すべてがOpen Annotation Data Modelを使用しているのか不明ですが(おそらくそうですが)、アノテーションに関係するプロジェクトリストです。
カテゴリー: annotation
Open AnnotationのWorking GroupがいよいよW3C内に立ち上げられることになりそうです
これまでW3CのCommunity Groupで議論が進められてきたOpen Annotationですが、Working GroupがいよいよW3C内に立ち上げられることになりそうです。 W3CのOpen AnnotationのMLのRobert Sanderson氏の投稿で動きが少し具体的にわかってきました。
ちなみにW3CのCommunity GroupからWorking Groupの流れは以下の図のとおりです。
from W3C Community Groups: Web Payments Case Study(2011 W3Conf Manu Sporny氏発表資料)
W3C Annotation Working Groupでは、以下などが議論の対象になるようです。詳細は数週間後に出来あがる予定のAnnotations WG charter(案)でとのこと。
- Open Annotationの仕様やデータモデル
- ブラウザサイドの仕様(addressability、イベント、JavaScript APIなど)
Working Groupが立ち上がった後もOpen Annotation Community Groupは議論を拾い上げる場として引き続き維持されるみたいですね。
Open Annotationに関するエントリ
EPUB内のアノテーションの標準化を目指す「Open Annotations in EPUB プロジェクト」、始動。
先のエントリでも少し紹介しましたが、IDPFが11月にEPUBのアノテーションの仕様化の検討を開始しました。Open Annotationが、アノテーションの仕様として組み込まれることになりそうです。
EPUBにコメントを付与したり、ハイライトする機能は、ほとんどのEPUBのリーディングシステム(ビューワー)で備えられています。しかし、ある特定のリーディングシステムでつけたコメントを他のリーディングシステムで共有することができないため、同じリーディングシステムを常に利用するような個人のユーザーの個人的な利用に利用範囲が限定されざるを得ませんでした。
これはそれぞれのリーディングシステムにアノテーション機能が独自実装されているためですが、アノテーションが標準化されることで、あるリーディングシステムで付与されたコメント、ハイライトなどが他のどのリーディングシステムにおいても表示できるようになるはずです。当然ですが、複数の人間でアノテーションを共有することも可能になりますので、利用範囲は後述するユースケースのように大幅に拡がります。
プロジェクトの概要
プロジェクトの概要はIDPFの以下のドキュメントで知ることができます。
EPUBのための相互運用可能なアノテーションの検討は、EPUB 3の仕様策定の段階からサブグループが立てられ、その中で検討されていました。しかし、EPUB3の仕様が公開された時点では結論が出ずに保留扱いになっていたようです。その後、W3CのOpen Annotation Data Modelが仕様として安定してきたということで、その成果を取り込む形でEPUBのアノテーションの標準化を実現しようということのようです。
プロジェクトの期間は、2013年11月から2014年3月。検討メンバーにはW3CのOpen Annotation Community Groupの共同チェアであるロスアラモス国立研究所のRob Sanderson氏とハーバード大学の Paolo Ciccarese氏も加わっています。Rob Sanderson氏はMarkus Gylling氏ともにOpen Annotations in EPUB Projectのチェアにもなっています。
なお、アノテーションの仕様は、EPUB 3.0.1の拡張モジュールとしてまとめられるそうです。
アノテーションの標準化にあたっての要検討事項
検討事項がまだドラフトですが、以下にまとめられています。
簡単に挙げると以下になるようです。
- 識別(識別子)
- アノテーションのアクセシビリティ
- アノテーションの格納、アクセス、同期
- アノテーションの移動、集約、管理
識別(識別子)については、プラットフォームや出版社の間で共有できるような出版物の識別の課題、出版物内のある特定のセグメントの識別の課題、リーディングシステム内の出版物の識別の課題(コンテンツがローカル環境に置かれる事が多いためURIでどう表現しようか)と様々なレベルで課題が挙げられており、個人的に興味がつきません。これらの識別子の課題がクリアできたら、アノテーションだけではなく、電子書籍の抱える様々な問題が解決できるのではないかと期待してしまいます。
EPUBアノテーションのユースケース
まだドラフトであり、書きかけの段階ですが、EPUB内アノテーションのユースケース案も公開されています。
内容は以下に挙げたとおりです。先のエントリで「Open Annotationにおけるアノテーションの本質は、オリジナルのコンテンツ本体に異なる別のレイヤーとして付加的な情報を追加すること」と紹介したことがありましたが、まさにそんなイメージです。
著者・出版社が付与するアノテーション
コンテンツ作成時にコンテンツに補助的なコンテンツをつけるケースです。
- 著者によるコメント・解説(例えば音声、テキスト、ビデオなど)
- アクセシビリティの確保を目的としたより詳細な記述
読者がプライベートで付与するアノテーション
1人のユーザーがプライベート目的で使用するケースです。
- 重要な箇所(テキスト、画像、表、ビデオなど)にアンダーライン、ハイライト
- ブックマーク(リーディングシステムが読んだ最終地点を自動的に記録する機能も含む)
- ある選択された範囲(テキスト、画像、音声、ビデオ)にコメントを追加
- あまり深く考えずに絵を描く、落書きをする
- ある選択された範囲に画像を追加
- ある選択された範囲に録音された音声もしくは動画を追加
- あるドキュメントのある地点とその他のドキュメントのある地点の間に関係をつくる(リンクさせる)
- 離れた複数の箇所にアノテーションを追加
- 出版物の一部分にタグ付けさせる
- 出版物全体に対してアノテーションを付与またはタグ付けをする
- アノテーションにアノテーションを付与する
- 画像、オーディオ、テキストなど複数のリソースからなる1つのアノテーション
公開されるアノテーション
商業目的に付加されるか、特定のグループ内でシェアすることを目的とするケースです。
- これまで上で挙げられたもの全て
- 先生用の課題の回答
- 一人の人間から複数の人間にむけてのメモ、または一人の人間から特定に複数の人間に向けたメモ(学校の先生から学生へ、自分自身からブッククラブのメンバーへ など)
- オリジナルの著者からのメモ
- 追加の実験データを持った表を、既存の表に追加する(学術誌)
- すでに出版された出版物に対して第三者の出版社や出版物の著者がオーバーレイする追加の情報を販売・配信
- 発音(音声、発音記号など)
- ユーザーがアノテーションを受け取って、発信元を確認する(認証?)