以下をご覧いただければと思います。

 

1.テキストと色の設定

1.1. テキストの設定を変更できる

 フォント、フォントのサイズ、行間などを設定できる。

1.2. 色の設定を変更ができる

 テキストの色や背景色など色とコントラストを設定することできる。

 

2. 操作可能であること

2.1. 全ての機能をキーボードで操作できる

 リーディングシステムが持つ全ての機能をキーボードで操作できる。

2.2 文書の構造を活用した様々なレベルのフォーカスの移動ができる

 センテンス、パラグラフ、セクション、節、章などコンテンツ文書の構造を活用した様々なレベルのフォーカスの移動ができる。また、図、テーブル、註などユーザーにとって不要な箇所はフォーカスをスキップできる。音声合成によるテキスト読み上げ(TTS)、収録済み音声による読み上げ(Media Overlaysなど)の再生のフォーカスについても同様である。

 

3. ナビゲーション

3.1. 目次

 epub:type=”toc”で提供される目次だけではなく、Page Listランドマークなど様々なナビゲーションに対応している。

3.2. メタデータ

 メタデータはユーザーがコンテンツを開かなくても内容を識別する重要なナビゲーションである。タイトルだけではなく、著者、出版社、出版年などEPUBが持つメタデータをユーザーにコンテンツの選択するための情報としてユーザーは利用できる。また、拡張したメタデータの語彙にも対応している。

3.3. コンテンツ文書の構造を理解できる

 見出し、セクション、テープルなどコンテンツ文書の構造を理解し、ユーザーに伝えることができる。また、埋め込まれたセマンティクス(epub:type属性)も理解し、ユーザーに伝えることができる。

3.4. テキスト検索

 目次、本文などのテキストを全文検索できる。
 
 

4. 音声合成によるテキスト読み上げ(TTS:Text-To-Speech)

 音声合成によるテキスト読み上げ(TTS:Text-To-Speech)ができる。日本語ユーザーを対象とする場合は、日本語TTSエンジンと英語TTSエンジンを搭載している。

4.1. 非テキストコンテンツの代替テキストへのアクセス

非テキストコンテンツに提供される代替テキストにアクセスし読み上げることができる。

4.2. 読み情報へのアクセス

 PLSSSML、ruby要素にアクセスし、読み情報を取得できる。

4.3 読み上げ箇所を明示できる

 ハイライト表示などの方法で読み上げられている箇所を明示できる。

4.4. 言語情報の取得

 コンテンツ文書に埋め込まれた言語情報を取得して、適切な言語で読み上げることができる。

4.5. CSS 3 Speech

  CSS 3 Speechに対応している。

4.4. 読み上げの制御

  ボリューム、速度、間、ピッチ、ピッチレンジなど読み上げ音声を細かく制御することができる。

 

5. Media Overlays

 収録済みの音声の再生とテキストを同期させるMedia Overlaysに対応している。

5.1. 読み上げ箇所を明示できる

 ハイライト表示などの方法で読み上げられている箇所を明示できる。

5.2. 読み上げの制御

  ボリューム、速度、間、ピッチ、ピッチレンジなど収録済みの読み上げ音声の再生を細かく制御することができる。
 
 

参考

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
7月 10

Memento関係の小ネタ3本

 このブログでなんどか取り上げている Memento関係で小ネタを3つ。

Mementoプロトコル草案 ver.0.8公開

Mementoプロトコル草案のver.0.8が7月9日に公開されました。

HTTP framework for time-based access to resource states — Memento draft-vandesompel-memento-08

参考

Mementoプロトコル対応のブラウザ

iOSとAndoroid向けのMementoプロトコル対応のブラウザが公開されていました。

参考

Archive.isがMementoに対応

Archive.isがMementoに対応しました。

関連エントリ