「視覚障害者の携帯電話・スマートフォン・タブレット・パソコン利用状況調査2013」報告書が公開

2013年に視覚障害者を対象に行われた携帯電話・スマートフォン・タブレット・パソコンの利用状況調査の報告書が新潟大学の機関リポジトリ上で公開されました。新潟大学の渡辺哲也先生が中心となって行った調査です。

 2001年、2003年、2008年と数年おきに同様の調査(以下)が行われています。今回の調査では新たにスマートフォンとタブレットの利用状況が調査対象に加わり、それらに紙幅が大きく割かれています。当然といえば当然ですが、全盲の方とロービジョンの方でスマートフォンとタブレットの用途、利用する機能、望まれる機能がだいぶ異なりますね。

青木 慎太朗 編「視覚障害学生支援技法 増補改訂版」(立命館大学生存学研究センター – 生存学研究センター報告書12)

立命館大学生存学研究センターが視覚に障害のある学生の支援方法についてまとめた以下の報告書を公開しています。

 大学がどのように視覚障害学生を支援していくべきかについてまとめているのは当然ですが、視覚障害者がどの支援機器を用いて、文字情報を入手しているのかという支援の大前提として必要となる情報が整理されているほか、実際にテキストデータ等を提供するに際して必要な情報として、著作権法との関係(著作権法第37条3項に基づいて障害学生支援室が録音図書(DAISY)を製作することの可否など)、書籍テキストデータの提供依頼に対する出版社の姿勢をまとめた調査などが掲載されています。また、巻末には資料編としてテキスト校正ガイドブックも付されています。少し古い報告書ではあるものの、今読んでもなお参考になるところが多いのではないかと思います。
 
 2005年刊行なので、やや古いところはあるものの、視覚に障害のある学生の支援方法についてまとめた、以下のようなまとまった書籍もあります。

視覚障害学生サポートガイドブック―進学・入試から卒業・就職までの実践的支援ノウハウ

厚生労働省の「平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」

 いまさら、ですが、厚生労働省が「平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」を2013年6月に公開しています。

 これは、これまで厚労省が原則5年ごとに実施してきた「身体障害児・者実態調査」(1996年、2001年、2006年に実施)と「知的障害児(者)基礎調査」(2000年、2005年に実施)を統合した上で、これまで調査対象ではなかった「精神障害者保健福祉手帳所持者」及び「障害者手帳は所持していないが、長引く病気やけが等により、日常生活にしづらさを感じている者」も対象として実態を調査したものだそうです。日本の障害者の状況を示すものとして、この調査はもっとも基本的な資料になるでしょう。
 残念なのは、過去3回の身体障害児・者実態調査では、障害を持つ人がどのように情報を入手しているかについても調査されていたのですが、今回の調査でそれが削られてしまったことです。例えば、2006年は以下のような調査が行われていました。

  • 障害程度別にみた点字習得及び点字必要性の状況
  • 障害の程度別にみた聴覚障害者のコミュニケーション手段の状況
  • 障害の種類別にみた情報の入手方法
  • 障害の種類別にみたパソコン利用の状況
  • 障害の種類別にみたパソコンを利用しない者のパソコン利用希望の状況

 これらの最新の状況が是非知りたいのですが・・・。