障害差別解消法の実施に関する文部科学省の調査研究協力者会議

 文部科学省が障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)の実施に関する調査研究協力者会議を6月から開催して居ます。その1回目と2回目の会議資料が7月8日に配布資料が公開されています。障害者差別解消法で各省庁に対して作成・公開を義務づけられている事業者(民間)向けの対応指針の検討が主な目的のようです。

 ヒアリングは上の2回までのようで、第3回(7月7日)、第4回(7月21日)は対応指針の検討、8月に対応指針案のパブリックコメント、9月に告示というのが、現在、想定されているスケジュールのようです。
 第2回では日本図書館協会障害者サービス委員会の委員長もヒアリングを受けています。
(資料5)公共図書館の障害者サービスと合理的配慮 (PDF:546KB)

参考

障害者差別解消法(抜粋)

(事業者のための対応指針)
第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。
2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。

障害者差別解消法で各省庁が作成・公表を義務づけられている対応要領案及び対応指針案に関するヒアリング(内閣府)

 障害者差別解消法の九条と十一条で各省庁に作成・公開を義務づけられれている対応要領及び対応指針に関するヒアリングを内閣府が7月13日と14日に行うようです。
 議題に内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、消費者庁、復興庁、会計検査院、総務省・厚生労働省の名前が。内閣府が各省庁に対応要領と対応指針の作成についてヒアリングを行うのか、それとも各省庁が合同で対応要領と対応指針作成のためにヒアリングを行うのかは、まだわかりませんが、後者だとすると、2時間で10省庁分のヒアリングか・・・

7月13日

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/20150713_youkou.html
議題
(1) 障害者差別解消法に基づく国等職員対応要領案及び事業者のための対応指針案について(内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、消費者庁、復興庁、会計検査院)
(2) その他

7月14日

http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/20150714_youkou.html
議題
(1) 障害者差別解消法に基づく国等職員対応要領案及び事業者のための対応指針案について(総務省・厚生労働省)
(2) その他

参考

障害者差別解消法(抜粋)

(国等職員対応要領)
第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。
2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。
(事業者のための対応指針)
第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。
2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。

合理的配慮のあり方も検討した文科省の特別支援教育の在り方に関する特別委員会(H22年度〜H24年度)

 2010(平成22)年7月から2012(平成24)年6月にかけて、文部科学省が中央教育審議会の下に特別支援教育の在り方に関する特別委員会を設置し、インクルーシブ教育のあり方について検討を行っています。ここで、障害児教育で提供するべき合理的配慮及びその基礎となる環境整備のあり方についても検討されています。

 設置は、2010(平成22)年6月29日の閣議決定(「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」)を受けてのようです。この特別委員会は最終的に以下の報告書をまとめました。

 この3章が「障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備」であり、合理的配慮とその前提となる基礎的環境整備の考え方についてまとめられています。ここでは、内容については詳しく触れませんが、合理的配慮の提供は、あくまで個別の事例に対応するためのものであり、その前提として基礎的な環境の整備が重要であることが繰り返し述べられています。課題の整理もどちらかと言えば、基礎的環境整備を中心にまとめられています。
合理的配慮と基礎的環境整備については、以下のエントリでまとめましたことがあります。上の委員会時にはまだ存在しない障害者差別解消法における考え方ではありますが、同じであるはずですので、ご参照ください。

  合理的配慮の検討については、この特別委員会のさらに下にワーキンググループが2011(平成23)年7月に設置され、そこで主な検討がなされています。

ちなみに時期的には、日本の法律で初めて合理的配慮の概念を採用する改正障害者基本法が参議院で可決されるのが2011(平成23)年7月29日で、上のワーキンググループの設置が特別委員会で決まったのが同年5月というのですから、政府内の合理的配慮に関する検討ではおそらくかなり早い方ではないでしょうか。
 この特別委員会が終わる時期とほぼかぶるタイミングで、同じ文部科学省内で「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が2012(平成24)年6月に立ち上がり、今度は大学などの高等教育における「教育上の合理的配慮等」の検討が開始されています。