IBMがEPUB 3を主たるドキュメントフォーマットに採用したことについて報告書を公開

2月13日に、IBMが主たる社内文書のパッケージドポータブルドキュメントフォーマット(特定の環境に左右されず、どこでも同じように利用できるドキュメントフォーマット、だと思う)としてEPUB3をサポートするというニュースがありました。

 上で、IBMがEPUB3をサポートすると決定してから得られた経験をホワイトペーパーとしてIBMとIDPFが共同でまとめて出すよと予告していたものが、本日、EPUB版で公開されました(ホワイトペーパーとは呼ばれていないものの、おそらくこれですよね・・・)。

 
 内容は、IBMはEPUB3を採用することを決断した経緯・理由を説明しているもので、IBMのMobileFirstが大きなきっかけになったようです。”Mobile First”という言葉そのものは、Luke Wroblewski氏が著書”Mobile First“が提唱したのが最初のようで、モバイルを起点に考え、他のデバイスにも適応できるレスポンブなものを作ろう、そうすると、いろいろなデバイスに適応した無駄のない良いものつくれるよという考えだと理解していますが、それをIBMが2013年に本格的に採用していたんですね。
 Mobile Firstで考えた場合、PDFはモバイル環境での扱いに難がある。PDFやHTMLは可搬性に難がある(PDFも?という気がしないではないですが)。さらにアクセシビリティも考慮するとEPUBがよいんじゃないということになったようです(だいぶ間を端折っています)。
 では、EPUBの生成はどうするかということで、DITAが用いられているようですね。DITA使ってるんじゃない?という話は2月の時点で耳にしていたので、ちょうど3月に行われるDITA Festa2014 Osakaは気になって仕方なかったけど、平日開催で時間が作れず、結局行けなかったことをこのペーパーを読んでいて思い出しました。惜しいことをした。
 おぉと思ったのが、IBMが使用しているEPUBビューワーの話で、FirefoxのプラグインであるLucifox EPUB readerを使用しているそうです。ただし、そのままではアクセシビリティ対応に問題があるということで、IBMが要件をLucifox開発者に挙げて改修してもらったそうです。そして、改修されたアクセシブルバージョンのLucifoxがIBMの40万以上のシステムに展開されて利用されているのだとか。Readiumは将来的には利用できる可能性があるものの、現段階ではアクセシビリティ対応がまだまだということで採用は見送られたようですね。Readium FoundationにIBMも参加しているので、将来的にはIBMが求める機能が実装できるよう頑張るということも書いてありました。

IIPC総会 2014のプレゼン資料が公開されている

ワークショップを含めると、5月19日から5月23日までフランスで行われていたIIPC総会 2014のプレゼン資料が以下で公開されています。

 ちなみにIIPCはウェブアーカイブ関係機関で構成される国際コンソーシアムです。Internet Archiveやウェブアーカイビングプロジェクトを進めている各国の国立図書館、研究機関がメンバーになっています。日本では国立国会図書館がメンバーになっています。IIPCについては、以下が日本語で詳しく紹介しています。

 今回の総会では、日本からは国立国語研究所の浅原先生達がウェブコーパスについて発表されていますね。

個人的にはロスアラモス研究所のMartin Klein氏のHiberlinkのプレゼンが興味深いと思いました。これはHiberlinkそのものに対してというよりは、いつの間にか私が追っかけをしてしまっている同研究所のHerbert Van de Sompel氏繋がりではあるのですが。

ウェブアーカイブの利活用とMementoを扱ったAhmed AlSum氏の博士論文発表会スライド

 久しぶりに今回はウェブアーカイブネタ。 Old Dominion University、Web Science and Digital Libraries Research GroupのAhmed AlSum氏が博士論文の発表会で用いたスライドが公開されています。Ahmed AlSum氏のことはよくしらないのですが、スライドがMementoを中心にウェブアーカイブの利活用を中心にまとめて面白かったです。
 
 ウェブアーカイブというよりも、時間軸でウェブをどのように利用させるかと言ったほうが、伝わる方には伝わるかも知れませんね。それにもMemento台湾大学も参加していたことは知りませんでした。アジアでは最初ではないですかね。

 
 

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