デスクトップ環境の電子書籍ビューワーのUI

 むかし、むかし、こんなエントリを書き、「電子書籍ビューワーのUIって、なんかいろいろ足らないんじゃないっすかっ!」と訴えたことがありました・・・

 しかし、デスクトップ上では状況が変わってきたようです。今日、公開されたiBooks for Mac OS X や Murasakiでは、当然のように複数の本が開けます。
 本文と巻末の注を電子書籍で読むなんて辛い辛い、と思ってましたが、同じ本の異なる箇所を別々のウィンドウで同時に表示できれば解決じゃないか!ワッショイ!ワッショイ!という感じです(Murasakiは同じ本を複数のウィンドウで立ち上げることができましたが、iBooksは残念ながらできないようですね。これは残念です)。
 2011年にあのエントリを書いた時には1つのビューワー内で複数の本を見比べるにはどんなUIがよいのかと考えていたのですが、複数のウィンドウを表示できればかなり解決しますね。なんというか、マルチウィンドウに気がつかないとか、いつの時代の人間かっ!と思ったりしました。
 ウェブブラウザのようにタブUIも実装してユーザーが、異なるタイトルは別のウィンドウに、同じ本の違う箇所は同じウィンドウにまとめてタブで切り替えとかできるようになるとよいですね。
 複数の書籍を見比べられるようになってくると、いよいよEPUB CFIの実装が重要になってきます。

EPUB 3の長期保存に関する検討を行うISOとIECの共同分科会が設置されることに

ISO/IEC JTC 1/SC 34※1、IEC/TC 100/TA 10※2、ISO/TC46/SC 4※3 による共同分科会(Joint Working Group)がEPUB 3のarchivability、つまり、長期保存に関する検討を行うために設置されることになったそうです。

 将来的にOOXMLとODFにもスコープを拡げてることを想定しているようですが、まずはEPUB3の長期保存に適したMETS(Metadata Encoding and Transmission Standard)のプロファイルを作成することを目的としているようです。METSのプロファイル作成はTC 46/SC 4が中心となって進めるようですね。

EPUBの長期保存に関するISO関係の参考文献
METSについての参考文献

※1 ISO/IEC JTC 1/SC 34
International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1/SubCommittee 34(国際標準化機構 (ISO) と国際電気標準会議 (IEC) の第一合同技術委員会第34専門委員会)。文書の記述と処理の言語の標準化について検討する専門委員会です。
http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc34/ 
※2 IEC/TC 100/TA 10
International Electrotechnical Commission/Technical Committee 100 Technical Area10 (国際電気標準会議第100技術委員会第10テクニカルエリア)。 オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステムおよび機器に関する専門委員会の下に設けられたマルチメディア電子出版と電子書籍技術に関するテクニカルエリア(という名前のプロジェクトチーム)
http://tc100.iec.ch/about/structure/tc100_ta10.htm
※3 ISO/TC46/SC 4
International Organization for Standardization/Technical Committee 46/SubCommittee 4(国際標準化機構 (ISO) 第46技術委員会第4専門委員会)。 情報とドキュメンテーションに関する技術委員会です。
http://www.iso.org/iso/iso_technical_committee.html?commid=48750

関連エントリ

Open Wayback Project – Waybackをオープンソース化して開発をリランチ

 Waybackといえば、Internet Arhiveが提供するWayback Machineというアーカイブされた過去のウェブサイトを閲覧するウェブサービスが有名ですが、アーカイブされたウェブサイトを閲覧するためのWaybackというアプリケーションもあります。Internet Archiveが中心となって開発し、Internet Archiveがこのアプリケーションを使用してWayback Machineというサービスを提供していますので、サービスとアプリケーションが混同されがちですが(IAの中の人は区別してないかもねぇ・・)、この両者は一応区別されるべきものです。IA以外にアプリケーション”Wayback”を使用している機関はいくつかあるようです。
 前置きが長くなりましたが、今回は後者のアプリケーションの話です。
 
 これまで、Waybackの開発は前述のようにInternet Archiveが中心になって進めてきましたが、今後はアイスランド国立大学図書館、ロスアラモス国立研究所、ノルウェー国立図書館が中心になり、オープンソースとして開発をすすめることなりました。Internet Achiveは英国図書館、フランス国立図書館とともに中心貢献機関という立場で、コード全体の監督やこれまで作成してきたコードの提供をする立場になり、直接の開発から離れることになったようです。

 International Internet Preservation Consortium(IIPC)のウェブサイトでOpen Wayback Projectのページが公開されています。