6月 22

DAISY Pipeline 2のGUI版

 これまでのエントリでDAISY Pipeline 2のCI版を用いてDAISYをEPUB3に変換してきましたが、実はGUI版もあります。

1.DAISY Pipeline 2(GUI版あり)のダウンロード

DAISY Pipeline 2(GUI版あり)をダウンロードします。以下からpipeline2-1.5-webui-desktop.zipをダウンロードしてください。

 ダウンロードしたら、pipeline2-1.5-webui-desktop.zipを解凍して適当な場所においてください。特にインストールの必要はありません。解凍したフォルダ内はおおよそこんな感じです。
スクリーンショット 2013-06-22 0.15.37

2.DAISY Pipeline 2のGUI版の起動

  Mac OSの場合は、上のwebuiフォルダ内にある「start」をクリックすることでGUI版DAISY Pipeline 2を起動することができます(Windowsなら「start.bat」のはずですが、私のMacにインストールしたWindows XPではうまく起動できませんね)。
 
  これが起動直後の画面です。
GUI版DAISY Pipeline 2スタート画面
  GUI版DAISY Pipeline 2スタート画面
 

3.変換作業開始

 「Get Start」ボタンを押下すると、以下のような画面が表示されます。
GUI版DAISY Pipeline 2のJob画面
  GUI版DAISY Pipeline 2のJob画面
 

4.変換元のファイルのアップロード

 変換するDAISYファイルをアップロードしてみましょう。Filesの緑の「Uploads files」ボタンを押下してファイルをアップロードしてください。今回はNHKが公開しているDAIsY2.02版音声DASIYの番組表ファイル bangumi.zipをEPUB 3に変換します。
NHK音声番組時刻表のbangumi.zipをアップロード中
  NHK音声番組時刻表のbangumi.zipをアップロード中
  
  なお、ここでアップロードするファイルは関係するものを1つのフォルダにまとめてzipに固め、1つのファイル化しておく必要があるようです。 

5.スクリプトの選択及びオプションの選択

 続いてスクリプトを選択してください。今回はDAISY2.02からEPUB3に変換しますので、「DAISY 2.02 to EPUB3」を選択します。
スクリプト選択画面
  スクリプト選択画面

  続いて、Option画面が表示されます。ここでソースファイルとパラメータを設定し、青い「Start Job」ボタンを押下してください。今回はデフォルトの設定で問題ないので、そのまま「Start Job」ボタンを押下します。
Option画面
  Option画面
 

6.変換

青い「Start Job」ボタンを押下すると変換作業が開始され・・
変換処理中の表示
  変換処理中の表示
 
 
 しばらく待つと完了です。緑の「Download results」ボタンを押下すると、変換したEPUB3ファイルを取り出すことができます。
変換処理終了の画面
  変換処理終了の画面

 裏でターミナルが起動しています。GUI版DAISY Pipeline 2を閉じるときは、ターミナルも一緒に落とす必要がありますので、GUI版の右上にある「X Shut Down」ボタンを押下してください。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
6月 21

音声のみのDAISY(DAISY 2.02)から EPUB 3 with Media Overlaysを生成する

 今回はDAISY Pipeline2を使用して、DAISYの中で日本で最も普及しているというDAISY 2.02からEPUB 3 with Media Overlaysに変換してみます。
 DAISYにはテキストのみのテキストDAISY、テキストデータも音声もあるマルチメディアDAISY以外に本文テキストデータがない音声DAISYが使われています。今回はDAISY 2.02版音声DAISYをEPUB 3に変換したいと思います。

 DAISY Pipeline2の使い方及びDAISY 2.02からEPUB 3への変換方法の詳細は以下をご覧ください。

 Pipeline2でDAISY 2.02をEPUB 3に変換するには、Mac OSの場合、以下のようなコマンドを打ちます。変換元のDAISY 2.02を指定する場合は、ncc.htmlを指定します。

cli/dp2 daisy202-to-epub3 --x-href samples/daisy202/Moutians_skip/ncc.html --x-output samples/output7 --x-temp-dir samples output6/temp

  今回はDAISY ConsortiumSample Contentで公開している以下の音声のみのDAISYをEPUB3に変換します。

Climbing the Highest Mountain” (目次のテキスト情報(htmlファイル)はあり・DAISY 2.02)
スクリーンショット 2013-06-20 23.55.23

EPUB 3変換後

 EPUB3に変換しました。
 
 生成ファイル(EPUB3): skipdemo-amsterdam – Climbing the Highest Mountain.epub [1.7MB]
スクリーンショット 2013-06-21 0.53.13

 以下は上のEPUB3ファイルをReadiumで再生した動画です。

 本文のテキスト情報(xhtmlファイル)のない音声のみのEPUBができました(目次情報のxhtmlはあり)。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
6月 19

マルチメディアDAISY(DAISY 3)から EPUB 3 with Media Overlaysを生成する

 DAISY Pipeline2 ver. 2.1.5についているモジュールを見てみると、「mediaoverlay-utils-1.0.0-20130420.014217-13.jar」というモジュールがついています。これでMedia OverlaysありのEPUB 3も変換できるのではないかと思われたので試してみました。

 音声ファイルとsmilファイルも梱包されたDASIY AI(DAISY4)が見つかりませんでしたので、DAISY 3版マルチメディアDAISYから EPUB 3への変換を試みてみました。

 DAISY Pipeline2の使い方の詳細は以下をご覧ください。

 たとえば、DAISY Pipeline2のサンプルとしてついているDAISY 3を変換してみます。

スクリーンショット 2013-06-19 23.55.15

 Pipeline2でDAISY 3をEPUB 3に変換するには、Mac OSの場合、以下のようなコマンドを打ちます。変換元のDAISY 3を指定する場合は、OPFファイルを指定します。この場合は、「speechgen.opf」です。

cli/dp2 daisy3-to-epub3 --i-source samples/daisy3/dontworrybehappy/speechgen.opf --x-output-dir  samples/output3

 上のコマンドを分解すると以下のようになります。

  • cli/dp2: アプリケーションの指定。Windowsなら cli/dp2.exe
  • daisy3-to-epub3: DAISY3からepub3を生成を命令するコマンド
  • -i-source:入力ファイルを指定するオプション。今回は”samples/daisy3/dontworrybehappy/speechgen.opf ”と指定。
  • –x-output-dir:変換して出力するEPUB3の置き場所を指定するオプション。今回は”samples/output3”ディレクトリ下に出力するように指定。

生成したEPUB 3は以下のとおりです。きちんとEPUB 3 with Media Overlaysが生成されています。

生成ファイル:result.epub [575KB]
スクリーンショット 2013-06-20 1.39.14

 上で生成されたresul.epubをMedia Overlaysに対応しているReadiumで読み上げてみました。


 
 少し分かりづらいですが、読み上げている箇所の文字の表示と音声が同期されています(読み上げている箇所のフォントの色が黒、読み上げていない箇所の文字がグレーとかなり分かりづらいですね・・)。

 おまけでもう1つ。

 DAISY Consortiumが以下で公開しているDAISY 3のサンプル”Are You Ready?“でも試してみました。

生成ファイルは以下です。

生成ファイル:result2.epub [13.6MB]

 変換したEPUB 3版”Are You Ready?”をReadiumで読み上げたの以下の動画です。この書籍のプリント版のページ数がきちんとEPUBに移行されていることもわかります。

 DAISY由来のepub3:typeでコンテンツにセマンティクスも与えられ、 Media Overlaysもある。DAISY Pipeline2のDAISY-AI(DAISY4)対応がまだ発展途上であるため、現時点では、マルチメディアDAISY(DAISY 3)から生成されたEPUB 3が(マルチメディア)DAISY的EPUBに近いかもしれません。

DAISYから作ったEPUBがDAISIYの要素を多く持つのは当然といえば当然なのですが、EPUBでどこまでDAISYに近づけるかという到達点を示すものとして(は、言い過ぎか)。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
6月 07

20言語のPDF、EPUB、DASIY等を読み上げ可能なiOSアプリ、Voice Dream Reader

 PDFやEPUB、DASIYなどの読み上げに対応している多言語読み上げソフト、iOSアプリのVoice Dream Readerです。


Voice Dream Reader – Text to Speech

Voice Dream
http://www.voicedream.com/

もしかしてすごいアプリでは。

言語/音声

 日本語を含む20言語のコンテンツについて計78音声(日本語は3音声)による読み上げが可能。
 ※各種音声はアドオンとして購入

対応ファイル形式
  • PDF
  • EPUB(EPUB3も一応対応)
  • DAISY
  • Plain Text、
  • Rich Text Format (RTF)
  • Microsoft Word
  • Microsoft PowerPoint
  • Apple Pages
  • Apple Keynote
  • HTML
アクセシビリティ対応
  • 細かな再生制御機能
  • 読み上げ箇所及びそのセンテンスをそれぞれ異なる色でハイライト表示
  • ディスレクシアフレンドリーなオープンソースフォントOpenDyslexiaも利用可能
  • フォントの拡大縮小
  • フォント、背景色、ハイライトの色の変更
  • など

その他
  • 読み上げ辞書の作成
  • Dropbox、Google Drive、Evernote、Instapaperとの連携

 EPUBに対応したDAISYリーダーについては以下のようなエントリを書いたことがありましたが、これを書いた時点では完全に見落としていました。ありゃりゃりゃ・・・

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 27

EPUB3 ≒ DAISY4 — EPUB 3とDAISY 4の関係と現在の状況 —

EPUB 3とDAISY 4との関係についてまとめました。

DAISY 4とは

 正式には“Authoring and Interchange Framework for Adaptive XML Publishing Specification”(ANSI/NISO Z39.98-2012)と呼ばれる米国情報標準化機構(NISO)の規格のとして2012年8月に公開されたフォーマットです。

 なお、海外では、“ANSI/NISO Z39.98-2012”、”DAISY AI”もしくは、”ZedAI(”Z39.86 Authoring and Interchange Framework”の略)“のほうが通称として使用されることが多く、「DAISY4」というナンバリングされた名称は現在、通称としてはほとんど使用されていないようです(ここでは便宜上「DAISY 4」という呼称も使用します)。

 「DAISY AI」のAI(Authoring and Interchange)が意味するように、DAISY4は「交換フォーマット(中間フォーマット)」です。コンテンツの提供者側が保有するフォーマットで、そのまま読者が利用するためのフォーマット(「配布フォーマット」)ではありません。イメージは以下のような感じです。
次のテキストでイメージの説明あり 

 コンテンツのテキストや動画、音声などを格納したDAISY AIという交換フォーマットからテキストDAISY的なEPUB、マルチメディアDAISY的なEPUB、点字データ、アクセシブルPDFなどアクセシブルな形で利用者が利用する各種配布フォーマットに変換するイメージです。

ANSI/NISO Z39.98-2012 (DAISY4)仕様のOverview部分だけ以下のエントリで訳してみましたので、こちらも参照してください。

DAISY 4とEPUB 3の関係

 2011年10月に仕様が正式に公開されたEPUB 3は、DAISY4の主要な配布フォーマットに位置づけられ、テキストDAISYやマルチメディアDAISYのような利用が想定されています。「EPUB3とDAISY4は統合した」という説明がされることがありますが、その「統合された」部分とは、配布フォーマットを指しています。ちなみにEPUB3の各仕様のエディタに名を連ねている方々を見ていただいても分かりますが、EPUB 3の開発にもDAISYコンソーシアムは非常に深く関わっています。

 DAISY4の開発当初は交換フォーマットだけではなく、DAISY4の配布フォーマット版の開発も検討されていたようですが、EPUB3にDAISY4の配布フォーマットとしての要件がほぼ受け入れれることになったため、DAISY独自の配布フォーマットの開発はやめて、DAISYの交換フォーマットとEPUB3の開発に力を入れる事になったそうです。そのあたりの経緯は以下をご参照ください。

 EPUB2からEPUB 3への主な変更点は以下の通りで、HTML5対応、インタラクティブ機能の他に全体的なアクセシビリティの強化がはかられています。

  • 動画・音声ファイルのサポート
  • SMIL3.0のサブセットが仕様に組み込まれ、テキストと同期した形で音声を再生することが可能に(EPUB Media Overlays)。
  • MathMLのサポート
  • JavaScriptのサポート
  • Text-to-speechのサポート機能強化(CSS3 Speech Module、インラインSSML、PLS(Pronunciation Lexicon Specification)
  • HTML5(XHTML5)マークアップ
  • 国際化対応(縦書きなどの日本語組版対応など)

 マルチメディアDAISY的な機能は、音声とテキストを同期させるEPUB Media Overlaysによって実現されます。


例: EPUBリーダーReadiumでMedia Overlays付きEPUB3を再生するデモ

 テキストと動画の同期は、残念ながら現時点ではEPUB Media Overlaysではサポートされていません。動画とテキストを同期させることができれば、手話通訳動画を挿入したり、読み上げにあわせて絵が動く絵本のなどが実現できるので、ぜひ対応して欲しいところです。 

DAISY4の現在の状況

DAISY4の現時点での状況をまとめると以下の通りです。

DAISY的EPUB3の閲覧環境

EPUBリーダーのMedia Overlays対応

 EPUB 3の閲覧環境はこの1年で大きく改善されましたが、EPUB Media Overlaysに対応しているEPUBリーダーはまだ多くありません。私が把握している限りでは、ReadiumとiOSのiBooksです。

 Media Overlaysに対応はしても、音声の再生制御(音量、スピード、再生間隔)や読み上げ箇所の様々なレベルでの移動(特にキーボードを使用しての)機能等は既存のDAISYリーダーのそれと比較するとまだ十分ではありません。
 

DAISYリーダーのEPUB 3対応

 従来のDAISYユーザーに特化したDAISYリーダーでのEPUB対応も重要です。DAISYリーダーのEPUB対応については、以下のエントリで述べた通りで、EPUB2に対応しているDAISYリーダーはいくつかあるものの、EPUB3対応しているリーダはida-readerVoice Dream Readerぐらいでで、どちらもMedia Overlaysには対応していません。

 なお、話は少し変わりますが、EPUBに対応したDAISYリーダーでは、当然ですが以下のデモのようにEPUBをテキストDAISYと同様にTTSで再生を細かく制御しながら読み上げることが可能です。


例: EPUB2に対応したDAISYリーダーDolphin EasyReaderで広報ひらつかEPUB版を読み上げる。

 上のデモで使用したDolphin EasyReaderは残念ながらEPUB3未対応ですが、日本語TTSエンジンを搭載したEPUB2/EPUB3両対応のDAISYリーダーが登場すれば、日本のDAISYユーザーの選択肢が大幅に広がるかもしれません。

配布フォーマットへの変換ツール

 DAISY4は交換フォーマットですので、利用者が利用できる各種「配布フォーマット」に変換するツールが必要です。そのツールとしてDAISYコンソーシアムが開発しているのが、以下の「DAISY Pipeline 2」です。

 開発ロードマップを見る限り、2013年で開発は終了するようです。DAISY4からEPUB 3への変換モジュールは、一応提供されているものの、課題は残っているようで開発が続けられています(「ZedAI」はDAISY4を指す)。

音声とテキストに同期させるための編集ツールであるTobiはEPUB 3 Media Overlays生成にすでに対応しています。

米国の全国指導教材アクセシビリティー標準規格

 米国では個別障害者教育法(IDEA 2004)によって電子教科書の電子ファイルをNIMAS形式(全国指導教材アクセシビリティー標準規格)でNIMAC(全国指導教材アクセスセンター)に提供する義務が出版社に課されています。そのNIMAS形式は実質、DAISYなのですが、そのNIMAS形式が現時点ではまだDAISY3ベースです。しかし、これは時間の問題で、DAISY 4に移行すると思われます。

まとめ

 DAISY4の作る/読む環境は現時点では十分とはいえませんが、DAISY4の仕様の正式な公開が2012年8月ですので、まだ1年を経過していません。環境が整備されるまでもう少し時間は必要ではないかと思われます。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 23

EPUB2に対応したDAISYリーダーDolphin EasyReaderで広報ひらつかEPUB版を読み上げる

前のエントリで紹介したように日本語及びEPUB3に対応したDAISYリーダーは現時点ではないようなので、日本語に対応し、かつEPUB2に対応しているDAISYリーダーDolphin EasyReader広報ひらつかEPUB版を読み上げてみました。読み上げたのは、平成25年5月3週号です。

 以下はその動画キャプチャです。

 私がちょっと使ってみた感じではテキストDAISYに近い使い方はできそうに感じられましたが、実際のところはどうなのでしょうか。DAISYリーダーで読み込んだEPUBは、テキストDAISYにどこまで近づけているのか。テキストDAISYに及ばないとするなら、どの部分が及ばないのか。今回試してみて気になったことでした。足り部分をまとめて、EPUBコンテンツの制作者にそこをばしっと示せるとよいのですが。

使用ソフト
Dolphin EasyReader ver.6.03 日本語版(現時点での安定版の最新版です)Trial版
参考 :Dolphin EasyReader6.03 日本語版 販売 | 支援技術開発機構

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 17

EPUB3に対応しているDAISY再生ソフトida-readerでEPUBを試す。

 先のエントリでEPUBに対応しているDAISY再生ソフト/機器を調べてみましたが、その中で唯一EPUB3に対応していたida-readerのトライアル版でEPUBを試してみました。

ida-reader
http://www.idareader.com/

 気になっていた以下の2点を中心に確認してみました。

  1. ida-readerで開いたEPUBがテキストDAISY的に使用できるか
  2. ida-readerがEPUB Media Overlays対応しているか

なお、使用するEPUB3のサンプルファイルは主に以下で公開されているファイルを使用します。

  なお、私が今回使用したida-readerはMac版です。Windows用とMac用で若干機能に差があるようですので、ご注意ください。

1.EPUBをテキストDAISY的に使用してみる

 普通のEPUBファイル、ということで一番問題なさそうな、欧文のみの”EPUB 3.0 Specifications“をida-readerで開いてみました。これがida-readerのUIです。

ida-readerのスクリーンショット

 下部のナビゲーション部分にある「Sound」でTTSエンジンによって読み上げるのか、コンテンツが同梱している録画された音声ファイルを読み上げるのかを選択することができます。テキストDAISY的な使用感を確認したいので、まずはTTSエンジンによる読み上げを試します。
Sound欄のTTSボタンを押した状態

  再生ボタン(start)を押すと、TTSエンジンによる読み上げがスタートします。

ida-readerによるEPUBのTTS読み上げ。読みあげているパラグラフは黄色、単語は水色にハイライトされている

 読み上げているパラグラフは黄色、読み上げている単語は水色でハイライト表示されています。なお、現時点では日本語のTTSエンジンを搭載していないので、日本語の読み上げには対応していません。

 GUIのナビゲーションでは、

・文字の拡大縮小
・読み上げ音声のボリューム調整
・読み上げスピードの調整
・再生箇所の移動(戻る、繰り返す、進む)
・セクションの移動

などが用意されています。キーボードショートカットを使用すればより細かな制御が可能になるのでしょうか(ショートカットの案内を見つけられなかった・・・・)。

 

2.EPUB Media Overlaysに対応しているか

 EPUBでマルチメディアDAISYのような機能を実現するためには、リーダーがEPUB Media Overlaysに対応している必要があります。EPUBリーダーだとiBooksやReadiumなどが一応対応している機能です。DAISY再生ソフトであるida-readerには対応していてほしいところですが、どうでしょうか。

 epub-samplesで公開されている以下のMedia Overlays対応のサンプルEPUBファイルで試してみました。

 「Sound」欄で「Audio」を選択します。
Sound欄のAudioボタンを押した状態

 これで、ida-readerがMedia Overlaysに対応しているならば、再生ボタンを押せば、EPUBに同梱された音声ファイルを読み上げつつ、読み上げている箇所にテキストをハイライト表示させるはずです。

 
 が・・・・、一向にに音声の再生も、テキストのハイライトもされません・・・。うーん。
Media Overlays対応のEPUBの録画音声による読み上げを試みたスクリーンショット。読み上げも始まらず、テキストのハイライトもされない

 
 IMAGEDRIVEさんが以下で公開されているMedia Overlays対応のEPUBファイルも一通り試してみましたが、どれも結果は同じでした。

  現時点ではEPUB Media Overlaysには対応してないようです。残念・・。

まとめ

 DAISY再生ソフトであるならばMedia Overlaysに対応して欲しかったところですが、特にDAISY再生ソフト向けに加工されたわけではない、普通のEPUBでも、TTSで読み上げたり、読み上げているテキストをハイライトさせたり等々、テキストDASIYに近い使い方がida-reader上でならできる(らしい)ことは確認できてよかったです。

他のEPUB対応DAISY再生ソフトでもEPUBファイルが

  • リフロー型である。
  • 文字情報がテキストデータとして提供されている。
  • 目次が用意されている。
  • 代替テキストが提供されている。

などの要件を満たせば、同様のことが可能であろうと思われます。iBooksなどのEPUBリーダーではTTS読み上げによるテキストハイライトはまだできないようですし、ナビゲーション機能が強化されているDAISYリーダーでEPUBを読むという選択肢もありかもしれません。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 16

EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器

 DAISY4とEPUB3の関係は以前、別のブログで書いた以下のエントリの通り、DAISY4は交換フォーマット、EPUB3はDAISY4の配布フォーマット(の1つ)という関係にあります。

 つまり、DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生機器、再生ソフトウェアに対応していなければならないわけですが、考えられる対応のパターンは以下の2つだと思います。

  1. DAISY再生ソフトウェア/機器がたDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。
  2. EPUBリーダーがDAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3に再生に対応する。

 個人的には2が非常に気になるところですが、1も興味があるところなので、1の可能性の下調べてとして、現時点でDAISY再生ソフトウェア/機器がEPUBに対応しているかを調べてみました。「DAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」への対応状況を調べたいところだったのですが、調べ始めてすぐに「あっ、これはない・・・」と思い至りまして・・、単純にEPUBに対応しているか否かで調べてみました。

 確認したのは、DAISY Consortiumがウェブサイトで掲載している以下のリストです。リストと各メーカのウェブサイト上で確認できる範囲で洗い出しただけですので、漏れがあるかもしれません(もし掲載漏れ等ありましたらお知らせいただけると嬉しいです)

 
  確認した結果が以下の表です。

EPUBに対応したDASIY再生ソフトウェアと再生機器
名前 種別 OS 備考
BookSense DS 機器
DAISY / EPUB Reader for Android ソフトウェア Android EPUB対応を目指しているが、現時点では未対応。開発が止まっている?
Dolphin EasyReader ソフトウェア Windows
Emerson ソフトウェア Windows/Mac/Linux
Go Read ソフトウェア Android EPUB2対応
ida-reader ソフトウェア Windows/Mac EPUB2 / EPUB3対応
Milestone 212 DAISY Player 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
Milestone 312 DAISY Player/Recorder 機器 DAISY Consortiumのリストの情報による
ReadHear PC ソフトウェア Windows Premium版のみの対応。ReadHearのMac版は近いうちにEPUB対応とのこと。
Victor Reader Stream 機器

 辛うじて10に届くくらいで多いとは言えません。しかも、EPUB3対応と明記しているのはida-readerくらいでした。

  調べてみて気になる点は以下の2点でした。

  • ida-readerがどこまでEPUB3に対応しているか(「DAISY4から変換したDAISY的な機能を備えたアクセシブルなEPUB3」に対応している可能性は高くなさそうですが・・・)。
  • DAISY4から生成されたものではない、普通に作られたEPUB2やEPUB3を、視覚障害者ユーザーに特化したDAISY再生ソフトウェア/機器で読む場合の「読みやすさ」。DAISYコンテンツによる読書ほどではないとしても、視覚障害者の方々にとってそこそこ読みやすく、実用に耐えうる読みやすさなのでしょうか。

  (時間と)機会があれば確認してみたいところです。

※2013/06/07追記
日本語の読み上げにも対応した以下のアプリを見落としていました。EPUBも対応しています(EPUB3も一応、対応しています)。

 

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
4月 21

アクセシブルなEPUBの作り方 -ウェブアクセシビリティガイドラインとEPUB –

 今回は電子書籍の標準フォーマットとして普及しつつあるEPUBのアクセシビリティについて1つ。
  
 EPUBはデジタル録音図書であるDAISYの要素を多く取り入れているため、フォーマットそのものがアクセシビリティに配慮されているといってもよいフォーマットではありますが、実際にEPUB形式のコンテンツがアクセシブルかどうかは作り手次第です。

 EPUBはHTMLやCSS等のWeb標準技術をベースとしているため、EPUB形式で作成されたコンテンツはW3CのウェブアクセシビリティガイドラインであるWCAG2.0(とそれをJIS化したJIS X8341-3:2010)の対象とする「ウェブコンテンツ(Web技術によって作成されたコンテンツ)」に該当すると思われます。ここで「該当する」というのは、EPUBを作る際にWCAGが参考になるという意味ではなく、WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)の準拠が求められる場面において、EPUBコンテンツの作成者はWCAG2.0(JIS X8341-3:2010)に対する目配りも必要になってくるという意味です。

ウェブコンテンツとは、ウェブブラウザ、支援技術などのユーザーエージェントによって利用者に伝達されるあらゆる情報及び感覚的な体験を指し、例えば、ウェブアプリケーション、ウェブシステム、携帯端末などを用いて利用されるコンテンツ、インターネット、イントラネット、CD-ROMなどの記録媒体を介して配布されるウェブコンテンツ技術を用いて制作された電子文書、ウェブブラウザを用いて操作する機器などに適用する。
from JIS X8341-3:2010「1.適用範囲」

 
 WCAG2.0関連文書の1つであるWCAG 2.0 実装方法集では、PDFに対する言及はあるものの、EPUBに対する言及はまだありません。しかし、いずれEPUBに関する記述も追加されるのではないかと思われます。もしくは、HTML、CSS、Script、SMIL等々EPUBで使用されているWeb技術については、それぞれ個別に項目が立てられてまとめられていますので、それらを参照することになるのかもしれません。

 というわけで、「今回は、そういうのを加味しつつ、アクセシブルなEPUBの作り方について紹介しますっ!」と話をすすめたいところですが、EPUBの仕様を管理しているIDPFがEPUBのアクセシビリティガイドラインとしてまとまった文書を公開していますので、それを紹介するに留めます。

 EPUB 3仕様のエディタの1人であるMatt Garrish氏の以下の著書もよくまとまっていますのでお勧めです。O’Reilly Mediaから無料で入手可能です。


Accessible EPUB 3 : Best Practices for Creating Universally Usable Content

 By Matt Garrish
 Publisher: O’Reilly Media
 Released: February 2012

 
これらのドキュメント、長くはないとはいえ、最初にこれらを全部読むのもちょっとしんどいなぁという方には14のTipsにDIAGRAM Centerがまとめた以下のようなものもあります。 とっかかりとしてどうでしょうか。

関連エントリ

ウェブアクセシビリティガイドラインについて
ウェブアクセシビリティガイドライン: 代替テキスト
ウェブアクセシビリティ: 動画
ウェブアクセシビリティ :リンクのはり方
ウェブアクセシビリティ : テキスト
EPUBについて