Amazon Kindle パブリッシング・ガイドラインでアクセシビリティの要件に言及している箇所

 アマゾンが出版社向けにKinleストアで販売するための電子書籍データのガイドラインを提示しています。

 これを読むと、アマゾンがアクセシビリティにかなり気を配っていることがよくわかります(代替テキストに関する言及が弱いところを除けば、このとおり作られたEPUBはかなりアクセシブルではないか)。
リフローなEPUBについては、全体にわたってアクセシビリティに関する要件が盛り込まれていますが、特にアクセシビリティについて言及している部分を、最新のバージョン 2019.2版から気がつく範囲で抜粋してみました。以下はアクセシビリティに関する言及がある章、節。項いずれかの見出しとそのパラグラフの抜粋です。

2.1.1 Kindle Create

文字数の多い本の場合、.doc(x) ファイルは “リフロー型” の電子書籍に変換されます。リフロー型の電子書籍は、読者が文字のサイズを変更できます。また、すべての Kindle 端末および無料の Kindle アプリで利用できます。リフロー型の本は、端末またはアプリでサポートされていれば、スクリーン リーダーまたは点字ディスプレイを使用して読むことができます。

3 フォーマットの比較

変換フォーマット 最適な本の種類 主な機能 サポートされている端末 制約 タイプセッティングの改善のサポート ガイドライン
リフロー型 テキストが主体の本
  • 画面の向きを調整可能
  • フォントの設定を調整可能
  • 辞書の検索
  • ハイライト
  • スクリーンリーダーと点字ディスプレイをサポート
  • 単語検索
  • X-Ray
すべてのKindle端末とアプリ 複雑なレイアウトの場合は再現するのが難しいか、または不可能な場合がある セクション 10: テキスト主体の電子書籍 (フィクションおよびノンフィクション) を作成する (リフロー型)

6.1 整形式の HTML 文書 (XHTML) を構築する

HTML 文書や XHTML 文書がアクセシビリティに十分配慮した形式になるよう、以下の文書のアクセシビリティ基準に従うことを推奨します。

8 アクセシビリティ ガイドライン

目の不自由な人、中程度から重度の視覚障がい者、失読症などの読書障がい者を含め、すべての読者に本を利用していただけるよう、Amazon では以下のベスト プラクティスを推奨しています。

  1. 本の主言語とコンテンツ内の言語の変更を定義する。
  2. HTML、EPUB、または .doc(x) 形式で構成がしっかりしたコンテンツを作成する (セクション 6.1 を
    参照) (注: .doc(x) は KDP でのみ使用可能):

    • a. 見出しを階層化して、章、セクション、サブセクションの構造を反映させる。
    • b. 番号付きリストと番号なしリストを使用してアイテムをグループ化し、構造化する。
    • c. すべての表にキャプション、行見出し、列見出しを含める (セクション 10.5 を参照)。画像による表の使用を避ける。
  3. コンテンツの理解に不可欠なすべての画像を代替テキストや周囲のテキストで説明する。装飾目的の画像の alt 属性を null に設定し、テキスト画像の使用を避ける。
  4. すべてのリンクに自己言及的なリンク タイトルを追加し、同じページ内でリンクを繰り返し使用することを避ける。
  5. 背景色を使用して、テキストに十分なコントラストを持たせる (セクション 10.3.2 を参照)。明るい色や細字フォントの使用を避ける。
  6. 固定レイアウトの本では、コンテンツ要素のリーディング順序を考慮する。
  7. 数式や方程式の表示には、MathML マークアップを使用する (セクション 10.6 を参照)。

9.1 Kindle 本のテスト

5.すべての読者に満足度の高い読書体験を提供するために、Amazon では本のアクセシビリティをテストすることを推奨します。コンテンツのアクセシビリティを確認するためのツールは、本の形式によって異なります。

Amazon では、原稿を Kindle にアップロードする前に、すべてのアクセシビリティ エラーを解決することを推奨しています。

10.4.7 ラインアートおよびテキスト用の画像およびフォント サイズの要件

アクセシビリティのヒント: 画像内のテキストは、スクリーン リーダーや点字ディスプレイを使用して読むことができません。画像にテキストだけが含まれている場合は、画像の代わりに HTML を使用してテキストをレンダリングすることをお勧めします。これはシンプルでテキストが多い画像に適用されます(セクション「10.4.8 画像よりHTML を優先する」を参照)。

10.5.1 大きな表を避ける

表形式のコンテンツには、表を画像として表示するのではなく、HTML の <table> レイアウトを使用することをお勧めします。
画像としてレンダリングされた表は、画像全体が 1 つの画面に表示されるので、ページ番号を付けることができません。画像として表示されている表は、支援テクノロジーを使用して読むことができません。HTML <table> タグを使用してレンダリングされている表の場合は、改ページを利用でき、表のコンテンツをスクリーン リーダーや点字ディスプレイで利用できるように設定できます。読者は、表内のセル間を移動することもできます。表の幅が画面より広く、読者による頻繁な表のパンが必要な場合、読書満足度は低くなります。

10.5.2 シンプルな HTML の表を作る

支援テクノロジーを使用して表のコンテンツを効率的に利用できるように、列見出し、行見出し、表キャプションを含めます。スクリーン リーダーによる表ナビゲーションのサポートは、現在、一部の端末やアプリでは利用できません。将来の互換性を考慮して、アクセス可能な HTML の表を作成することを推奨します。

11.3.2 特定のフォントを含める

アクセシビリティのヒント: 細字のフォントは読みにくく、テキストと背景とのコントラストに影響を与える可能性があります。Amazon では、原稿の本文に細字フォントを使用しないことを推奨しています。