7月 22

IDPFがEPUBのアクセシビリティの要件をまとめた仕様とその実装方法集のドラフトを公開

IDPFがEPUBのアクセシビリティの要件をまとめた仕様のエディターズドラフトとその実装方法を解説したTechniquesのエディターズドラフトを2016年4月に公開しています。そして、この7月にはその第2版が公開されています。

 文書のタイトルに”Discovery”という文言があるように、アクセシブルなコンテンツを発見するためのメタデータの要件にも力点が置かれています。

 この両文書はW3Cの”Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0″とその関連文書である”Techniques for WCAG 2.0″の関係に相当するものを想定しているのでしょうね。

 IDPFはEPUB3のアクセシビティガイドラインを以下のように数年前から公開しています。

 これとの関係はよく分かりませんが、W3Cドキュメントの体裁に則った2016年に公開された仕様書に移行されることになるのでしょうか。たぶん。
 実際、要件とその実装方法を切り離した上のドキュメントのほうが全体的にすっきりしている気がする。

4月 24

TEDでのジェレミー・ハワード氏によるディープラーニングについてのスピーチ

2014年にTEDでジェレミー・ハワード氏がディープラーニングの可能性について話をしたものです。ディープラーニングについては、実は最近、気になり始めたばかりであまり詳しくはないのですが、これがそのすごさをわかりやすく伝えているなぁと思ったのでメモ。このトークから約2年が経ち、今はどうなっているのだろうか。

スピーチを文字に起こしたものも公開されています。

ジェレミー・ハワード: 自ら学習するコンピュータの素晴らしくも物恐ろしい可能性 | TED Talk Subtitles and Transcript | TED.com

コンピューターには「見る」だけでなく 「読む」こともでき 「聞く」ことによって理解できることも お見せしました そうすると「書く」ことだってできると言っても 驚かないかもしれません これは私が昨日 ディープ・ラーニング・ アルゴリズムで生成したテキストです こちらはスタンフォード大のアルゴリズムで 生成されたテキストです それぞれの画像を 説明する文が ディープ・ラーニング・アルゴリズムによって 生成されています アルゴリズムは「ギターを弾いている黒いシャツの男」を 前に見たことはありません 「男」を見たことはあり 「黒い」ものを見たことはあり 「ギター」を見たことはありますが このキャプションは画像に対して 新しく独自に作り出されたものです 書くことに関してはコンピューターは まだ人間に及びませんが 近づいています テストでは4回に1回は コンピューターの生成した文の方が好ましい — という結果になっています このシステムはできて まだ2週間しかたっていないので このまま行くと たぶん来年中には コンピューターアルゴリズムの成績が 人間を上回るのではと思います だからコンピューターは 書くこともできるのです

すごいですね。最近だと、facebookが代替テキストを自動生成する機能を実装することを発表しましたが、これの技術の応用でしょうか。

Facebook、AIを利用し画像の説明を生成–視覚障害者向けに自動代替テキスト機能を発表 – CNET Japan

 この話は、Googleがコンピューターに猫を認識させることに成功したという話ですが、コンピュータが個々を判別するのではなく、種類というものを概念として理解できるようになったということらしい。これなどは、文字認識のことを考えると、OCRの認識率の向上に劇的な効果がありそうな気がする。

この1年前にディープ・ラーニングが 「見る」こともできると知りました ドイツ道路標識認識ベンチマーク という奇妙な競技会で このような道路標識をディープ・ラーニングで 識別できることが示されました 他のアルゴリズムよりも 上手く識別できた というだけでなく このスコアボードにある通り 2位の人間より 2倍高い精度で 識別できたんです 2011年には コンピューターが人よりも 良く見ることができる事例が 生まれたわけです それ以来いろんなことが 起きています 2012年にGoogleが発表したんですが ディープ・ラーニング・アルゴリズムが YouTubeビデオを見て 1万6千台のコンピュータで 1ヶ月 データ処理した結果 コンピューターが「人」や 「猫」といった概念を 自分で学んだということです これは人が学習する方法に 近いものです 人は見たものを 教えられて学ぶよりは むしろそれが何なのか 自分で学んでいくものです 2012年にはまた 先ほど名前の出たジェフリー・ヒントンが 有名なImageNet競技会で 優勝しましたが これは150万の画像を 何の写真か 判別するというものです 2014年の時点で 画像認識の誤り率は 6%までになっています これも人間より高い精度です

ディープラーニングがアクセシビリティの領域に限定しても、大きな影響を与えることになるのではなりそう。人間が読むように書籍からスキャニングした画像データをOCRに書けなくても、コンピューターが画像の説明を含めてそのまま読んでくれるようになったりするのではないか。

2月 19

知的障害により文字を読んだり、読んだ内容を理解することに難しさをもつ人のための「わかりやすい情報提供のガイドライン」(全国手をつなぐ育成会連合会)

 全国手をつなぐ育成会連合会が立ち上げた「知的障害のある人の合理的配慮」検討協議会が「わかりやすい情報 提供のガイドライン」を2015年1月に公開しています。知的障害により文字を読んだり、読んだ内容を理解することに難しさをもつ人たちが、一般の人たちと同じように、さまざまな情報を得て、自分の生活を豊かに生きることを支援することを目的としたものです。

 
 日本語に不慣れな外国人や高齢者、子ども等への情報提供にも応用できます。具体例を含む詳細はガイドラインそのものをご覧いただきたいのですが、ガイドラインに掲げているものはどれも重要ですので、ガイドラインに上げられている要件を転載します。ガイドラインに掲載されている具体例は以下の2つが引用文献になっているため、図書館に関係するものになっています。

1.テキスト(文章)について

【具体的に書く】

  • 難しいことばは使わない。常とう語(ある場面にいつもきまって使われることば)を除いて、漢字が4つ以上連なることばや抽象的な概念のことばは避ける。
  • 具体的な情報を入れる。
  • 新しい情報を伝えるときには、背景や前提について説明する。
  • 必要のない情報や表現はできるだけ削除する。
  • 一般的にはあたりまえのことと思われても、当事者にとって重要で必要だと考えられる情報は入れる。

【複雑な表現を避ける】

  • 比喩や暗喩、擬人法は使わない。
  • 二重否定は使わない。
  • それぞれの文章に重複した「のりしろ」を付ける(指示語を多用せず、あえて二度書く)。
  • 名称等の表記は統一する。

【文章の構成をはっきりさせる】

  • 手順のある内容は、番号をつけて箇条書きで記述する。
  • 大事な情報は、はじめにはっきりと書く。
  • 一文は一つの内容にする。内容が二つある場合は、三つの文章に分ける。
  • 話の展開は、時系列に沿う。
  • 接続詞はできるだけ使わない。

【表記】

  • 横書きを基本とする
  • 一文は 30 字以内を目安にする。
  • 常とう語は、そのまま用いる。
  • 常とう語を除く単語には、小学校2~3年生までの漢字を使い、漢字にはルビをふる。
  • アルファベット・カタカナにはルビをふる。
  • なじみのない外来語はさける。
  • 漢数字は用いない。また時刻は 24 時間表記ではなく、午前、午後で表記する。
  • はっきりとした見やすい字体(ゴシック体)を使う。

2.レイアウトについて

  • 文字は、12ポイント以上のサイズを使う(ルビは該当文字の上部に半分程度のポイントで記述する)。ただし、サイズにこだわるあまり見やすさを失わせない。
  • テキストを補助するために、内容を表す絵記号(ピクトグラム)を使う。
  • テキストを補助するために、内容を表す写真や絵を使う。
  • 本や冊子は、できるだけ見開き2ページで1つの事柄が完結するように書く。
  • 意味のある単位でわかちがきにする。
  • 行間をあける。・一つの文がまとまって見られるように改行する。
  • 必要に応じて、枠外等に用語や概念の補足説明を加える。
  • もっとも伝達したいことやキーワードは、色分けや太字、囲みなどで強調する。
  • 主語は省かない。

3.伝達手段

  • 紙ベースの著作物は音声でも聞けるように、パソコンや電子図書やマルチメディアデイジー※2等で利用できるようデジタルデータに変換して、聴覚的な情報を併用することが望ましい。
  • 紙ベースの著作物は、口頭で補足説明することが望ましい。

4.注意事項

  • 読む能力、聞く能力には個人差があるので、個人の障害特性に配慮する。
  • 対象者の年齢を尊重し、年齢に相応しいことばを使う(子ども向けの表現は避ける)。
2月 15

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のオンラインサービスLegimusなど

 DAISY Consortiumは今年で20周年を迎えるのだそうです。そして、昨年、2015年6月の理事会で、スウェーデンのMTM(Swedish Agency for Accessible Media)のJesper Klein氏がDAISY Consortiumの新しい会長(Chairman of the Board)に選任されています。38歳。若い。

 で、前置きが長くなってしまいましたが、そのJesper Klein氏が、以下の記事でDAISY Consortiumが今年で20周年を迎えることを紹介しつつ、所属するMTMの活動について紹介していました。MTMの最近の活動がよくまとまっていますので、この記事を箇条書きで要点をまとめてみました。

スウェーデンの概要

  • スウェーデンの人口:あまり多くない。980万人。移民が160万人と移民が占める割合が大きい。
  • インターネット利用率:世界でももっとも高い国の1つ
  • DAISY規格が生まれた国でもある。
  • MTMのターゲットである視覚障害者とディスレクシアは人口のおおよそ6パーセント、つまり、約60万人。この60万人に含まれない知的障害、認知障害などもMTMのターゲットになると思われるが、正確な数は分からない。

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のオンラインサービスLegimus

  MTM(Myndigheten för tillgängliga medier : 英語でSwedish Agency for Accessible Media)

  • MTMのアクセシブルな資料を提供するサービス、Legimus(http://www.legimus.se/)
  • コンテンツの提供インターフェイスは、ウェブサイト。iOSアプリや、Androidアプリ、DAISY配信プロトコルを用いたサービス
  • Legimusの登録ユーザー数は10万人(スウェーデンの人口の約1%)
  • 提供するコンテンツ数は、2016年初めで肉声で読み上げ録音したスウェーデン語のDAISY図書111,181点。全て無料で提供されている
  • 2014年は、その年にスウェーデン語で刊行された市販本(trade books)とテキストブックの約25%の録音図書を追加することができた。
  • その録音のほとんどが、商用のオーディオブックで朗読する俳優のような有名人ではないが、熟練した音訳者に読み上げによるもの。

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のその他

  • Legimusのオンラインサービス以外に、CDベースのサービスを図書館経由で利用しているものが、高齢の視覚障害者を中心に2万から3万人いる。
  • Legimusの利用者10万人とあわせると、MTMは13万人の利用者を持つことになる。ターゲットとなる人口の60万人の21.7%だ。
  • なぜ、たった21.7%しかいないのか。Klein氏は以下の4つの理由を挙げている。
    • ロービジョンやディスレクシアの人で、聞いて読書するよりがんばって目で読むほうがよい人は、大活字本を含む印刷した書籍、PDFやEPUB2で刊行された商用の電子書籍を読んでいる。
    • 読書をする習慣がそもそもない人がいる。
    • 多くのプリントディスアビリティのある人にまだサービスが知られていない。
    • 既存のオーディオブックサービスがベストセラーのタイトルを押させており、それで十分にニーズが満たせている。
2月 07

読み上げソフトユーザーへの情報保障のためのプレーンテキストデータの書き方について

 何かを例えば、wordやPowerPointのファイル、PDF形式のファイルなどで送ったり、提供したり、公開したりする場合で、さらに提供する人に視覚障害者などの読み上げソフトを利用する方が含まれている場合には、同じ内容のプレーンテキストファイルも作成して提供することがあります。その際に気をつけていることを何点か思いつくところを参考までにまとめてみました。
 
 あくまで私のやり方でして、これが正解というものではないとは思いますし、いつも全てをやっているわけでもありません。対象となる人が限定されるなら、その人のICTスキルに応じての話になりますし、幅広い層の不特定多数の人を対象にホームページ上で公開するとなった場合は、それなりに労力をさくという感じでケースバイケースです。この中からできるところからやれるとよいのかもしれません。

 プレーンテキストデータの書き方については、毎回迷いながらやっていますので、ご意見いただけると嬉しいです。

1.読み上げソフトで誤読を誘発しない言葉を選択する。

 読み上げソフトで誤読を誘発しない言葉を選択します。言うは簡単ですが・・。

例えば、日付や時刻で

2016/2/7(日)13:30〜16:00

と書きがちですが、以下のように

2016年2月7日(日曜日)13時30分から16時まで

とか。

見栄えや幅を揃えるために、以下のように日時の日と時の間にスペースをいれてしまいがちですが、

日 時
連絡先

「日 時」を「にちじ」とは読んでくれないので、

日時
連絡先

など。

 読み上げソフトがインストールされているのであれば、一度実際に聞いて確認するのがベストかと思います(私もそれほどやれているわけではありませんが・・・)。
 例えば、「視覚障害のある方」の「ある方」という言葉、「のあるかた」と読んで欲しいのですが、「あるほう」と読んだりして、意外な単語を誤読しています。後で知ると結構焦ります。「市町村立」を「しちょうそんりつ」と読まずに、「いちまちそんりつ」と読んだりなどしてたりしますので。

※2016年2月10日追記
 ここについては、以下のようなご意見をいただきました。
・漢字の誤読について、そこまで配慮されていると助かる面もあるが、「ある方」が「あるほう」などよくある誤読は、もう慣れっこになっており、間違って読まれても脳内補完できるという人は多いのでは。
・日付の書き方については、文書内で一貫していれば、yyyy/mm/ddで問題ない
・人名や地名が振り仮名で表記されていれば助かる。

2.読みを補記する

 誤読をすることが分かっている場合でも、固有名詞など、その言葉を使用せざるを得ない場合があります。しかも、誤読されると文章の意図もきちんと伝わらない場合です。分かる範囲になりますが、読みの情報を一応補記するようにしています(できる範囲で)。

 例えば、ブラウザのFirefoxのような、英語の造語でしょうか。Firefoxを「フィレフォックス」と読む読み上げソフトもありますので、この場合は、「Firefox(ファイアフックス)」と単語の後ろに括弧でくくって読み情報を補記するなどしています。日本語の漢字であれば、誤読があっても一字読みで漢字を確認することで一応救われることもありますが、英語はそれもできませんので(アルファベット一文字一文字を読み上げることも可能かもしれませんがとはいえ・・)、英語の造語については特に気をつけています。

※2016年2月10日追記
 これに関連して、「Word」や「PC-Talker」は「ワード」「ピーシートーカー」とカタカナ表記にしているという意見もありました。年配の人だと、英語読みではとまどうこともあるとのことです。そういえば、場合によっては私も「DAISY図書」を「デイジー図書」、「PC-Talker」を「PCトーカー」などのようにカタカナ表記することがあります。
 カタカナ表記については、他の人から正式な表記を知りたいという欲求もあるので、最初に登場するときは、正式な表記とカタカナヨミを併記するのがよいのではないかと意見もいただきました。
  

3.URLやメールアドレスはそれだけを一行で表記する

 例えば、URLなどは以下のように見出しとURLなどを一行でまとめて書きがちです。
URL: http://code.kzakza.com/

これで取り返しの付かない問題になるというわけでもないのですが、上の書き方だと、エディタによっては、「URL:」からリンクを貼っていることもありえますし、読み上げソフトを使用しながら、「http://code.kzakza.com/」だけコピーすることも面倒な気がします。上の書き方をしていて実際、リンク先に飛べなかったという話も何度かいただいたことがありますので、

URL
http://code.kzakza.com/

のほうがよいような気がします。メールアドレスも同じ。

4. 文字コードはShift-JISにする

 これは特に根拠ありません。UTF-8で作成すると文字化けをするという話を何度かいただいたことがあるのでというだけの経験則による話です。これは、そんなことはないよと言われる人は多いかもしれません。

※2016年2月10日追記
これについては以下のようなご意見をいただきました。
・Shift JisのプレーンテキストデータをiOS上で開くと、文字化けを起こしやすい(確かにある!Mac OS上でも同じかもしれない)、海外製のアプリで開く場合ある、ということから、UTF-8のほうがよいというご意見をいただきました。
・UTF-8で概ね問題ないような印象ですが、BoMがないと化けることある

5.ドキュメントが大部になる場合は、章単位などの意味ある単位でファイルを分割する

 プレーンテキストデータは、構造化はされていませんので、HTMLドキュメントのように見出しでスキップしたり、ページ内リンクを活用した目次を冒頭に置くなどで意味ある単位で移動するということもできません。報告書のように紙の資料で数十ページにのぼるような長文になる場合は、最初からずっと目的の箇所まで読み上げるか全文検索で移動するしかありません。そのため、ナビゲーションの意味で、章単位などの意味ある単位でファイルを分割することで、ファイル単位で目次に相当する移動をできるようにします。ファイル数が多くなる場合は、それらをフォルダにいれて、zipで固めてお渡しすることもあります。

6. 図の説明を加える

 PDF版やword版などに図が入っている場合は、その図の説明をつけています。HTMLでの代替テキストと同じです。

7.表を線形のテキストに置き換える

 縦の項目と横の項目を組み合わせて理解する必要のある二次元的なコンテンツである表については、これというものが実はありません。複雑な表や大きな表だとどうしようかといつも迷います。しかし、以下のようにシンプルで小さな表であれば、線形、つまり、最初から順番に読んでいって理解しやすい形式に置き換えることがあります。

(例)

国の行政機関等 地方公共団体 民間事業者
障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止 義務 義務 義務
環境の整備(事前的改善措置) 努力義務 努力義務 努力義務
合理的配慮の提供 義務 義務 努力義務

 
これを以下のようなテキストに置き換えます。つまり、縦と横の見出しを1行でそれぞれ読むという感じでしょうか。

障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止、国の行政機関等は義務、地方公共団体は義務、民間事業者は義務
環境の整備(事前的改善措置)、国の行政機関等は努力義務、地方公共団体は努力義務、民間事業者は努力義務
合理的配慮の提供、国の行政機関等は義務、地方公共団体は義務、民間事業者は努力義務

これはいつもやれているわけではありません。表の数と大きさ次第でしょうか・・。

8. ある程度全体像が予測しやすいように配慮する

 読み上げソフトユーザー、というより、この場合は、特に視覚障害者に当てはまるかも知れませんが、全体の長さや構成などの全体像をぱっと視覚的に把握することが難しいため、線形でコンテンツを読んである程度全体像が予測できるように説明を追加しています。短ければよいのですが、長いといつ終わるか分からない文章を読まされるのは誰でもしんどいと思いますので。

 例えば、アンケートであれば、全体で質問はいくつある(例1)、ということや、個々の質問の中でも選択式のものであれば、質問文の最後に選択肢は4つある(例2)ということを伝えることなどでしょうか。

例1 質問は全部で20問です。次の5つのセクションに分かれています。
例2 次の選択肢からお選びください。選択肢は4個で、複数の回答が可能です。

11月 11

「ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)(いわゆるDAISY 3)(2005年4月21日付承認)」の仕様の日本語訳を公開します。

ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)、いわゆるDAISY3の仕様の日本語訳を公開します。私自身のDAISY 3に対する理解のために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。

 DAISY3については、DAISYの各バーションを紹介した以下のエントリをご参照ください。

DAISY3には関連ドキュメントがまだあるので、これで十分というわけではないのですが、DAISY2.02はすでに翻訳済みで、EPUB3の仕様一式はIMAGEDRIVEさんが翻訳してくださっていますので、DAISYの各バージョンの日本語訳が一応、一通りそろったことになるのかな(DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)は見なかったことにしてる、使われているのを見たことがないので…)。

参考

10月 10

障害者差別解消法とウェブアクセシビリティ

 障害者差別解消法とウェブアクセシビリティについて。

 障害者差別解消法とか、合理的配慮については、以下をまずは以下のエントリをご覧ください。

 ウェブサイトのアクセシビリティの改善も、当然、障害者差別解消法の対象になりますが、基本的に障害者差別解消法でいうところの「環境整備」に該当するものになります。

 しかし、ウェブアクセシビリティに関係するケースでも、例えば以下のようなケースは合理的配慮の提供が求められるケースになるかと思います。

  • 特定のページについて、アクセシビリティに問題があり、障害者から改善を求められ、過度の負担なく改善できる場合(たとえば、テキストエディタでHTMLの編集をすれば改善する場合)
  • PDFや画像で提供されている特定のコンテンツについて、それではスクリーンリーダーで読み上げができないからと障害者からテキストデータの提供を求められた場合

 以下のような事例は、合理的配慮の提供がなされない場合、スクリーンリーダーユーザーを排除してしまっていることになり、民間事業者も禁止事項とされている障害を理由とする不当な差別的取扱いになってしまうかもしれない。

  • (あってはならないことだが)CAPTCHAのように画像による認証方法を用いていて、代替手段を提供していなかった場合

 このテーマについては、石川准先生が言うべきことおっしゃっているので、こちらをご参照ください。

8月 18

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)(テキスト形式)

 先のエントリにおいて、表形式で公開した「図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)」のテキスト版です。こちらのほうがスクリーンリーダーによる読み上げでもわかりやすいだろうということで、作成してみました。内容は表形式のものと同じです。

参考 表形式版

 各年ごとにその年に起こった出来事を図書館関係、点字図書館関係、著作権法関係、その他で分類してあります。

 年表中のリンクは、該当する機関や団体のホームページへのリンクだったり、関連する参考資料へのリンクです。

年表(1825年から2016年まで)

1825年

(その他)
  • ルイ・ブライユがアルファベットの6点式点字を開発

 

1854年

(その他)
  • ブライユ式点字がフランスで正式に採用

1880年(明治13年)

(図書館・点字図書館関係)
  • キリスト教宣教師ヘンリー・フォールズ、築地病院に「盲人図書室」を設置(日本における施設としての障害者への情報提供の最初の事例?)

1890年(明治23年)

(その他)
  • 石川倉次が日本語の6点式点字を考案、同年に東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で採用

 

1901年(明治34年)

(その他)

 

1916年(大正5年)

(図書館関係)
  • 東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の学生である加藤梅吉が自身が所蔵する点字図書200冊を東京市立本郷図書館に寄託。それを受けて、東京市立本郷図書館は点字文庫開設(公共図書館による障害者への情報提供の嚆矢)

 

1922年(大正11年)

(点字図書館関係)
(その他)

 

1931年(昭和6年)

(その他)

1932年(昭和7年)

(点字図書館関係)
  • 岩橋武夫、自宅にて点字図書貸出事業を開始

1933年(昭和8年)

(図書館関係)
  • 第27回全国図書館大会で「点字図書及盲人閲覧者の取扱」というテーマで障害者への情報提供が取り上げられる。

 

1934年(昭和9年)

(その他)

 

1936年(昭和11年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、世界で13番目のライトハウとして公認される(4月)

 

1937年(昭和12年)

(その他)
  • ヘレン・ケラー、来日

 

1940年(昭和15年)

(点字図書館関係)

 

1948年(昭和23年)

(点字図書館関係)
  • 日本盲人図書館、「日本点字図書館」と名を改める(4月)
(その他)

 

1949年(昭和24年)

(点字図書館関係)

 

1950年(昭和25年)

(図書館関係)
  • 図書館法公布

 

1953年(昭和28年)

(その他)

 

1955年(昭和30年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始(1月)
(その他)
  • ヘレン・ケラー、3度目の来日

 

1957年(昭和32年)

(点字図書館関係)
  • 国際基督教奉仕団(現・日本キリスト教奉仕団)テープライブラリ発足(2月)
  • 厚生省が点字図書館設置基準暫定案を作成(3月)

 

1958年(昭和33年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館が録音図書の製作を開始し、「声のライブラリー」を設置

 

1959年(昭和34年)

(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、「声の図書館」(テープライブラリー)を開設。

 

1961年(昭和36年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館・日本ライトハウス、厚生省委託声の図書製作・貸し出し事業開始。
  • 日本点字図書館、「声のライブラリー」を「テープライブラリー」と改称(4月)
(その他)
  • 郵便法改正(盲人用郵便が無料化)

 

1963年(昭和38年)

(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始

 

1967年(昭和42年)

(その他)
  • 京都で視覚障害学生と点訳サークル学生を中心に関西SL(Student Library)発足(4月)

 

1969年(昭和44年)

(図書館・点字図書館関係)
  • 国立国会図書館と東京都立日比谷図書館に対して、日本盲大学生会・関西SL等が図書館蔵書の開放運動を行う。

 

1970年(昭和45年)

(図書館関係)
  • 東京都立日比谷図書館、視覚障害者サービスを開始(4月)
(著作権法関係)
  • 旧著作権法を全部改正した著作権法(①)公布。37条(点字による複製等)等を新たに規定(5月)
(その他)
  • 日本盲大学生会・関西SL等が視覚障害者読書権保障協議会(視読協)結成(6月)

 

1971年(昭和46)

(図書館関係)
(その他)
  • 著作権法(①)施行(4月)

 

1972年(昭和47年)

(点字図書館関係)
  • 京阪神点字図書館連絡協議会発足(参加4館) (6月)

 

1973年(昭和48年)

(その他)

 

1974年(昭和49年)

(図書館・点字図書館関係)
  • 京阪神点字図書館連絡協議会から近畿点字図書館研究協議会が発足(近点協)に(参加12館、うち公共図書館2館)(11月)
(図書館関係)
  • 大阪府立夕陽丘図書館開館、対面朗読サービスや郵送貸出を開始(5月)
  • 全国図書館大会で初めて障害者サービスの分科会「身体障害者への図書館サービス」が設置される(11月)

 

1975年(昭和50年)

(図書館関係)
  • 公共図書館の録音サービスが日本文芸著作権保護同盟から、著作権侵害と指摘する新聞記事報道(『愛のテープは違法の波紋』報道)(公共図書館における録音図書の製作が著作権者の許諾を取らなければ行えないということが明確に)(1月)
  • 国立国会図書館、学術文献録音サービス開始(10月)

 

1977年(昭和52年)

(点字図書館関係)
  • 第1回点字図書館館長会議(東京)開催

 

1978年(昭和53年)

(図書館関係)
  • 日本図書館協会(JLA)、障害者サービス委員会設置(最初から関東小委員会と関西小委員会があった)(4月)

 

1979年(昭和54年)

(その他)
  • IFLA/RTLB(盲人図書館会議)発足

 

1981年(昭和56年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • 全国点字図書館協議会、発足(4月)
  • 全国点字図書館長会議、「点字・録音・拡大資料の相互貸借に関する申し合せ」決議(11月)
(その他)

 

1982年(昭和57年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」(冊子体)を刊行開始(3月)

 

1984年(昭和59年)

(その他)

 

1986年(昭和61年)

(図書館・点字図書館関係)
  • IFLA、東京で世界大会開催(8月)
(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録データベース(AB01)」提供開始。国会、行政・司法の各支部図書館、都道府県立・政令指定都市立図書館のほか、一部の点字図書館にオンラインで提供を開始。
(点字図書館関係)
  • 近点協、「製作資料の着手情報システム(NLB)」を開始(3月)
(その他)

 

1987年(昭和62年)

(その他)
  • 点訳絵本/点訳入りFDの郵送料が無料になる(8月)

 

1988年(昭和63年)

(点字図書館関係)
  • 日本IBMが点訳オンラインサービス「IBMてんやく広場」開始
(その他)
  • スウェーデン国立点字録音図書館(TPB)がデジタル図書開発を計画

 

1989年(平成元年)

(図書館関係)

 

1990年(平成2年)

(点字図書館関係)
(その他)
  • スウェーデンのラビリテンテン社、DAISYの開発に着手
  • 米国でADA法案可決(5月)

 

1991年(平成3年)

(図書館・点字図書館関係)
  • IFLA視覚障害者セミナーを東京(東京大学安田講堂、国立国会図書館東京本館新館講堂など)で開催(1月)

 

1993年(平成5年)

(点字図書館関係)
  • 運営を日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)点字図書館部会 特別委員会が引き継ぎ、「IBMてんやく広場」から「てんやく広場」に改名
(その他)
  • 障害者基本法公布

 

1994年(平成6年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託事業として、「点字図書情報サービス事業」(点字図書・録音図書目録の一括化)を開始(1月)。
  • てんやく広場、国立国会図書館点字図書・録音図書総合目録(AB01)のデータを借り受けてテスト稼働(11月)
  • 第19回全国点字図書館大会(この年から「全国点字図書館長会議」が「全国点字図書館大会」に)
(その他)
  • 『障害者白書』が刊行される(12月)

 

1995年(平成7年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「NDL CD-ROM Line点字図書・録音図書全国総合目録」頒布開始
(点字図書館関係)
  • てんやく広場、1994年の点字図書・録音図書全国総合目録データのテスト稼働をもとにオンラインリクエストの試行を開始(2月)
  • 日本点字図書館と東京都公共図書館の蔵書目録を搭載した「NIT(ニット)」に国立国会図書館の点字図書・録音図書全国総合目録のデータを搭載し、ニットプラスと改称(6月)
(その他)
  • シナノケンシがデジタル録音図書の試作一号機を開発

 

1996年(平成8年)

(図書館関係)
  • 新しくオープンした大阪府立中央図書館が児童室の場所を「視覚障害児のためのわんぱく文庫」に提供
(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託点字図書近代化事業を受け、点字資料のデジタル化を開始(5年間)(4月)
  • 全国点字図書館協議会、全国視覚障害者情報提供施設協議会に名称変更(11月)
  • 日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)、点字図書館部会の名称を「情報サービス部会」に変更
(その他)
  • DAISY Consortium設立

 

1997年(平成9年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
(その他)
  • DAISY Consortium、DAISY 2.0の仕様を公開
  • IFLA盲人図書館会議で DAISYがデジタル録音図書の標準規格になることが決定(8月)

 

1998年(平成10年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館の「点字図書・録音図書全国総合目録」の冊子体が34号(1997年2号)で終刊
(点字図書館関係)
  • 「てんやく広場」を全視情協に移管(7月)
  • 「ないーぶネット」に名称を変更(9月)
(その他)

 

1999年(平成11年)

(点字図書館関係)
  • 全国視覚障害者情報提供施設協議会、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)に名称変更(6月)
  • 日本点字図書館と全視情協と協議の結果、類似した2つのサービスである日本点字図書館の「ニットプラス」と全視情協の「ないーぶネット」を一本化し、「点字図書情報ネットワーク整備事業」として、両者の協力のもとに全視情協が運営する「ないーぶネット」の構築を行うことで合意(12月)
  • 日本ライトハウス、DAISY図書製作・貸出開始
  • 日本点字図書館、DAISY図書(デジタル録音図書)の貸出開始

 

2000年(平成12年)

(著作権法関係)
  • 著作権法改正(②)。点字の公衆送信が可能になり、著作権法第37条の2(聴覚障害者のための自動公衆送信)が新たに規定される(5月)

 

2001年(平成13年)

(図書館関係)
  • 文部科学省、公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準に障害者サービスをはじめて明記
(点字図書館関係)
  • インターネット版ないーぶネット(総合ないーぶネット)本格運用を開始。Web上からの貸出申し込みが可能に(4月)
(著作権法関係)
  • 著作権法(②)が施行(1月)
(その他)
  • シナノケンシが、DAISYのインターネット配信実証実験
  • DAISY Consortium、DAISY 2.02の仕様を承認(2月)
  • DAISY Consortium、DAISYの正式名称を”Digital Audio-based Information SYstem”から” Digital Accessible Information SYstem”に変更(12月)

 

2002年(平成14年)

(その他)

 

2003年(平成15年)

(図書館関係)
  • 「図書館等における著作物等の利用に関する当事者協議」開始(1月)
  • 国立国会図書館、点字図書・録音図書全国総合目録をNDL-OPACにおいてインターネット公開(1月)
  • 大阪府立中央図書館、録音図書ネットワーク配信事業開始(4月)
(その他)
  • 郵政公社発足。盲人用郵便物の表示が「盲人用」から「点字用郵便物」に変更(4月)

 

2004年(平成16年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • DAISY配信サービス「びぶりおネット」が日本点字図書館と日本ライトハウス盲人情報文化センターにより開始(4月)
(その他)
  • DAISY再生機器が「日常生活用具給付制度」の給付対象に(4月)
  • 障害者基本法改正(6月)

 

2005年(平成17年)

(点字図書館関係)
  • 録音図書ネットワーク製作事業「びぶりお工房」本格運用開始(4月)
  • 「びぶりおネット」に点字データ配信サービスを追加(10月)

 

2006年(平成18年)

(著作権法関係)
  • 著作権法(③)改正。これにより点字図書館は、視覚障害者向けの録音データの公衆送信可能になる(12月)
(その他)
  • 障害者権利条約採択(6月)

 

2007年(平成19年)

(著作権法関係)
  • 著作権法③施行(7月)

 

2008年(平成20年)

(点字図書館関係)
(その他)
  • 教科書バリアフリー法施行(9月)

 

2009年(平成21年)

(図書館関係)
  • 「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾終了(12月)
(点字図書館関係)
  • びぶりおネット個人ユーザーへのダウンロードサービス開始(2月)
  • 平成21年補正事業で、厚生労働省の委託事業として、日本点字図書館が「視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業」を受託。「ないーぶネット」と「びぶりおネット」を統合した「視覚障害者情報提供ネットワーク(サピエ)」を構築(11月)
(著作権法関係)
  • 著作権法(④)改正。視覚障害者「等」のために録音図書に限定されず、必要な方式で製作できることに、また、点字図書館だけではなく、図書館等も複製の主体になる。また、第三十七条の二が全部改正され、(聴覚障害者等のための複製等)に(6月)

 

2010年(平成22年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
(著作権法関係)
  • 著作権法(④)施行(1月)
(その他)
  • 特定非営利活動法人大活字文化普及協会が専門委員会としての読書権保障協議会設置(12月)

 

2011年(平成23年)

(図書館関係)
(その他)
  • 障害者基本法改正(8月)
  • IDPF、EPUB 3の仕様を勧告(10月)

 

2012年(平成24年)

(その他)

 

2013年(平成25年)

(その他)
  • 盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティ(印刷物を読むことが困難)のある人々の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約採択(6月)
  • 障害者差別解消法成立(6月)

 

2014年(平成26年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「視覚障害者等用データの収集及び送信サービス」開始(1月)
  • 「視覚障害者等用データ送信サービス」と「サピエ図書館」のシステム連携。「視覚障害者等用データ送信サービス」のコンテンツが「サピエ図書館」から利用可能に。(6月3日)
(その他)
  • 日本、障害者権利条約の批准書を寄託(1月。2月に効力が発生)

 

2016年(平成28年)

(その他)
  • 障害者差別解消法施行(4月)

主な参考文献

図書館関係

点字図書館関係

DAISY

8月 11

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)(表形式)

 施設としての障害者への情報提供の歴史について、年表形式でまとめてみました。

※2016/8/18 追記
同じ内容のものをでテキスト版としても作成してあります。読み上げ等で利用したい場合はこちらのほうがよいかもしれません。
テキスト版

 年表中のリンクは、該当する機関や団体のホームページへのリンクだったり、関連する参考資料へのリンクです。

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)
図書館関係 点字図書館関係 著作権法 その他
1825年 ・ルイ・ブライユがアルファベットの6点式点字を開発
1854年 ・ブライユ式点字がフランスで正式に採用
1880年
(明治13年)
・キリスト教宣教師ヘンリー・フォールズ、築地病院に「盲人図書室」を設置(日本における施設としての障害者への情報提供の最初の事例?)
1890年
(明治23年)
・石川倉次が日本語の6点式点字を考案、同年に東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で採用
1901年
(明治34年)
石川倉次の考案した点字が官報に「日本訓盲点字」として公示(4月)
1916年
(大正5年)
・東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の学生である加藤梅吉が自身が所蔵する点字図書200冊を東京市立本郷図書館に寄託。それを受けて、東京市立本郷図書館は点字文庫開設(公共図書館による障害者への情報提供の嚆矢)
1922年
(大正11年)
・ 岩橋武夫、大阪の自宅で点字出版を開始(日本ライトハウスの創業) ・大阪毎日新聞社(現・毎日新聞社)が「点字大阪毎日」(現・点字毎日)創刊
1931年
(昭和6年)
・米国でプラット・スムート法成立。これを受けて米国議会図書館は、障害者サービス部門である視覚障害者および身体障害者のための全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped : NLS)設置し、成人の視覚障害者を対象とした全国的な貸出しサービスが開始。
・IFLAでSub-committee on Hospital Libraries(病院図書館小委員会)が設置される(後のIFLA/LSN。)
1932年
(昭和7年)
・岩橋武夫、自宅にて点字図書貸出事業を開始
1933年
(昭和8年)
・第27回全国図書館大会で「点字図書及盲人閲覧者の取扱」というテーマで障害者への情報提供が取り上げられる。
1934年
(昭和9年)
米国でLPレコードのトーキングブック(録音図書)が発明される
1936年
(昭和11年)
東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の卒業生が帝国図書館に点字図書144冊を寄贈(10月)
『帝国図書館報』第29冊第12号に点字図書の書誌が掲載される
・日本ライトハウス、世界で13番目のライトハウとして公認される(4月)
1937年
(昭和12年)
・ヘレン・ケラー、来日
1940年
(昭和15年)
・本間一夫、日本盲人図書館(後の日本点字図書館)を創立(11月)
1948年
(昭和23年)
・日本盲人図書館、「日本点字図書館」と名を改める(4月) ・ヘレン・ケラー、2度目の来日
日本盲人会連合(日盲連)発足(8月)
1949年
(昭和24年)
身体障害者福祉法公布。更正養護施設として点字図書館を規定。公共図書館にあった多くの点字文庫が点字図書館として切り離される契機に。
1950年
(昭和25年)
・図書館法公布
1953年
(昭和28年)
日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)発足(9月)
1955年
(昭和30年)
・日本点字図書館、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始(1月) ・ヘレン・ケラー、3度目の来日
1957年
(昭和32年)
・国際基督教奉仕団(現・日本キリスト教奉仕団)テープライブラリ発足(2月)
・厚生省が点字図書館設置基準暫定案を作成(3月)
1958年
(昭和33年)
・日本点字図書館が録音図書の製作を開始し、「声のライブラリー」を設置
1959年
(昭和34年)
・日本ライトハウス、「声の図書館」(テープライブラリー)を開設。
1961年
(昭和36年)
・日本点字図書館・日本ライトハウス、厚生省委託声の図書製作・貸し出し事業開始。
・日本点字図書館、「声のライブラリー」を「テープライブラリー」と改称(4月)
・郵便法改正(盲人用郵便が無料化)
1963年
(昭和38年)
・日本ライトハウス、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始
1967年
(昭和42年)
・京都で視覚障害学生と点訳サークル学生を中心に関西SL(Student Library)発足(4月)
1969年
(昭和44年)
国立国会図書館と東京都立日比谷図書館に対して、日本盲大学生会・関西SL等が図書館蔵書の開放運動を行う。
1970年
(昭和45年)
・東京都立日比谷図書館、視覚障害者サービスを開始(4月) ・旧著作権法を全部改正した著作権法(①)公布。37条(点字による複製等)等を新たに規定(5月) ・日本盲大学生会・関西SL等が視覚障害者読書権保障協議会(視読協)結成(6月)
1971年
(昭和46)
・視読協、全国図書館大会で「図書館協会会員に訴える-視覚障害者の読書環境整備を」と訴える。大会で初めて「障害者サービスの推進」が決議される(10月) ・著作権法(①)施行(4月)
1972年
(昭和47年)
・京阪神点字図書館連絡協議会発足(参加4館) (6月)
1973年
(昭和48年)
ふきのとう文庫開設(11月)
1974年
(昭和49年)
・京阪神点字図書館連絡協議会から近畿点字図書館研究協議会が発足(近点協)に(参加12館、うち公共図書館2館)(11月)
・大阪府立夕陽丘図書館開館、対面朗読サービスや郵送貸出を開始(5月)
・全国図書館大会で初めて障害者サービスの分科会「身体障害者への図書館サービス」が設置される(11月)
1975年
(昭和50年)
・公共図書館の録音サービスが日本文芸著作権保護同盟から、著作権侵害と指摘する新聞記事報道(『愛のテープは違法の波紋』報道)(公共図書館における録音図書の製作が著作権者の許諾を取らなければ行えないということが明確に)(1月)
・国立国会図書館、学術文献録音サービス開始(10月)
1977年
(昭和52年)
・第1回点字図書館館長会議(東京)開催
1978年
(昭和53年)
・日本図書館協会(JLA)、障害者サービス委員会設置(最初から関東小委員会と関西小委員会があった)(4月)
1979年
(昭和54年)
・IFLA/RTLB(盲人図書館会議)発足
1981年
(昭和56年)
・国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」の編纂開始 ・全国点字図書館協議会、発足(4月)
・全国点字図書館長会議、「点字・録音・拡大資料の相互貸借に関する申し合せ」決議(11月)
・国際障害者年
視覚障害児のためのわんぱく文庫開設
1982年
(昭和57年)
国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」(冊子体)を刊行開始(3月)
1984年
(昭和59年)
・岩田文庫(てんやく絵本ふれあい文庫の前身)開設
1986年
(昭和61年)
・国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録データベース(AB01)」提供開始。国会、行政・司法の各支部図書館、都道府県立・政令指定都市立図書館のほか、一部の点字図書館にオンラインで提供を開始。
・IFLA、東京で世界大会開催(8月)
・近点協、「製作資料の着手情報システム(NLB)」を開始(3月) 東京で開かれたIFLA(国際図書館連盟)の大会での専門家会議で視覚障害者のためのデジタル録音図書の標準化が国際的に議論
1987年
(昭和62年)
・点訳絵本/点訳入りFDの郵送料が無料になる(8月)
1988年
(昭和63年)
・日本IBMが点訳オンラインサービス「 IBMてんやく広場」開始 ・スウェーデン国立点字録音図書館(TPB)がデジタル図書開発を計画
1989年
(平成元年)
公共図書館で働く視覚障害職員の回(なごや会)、発足(9月)
1990年
(平成2年)
身体障害者福祉法改正。第34条で規定される「点字図書館」が「視聴覚障害者情報提供施設」に変更(6月) ・スウェーデンのラビリテンテン社、DAISYの開発に着手
・米国でADA法案可決(5月)
1991年
(平成3年)
・IFLA視覚障害者セミナーを東京(東京大学安田講堂、国立国会図書館東京本館新館講堂など)で開催(1月)
1993年(平成5年) ・運営を日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)点字図書館部会 特別委員会が引き継ぎ、「IBMてんやく広場」から「てんやく広場」に改名 ・障害者基本法公布
1994年(平成6年) ・日本点字図書館、厚生省委託事業として、「点字図書情報サービス事業」(点字図書・録音図書目録の一括化)を開始(1月)。
・てんやく広場、国立国会図書館点字図書・録音図書総合目録(AB01)のデータを借り受けてテスト稼働(11月)
・第19回全国点字図書館大会(この年から「全国点字図書館長会議」が「全国点字図書館大会」に)
・『障害者白書』が刊行される(12月)
1995年
(平成7年)
・国立国会図書館、「NDL CD-ROM Line点字図書・録音図書全国総合目録」頒布開始 ・てんやく広場、1994年の点字図書・録音図書全国総合目録データのテスト稼働をもとにオンラインリクエストの試行を開始(2月)
・日本点字図書館と東京都公共図書館の蔵書目録を搭載した「NIT(ニット)」に国立国会図書館の点字図書・録音図書全国総合目録のデータを搭載し、ニットプラスと改称(6月)
・シナノケンシがデジタル録音図書の試作一号機を開発
1996年
(平成8年)
・新しくオープンした大阪府立中央図書館が児童室の場所を「視覚障害児のためのわんぱく文庫」に提供 ・日本点字図書館、厚生省委託点字図書近代化事業を受け、点字資料のデジタル化を開始(5年間)(4月)
・全国点字図書館協議会、全国視覚障害者情報提供施設協議会に名称変更(11月)
・日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)、点字図書館部会の名称を「情報サービス部会」に変更
・DAISY Consortium設立
1997年
(平成9年)
・国立国会図書館、「全国の点字図書・録音図書製作速報」をHPに掲載開始 ・第23回全国視覚障害者情報提供施設大会開催(帯広)(全国点字図書館大会から変更)
・近畿点字図書館研究協議会、名称を「近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)」とする
・DAISY Consortium、DAISY 2.0の仕様を公開
・IFLA盲人図書館会議で DAISYがデジタル録音図書の標準規格になることが決定(8月)
1998年
(平成10年)
・国立国会図書館の「点字図書・録音図書全国総合目録」の冊子体が34号(1997年2号)で終刊 ・「てんやく広場」を全視情協に移管(7月)
・「ないーぶネット」に名称を変更(9月)
・視覚障害者読書権保障協議会、解散
・シナノケンシ、日本初のDAISY再生機プレクストークTK300発売(4月)
厚生省(現在の厚生労働省)の平成10年度~12年度(1998-2000年)補正予算事業。これによりDAISYの全国的な点字図書館への導入が実現
1999年
(平成11年)
・全国視覚障害者情報提供施設協議会、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)に名称変更(6月)
・日本点字図書館と全視情協と協議の結果、類似した2つのサービスである日本点字図書館の「ニットプラス」と全視情協の「ないーぶネット」を一本化し、「点字図書情報ネットワーク整備事業」として、両者の協力のもとに全視情協が運営する「ないーぶネット」の構築を行うことで合意(12月)
・日本ライトハウス、DAISY図書製作・貸出開始
・日本点字図書館、DAISY図書(デジタル録音図書)の貸出開始
2000年
(平成12年)
著作権法改正(②)。点字の公衆送信が可能になり、著作権法第37条の2(聴覚障害者のための自動公衆送信)が新たに規定される(5月)
2001年
(平成13年)
・文部科学省、公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準に障害者サービスをはじめて明記 ・インターネット版ないーぶネット(総合ないーぶネット)本格運用を開始。Web上からの貸出申し込みが可能に(4月) ・著作権法(②)が施行(1月) ・シナノケンシが、DAISYのインターネット配信実証実験
・DAISY Consortium、DAISY 2.02の仕様を承認(2月)
・DAISY Consortium、DAISYの正式名称を”Digital Audio-based Information SYstem”から”Digital Accessible Information SYstem”に変更(12月)
2002年
(平成14年)
・DAISY Consortium、DAISY 3(ANSI/NISO Z39.86 2002)を承認(3月)
・米国の非営利の社会的企業Benetech社、Bookshareを立ち上げる。
2003年
(平成15年)
・「図書館等における著作物等の利用に関する当事者協議」開始(1月)
・国立国会図書館、点字図書・録音図書全国総合目録をNDL-OPACにおいてインターネット公開(1月)
・大阪府立中央図書館、録音図書ネットワーク配信事業開始(4月)
・郵政公社発足。盲人用郵便物の表示が「盲人用」から「点字用郵便物」に変更(4月)
2004年
(平成16年)
・日本図書館協会と日本文芸家協会の間で視覚障害者のための録音図書作成についての許諾契約(公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書)を締結。「障害者用音訳資料利用ガイドライン」発表(4月)
・関係団体で「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」(リンク先はPDFファイル)設置(5月)
日本文藝家協会と交わした「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾開始(8月)
・DAISY配信サービス「びぶりおネット」が日本点字図書館と日本ライトハウス盲人情報文化センターにより開始(4月) ・DAISY再生機器が「日常生活用具給付制度」の給付対象に(4月)
・障害者基本法改正(6月)
2005年
(平成17年)
・録音図書ネットワーク製作事業「びぶりお工房」本格運用開始(4月)
・「びぶりおネット」に点字データ配信サービスを追加(10月)
2006年
(平成18年)
著作権法(③)改正。これにより点字図書館は、視覚障害者向けの録音データの公衆送信可能になる(12月) ・障害者権利条約採択(6月)
2007年
(平成19年)
・著作権法③施行(7月)
2008年
(平成20年)
平成19年度障害者保健福祉推進事業「視覚障害者に対する新たな情報提供システムに関する研究」報告書公開(3月) ・教科書バリアフリー法施行(9月)
2009年
(平成21年)
・「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾終了(12月) ・びぶりおネット個人ユーザーへのダウンロードサービス開始(2月)
・平成21年補正事業で、厚生労働省の委託事業として、日本点字図書館が「視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業」を受託。「ないーぶネット」と「びぶりおネット」を統合した「視覚障害者情報提供ネットワーク(サピエ)」を構築(11月)
著作権法(④)改正。視覚障害者「等」のために録音図書に限定されず、必要な方式で製作できることに、また、点字図書館だけではなく、図書館等も複製の主体になる。また、第三十七条の二が全部改正され、(聴覚障害者等のための複製等)に(6月)
2010年
(平成22年)
「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」策定(2月) 視覚障害者情報総合システム「サピエ」運用開始(4月) ・著作権法(④)施行(1月) ・特定非営利活動法人大活字文化普及協会が専門委員会としての読書権保障協議会設置(12月)
2011年
(平成23年)
・国立国会図書館、国立国会図書館サーチで障害者向け資料検索機能の追加(9月) ・障害者基本法改正(8月)
・IDPF、EPUB 3の仕様を勧告(10月)
2012年
(平成24年)
DAISY Consortium、DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)承認(7月)
2013年
(平成25年)
・盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティ(印刷物を読むことが困難)のある人々の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約採択(6月)
・障害者差別解消法成立(6月)
2014年
(平成26年)
国立国会図書館、「視覚障害者等用データの収集及び送信サービス」開始(1月)
・国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」と「サピエ図書館」のシステム連携。「視覚障害者等用データ送信サービス」のコンテンツが「サピエ図書館」から利用可能に。(6月3日)
・日本、障害者権利条約の批准書を寄託(1月。2月に効力が発生)
2015年
(平成27年)
2016年
(平成28年)
・障害者差別解消法施行(4月)

主な参考文献

 

図書館関係

点字図書館関係

DAISY

7月 24

プリントディスアビリティのある人を対象とした世界最大のアクセシブルなオンライン図書館 Bookshare

 Bookshareは、視覚障害その他の理由で通常の印刷物を読むことができないプリントディスアビリティのある人にアクセシブルなコンテンツを提供するオンライン図書館です。非営利の社会的企業Benetech社が2002年に立ち上げたもので、プリントディスアビリティのある人を対象としたオンライン図書館としては世界最大のものです。

誰が利用できるのか

 米国の著作権法の権利制限規定またはそれにならって権利者から得た許諾に基づいてコンテンツを製作・収集・提供しているため、利用できるのは、プリントディスアビリティとしてBookshareに会員登録した人に限定されます。具体的には、視覚障害、肢体不自由などの理由でページをめくれない等の身体障害、読書に困難のある学習障害のある障害者で、専門家によってそれを証明してもらう必要があります。

 会費は個人会員であれば、基本的に入会費25ドル年会費50ドルですが、ユーザーの身分によって無料になったり、ユーザーがいる国によってディスカウントされることもあります。

 プリントディスアビリティがあることの証明のところで、ハードルが高くなりますが、海外の人間でもプリントディスアビリティがあることが証明可能であれば、登録することが可能です。

参考

利用できるコンテンツ

 Bookshareは2015年7月24日現在で約35万点のアクセシブルなコンテンツを提供しています。

 ダウンロードして利用できるコンテンツの形式は以下のとおりで、ソースとなるテキストデータから自動的にユーザーが選択したいずれかの形式に変換されてダウンロードできるようになっているようです。

  • テキストDAISY(DAISY3)
  • 音声DAISY(DAISY3。合成音声によって読み上げた音声データを格納したDAISY)
  • 音声データ(MP3形式。合成音声によって読み上げた音声データ)
  • 点字データ(BRF形式)

 35万点のコンテンツのソースは以下の通りです。Bookshareといえば、米国の著作権法の権利制限規定に基づいてボランティアが紙の印刷物をスキャニング・OCR処理して作成したものが有名ですが、現在では、全体から見れば一部にすぎず、出版社から直接提供を受けるデータの方が数としては多くなっています。

ボランティアによる製作

ユーザーからの製作のリクエストを受けて、ボランティアが製作したテキストデータで、米国の著作権法の制限規定に基づいて製作しています。音楽共有サービスNapsterにヒントを得て、図書をスキャニングしたデータを合法的に共有できたらよいのではないかというところからフルックターマンは、Bookshareを着想したと言われているそうで、Bookshareが2002年に立ち上がった当初から現在に至るまで行われています。

 製作フローは1人のボランティアが紙の書籍をスキャニング・OCR処理を行い、別のボランティアがそれをテキスト校正するという製作フローになっており、リクエストを受けてから数週間から数ヶ月で完成するそうです。

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出版社から提供を受けたデータ

 出版社からもデータの提供を受けています。現在は、500以上の出版社からデータの提供を受けており、Bookshareが提供する35万点のうち、2/3は出版社からデータの提供を受けたコンテンツではないかと思います。

 出版社から提供を受けているフォーマットはEPUB 2とEPUB3で、PDFは現在、受け付けていません。メタデータは、ONIX2かExcelによって提供を受けているとのこと。

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著者から提供を受けたデータ

著者からのデータ提供も受け付けています。これまで数百の著者から直接データの提供を受けたそうです。受け付けるファイル形式はEPUB 2、EPUB 3、Word及びRTFで、紙版の書籍とPDF版による提供は受け付けていないとのこと。

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初等・中等教育の教科書

 Bookshareの存在を際だたせているもう1つのコンテンツがこの初等・中等教育の教科書データの提供です。

 米国では、個別障害者教育法(IDEA 2004)により、教科書の購入者である州や地方教育局の求めに応じて教科書出版社は教科書などの教材のデータをNIMAS(National Instructional Materials Accessibility Standard)というフォーマットで提出することが義務づけられています。Bookshareは、このNIMASファイルを元にテキストDAISYを作成して障害児に提供しています。米国教育省のOSEP(Office of Special Education Programs)から資金援助をうけて、無償で提供しています。

 また、Bookshareは紙の教科書を裁断して、スキャニングしてテキストDAISY化もしています。
 詳細は、参考に挙げた近藤武夫先生の論文に詳しいので、そちらをご参照ください。

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大学からアップロードされたデータ(University Partner Program)

 読書障害のある大学生支援を目的に、各大学が障害学生のためにスキャニングして製作した教科書などのテキストデータを収集しています。2015年7月24日現在で35校の大学がこのプログラムに参加しています。各大学は、Bookshareのボランティアマニュアルにしたがって教材をスキャニング・OCR処理をしてテキストデータを製作し、RTF形式でアップロードします。ただし、ボランティアが製作したものと異なり、大学がアップロードしたものの場合は、テキスト校正のフローが省略され、すぐに提供に回すことができます。

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NFB-NEWSLINEの雑誌・新聞

 National Federation of the Blind(NFB)の新聞・雑誌の音声提供サービスNFB-NEWSLINEと提携してNFB-NEWSLINEのコンテンツを利用できるようになっています。

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コンテンツの利用方法

 Bookshareはウェブサイトから直接閲覧することができるブラウザベースの閲覧システムBookshare Web Readerを提供しているほか、

Bookshareのウェブサイトで一覧されているように、デスクトップPC上のアプリケーションや、タブレット端末・スマートフォン端末用のアプリケーションやハードウェアデバイス(再生機器)で利用することが可能です。中にはBookshareのウェブサイトを訪問してコンテンツをダウンロードしなくても、ソフトウェア、デバイス上でBookshareのコンテンツを直接ダウンロードできるものもあります。

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Bookshareを運営するBenetchとは

 Benetechはテクノロジーの力で世界をより良くしていこうと、人権、リテラシー、環境をテーマに取り組んでいる非営利の社会的企業です。ジム・フルックターマン(Jim Fruchterman)氏が立ち上げたもので、前身となるArkenstone社のプロダクトラインを2000年に他の企業に売却し、社の名前をBenetechに、組織形態を非営利の社会的企業に改めて生まれた企業です。なお、Arkenstone社は、視覚障害者向けのOCRソフトウェアを開発していた企業で、それを用いた音声読書システム(スキャナとOCRソフトウェアで紙の資料をテキスト化し、合成音声で読み上げるシステム)が1990年代に60カ国で3万5千台販売されたそうです。

 Bookshareは、Benetechが進めるGlobal Literacy Programの1つで、同プログラムの下には、他にアクセシビリティに関する標準化やツールの研究・開発を行うDIAGRAM Centerや、大人の読み書き能力の向上を目的としたリテラシー教育プロジェクトRoute 66 Literacyがあります。

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