Bookshare、マラケシュ条約国のAEからも30万件のデータを集める

管理するアクセシブルな図書コンテンツのタイトルが100万件を超えたというプレスリリースを、Bookshare が出しました。Bookshare はプリントディスアビリティのある人を対象とした世界最大の電子図書館です。サピエの世界版といえば、分かる人にはわかりやすいかも。

Bookshare は自身で、70万件強のデータを作成するなり、出版社から提供をうける形で集めていますが、それに加えて30万件ほどをマラケシュ条約締約国の図書館等に呼びかけて集めたらしいです。

上のプレスリリースで名前が上がっていますが、プリントディアビリティのある人へのサービスとして有名な以下のサービスが書誌とデータを提供とのこと。これらの図書館サービスの蔵書(全てかわかりませんが)がカウントされたのですね。

マラケシュ条約締約国の図書館等で製作されたアクセシブルな図書コンテンツは、WIPO の Accessible Books Consortium (ABC) Global Book Service で集約してこうと、WIPO や関係者が動いていますが、Booksahre が、それに近いことをやろうとしているようです。それは Bookshare が2018年にマラケシュ条約締約国向けに出した案内からも伺えるのですが、もう30万件集めたとは・・(ABC Global Book Service は40万件強)

このBookshare、ウェブアーカイブ業界におけるInternet Archiveのような、圧倒的インフラに近い存在になりそうな感じもします。一度その方向に傾くと世界中のコンテンツがそこに集約されることになるかも(それが良いことか悪いことかは現時点では判断つかないけど、ユーザー側のメリットは大きいはず。日本語のUIもちゃっと作ってしまいそう)。この10年の動向次第かな。

カナダの大学図書館が提供するプリントディスアビリティ向けサービス ACE (Accessible Content E-Portal)

 カナダのオンタリオ州大学図書館コンソーシアム(Ontario Council of University Libraries : OCUL)が提供するScholars Portalという学術文献のデジタルリソースを提供するサービスがあります。60万の学術文献の電子書籍を検索・利用できるScholars Portal Booksや3000万の学術論文を検索・利用できるScholars Portal Journalsなどを様々な提供していますが、プリントディスアビリティのある学生向けにアクセシブルなコンテンツを提供するACE (Accessible Content E-Portal) というサービスも提供してます。2012年にパイロットプロジェクトとして開始し、2015年に本格サービス化しました。

 Scholars Portal の Annual Reportsによると、Internet Archive (IA) Canada ともパートナーシップ協定を結んで、紙の資料からデジタル化して16000タイトルの書籍のテキストデータをプリントディスアビリティのある学生に提供しているほか、IAが提供する100万を超えるプリントディスアビリティ向けのコンテンツに直接アクセスできるようになっているようです。カレントアウェアネスが記事にしていましたね(初めて意味するところがわかった)。

 FAQを読むと、学生がデータをダウンロードして利用できるタイトルも、新たにテキストデータの製作をリクエストできるタイトルも所属する大学図書館で所蔵している資料に限定される、利用後は削除を求めていることがわかります。障害学生の情報保障の枠内でサービスを提供しているようです。
 以下の動画にACEで学生からテキストデータのリクエストを受けてからデジタル化、テキスト化、提供に至るまでのフローが、IAとの連携協力も含めて紹介されています。

 以下は私も未読で、軽く紹介するにとどめますが、オンタリオ州大学図書館コンソーシアムは、大学図書館におけるベストプラクティスを集めたツールキットを2014年に出したり、

障害学生にとってのアクセシブルなメディアとは何か、法的基盤、そして、アクセシブルなデータの製作プロセスを調査し、2015年に以下の報告書でまとめています。これがACEのベースになっているのかな?

米国のADAとリハビリテーション法504条関係の判決、和解のまとめ

日本で言うところの障害者差別解消法に相当する(日本より義務の対象範囲が広いようですが)米国の障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990 : ADA) とにかかる、 2006年以降の障害当事者がサービスプロバイダ等に対して起こした訴訟の判決、両者の和解が以下でまとめられています。それに関連して、ADAに関連するリハビリテーション法 504条にかかるステートメントもまとめられています。

ちなみにTitle I からTitle IIIに分類されていますが、それぞれ以下のとおりです。