DAISY Planet 2014年11月号紹介

DAISYコンソーシムは、月刊のDAISY Planetというウェブマガジンを刊行しています。海外のアクセシビリティに関するイベントや動向を追うのであれば、これを読むがよいと思います。

 といいつつ、私もきちんと毎号読んでいるわけでもないのですが、少し勉強する気になったので、気が向いた時にこのブログでDAISY Planet を紹介していきたいと思います。「感想」業界には、ささくれというブログがCA-E感想を隔週で更新するというすごいことをやっているのですが、ここまで自信もあまりないので、もう少しだらけた感じで簡単にこんなこと書いてあったと紹介することにしたいと思います。
 というわけで、最新号の2014年11月号の紹介をします。実は11月号、イベント紹介ばかりでさほど面白くはなかったですね・・・。

Techshare Middle East 2014: A Successful First

 11月4日から11月5日の2日間、カタールのドーハで行われた支援技術とアクセシビリティをテーマにした会議 Techshare Middle Eastの紹介記事。Techshare Middle EastはQatar Assistive Technology Center (Mada)主催、DAISY Consortiumとボーダフォンの後援という形で行われたそうで、アラビア語圏で支援技術とアクセシビリティをテーマにした国際会議が開催されたことにこの会議の意義があったようです。

From Exclusion to Empowerment: Role of ICT for Persons with Disabilities: UNESCO Conference

 10月24から26日の3日間、インドのニューデリーで行われたUNESCOの国際会議”From Exclusion to Empowerment: Role of ICT for Persons with Disabilities”の紹介記事。3日間行われたこの会議をこの字数でまとめるのもなかかな苦労したのではないかというのが最初読んだ時の感想でしたが、全体的テーマとして、教育や情報アクセシビリティの南北格差の解消が縦軸になっているのかになっているようです。
 
 マラケシュ条約の最初の批准国となったインドだけに、TIGARプロジェクトAccessible Books Consortiumの動向に関心が集まっている印象を記事を読んで受けました。
 あと、日本から発表者として記事では、日本大学教授の山口 雄仁氏の発表の紹介されていました。

DAISY Delivers at Techshare Middle East

 上で紹介したTechshare Middle EastにあわせてDAISYコンソーシアムの理事会が初めて中東で開催されたよという記事ですが、記事そのものは、Techshare Middle Eastでは、DAISYコンソーシアム関係者がたくさん発表したよという内容になっていたり。Techshare Middle Eastの発表資料一覧は公式サイトで公開されていますが、DAISYコンソーシアム関係者のスライドの一覧が抜き出されてこの記事に掲載されていたので、以下にそれらを参考までに転載。興味深い発表が多いですが、Pedro Millet氏のクラウドでDAISYを製作するシステムDORINA DAISY PLATFORMは面白そうですね。PDFのインポートもできるようにしたいとか。あと、韓国国立中央図書館もDAISYコンソーシアムのメンバーで、中東で発表とかしていたりするのかー。

In France Productivity Improves with Obi

 フランスのAssociation Valentin Haüy (AVH)がDAISYコンソーシマムのOSSであるObiのフランス語へのローカライズを行っているという記事です。ちなみにObiはおもに音声DAISYの製作に力点が置かれたアプリケーションで、最近公開されたver3.5でaudio onlyのEPUB3の製作にも対応しています。

Center on Technology and Disability: Assistive and Instructional Technology Supporting Learners with Disabilities

 11月に米国のCTD(Center on Technology and Disability)がオンラインサービスの提供を開始したという記事ですか?CTDという組織を不勉強ながら、初めて知りましたが、障害者の家族や支援者・団体をICT技術やその単お支援技術の情報提供等で支援する団体だそうです。LibraryCTD CaféLearning Centerで構成されて、登録すれば様々なサービスが受けられるとのこと。

シンポジウム「図書館におけるディスレクシアの人への支援」(11月8日 新宿区)に参加しました。

11月8日(土曜日)に行われたリハビリテーション協会が主催するシンポジウム「「図書館におけるディスレクシアの人への支援」」に参加してきました。
 
 シンポジウムの内容は、Twitterで実況したものを以下にまとめましたので、こちらをご覧ください。

 
 なお、実況はあくまで私の主観によるものであり、講演者の意図とした内容と異なる場合があります。ご注意ください。また、講演についていくために速度優先で投稿していったので、普段から多い誤字脱字がさらに多くなってしまいました。大変申し訳ございません。
 日本では、ディスレクシアを診断できる医療機関がかなり少ないのが現状ですが、著作権法第37条及びそのガイドラインで、図書館職員がその利用者がディレクシアだと判断すれば、著作権法第37条に基づいて製作されたDAISYなどのその利用者にとって使いやすい資料を医師の判断を待たずに提供することができます。抱える困難を軽減できる手段や方法を図書館が持っているにも関わらず、図書館がもっとも救えていない層がディスレクシアの方々なのかもしれない。図書館職員がディスレクシアに対する理解を深め、自信をもって判断できるようになることが重要だろうと今回のシンポジウムと、先週の図書館大会、先々週の全視情協徳島大会に参加して思いました。
 あと、このシンポジウムで河村宏さんが「アクセシブルな電子書籍」について以下のように少し触れられていましたが、全く同感です。


 図書館は、「アクセシブルな電子書籍」を企業が出してくれることをただ期待するのではなくて、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」が何かを明示する必要があると思います。「アクセシブルな電子書籍」と一言で言っても、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」と企業側が考えるそれが同じとは限りません(というより、まず同じではない)。図書館側が求める「アクセシブルな電子書籍」の要件を整理して、まずは認識に齟齬が生じさせないことが重要です。
 少なくとも以下ぐらいは要件を整理し、優先順位を示したガイドラインを提示するべきではないかと思います。

  • 出版社と電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」とは何か。
  • 電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の提供方法とは何か。
  • ビューワー開発者に対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の閲覧環境とは何か。

 図書館が求める「合理的配慮」を優先順位をつけたガイドラインという形で明示しておけば、企業も全ての要件を一気に満たすことは難しくても、「合理的配慮」の範囲内で少しずつ実装してくれるかもしれない。
 障害のある利用者に対して直接接サービスを提供する図書館は、障害者のニーズをくみ上げて出版社やベンダーに「アクセシブルな電子書籍」とは何かを伝えることができるし、その役割を果たすことでアクセシブルな電子書籍の普及に貢献することができる。
以上、「図書館」を中心に述べてきましたが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる、点字図書館)に置き換えても同じことが言えるはず。図書館と点字図書館が連携して取り組めればよいですね。

「DAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)仕様(2010年5月29日付)」の日本語訳を公開します。

DAISY ConsortiumのDAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)の仕様を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

 この日本語訳は、私自身がDAISYオンライン配信プロトコルを理解するために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。
 DAISYオンライン配信プロトコルについては、以下の記事をご参照ください。

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