アクセシビリティは “Start Small, Start Now” でいこう

ミネソタ大学の障害学生支援室が公開する Accessible U

Start Small, Start Now

というフレーズがあり、とても響いたので書いています。全てに当てはまることだと思いますが、上のフレーズは特にアクセシビリティについては、肝に銘じておきたいと改めて。

Accessibility is NOT all or nothing, and it’s simply impossible to make your digital content 100% accessible for 100% of your users.

まさにこれです。特にアクセシビリティというと、ゼロか100かで考えられることが多い印象があります(そして、100は無理だから、障害者専門の担当に任せるかという感じに)。
百人いれば百通りのニーズや使いやすさがあるわけで、1つで全ての人間にとっての「100%アクセシブル」な状態にすることは不可能です。無論、それを理想として追い求めることは必要ですが、やらない理由にしてはいけない、と。
また、「百人いれば百通り」の話を差し置いて、「自分の考える100%アクセシブル」基準で考えるにしても、「100%」でないと不可という考えは、ユーザーにゼロか百かの選択肢しか提示できないということに繋がります。これは、避けるべきだと思うのです。
例えば、アクセシブなコンテンツ提供の話です。リソースが無限にあるのであれば、「100%アクセシブル」なコンテンツを1万点でも、10万点、100万点でもそろえることが理想だと思いますが、限られたリソースではそれが難しく、「100%アクセシブル」なコンテンツは100点しか揃えることができない場合は、それでおしまいにするよりは、0%と100%の間をつなぐ(「自分の考える100%アクセシブル」視点での)「不完全」なコンテンツも1万点、10万点、100万点と揃えて、より多くの選択肢も提示するべきではないかと。
1つ1つについて、100%でないことで、ユーザーからお叱りを受けることもあるかもしれませんが、「100%アクセシブル」のコンテンツが100点しか提示してはいけないという状態よりは、ユーザー側にとって、そして、コンテンツ提供側にとっても幸せ度は高いのではないかと思うのです(お叱りはユーザーの声として前向けに受け止める必要がありますし、改善できるところは改善していくという姿勢で)。
「百人いれば百通り」の話に戻ると、百人百通りのニーズや使いやすさに応えるためには、そもそも問題意識もベクトル異なるプレーヤーをどんどん増やすしかないと思っています。多くのプレーヤーがそれぞれの問題意識とベクトルで優先順位の高いものに取り組んでほしい。船頭は多ければ多い方がいい。
そのためにも、多くの人の意識下にあるであろう、 “Accessibility is all or nothing” という意識の壁は取り除きたい。
“Start Small, Start Now(小さく初めていこう、でも、できることから今やりましょう)”と呼びかけていきたいし、自分自身も肝に銘じておきたい。
年度末の締めでした。来年度も引き続きよろしくお願いします。

自分の声の合成音声を作成するサービス my-own-voice

 自分の声のサンプルを基に自分の声の合成音声をつくることができるサービス。最終的にWindows SAPIなどのアプリケーションに取り込むことができる合成音声を生成することができるようです。自分の声で、Windows ナレーターを使って読み上げさせるということも可能になるということです。たしか『おしゃべりなコンピュータ 音声合成技術の現在と未来 (丸善ライブラリー) 』でも紹介されていたような。
※2019/3/22 追記 『おしゃべりなコンピュータ 音声合成技術の現在と未来 (丸善ライブラリー) 』を改めて確認したところ、この本で紹介されていた自分の声を合成音声する話は、山岸順一先生のボイスバンクプロジェクトでした。失礼しました。

 合成音声をつくるところまでは、無料で、アプリケーションに取り込むところで料金が発生するようです。
現時点で対応している言語は以下のとおり、今のところ、日本語には未対応。

  • AUS, US & UK English
  • German
  • French & Canadian French
  • Dutch & Flemish
  • Italian
  • Norwegian
  • Spanish & North American Spanish
  • Swedish
  • Norwegian
  • Italian

 my-own-voice がALSや発達障害等の理由で発話に困難な人の利用を想定したアプリ Predictable で利用可能になるようです。

米国のADAとリハビリテーション法504条関係の判決、和解のまとめ

日本で言うところの障害者差別解消法に相当する(日本より義務の対象範囲が広いようですが)米国の障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990 : ADA) とにかかる、 2006年以降の障害当事者がサービスプロバイダ等に対して起こした訴訟の判決、両者の和解が以下でまとめられています。それに関連して、ADAに関連するリハビリテーション法 504条にかかるステートメントもまとめられています。

ちなみにTitle I からTitle IIIに分類されていますが、それぞれ以下のとおりです。