EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器

 DAISY4とEPUB3の関係は以前、別のブログで書いた以下のエントリの通り、DAISY4は交換フォーマット、EPUB3はDAISY4の配布フォーマット(の1つ)という関係にあります。

 つまり、DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生機器、再生ソフトウェアに対応していなければならないわけですが、考えられる対応のパターンは以下の2つだと思います。

  1. DAISY再生ソフトウェア/機器がたDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。
  2. EPUBリーダーがDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。

 個人的には2が非常に気になるところですが、1も興味があるところなので、1の可能性の下調べてとして、現時点でDAISY再生ソフトウェア/機器がEPUBに対応しているかを調べてみました。「DAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」への対応状況を調べたいところだったのですが、調べ始めてすぐに「あっ、これはない・・・」と思い至りまして・・、単純にEPUBに対応しているか否かで調べてみました。
 確認したのは、DAISY Consortiumがウェブサイトで掲載している以下のリストです。リストと各メーカのウェブサイト上で確認できる範囲で洗い出しただけですので、漏れがあるかもしれません(もし掲載漏れ等ありましたらお知らせいただけると嬉しいです)

 
  確認した結果が以下の表です。

EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器
名前 種別 OS 備考
BookSense DS 機器
DAISY / EPUB Reader for Android ソフトウェア Android EPUB対応を目指しているが、現時点では未対応。開発が止まっている?
Dolphin EasyReader ソフトウェア Windows
Emerson ソフトウェア Windows/Mac/Linux
Go Read ソフトウェア Android EPUB2対応
ida-reader ソフトウェア Windows/Mac EPUB2 / EPUB3対応
Milestone 212 DAISY Player 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
Milestone 312 DAISY Player/Recorder 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
ReadHear PC ソフトウェア Windows Premium版のみの対応。ReadHearのMac版は近いうちにEPUB対応とのこと。
Victor Reader Stream 機器

 辛うじて10に届くくらいで多いとは言えません。しかも、EPUB3対応と明記しているのはida-readerくらいでした。
  調べてみて気になる点は以下の2点でした。

  • ida-readerがどこまでEPUB3に対応しているか(「DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」に対応している可能性は高くなさそうですが・・・)。
  • DAISY4から生成されたものではない、普通に作られたEPUB2やEPUB3を、視覚障害者ユーザーに特化したDAISY再生ソフトウェア/機器で読む場合の「読みやすさ」。DAISYコンテンツによる読書ほどではないとしても、視覚障害者の方々にとってそこそこ読みやすく、実用に耐えうる読みやすさなのでしょうか。

  (時間と)機会があれば確認してみたいところです。
※2013/06/07追記
日本語の読み上げにも対応した以下のアプリを見落としていました。EPUBも対応しています(EPUB3も一応、対応しています)。

 

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応

脳から発信する信号を検知して身体を動かせない人でもPCへの入力を可能とする支援技術「スイッチHAL」

  筑波大学の山海嘉之教授の研究グループがロボットスーツHALの応用技術として開発した「スイッチHAL(仮称)」がすごい。脳から筋肉に向けて発信する信号を検知して身体を動かせない人でもPCへの入力を可能とする技術です。
 3月24日に行われたITパラリンピック2013では、スイッチHALのデモが行われ、その様子をUstreamのアーカイブからみることができます。下の動画の00:40:00あたりからです。

Video streaming by Ustream
 ロボットスーツを支える技術の1つとして、脳からの発せられる信号を皮膚の表面から取り出す技術があります。取り出した信号を解析し、ロボットスーツの装着者の運動意図を推測し、それをスーツのモータのトルクに反映することで装着者の動きを支援する流れになるそうです。その脳から発せられる信号を検知する技術を入力支援技術として応用したのがスイッチHALです。上のデモでは、デモを実演する人の腕につけたセンサーで、脳からの発せられた信号自体を拾い、処理をしてPCへの入力しています。
 従来の入力支援技術は、脳からの信号によって筋肉が収縮し、その結果として生じた身体の動きを微才なレベルでも如何に検知するかに力が入れられていたそうですが、このスイッチHALはその脳からの信号の段階で検知しています。筋力がない状態でも使える可能性があるそうです。
 この技術は応用範囲がすごく広いのではないでしょうか。
 信号検知の標準化が今後の課題のようですが、2014年3月までになんとか商品化したいとのこと。期待が高まります。
 

点字データのフォーマットに関するメモ

点字の電子データのフォーマットに、どういうものが存在するのか興味があったため調べてみました。私は点字を読むことができず、点字の利用状況を具体的に把握しているわけはないため、表面を撫でる程度に調べたものをまとめたにすぎません。ご了承ください。
 点字データのフォーマットについて、視覚障害者ITサポートとやまさんが以下にまとめてくれています。

 視覚障害者ITサポートとやまさんの上の紹介では、以下のフォーマットが紹介されています。

  • BET形式
  • BES形式
  • BSE形式
  • ブレイルスターが採用している形式(BLS形式、BLE形式、BS形式)
  • など

 各フォーマットの詳細は上の視覚障害者ITサポートとやまさんのページをご覧ください。ソフトウェアごとに異なるフォーマットが採用されているというのが、フォーマットが複数存在する原因のようです。上に挙げられているフォーマット以外にMBD形式やMSE形式というものもあるようです。あるなぁ・・。
 ちなみにサピエ図書館では、IBMのBES形式を使用しています。

 
 北米では、BRF(Braille Refreshable Format)が広く普及しているようです(おそらく・・・)。

 視覚障害者のためのオンライン図書館である米国のBookShareが点字コンテンツのフォーマットとしてBRF形式を採用しています。

 DAISY ConsortiumはPEF(Portable Embosser Format)を提案してます。

 環境に依存せずに点字データの交換をできるようにすることを目的とするフォーマットのようです。名前からもその意図が感じられますが、PDF形式の点字版といったところでしょうか。
 PEF形式は、DAISY形式(DAISY3、DAISY4など)を各種フォーマットに変換するツールであるDAISY Pipeline 2の点字データのインプット/アウトプット形式としても採用されています(アウトプットについては、BRF形式も対応しているようです)。