9月 05

DAISYの種類とバージョン

DAISYは、Digital Accessible Information SYstemの略で、視覚障害者や発達障害者など読書に困難のある方々のための書籍コンテンツの国際規格です。日本では、「デジタル録音図書の国際標準規格」と紹介されることが多いですが、DAISYの種類としてテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYがあるように、「録音図書」より幅広いコンテンツを包含するフォーマットです。DAISYには、現在も使用されている、または使用されようとしている仕様のバージョンとして、DAISY 2.02、DAISY3、EPUB 3があります。これらのDAISYの種類とバージョンを整理してみました。

  1. DAISYの種類
  2. DAISYのバージョン

1. DAISYの種類

DAISYには、おおざっぱに言ってテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYの3つの種類のDAISYがあります。特徴を表にまとめると以下のような感じになります。

DAISYの種類
種類 目次のテキストデータ 本文フルテキスト 目次・本文等を読み上げた音声データ
テキストDAISY 有り 有り 無し
音声DAISY 有り 無し 有り
マルチメディアDAISY 有り 有り 有り

2.DAISYのバージョン」で紹介するように、DAISYには、DAISY2.02、DAISY3、EPUB3(DAISY4世代)の3つのバージョンがありますが、いずれのバージョンでもテキストDAISY、音声DAISY、マルチメディアDAISYを製作することが可能です。

テキストDAISY

目次と本文のテキストデータで構成されるDAISYです。音声DAISYやマルチメディアDAISYのように音声ファイルをもっていないため、音声DAISYやマルチメディアDAISYと比べると、ファイルサイズは非常に軽量です。ユーザーが用意する必要がありますが、機械音声(TTS)によって読み上げさせることが可能です。TTSが利用できない環境でも、本文テキストの文字の拡大縮小や配色の変更等が可能であるため、ロービジョンの方にとって有用です。

欧米言語には、日本語のように読みの問題等がないこと、そして、特に英語について言えることですが、優れた機械音声(TTS)が多く存在することから、このテキストDAISYがよく使われているそうです。日本語の場合は、それと逆の理由でテキストDAISYはまだあまり普及はしていません。しかし、商用で流通しているいわゆる「電子書籍」は、目次とテキストデータで構成されるテキストDAISYとも言えますので、日本でも「テキストDAISY」的なコンテンツは、電子書籍の普及で一気に増えると思われます。EPUB3では、ruby要素を使用できるようになったほか、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)などTTSをサポートする機能が大幅に強化されましたので、日本語でテキストDAISYを利用できる環境が整いつつあります。

音声DAISY

「録音図書」という言葉から最もイメージしやすいのが音声DAISYでしょうか。目次等のナビゲーションに係る部分のテキストデータは保持しますが、本文部分は本文を音訳した(視覚情報である本文を音声化した)音声データのみになります。音声ファイルを保持しているので、ファイルサイズは大きくなります。「DAISY」という名称が、もともと”Digital Audio-based Information SYstem”であったように、当初は録音図書テープではできなかった録音図書のランダムアクセスを可能とするデジタル録音図書の規格として策定されたものでした。音声DAISYがもっとも歴史のあるタイプのDAISYになるかと思います。現在も日本では、音声DAISYが最も多く製作されています。

EPUB3で製作した「音声DAISY」(DAISY2.02からの変換。音声の再生は0:40あたりから)

マルチメディアDAISY

テキストDAISYと音声DAISYの特徴をあわせもったDAISYで、本文のテキストデータと読み上げ音声の両方をもち、音声を再生する際には以下のように本文テキストの該当箇所をハイライト表示させる機能を持っています。音声ファイルを保持しているので、ファイルサイズは大きくなります。マルチメディアDAISYは全盲の視覚障害者だけではなく、ロービジョン、発達障害、知的障害など通常の紙の書籍では読書するのに困難のある様々な方にも有用であるため、今後普及が期待されているDAISYです。


マルチメディアDAISY図書の「ごん狐」

2. DAISYのバージョン

DAISYにはDAISY2.02、DAISY3、DAISY4世代のEPUB3の3つのバージョンがあります。
DAISYのバージョンの図。DAISY2.02からDAISY3、続いて、DAISY4世代へ。DAISY4世代は交換フォーマットと配布フォーマットに分かれ。交換フォーマットはDAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)、配布フォーマットがEPUB

DAISY2.02

Recommendation, February 28 2001(DAISY Consortium)
URL: http://www.daisy.org/z3986/specifications/daisy_202.html非公式日本語訳
ファイル: SMIL1.0 + XHTML1.0 + CSS2.1 + 音声ファイル(MP3、PCMなど)など
目次ファイル:Navigation Control Center (NCC) document(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)
メタデータを格納しているファイル:Navigation Control Center (NCC)ドキュメント(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)

日本では、もっとも普及しているDAISYのバージョンがDAISY2.02です。
以下、DAISY2.02に関する仕様の概要です。

  • 必須ファイルは、1つのNavigation Control Center (NCC) document(ファイル名は”ncc.html”または”NCC.HTML”)と1つ以上のSMILファイル。
  • Navigation Control Center (NCC)ドキュメントとテキストコンテンツドキュメントファイル(本文部分のテキスト)はXHTML1.0に準拠したドキュメント。
  • SMILドキュメントはSMIL1.0に準拠したドキュメント。
  • CSS2.1仕様に付録として記載されているAudio CSS(ACSS)も使用可。
  • ルビ表示を含め、漢字などの読み情報を格納する機能はサポートされていない。
  • CDなどの媒体にいれて配布する想定だったためか、EPUBのようなZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットは特に規定されていない。
参考 DAISY 2.0

URL: http://www.daisy.org/daisy20.html日本語訳
ファイル:SMIL1.0 + HTML4.0 + CSS + 音声ファイル(MP3、PCMなど)など

DAISY2.02の前のバージョンとして、DAISY2.0があります。ファイルの構成はDAISY2.02とほぼ同じですが、テキストベースのコンテンツファイルのhtmlファイルが、DAISY2.0はHTML4.0となっています(DAISY2.02では、XHTML1.0)。現在、DAISYが2.0の仕様に基づいて製作されることはさすがにないと思われますが、過去に製作されたDAISYの中にはDAISY2.0のものが結構あるようです。AMISなど、DAISY2.02に対応しても、DAISY2.0には対応してないという再生ソフトがちらほらとあるようなので、再生環境の観点からそのままでの利用には課題があるようです。

ANSI/NISO Z39.86-2005 (DAISY3)

Approved April 21, 2005 by the American National Standards Institute
Reaffirmation approved April, 2012 by the American National Standards Institute
ANSI/NISO Z39.86-2005
URL: http://www.daisy.org/z3986/2005/Z3986-2005.html
ファイル: SMIL2.0 + XML1.0(DTBook XML) + CSS2.1+ 音声ファイル(MP3、PCMなど)+OPF+NCX など
目次ファイル:NCX(Navigation Control file for XML applications)ファイル
メタデータを格納しているファイル: Open eBook Forum Package File (OPF)

欧米圏では、このDAISY3が主に使用されているようです。DAISY 3という名称で知られていますが、米国の標準規格として認証されていますので、”ANSI/NISO Z39.86-2005″と呼ばれることも多いです。2012年に再確認(reaffirmed)されたので末尾に”R2012″がついて、”ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)”と表記されることもあります。名称にあるとおり、”ANSI/NISO Z39.86-2005″は2005年に承認されたものですが、”ANSI/NISO Z39.86-2005″の前のバージョンの仕様として2002年に承認された”ANSI/NISO Z39.86-2002″もあります。”ANSI/NISO Z39.86-2002″もDAISY3です。

米国では、個別障害者教育法(IDEA 2004)により、出版者は教科書などの教材のデータをNIMAS(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)というフォーマットで提出することが義務づけられています。そのNIMASにDAISY3のサブセットが採用されています。

なお、DAISY3の策定の経緯は、国立国会図書館が2003年に公開した図書館調査研究リポート『デジタル環境下における視覚障害者等図書館サービスの海外動向』の2章と3章の中でくわしく紹介されています。

DAISY3は、米国議会図書館の盲人・身体障害者全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)が米国情報標準化機構(National Information Standards Organization:NISO)を通じて開始したデジタル録音図書の標準化の検討にDAISYコンソーシアムが参加するという経緯で策定されたそうで、DAISYコンソーシアム内で策定されたDAISY2とは、策定の経緯が大きく異なるようです。

以下、DAISY3仕様の概要です。

  • パッケージファイルであるOPFファイルはOpen eBook Publication Structure 1.2仕様に準拠。
  • 目次ファイル:NCX(Navigation Control file for XML applications)ファイルはEPUB2でも採用されている。
  • DAISY XML(またはDTBook XML):DTBook XML要素セットを使用して記述されたXML1.0のテキストベースのコンテンツファイル。
  • DTBook XML要素セットを使用したコンテンツファイル(DAISY XML)はEPUB2でも使用可。
  • CSS2.1仕様に付録として記載されているAudio CSS(ACSS)も使用可。
  • ルビ表示を含め、漢字などの読み情報を格納する機能はサポートされていない(日本では、独自の実装でルビ表示を実現しているところがあるようですが、仕様上はサポートされていない)。
  • CDなどの媒体にいれて配布する想定だったためか、EPUBのようなZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットは特に規定されていない。

DAISY4世代(DAISY AIとEPUB3)

DAISY4世代は、製作者側がもつ交換フォーマットと、ユーザーが使用する配布フォーマットに分かれています。交換フォーマットがDAISY AI(Authoring and Interchange)で米国の標準規格として認証もされましたので”ANSI/NISO Z39.98-2012″と呼ばれます。配布フォーマットはEPUB 3です。

メタデータ、音声、本文データ、SMILなどを持った交換フォーマットDAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)から配布フォーマットであるEPUBと点字データ、拡大図書などに変換される図です

DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)

Approved July 9, 2012 by the American National Standards Institute
URL:http://www.daisy.org/z3998/2012/z3998-2012.html
ANSI/NISO Z39.98-2012

策定の経緯を含めて詳細は以下にまとめてあります。

DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)に準拠したファイルを少なくとも私はほとんど見たことがありません。DAISYコンソーシアムもEPUB 3 移行プロジェクトでEPUB3への移行は力入れているようですが、DAISY AIはあまり力を入れているように見えませんし、使用されている例があるのかもよくわかりません。NIMAS(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)がDAISY3からこちらに移行すると一気に使用されるようになるかもしれません。

EPUB 3

Recommended Specification 26 June 2014 by International Digital Publishing Forum ※
URL:http://idpf.org/epub/301
※EPUB 3.0は2011年10月11日勧告
ファイル:HTML5(XHTML5)+CSS2.1(と一部のCSS3)+SMIL3.0+音声や動画ファイル+OPF など
目次ファイル:EPUB Navigation Document(ファイル名は”nav.xhtml”とされていることが多い)
メタデータを格納しているファイル: パッケージドキュメントファイルのOPFファイル

EPUB3の特徴は主に以下の通りです。TTSサポートのところで触れているが、ruby要素、インラインSSML、PLSによっての読みの情報を格納できるようになりました。日本語コンテンツとしては非常に大きなことですね。

  • パッケージファイルであるOPFファイルはEPUB Publications 3.0.1に準拠。
  • 動画・音声ファイルのサポート。
  • SMIL3.0のサブセットが仕様に組み込まれ、テキストと同期した形で音声を再生することが可能になった(EPUB Media Overlays)。DAISYとしては、当たり前の機能ですが、EPUBとしては大きな機能の追加です(動画とテキストの同期は不可)。
  • MathMLのサポート。
  • JavaScriptのサポート。
  • Text-to-speechのサポート機能強化(ruby要素、CSS3 Speech Module、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)をサポート)。
  • 国際化対応(縦書きなどの日本語組版対応など)。
  • (EPUBとしては、当然のことであるが、)ZIPアーカイブ化して単一ファイルとしてカプセル化するコンテナフォーマットの仕様が「DAISY」としてはようやく盛り込まれた。

ちなみにEPUBで作れば、全てがDAISYユーザーが満足するアクセシブルなコンテンツになるかというとそうではありません。作り手がアクセシビリティを意識して製作する必要があります。DAISYコンソーシアムは、DAISYユーザーが満足するようなアクセシブルなEPUBを”Accessible EPUB“と呼び、一応、他のEPUBと区別しているようです。

8月 20

訳しました→DAISYコンソーシアムの音声DAISY的EPUBの作成ガイドライン

 前のエントリで紹介したDAISYコンソーシアムの音声DAISY的EPUBの作成ガイドラインを訳しましたので、公開します。

参考

8月 20

DAISYコンソーシアムが音声DAISY的EPUBの作成ガイドラインを公開

 DAISYコンソーシアムが音声のみのEPUB3出版物(音声DAISY的EPUB)の作成ガイドラインを公開しています。

 音声のみのEPUB3とは、以下の動画をみていただければわかりやすいのですが、DAISYで言えば、音声DAISYに相当するものです。音声DAISYからEPUB3に移行した姿というべきでしょうか。

 DAISYコンソーシアムはDAISYからEPUB3への移行プロジェクトを進めており、このガイドラインもその一環で作成されたものです。

5月のニュースですが、音声DAISYを作るDAISYコンソーシアムのOSS、Obiが3.5アルファ版で音声DAISY的なEPUB3の製作機能を実装しています。制作環境の整備が進められているのですね。

 なお、音声DAISYからEPUB3への変換は、DAISY2.02からでもDAISY3からでもDAISY Pipeline2を使用すれば、現在でも一応可能です。

7月 10

漫画の「音訳」(まんがDAISYの話)

「音訳」(おんやく)とは、文字情報や図表などの視覚情報を聴覚情報、つまり、音声に忠実に置き換える行為で、具体的には紙媒体の図書や雑誌をDAISYやテープという形式によって録音図書や録音雑誌にすることなどを指しています。視覚障害者等のための情報保障の手段の1つです。

 いわゆる「朗読」とよく混同されますが、視覚情報を忠実に音声に置き換えることが求められますので、本文のテキスト情報だけではなく、図や表、写真のような非テキスト情報に対してはその説明をする必要があります。また、同音異義語・記号等、文字、略称をただそのまま読んだのでは意味が正しく伝わらないものがありますので、意味がわかるよう、必要に応じて説明をつける、1文字ずつ読む、略称を元のフルネームに戻して読んだり等々を行う必要があります。繰り返しますが、視覚情報を忠実に聴覚情報に変換することが求められますので、誤読のないように読むことが求められます。日本語だと、漢字の読みの問題がありますので、読みの調査を含めた事前の調査が欠かせません。その資料の分野の知識をある程度を知っていなければ、これらの調査を行うこともできませんから、対象資料の専門性が高くなればなるほど難易度は高くなっていきます(例えば、医学系の書籍に掲載された画像に説明をつけることを想像していただけば・・・)。

 前置きが長くなってしまいました。ここからが本題漫画の音訳についてです。

 視覚情報を忠実に音声に置き換えることが求められる音訳ですが、対象が漫画になるとどうなるかという話を少々。漫画の音訳について日本ライトハウス情報文化センター「ワンブックワンライフ」で少し紹介されています。

近畿視情協録音製作委員会では、昨年から各施設がまんがの音訳に取り組んでいけるよう、読み方の要点や製作作業の流れなどを整理してきました。今回の録音分科会では、この報告がなされた後、まんが表現の基本について学びました。
まんが音訳は、絵と文字で表現されたものを音声化します。文章の読み上げと絵の説明の順序、絵の描写の説明の仕方(音訳者により個人差がある)、コマの変わり目やページの変わり目の案内方法など、さまざまな工夫が必要になります。説明が多すぎるとストーリーの流れが損なわれますし、少ないと内容が理解できにくくなるため、バランスが大切です。
 報告では利用者の感想も発表され、まんがの音訳に対する期待感が伝わってきました。また、10年以上前からまんが音訳に取り組んでいるグループN-BUNの方々にもお話を伺いました。原本から文章を抜き出し、絵の説明などを加えた「シナリオ原稿」を作成してから録音することなど、実際の作業について説明されました。
 後半の講義では、花園大学の畑先生による「まんがの読み方」の講義があり、まんが表現の基本について説明を受けました。まんがの紙面には「重要な情報」と「背景的な情報」があること。それらを判別するには、コマの位置や、コマ内部のレイアウトが関係していること。具体的には、ページがめくられる前後のコマが重要であることや、コマの内部では台詞と台詞の間(視線の通り道)に人物(表情)が描かれており、これらは重要な情報。それ以外の視線から外れやすいものなどは背景的な情報であることが多いなど、非常に興味深いお話でした。
 まんが表現の基本を学ぶことで、音訳の際、優先して伝えるべき情報が把握しやすくなり、聴きやすい録音図書の製作につながります。今後も各施設・団体で協力し、まんが音訳の基本ルールを作っていければよいと思いました。
from 日本ライトハウス情報文化センター「ワンブックワンライフ」2014年2月号

 他のジャンルの資料と同じような詳細な説明を漫画の絵に対して付すと、コマのテンポを損ねてしまうかもしれない。しかし、逆に説明を省きすぎると必要なコマの状況が伝わらない。コマの大きさにも意味がありますので、コマ割りをどのように音訳で表現するべきか。セリフの読み上げと絵の説明はどういう順序で行うべきか。擬音などの漫画独特の表現方法をどう音訳するか。などなど漫画ならではの苦労があるようです。

 ウェブや「サピエ図書館」を調べるとまんがDAISYを製作している機関はすでにいくつかあるようです。「ワンブックワンライフ」を読むかぎりまだまだ試行錯誤の段階なのかもしれません。漫画の音訳について詳しく知りたい。

7月 03

Internet ArchiveのOpen Libraryが360万点強のDAISY図書を提供しているようだ

以前、Internet Archiveブログで、プリントディサビリティの方が無料で100万点のDAISY図書を利用できるようになったという記事が掲載されました。2010年11月の話です。

タイトルごとに以下のようにEPUBやmobi形式ともにDAISY3形式のテキストDAISYがダウンロードできるようになっています。この選択肢の多さが素晴らしいです。
コンテンツのダウンロード部分のスクリーンショット。PDF、テキストデータ、EPUB、DAISY、mobi形式、Djvu形式でダウンロードできるほか、Kindleに送信する機能などが用意されている 2014-07-03 1.34.43

 テキストデータがあって、EPUBが作れるなら、EPUBに近いDAISY3形式のテキストDAISYも同時に提供することはそれほど難しいことではないと思いますが、今日(2014年7月3日)に確認したら、360万点を超えている。3年8ヶ月で約260万点増えたことになるのか・・。すごい・・。

Open LibraryのAccessible bookのスクリーンショット。2014年7月3日現在で3,663,755 works / 3,649,730 ebooksのコンテンツが提供できることが表示されている
 Accessible book (Open Library) 2014年7月3日現在

1日1000冊のペースで書籍をスキャニングして、それをテキストデータ化しているようです。英語の書籍とはいえ、古い書籍も結構あるのですが、このペースで校正はどうやっているのだろう。

 なお、上の360万点のうち、142万点は現代書籍であるため、暗号化されている”Protected DAISY”です。米国議会図書館の視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(Library of Congress National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)で利用者として登録された人でないと利用できません。米国議会図書館の視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(Library of Congress National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)によって提供されたコンテンツだそうです。

Open LibraryのProtected Accessible bookのスクリーンショット。2014年7月3日現在で1,446,009 works / 1,421,849 ebooksのProtected Accessible bookのコンテンツが提供できることが表示されている
 Protected DAISY (Open Library) 2014年7月3日現在

例えば、”Protected DAISY”である1955年刊の”Ovid”をダウンロードしようとすると以下の画面に遷移します。この画面でNLS提供のコンテンツであること、NLSのアカウントを保有する者でないと閲覧することをできないことを伝えています。

NLS提供のDAISYをダウンロードする前に表示される画面で、NLSのアカウントを保有する者でないと閲覧することができないことを伝えている
 例: DAISYをダウンロードする際に表示される画面

 最後になりますが、上のように紹介してしまうと、「アメリカすげー!それに比べて日本は・・・」という論調になりがちですが、

  • 英語はOCRの精度が日本語のそれを比べて高いこと(だから、書籍コンテンツをテキストデータ化しやすい)
  • 英語は日本語のように読みや分かちの問題がないので、合成音声による読み上げでも誤読もほとんどなくきれいに読み上げてくれ、テキストデータをそのままDAISYにしたテキストDAISYで利用に耐えうる

という点で、日本と事情が異なりますので、単純な比較は難しいところです。また、EPUB2とDAISY3は兄弟みたいなフォーマットですから、EPUBが提供できている環境からワンオプション(テキストDAISY)を追加することはさほど難しいことではないはずです。

とはいえ、この数はやはり凄いですね

※2014/7/8 修正
”Protected DAISY”の142万点を米国議会図書館の視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(Library of Congress
National Library Service for the Blind and Physically Handicapped:NLS)が提供したものであると紹介してしまいましたが、”Protected DAISY”はNLSが提供したものではなく、IA自身が用意し提供しているコンテンツでしたので、修正しました。この”Protected DAISY”は現在書籍をスキャニングしたものだそうで、著作権法上、利用できる対象を制限しなければならず、そのためにNLSのプログラムにのっかっているようです。

関連エントリ

6月 05

「DAISY 2.02仕様(2001年2月28日付勧告 日本語訳)」の日本語訳を公開します。

DAISY 2.02に対する理解が必要だと思いまして、仕様を少しずつ訳しながら読んでました。結果として8割ほど訳してしまいました。DAISY 2.0 の日本語訳はすでにありますが、2.02の日本語訳はまだないようですし、せっかくなので全部訳してみました。あくまで「一人輪読会」レベルのものですが、公開します。

 この日本語訳は、上で述べたように私自身のDAISY 2.02に対する理解のために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。

5月 29

Bookshareで個人ユーザーが最も早く簡単にアクセシブルな本を読む方法

DAISY図書などのアクセシブルコンテンツを集めた米国の電子図書館Bookshareを個人ユーザーが使う場合の、最も簡単で早い方法をBookshareブログが紹介しています(サポートチームによくされる質問なのでまとめたとか)。

 動画も公開されています。

 上の動画で紹介されるBookshareのWeb ReaderのUIがほとんどReadiumと同じなので、おや?と思ったのですが、調べてみたらやはりReadiumをベースとしたものでした。

 Bookshareでは、ReadiumをベースにDAISYも読めるように開発をしたのでしょうか。DAISYに対応しているかどうかも気になりますが、現行のReadiumは操作性から見てもまだDAISYユーザーが満足する機能がないように思えますので、Bookshare版では、そこもどのように拡張開発したのかが気になるところです。

#Benetech社のgithubリポジトリには、DAISY Pipeline 2のスクリプトも置かれていますので、もしかしたらビューワーに移す段階で、DAISYからEPUB3に変換しているのかもしれません。

 ちなみにBookshareで個人ユーザーが最も早く簡単にアクセシブルな本を読む方法は以下です。

  1. Google ChromeでBookshareにログインします。
    Bookshare_login
  2.  

  3. 読みたい本を検索します。
    bookshare_Search
  4.  

  5. 検索結果一覧の各書籍に表示される“Read Now”をクリックします。
    readnow
  6.  

  7. Chrome拡張プラグインのインストールが求められるので、インストールします(プラグインのインストールは最初だけです)。
  8.  

  9. 本が開きますので
    openbook

    openbook2

    TTSボタン開始ボタンを押して、読み上げをスタートさせます。
    tts

なお、Bookshareの個人会員登録の対象はそのサービスの趣旨から読書に障害を持つ方になっています。

5月 24

平成25年度マルチメディアデイジー教科書アンケート結果

 2月に行われたシンポジウム「デイジー教科書の現状、課題、そして将来に向けて」の資料の一部として日本障害者リハビリテーション協会が平成25年度に行ったマルチメディアデイジー教科書アンケートの結果が公開されています。

 
 マルチメディアDAISY教科書については、以下が参考になる。

関連エントリ

5月 01

EPUB3 からDTBook(DAISY XML)に変換するツールを作るNorwegian Library of Talking Books and Brailleのプロジェクト

EPUB3からDTBook(DAISY3のテキストコンテンツのためのXMLファイル)に変換するツールを作るプロジェクトをNorwegian Library of Talking Books and Braille(NLB)が進めています。DAISY Pipeline2のモジュールとして開発するようです。

EPUB3のコンテンツをDAISYに変換できれば、DAISYユーザーの使い慣れたDAISYのリーディングシステムでEPUB3由来のコンテンツを利用することもできるようになります。

このプロジェクトで作成するモジュールは、ガイドラインに従って厳密にマークアップされた北欧の図書館(NLBMTMCelia, NotaSBS)作成のEPUBからの変換を想定しているようです。ガイドラインから外れたEPUB3ファイルもDTBookに変換できるものになるかはまだ不明です。しかし、DTBookに変換できれば、そこからさらにDAISY2.02への変換も可能ですので、プロジェクトの進展を期待したいところです。

関連エントリ

3月 06

Daisy Online Delivery ProtocolをベースとしたDAISYオンライン配信プラットフォーム"Online Daisy "

(以前からあるようですが、メモとして。)

 ”Online Daisy “はベルギーの企業Pyximaが提供するDaisy Online Delivery Protocolをベースとした「DAISYオンライン配信プラットフォーム」です。

Online Daisy
 http://www.online-daisy.com/

 ウェブサイトでは、どのような機能があるかという話はあっても、どのようなコンテンツを保有しているかという紹介がされておりませんので、AmazonのKindle Storeのようなコンテンツを提供するウェブサービスではなく、そういうウェブサービスを提供する機関や企業に”Online Daisy “というソリューションを提供するという話のようです。

  このプラットフォームでは、DAISYコンテンツ(図書、雑誌、新聞)をWeb上からストリーミングで再生したり、デバイスに直接ダウンロードしたり、Podcastで自動的な配信をうけることができるとのことです。

 デモサイトが公開されており、どのようなサービスが利用できるかを試すことができます。