「アクセシビリティ検証ツールとしてのNVDA入門」 (Japan Accessibility Conference vol.1)

11月11日に開催されたJapan Accessibility Conference vol.1で、NVDA日本語チーム 西本卓也さんが、「アクセシビリティ検証ツールとしてのNVDA入門」というテーマでオープンソースのスクリーンリーダー、NVDAの紹介をされていました。以下はそのスライドです。

  
 カンファレンスを中継した動画のアーカイブが公開されています(西本さんのお話は以下の動画の3時間24分あたり)。私は、このカンファレンスには参加していないのですが、西本さんのお話は、ちょうどNVDAに興味を持ち始めて自分でもさわり始めた頃だったので、自分の現在の関心と見事にマッチしたので、とても勉強になりました。染み渡る感じ。
 NVDAの思想として、OS、アプリとの本来の役割分担を意識するというのは、個人的にとても共感するところがありましたが、他のスクリーンリーダーはどうなのでしょうか。なんとなくOSとアプリの中間的な層にスクリーンリーダーはあるという印象は持っていて、その中でアプリ寄り、OS寄りの差はあるように感じていたけど、そもそもスクリーンリーダーのことを何も知らないことを思い知らされました。各スクリーンリーダーの関係者の話を聞いてみたいですね。考えてみると、これまた参加できなかった10月31日のNVDAワールド 2017 – connpassは、MSのナレーターの話もあったりして、かなり貴重な機会だったんだんですね。Windowsにスクリーンリーダーが標準で搭載されたことの意味は大きくて、今後のスクリーンリーダー業界?にたぶん大きな影響を与えるだろうと思っているので、ナレーターの話聞いてみたかった。

以下は、西本さんが発表の中でふれた関連サイトへのリンクです。



開発者のためのNVDA (2017)
→導入しやすいポータブル版環境(インストール不要)のNVDAが公開されている

JAWS Support for ARIA

 JAWSを開発しているFreedom Scientific社が、JAWSのWAI-ARIAサポート情報を纏めたドキュメント(”JAWS Support for ARIA”)を以下で公開しています。
JAWS Screen Reader – Documentation
仕様に係る情報をスクリーンリーダー側が公開してくれると、1つ1つサンプル使って検証したりしなくて済むのでありがたい。他のスクリーンリーダー側がこういう形で技術文書の公開をしてくれると、Web開発者側もとても参考になるし、対応を促すこともできると思うのですが。

DIAGRAM Center(Bookshareも?)の非テキストコンテンツ説明テキスト作成ガイドライン

 benetechの研究部門で、アクセシビリティに関する標準化やツールの研究・開発を行っているDIAGRAM Centerが、図、表、数式、グラフなどテキストデータ化しづらく、画像データとしてDAISYやEPUBに挿入されがちなコンテンツ(以下、ここでは「非テキストコンテンツ」という。)の説明テキストについて、ガイドラインを公開しています。benetechは、プリントディスアビリティのある人にアクセシブルなコンテンツを提供するオンライン図書館であるBookshareを運営しているので、そこで利用されたりしているのでしょうか(よくわからない)。

 A4サイズで打ち出して77ページになるかなり大部なもので、科学、技術、工学、数学(STEM)系の図書に挿入される非テキストコンテンツも対象としています。
 
 Bookshareは、以下のエントリで書いたように、ボランタティアベースで制作される場合は、非テキストコンテンツは、スキャニングの段階でばっさり削られることが多そうなので、上のガイドラインはどのように活用されているのかとても気になる。

  上のガイドラインにそった説明テキストを制作するためのトレーニングツールも用意されている

 以前は、Poet Image Description Toolという説明テキスト制作用のオープンソースのソフトウェアもBenetechのgithubのリポジトリで公開していたのですが、いつの間にか上の研修ツールに置き換わっていたという・・・。

関連エントリ