8月 06

1936年に東京盲学校の卒業生が点字図書を帝国図書館に寄付、それを受けて帝国図書館が点字図書の提供を開始?

1916年(大正5年)に東京盲学校(現在の筑波大学附属視覚特別支援学校)の学生が点字図書200冊を東京市立本郷図書館に寄託し、東京市立本郷図書館は点字文庫を開設したことが公共図書館による障害者への情報提供の嚆矢とされています。

 では、帝国図書館ではどうだったのだろうかと思っていたのですが、国立国会図書館デジタルコレクションで、偶然、以下の記事をみつけたので、メモとして。

 1936年(昭和11年)に東京盲学校の卒業生が点字図書を帝国図書館に寄付しています。そして、同年の『帝国図書館報』に初めて点字図書の書誌の掲載がされ、以後、継続的に点字図書の書誌が掲載されるようになります。寄付された点字図書の書誌が、『帝国図書館報』に掲載されたのかどうかはわかりませんが、時期的に深い関係がありそう。国立図書館における障害者への情報提供の最初の事例になるかもしれない。

 東京盲学校の卒業生による点字図書寄付については、『本邦の図書館界』(岡山県中央図書発行)第12に朝日新聞の記事を転載する形で紹介されています。東京盲学校の卒業生が点字図書を寄贈して帝国図書館に点字図書館に要請したとの1936年(昭和11年)の記事です。

該当する記事を掲載したページの画像。次にその記事をテキストに起こしたものを掲載しています
国立国会図書館デジタルコレクション – 本邦の図書館界. 第12(p5)の該当部分

 上の記事をテキストにしたのが以下です。

點字図書館設立の為に盲人が図書を寄贈

官立東京盲学校の卒業生杉山眞平君外十三名は帝國図書館に松本館長を訪れて點字図書一四四冊の寄附を申出で「日本全國15萬の盲人の為是非點字図書室を設置して戴きたい」と懇願した。松本館長は「十分努力しよう」と誓った。之の杖を頼りの盲人達の美談は本所■(注: 字がつぶれて判読できず。「區」か?)の吉野志郎氏が今春二十九歳を最後として病逝したが、同家は比較的財政に恵まれてゐた。そして志郎氏は生前口癖の様に「點字図書館が欲しい」と云ってゐたので志郎氏の父元吉氏が盲人達に百圓贈った。盲人達は之を基礎として皆々不自由な身で八方奔走し點字図書の蒐集に力め今回前記の様に一四四冊の蒐集に成功し之を帝國図書館に寄附したのである(昭一一、一〇、五 東京朝日)

 同年に刊行された『帝国図書館報』第29冊第12号に初めて点字図書の書誌も掲載されました。

国立国会図書館デジタルコレクション – 帝国図書館報. 第29冊第12号

 以下、該当部分のページの画像です。リンク先は国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている同雑誌の該当するページへのリンク。

点字図書の書誌が掲載されたページその1
点字図書の書誌が掲載されたページその2

ここに掲載された図書が、国立国会図書館に引き継がれているかどうかも気になるところですが、NDL-OPACで確認できる範囲では所蔵されているかどうかは確認できませんでした。

7月 24

プリントディスアビリティのある人を対象とした世界最大のアクセシブルなオンライン図書館 Bookshare

 Bookshareは、視覚障害その他の理由で通常の印刷物を読むことができないプリントディスアビリティのある人にアクセシブルなコンテンツを提供するオンライン図書館です。非営利の社会的企業Benetech社が2002年に立ち上げたもので、プリントディスアビリティのある人を対象としたオンライン図書館としては世界最大のものです。

誰が利用できるのか

 米国の著作権法の権利制限規定またはそれにならって権利者から得た許諾に基づいてコンテンツを製作・収集・提供しているため、利用できるのは、プリントディスアビリティとしてBookshareに会員登録した人に限定されます。具体的には、視覚障害、肢体不自由などの理由でページをめくれない等の身体障害、読書に困難のある学習障害のある障害者で、専門家によってそれを証明してもらう必要があります。

 会費は個人会員であれば、基本的に入会費25ドル年会費50ドルですが、ユーザーの身分によって無料になったり、ユーザーがいる国によってディスカウントされることもあります。

 プリントディスアビリティがあることの証明のところで、ハードルが高くなりますが、海外の人間でもプリントディスアビリティがあることが証明可能であれば、登録することが可能です。

参考

利用できるコンテンツ

 Bookshareは2015年7月24日現在で約35万点のアクセシブルなコンテンツを提供しています。

 ダウンロードして利用できるコンテンツの形式は以下のとおりで、ソースとなるテキストデータから自動的にユーザーが選択したいずれかの形式に変換されてダウンロードできるようになっているようです。

  • テキストDAISY(DAISY3)
  • 音声DAISY(DAISY3。合成音声によって読み上げた音声データを格納したDAISY)
  • 音声データ(MP3形式。合成音声によって読み上げた音声データ)
  • 点字データ(BRF形式)

 35万点のコンテンツのソースは以下の通りです。Bookshareといえば、米国の著作権法の権利制限規定に基づいてボランティアが紙の印刷物をスキャニング・OCR処理して作成したものが有名ですが、現在では、全体から見れば一部にすぎず、出版社から直接提供を受けるデータの方が数としては多くなっています。

ボランティアによる製作

ユーザーからの製作のリクエストを受けて、ボランティアが製作したテキストデータで、米国の著作権法の制限規定に基づいて製作しています。音楽共有サービスNapsterにヒントを得て、図書をスキャニングしたデータを合法的に共有できたらよいのではないかというところからフルックターマンは、Bookshareを着想したと言われているそうで、Bookshareが2002年に立ち上がった当初から現在に至るまで行われています。

 製作フローは1人のボランティアが紙の書籍をスキャニング・OCR処理を行い、別のボランティアがそれをテキスト校正するという製作フローになっており、リクエストを受けてから数週間から数ヶ月で完成するそうです。

参考

出版社から提供を受けたデータ

 出版社からもデータの提供を受けています。現在は、500以上の出版社からデータの提供を受けており、Bookshareが提供する35万点のうち、2/3は出版社からデータの提供を受けたコンテンツではないかと思います。

 出版社から提供を受けているフォーマットはEPUB 2とEPUB3で、PDFは現在、受け付けていません。メタデータは、ONIX2かExcelによって提供を受けているとのこと。

参考

著者から提供を受けたデータ

著者からのデータ提供も受け付けています。これまで数百の著者から直接データの提供を受けたそうです。受け付けるファイル形式はEPUB 2、EPUB 3、Word及びRTFで、紙版の書籍とPDF版による提供は受け付けていないとのこと。

参考

初等・中等教育の教科書

 Bookshareの存在を際だたせているもう1つのコンテンツがこの初等・中等教育の教科書データの提供です。

 米国では、個別障害者教育法(IDEA 2004)により、教科書の購入者である州や地方教育局の求めに応じて教科書出版社は教科書などの教材のデータをNIMAS(National Instructional Materials Accessibility Standard)というフォーマットで提出することが義務づけられています。Bookshareは、このNIMASファイルを元にテキストDAISYを作成して障害児に提供しています。米国教育省のOSEP(Office of Special Education Programs)から資金援助をうけて、無償で提供しています。

 また、Bookshareは紙の教科書を裁断して、スキャニングしてテキストDAISY化もしています。
 詳細は、参考に挙げた近藤武夫先生の論文に詳しいので、そちらをご参照ください。

参考

大学からアップロードされたデータ(University Partner Program)

 読書障害のある大学生支援を目的に、各大学が障害学生のためにスキャニングして製作した教科書などのテキストデータを収集しています。2015年7月24日現在で35校の大学がこのプログラムに参加しています。各大学は、Bookshareのボランティアマニュアルにしたがって教材をスキャニング・OCR処理をしてテキストデータを製作し、RTF形式でアップロードします。ただし、ボランティアが製作したものと異なり、大学がアップロードしたものの場合は、テキスト校正のフローが省略され、すぐに提供に回すことができます。

参考

NFB-NEWSLINEの雑誌・新聞

 National Federation of the Blind(NFB)の新聞・雑誌の音声提供サービスNFB-NEWSLINEと提携してNFB-NEWSLINEのコンテンツを利用できるようになっています。

参考

コンテンツの利用方法

 Bookshareはウェブサイトから直接閲覧することができるブラウザベースの閲覧システムBookshare Web Readerを提供しているほか、

Bookshareのウェブサイトで一覧されているように、デスクトップPC上のアプリケーションや、タブレット端末・スマートフォン端末用のアプリケーションやハードウェアデバイス(再生機器)で利用することが可能です。中にはBookshareのウェブサイトを訪問してコンテンツをダウンロードしなくても、ソフトウェア、デバイス上でBookshareのコンテンツを直接ダウンロードできるものもあります。

参考

Bookshareを運営するBenetchとは

 Benetechはテクノロジーの力で世界をより良くしていこうと、人権、リテラシー、環境をテーマに取り組んでいる非営利の社会的企業です。ジム・フルックターマン(Jim Fruchterman)氏が立ち上げたもので、前身となるArkenstone社のプロダクトラインを2000年に他の企業に売却し、社の名前をBenetechに、組織形態を非営利の社会的企業に改めて生まれた企業です。なお、Arkenstone社は、視覚障害者向けのOCRソフトウェアを開発していた企業で、それを用いた音声読書システム(スキャナとOCRソフトウェアで紙の資料をテキスト化し、合成音声で読み上げるシステム)が1990年代に60カ国で3万5千台販売されたそうです。

 Bookshareは、Benetechが進めるGlobal Literacy Programの1つで、同プログラムの下には、他にアクセシビリティに関する標準化やツールの研究・開発を行うDIAGRAM Centerや、大人の読み書き能力の向上を目的としたリテラシー教育プロジェクトRoute 66 Literacyがあります。

参考

7月 23

Bookshareを海外から利用するには

 Bookshareを利用するためには、 Bookshareにプリントディスアビリティのある者として利用者登録を行う必要があります。登録は米国在住のユーザーに限定しておらず、海外からも登録可能です。以下で公開されているリストをみると、すでに日本でもBookshareの登録ユーザーがいるようです。

 登録するためには、以下のエントリで紹介したように、しかるべき専門家にプリントディスアビリティがあることを証明してもらう必要があります。

証明してもらえる専門家が見つかれば、Bookshareが用意している書式(プリントディスアビリティであることを証明する書類)に署名してもらい、それをメールやFAXなどでBookshareに送付すれば、よいそうなので、日本からでも登録は可能ではないかと思います。ただし、証明する書類の送付そのものは比較的容易ですが、証明する専門家がその分、重い責任を負うことになりますのでご注意をください。

 ちなみに会費ですが、日本の場合はディスカウントはないので、入会費25ドル、年会費50ドルとなっています。

利用できるコンテンツ数

 海外から利用できるコンテンツは、Bookshareが出版社から許諾が得たものに限定され、米国の著作権法の制限規定に基づいてボランティアが製作したコンテンツなどは提供されていません。

 一部の国については、国ごとの利用できるコンテンツ数が以下に掲載されています(日本は掲載されていません)。最も多い国で228,000件。Bookshareが提供している全コンテンツ数が約35万点ですので、約2/3になります。

海外のパートナー機関を通じたのプリントディスアビリティの証明、会費の支払い

Bookshareは海外にパートナーとなる機関をもっており、そこを通じてプリントディスアビリティであることの証明や会費の支払いも可能なようです。残念ながら日本にはパートナー機関は存在しません。韓国だと、韓国国立中央図書館がパートナーとして窓口機関になっているので、ちょっと驚いたり。

マラケシュ条約批准への政府に対する働きかけの訴え

 上で紹介したとおり、海外ではBookshareが提供するコンテンツ全てを利用できるわけではありません。そこで、Bookshareは、マラケシュ条約が発効し、米国が批准したら、Bookshareの全てのコンテンツを他の批准国に提供できるので、各国のユーザーは各国の政府に批准を働きかけてほしいと訴えています。

7月 21

Bookshareの会員になって利用することができるプリントディスアビリティのある人

 Bookshareは、視覚障害その他の理由で通常の印刷物を読むことができないプリントディスアビリティのある人を対象とした米国の電子図書館サービスで、米国の著作権法の権利制限規定に基づいてコンテンツを集め、製作し、該当するユーザーに提供しています。

 Bookshareで登録できるプリントディスアビリティとは、具体的には、視覚障害、肢体不自由などの理由でページをめくれない等の身体障害、読書に困難のある学習障害のある障害者で、専門家によってそれを証明してもらう必要があります。なお、Bookshareが求める条件に合致するプリントディスアビリティのある人であれば、登録は米国以外の人でも登録は可能です。

 一時的に上のような読書障害になった者の登録も認められるようです。たたし、障害が解消したら、アカウントは削除しなくてはなりません。

 なお、自閉症、知的障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、聴覚障害のような障害を抱える障害者や英語が母国語でないことによる英語による読書の困難を抱える者はBookshareの利用者基準に合致しないため、それを理由として登録することはできません。

登録できるプリントディスアビリティとそれを証明する専門家

視覚障害者

 通常の印刷物を読むことができない全盲またはロービジョンの視覚障害者及び米国政府によって視覚障害者と法的に認めた者(日本出言えば、視覚障害の身体障害者手帳保有者に相当)。

証明できる専門家の例

身体障害者

肢体不自由などの身体障害によって、ページがめくれない、姿勢を維持できない等など、障害が読書に深刻な影響を与えると専門家が認めた者。

証明できる専門家の例
  • ホームドクターまたは医学的な専門家
  • 理学療法士
  • リソーススペシャリスト(特殊教育の専門家とのこと。特別支援教育よりも意味としては広い?)
  • 特別支援教育の教師
参考

学習障害

学習障害が読書に深刻な影響を与えると専門家が認めた者。

証明できる専門家の例
  • 神経学者
  • ホームドクター
  • 精神科医
  • 学習障害の専門家
  • 特別支援教育の教師
  • スクールサイコロジスト
  • 学習障害について経歴のある臨床心理士

会費について

個人

米国の学生:無料
その他の個人:入会費25ドル、年会費50ドル
一部の国でディスカウントあり。

団体・施設

米国の学校:無料
6〜10ドル/冊数
一部の国でディスカウントあり。

参考
6月 10

マラケシュ条約の各国の2015年の対応

 以下の記事で米国、カナダ、欧州の批准に対する状況が紹介されています。ちなみにBenetechは米国のbookshareを運営している会社です。

 さっくりまとめると、2015年中の批准の可能性については、カナダ「ほぼ確実」、米国「あり得る」、欧州各国「なさそう」とのことらしいです。

 カナダについては、批准の法整備のために”Support for Canadians with Print Disabilities Act(プリントディスアビリティのあるカナダ人支援法)”が議会で審議されているところのようです。

5月 27

アクセシブルな電子書籍とは何かを示すガイドラインを図書館側が作ってはどうか

 障害者差別解消法の施行まであと1年弱となりました。公共図書館向けのいろいろなサービスが障害差差別解消法の対応できる的なことを謳うようになると思いますが、電子書籍サービスもおそらくはその1つでしょう。

 個々の電子書籍ベンダの状況はよくわかりませんが、アクセシビリティ対応についてはベンダごとにそれぞれ重きを置くところがさまざまではないかと思います。「アクセシブルな電子書籍」と一言で言っても、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」とベンダ側(と出版社)が考えるそれが同じとは限らないため、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」が何かを明示する必要があるのではないかと考えています。利用者に対して直接サービスを提供する図書館側が考える「アクセシブルな電子書籍」の要件を整理して提示し、認識に齟齬が生じることを防ぐことが重要です。

 例えば、以下について要件の優先順位を示したガイドラインを提示することで、ベンダやコンテンツプロバイダが自分が提供するサービスやコンテンツが、客観的に自己評価でき、かつ、今後どのように改善していけばよいのか、その道筋を示すというのは一つの方法です。

  • (出版社と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」とは何か。
  • (ビューワー開発者と電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな閲覧環境」とは何か。
  • (電子書籍プラットフォームに対して)図書館が考える電子書籍の「アクセシブルな提供方法」とは何か。

 この方法の大きな利点は、ベンダ側に要件を提示できるだけではなく、図書館側が電子書籍サービスの導入やコンテンツの購入に際して、これらを「障害差差別解消法の対応」という文言に左右されずに客観的に評価できることです。

 障害の状況は人によってそれぞれ異なりますので、全ての方が満足するものを提供することは困難です。ベンダが出してきたものに対して、問題点を指摘することは無論重要ですが、図書館側が考える「アクセシブルな電子書籍」を明示せずに、ベンダが問題を指摘され続けるという状況は、ベンダにとっては、ゴールが見えないため、やる気を削ぐ可能性もあり、あまり望ましいことではありません。

 そこで、ガイドライン的なものを提示することで、だれもがサービスやコンテンツを客観的に評価でき、問題点を顕在化できるようにする。そして、現実的に実装できる道筋を示す。ベンダ側も全ての要件を一気に満たすことは難しくても、道筋が示されれば、優先順位の高い要件から「合理的配慮」の範囲内で少しずつ実装してくれるかもしれない。企業全体としてその気はなくても、内部の人がやる気を出して可能な範囲で少しずつ改善してくれるかもしれないし、あるいは、ガイドラインによる客観的な評価をもって、上を説得するようになるかもしれない。後半は希望的観測もありますが、ガイドラインのあり方は、ウェブアクセシビリティガイドラインで知られるW3CのWCAG2.0( = JIS X8341-3:2010)はロールモデルになるものだと思います。

 利用者に接してサービスを提供する図書館は、障害者のニーズをくみ上げて出版社やベンダーに「アクセシブルな電子書籍」とは何かを伝えることができるし、その役割を果たすことでアクセシブルな電子書籍の普及に貢献することができるはずです。

 要件を整理してガイドラインを作成するということは、関係者間で「アクセシブルな電子書籍」の認識を一致させる必要がまずはあり、相当大変なことだ思いますが、それは必要な調整ではないかととも思います。

 私が図書館側の人間なので、今回は「図書館」を中心に述べてきましたが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる、点字図書館)に置き換えても同じことが言えるはずです。立場としては図書館と点字図書館は同じであるはずですので、連携して取り組めればよいかもしれません。米国のEPUB 3 Implementation Projectが出版社、リーディングシステム開発者、コンテンツ販売者、サービスプロバイダ、そして、アクセシビリティ関係のコミュニティが集まって要件を整理したように、日本でももっと広いくくりで領域をまたいでこういうものが作れると本当はもっとよいのでしょうか。

関連エントリ

3月 26

図書館の「障害者サービス」の英訳

 図書館の「障害者サービス」の英訳について。 “library service for “の後に「障害者」に当たる言葉にどの単語を使うべきかという話で、「障害」を意味する単語の”impairment”、”disability”、”handicap”のどれを使うべきかという話です。

 結論は実は出ていて、IFLAでは、いや、国際社会では、「障害者」という言葉に”persons with disabilities”などのように”disability”を用いるので、”library service for persons with disabilities”あるいは、”library service for the disabled”と訳せばよいのだと思う。結論そのものは迷いはないのですが、考え方としてどうなのだろうと思った次第。
 
 それぞれの意味は以下のエントリで触れた通りです。

 視覚障害に当てはめるならば、以下のとおりです。

(1)impairment(機能障害)
例: 目という機能に障害があること
   ↓
(2)disability(能力障害)
 例:目が見えないために墨字を読むという能力に障害があること墨字(インクで書かれた文字)を読めないこと。
   ↓
(3)handicap(社会的不利)
例:字で書かれた情報を得られないために社会的な不利を得がちだということ
  
 図書館の障害者サービスは、「障害者」を対象とする対象別のサービスではなく、図書館の全ての資料をすべての利用者に利用できるようにする、資料の利用に困難が利用者がいるなら、その利用者の困難を取り除くというのが図書館における障害者サービスです。だから、録音図書も提供するし、対面朗読サービスも提供しているのですが、障害者サービスをこの意味で考える場合、”library service for the handicapped”は矛盾しています。なぜなら、ここでの”the handicapped”は図書館利用において不利を得ている方ということになり、障害者サービスはそういう方を生じさせないサービスなのだからと。

 なので、handicapという言葉は用いず、disabilityという言葉を用いているのだろうか。
 
 なお、impairmentを用いないのは、昨今の「障害者」の定義が医学モデルではなく、社会モデルでされているからかと思う。

 以上、つらつらと思ったことでした。

1月 21

「京都市内の大学における点字図書について」京都大学点訳サークル2011 年京都大学 11 月祭個人研究

 京都大学点訳サークルが京都大学の学園祭11月祭で毎年、研究発表をしているそうですが、2011年度に京都市内の大学における点字図書の蔵書について調査し、発表したものが公開されていました。

 他の発表も以下に公開されています。

 この点訳サークルの11月祭での発表は1970年代から行われていたそうなので、上で公開されているものはそのごく一部なのでしょうね。

1月 12

やさしくよめるLL版図書館利用案内『ようこそ 図書館へ』ひな形

 近畿視覚障害者情報サービス研究協議会 LLブック特別研究グループが作成した「LL版図書館利用案内『ようこそ 図書館へ』のひな形が公開されています。ここでいう「LL」というのは、「LLブック」の「LL」でスウェーデン語のLättläst(やさしく読みやすい)の略です。英語だと”easy to read”と訳されているもので、写真や絵を多用し、漢字等にはふりがなが振り、平易な文章で書くなど、知的障害、自閉症、読書障害、聴覚障害のある人、外国から移り住んだ人でまだ現地の言語になれていない人でも理解できるよう工夫されています。
 

 
 以下の4つの図書館が上のひな形を用いた図書館利用案内を公開しているそうです。