1月 07

EPUB 3.1の仕様とそれに含まれるEPUBのアクセシビリティに関する仕様

 1月5日にEPUB 3.1の仕様がIDPFで承認されました。

 EPUB 3.1の仕様は、EPUB Packages 3.1、EPUB Content Documents 3.1、EPUB Open Container Format (OCF) 3.1などの複数の仕様で構成されています。2016年に公開されていたEPUB 3.1のドラフト版はありがたいことにIMAGEDRIVEさんが日本語訳を公開してくれています。EPUB3.01からの変更点を解説した”EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1″も含めて翻訳してくださっていますので、ご参照ください。

 EPUB 3.1の仕様では、アクセシビリティに関する仕様が規定され、その関連文書としての実装方法をまとめた文書が公開されました。

 よりアクセシブルなEPUBコンテンツを制作する要件についてまとめられているほか、必要な人が自分にあったアクセシブルなコンテンツをきちんとを発見できるようにするため、EPUBコンテンツに包含すべきアクセシビリティメタデータの要件についても整理されています。

EPUB Accessibility 1.0と関連文書であるEPUB Accessibility Techniques 1.0(実装方法集)の関係は、W3CのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0/a>とそのTechniques for WCAG 2.0(実装方法集)の関係に倣ったものだと思われます。技術的なテクニックは随時変更できるように仕様本体から切り離したのでしょう。WCAGと実装方法集の関係の詳細については、以下をご参照ください。

12月 30

全視情協「テキストデイジー・マルチメディアデイジーデータ 再生機器・ソフトウェアに関する調査結果(2015)」

 公開されてずいぶん日がたちますが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる点字図書館)の全国組織である全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)が「テキストデイジー・マルチメディアデイジーデータ再生機器・ソフトウェアに関する調査結果」(平成28年3月31日)を平成28年5月19日に公開しています。DAISY再生ソフトのEPUB対応の予定についても調査されています。

全視情協:各種資料 – テキストデイジー再生機器等に関する調査結果(2015)

目次は以下のとおり。
1.カテゴリー別 機種・ソフトウェア 4ページ
2.機能別調査結果 5ページ
(1)再生可能なデイジーデータ 5ページ
(2)移動可能な単位 5ページ
(3)飛ばし読み(スキッパブル)機能 6ページ
(4)文字の読み上げ、検索機能 6ページ
(5)テキスト表示、ノートテイク(印付け等)機能 6ページ
(6)テキストデイジーデータの再生について 7ページ
(7)インターネット接続とサピエ図書館のデータの再生機能について 8ページ
(8)EPUB3への対応(対応予定) 9ページ
3.機種・ソフトウェア別機能調査結果 10ページ
(1)ブレイルセンスU2 10ページ
(2)ブレイルセンスオンハンドU2ミニ 10ページ
(3)Voice-Trek DS-902 10ページ
(4)Olympus Sonority 11ページ
(5)BMS16 12ページ
(6)BMS40 12ページ
(7)My BookⅢ 13ページ
(8)ボイスオブデイジーVer.4 for iOS 14ページ
(9)ボイスオブデイジーVer.4 for Android 14ページ
(10)Dolphin EasyReader 6.03 日本語版 14ページ
(11)Dolphin EasyReader Express 6.06 113 16ページ
(12)AMIS 3.13 日本語版 17ページ
(13)プレクストークPTN2 18ページ
(14)プレクストークポケットPTP1 19ページ
(15)プレクストークリンクポケットPTP1/LINK 19ページ
(16)いーリーダー 20ページ
資料1 カテゴリー別 機種・ソフトウェア 一覧表 22ページ
資料2 機能別調査結果 一覧表 23ページ

12月 24

DAISY(Digital Accessible Information SYstem)開発史年表(開発前史から2012年まで)

 デジタル録音図書の国際規格であるDAISY(Digital Accessible Information SYstem)の開発の歴史について、まとめました。

 公刊されたものや公開されている情報をもとに作成しましたが、いくつもの情報を繋いでまとめたので、結果として、間違っているところがあるかもしれません。また、規格の策定や標準化は、つまるところ、意見や立場の異なる人や組織の調整を形にするという作業なので、関係する機関のその当時の事情や、関係者の一人一人のパーソナリティが結構大きく作用したり、さらに組織間や関係者同士の人間関係も影響を与えたりするのではないかと思われるので、大事なところが抜けているかもしれません。
 
 このエントリをまとめて、少しだけ私の感想を述べると、DAISY関係者は、デジタル録音図書規格の国際共同開発の開始から2年でDAISYによる国際標準化を2年という短い期間で成し遂げています。しかし、視覚障害者のための録音図書がカセットテープで製作されていた1980年代から1990年代は、録音図書テープのデジタル化とデジタル録音図書のニーズが高かったらしく、デジタル録音図書の規格が各国で乱立する可能性のあったようなので、デジタル録音図書の標準化は、時期的に1997年あたりがギリギリのところだったのかもしれません。DAISYという規格で、デジタル録音図書の仕様を統一させることに成功したことで、国際的な録音図書データ交換が可能になり、それがマラケシュ条約成立の環境整備に繋がっています。DAISYによるデジタル録音図書の国際標準化の成功は、本当に偉大と言うほかありません。

目次

  1. DAISY開発前史(1995年まで)
  2. デジタル録音図書規格の国際共同開発の開始と DAISY Consortium の結成(1995年から1996年まで)
  3. DAISYの国際評価試験と事実上の「国際標準化」(1997年)
  4. DAISYのマルチメディア対応(DAISY2の開発)(1997年から2001年)
  5. DAISYの日本における普及(1998年から2001年)
  6. DAISY3の開発(1996年から2004年)
  7. EPUBとDAISY(1998年から2012年)

1. DAISY開発前史(1995年まで)

当時の録音図書をめぐる状況

 録音図書はアナログのカセットテープによって製作されていたが、カセットテープには、以下のような問題があった。

  • カセットテープは、収録できる時間が1巻あたり90分という時間的制約があり、原本1冊分で10時間を超えることが当たり前の録音図書では、かなりの巻数になってしまっていた。
  • ページを開くように任意の箇所に移動する機能はない。
  • 磁性の変化で劣化してしまうため、コピーを繰り返すと音質が落ちてしまう。
  • 図書館の立場で考えると、マスターテープの劣化が問題になっており、半永久的に保存できるメディアが求められた。
  • 万国郵便連合(Universal Postal Union)の合意によって、点字及び録音図書の郵便料金は無料とされていたが、録音図書に使用されるカセットのフォーマットが国や機関によって異なっていたため、その国、機関から取り寄せた録音図書を聞くには、そのフォーマットに対応したプレーヤーも必要だった(詳細は、第2章 デジタル環境下における欧米の視覚障害者等図書館サービスの全国的提供体制」の注22等を参照)。

1986年

■ 8月

 国際図書館連盟(IFLA)東京大会における盲人図書館分科会(Section of Libraries for the Blind, 略称は IFLA/SLB )第4回国際専門家会議において、デジタル録音図書の国際的な議論が公の場で初めてなされる。

<参考文献>

1988年

 スウェーデン国立録音点字図書館 (Swedish Library of Talking Books and Braille。略称はTPB(スウェーデン語名での略称)。現在のSwedish Agency for Accessible Media(MTM))がDAISY(Digital Audio-based Information System : デジタル音声情報システム)プロジェクトをスタート。1991年からは政府の助成を受けて3カ年プロジェクトとして技術開発が始まる。

1993年

 スウェーデン国立録音点字図書館(TPB)のプロジェクトの元で、同国のLabyrinten DATA社が初期DAISY(Digital Audio-based Information System)を試作。同年、日本でも、シナノケンシが厚生省の呼びかけでデジタル録音図書プレーヤーの開発に着手。なお、両者の機能は同じだが、互換性がなかったらしい。

1994年

 DAISY(スウェーデンのもの)の再生システム(Windows環境)の最初のプロトタイプが完成。

<参考文献>

2. デジタル録音図書規格の国際共同開発の開始と DAISY Consortium の結成(1995年から1996年まで)

1995年

■ 4月

 カナダのトロントでIFLAのデジタル録音図書の標準化をめぐる国際会議( 3rd International Meeting to Discuss Audio Technology as Applied to Library Service for Blind Individuals )が開催される。当時、IFLA/SLBの議長を務めていた河村宏氏が、シナノケンシが試作したデジタル録音図書プレーヤーを会議に持参して委員に披露する。それに対して、米国議会図書館(LC)の障害者サービス部門である視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped。略称は NLS。)のトップから試作品の紹介について米国議会図書館がこれを推奨していると思われると困るというクレームがつく。
<メモ>
 会議のその後の議論が先鋭化したのちの発言ということではあるが、NLCのトップは以下のような趣旨の発言をしたらしい。

  • 米国の利用者は現在の録音図書に満足しており、今後10年は利用者に提供するシステムの変更は行わない。
  • マスターテープのデジタル化の研究は勧めるが、国際標準化のためにそれを行うわけではない。
  • デジタル録音図書の国際標準化はIFLAで進めるべきだ。

 そこで、河村宏氏は、IFLAの役員全員(理事?)に集まってもらい、
(1) 2年以内に次世代録音図書の標準化をはかることをIFLAの名前で宣言する。
(2) その目標達成のために国際共同開発組織を発足させる
という二点を確認し、デジタル録音図書の標準化の検討が開始される。

<参考文献>

その後、7月、8月、12月の3回にわたり、スウェーデン、イギリス、日本で協議を行い、以下で合意する。

  • スウェーデンが開発していた録音図書の規格(当時のDAISY)を元に次世代録音図書の国際標準規格を開発
  • どのメーカーも参入できるように技術仕様は公開する。
■ 8月

 IFLAイスタンブール大会において、IFLA/SLBは、次世代録音図書の国際標準化の期限を2年後のコペンハーゲン大会までと決定する。

<参考文献>

1996年

■ 5月

 日本、スペイン、英国、スイス、オランダ、スウェーデンの6カ国により国際共同開発機構として DAISY Consortium がストックホルムで結成される(米国は参加を拒否)。TPBの Ingar Beckam 氏が最初の 会長 (Chair) となる。設立当時の会員施設は、以下の6機関・団体。

  • (日本)全国点字図書館協議会(現在の全国視覚障害者情報提供施設協会
  • (スペイン)スペイン盲人協会 (The Spanish National Organization of the Blind, O.N.C.E.)
  • (英国)英国王立盲人援護協会 (Royal National Institution for the Blind, RNIB)
  • (スイス)スイス視覚障害者図書館 (Swiss Library for the Blind and Visually Impaired, SBS)
  • (オランダ)オランダ視覚障害学生図書館 (The Dutch Library for Visually and Print Handicapped Students and Professionals, SVB)
  • (スウェーデン)スウェーデン国立点字録音図書館(The Swedish Library of Talking Books and Braille, TPB)と、スウェーデン視覚障害者協会(The Swedish Association of the Visually Impaired, SRF)
<参考文献>
■ 7月

 日本で、デジタル音声情報システムの標準化・実用化・促進にむけて、日本盲人社会福祉施策協議会とシナノケンシを軸とした「デジタル音声情報システム促進委員会」が結成される。

<参考文献>
■ 12月

 米国のNLSが米国情報標準化機構(NISO)を通じてデジタル録音図書の規格を策定することを発表。これがDAISY3の開発につながる。NISOがデジタル録音図書の標準化について定期的に討議するようになったのは1997年5月からになる。NLSのMichael M. Moodie氏がNISOのワーキンググループの議長を務めた。詳細は後述の「6. DAISY3の開発(1996年から2004年)」を参照)。

3. DAISYの国際評価試験と事実上の「国際標準化」(1997年)

国際評価試験の概要

 DAISYの開発のために、視覚障害者に実際に使用してもらい、コメントをもらう国際的な評価試験が行われる。この国際評価試験のために、評価試験実施委員会が日本国内と海外に分かれて組織され、河村宏氏が両方を統括する責任者を務めた。国際評価試験を経て、発展途上国を含む利用者の要求を反映した次世代録音図書国際標準規格案としてまとめられる。

 日本国内では、上述の「デジタル音声情報システム促進委員会」が DAISY Consortium と協力して100以上の国内施設・団体と実施した。点字図書館、盲学校関係者、ロバの会などのボランティアグループが手探りで評価用のDAISY図書を製作し、シナノケンシが試作したプレクストークを数百人の視覚障害者に実際に使用してもらい、感想とコメントを求めた。

 海外では、32カ国、千数百員以上の視覚障害者の参加を得て実施した。
○国際評価試験参加国
 アイスランド、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、インド、ウルグアイ、オーストラリア、オランダ、カナダ、韓国、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、タイ、チェコ、チリ、デンマーク、ドイツ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、マケドニア、マレーシア、南アフリカ、ロシア。

1997年

■ 3月

・国際評価試験の中間評価会議が京都ハートンホテルで開催される。
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)が3月に毎年開催する「技術と障害会議」(Technology and Persons with Disabilities Conference : CSUN Conference)において米国でDAISYが初めて紹介される。RFB&D( Recording for the Blind & Dyslexic 。現在のLearning Ally )の技術チームの3人(うち1人はGeorge Kerscher 氏?)は、「これを境に人生が変わった」と当時を述懐。

■ 4月

河村宏氏が DAISY Consortium の暫定マネージャーに就任。

■ 5月

 DAISY Consortium は 「次世代録音図書のフォーマットに関する国際会議」(国際デジタル録音図書仕様会議)をスウェーデンのシグツナ(Sigtuna)で開催。DAISYをHTMLベースに変更し、マルチメディアに対応した第二世代(詳細は後述の「4. DAISYのマルチメディア対応(DAISY2の開発)」を参照)に進化させることを決定(その決定をうけて、米国RFB&DがDAISY Consortium への加入を決定する。)。30名の専門家がそれぞれの所属する団体に持ち帰って検討した後に正式な決定がなされるという留保つきではあったが、はじめて具体的に仕様を統一する方向が一致して確認された。

■ 7月18日から20日

国際評価試験の最終評価の国際会議が、東京の戸山サンライズで開催される。

■ 8月24日から8月25日

 IFLAコペンハーゲン大会の直前に同じコペンハーゲンで開催された DAISY Consortium 会議の最終日に米国のRFB&Dが DAISY Consortium に正式に加入する。なお、米国のNLSが加入するのは、2006年5月9日になる。

■ 8月27日から8月29日

 IFLAコペンハーゲン大会におけるIFLA/SLB 専門会議においてデジタル録音図書の「事実上の国際標準」(業界関係者の共通の認識となった)になる。
※テープのデジタル化を予定している各国の機関もIFLA大会の結果を見てから最終決断をするという暗黙の合意があったらしい。スペインなどは独自に開発し完成させたデジタル化設備の稼働を一時止めてまで国際動向に合わせようとした。

<参考文献>
■ 10月

米国RFB&D の George Kerscher 氏が DAISY Consortium のマネージャーになる。

4. DAISYのマルチメディア対応(DAISY2の開発)(1997年から2001年)

1997年

■ 5月

 DAISY Consortium は 「次世代録音図書のフォーマットに関する国際会議」(国際ディジタル録音図書仕様会議)をスウェーデンのシグツナ(Sigtuna)で開催。DAISYをHTMLベースに変更することで、ネットサーバーでの提供を可能にし、マルチメディアに対応した第二世代に進化させることに決定する。第二世代開発プロジェクトは、最初に打ち合わせた場所にちなんでシグツナ・プロジェクトと呼ばれる。

1998年

■ 4月

 プレクスター(現在のシナノケンシ)が世界初の視覚障がい者用デジタル録音図書読書機 TK-300の発売を開始する(この時点ではDAISY1.0のみに対応していたものと思われるが、10月にはすでにDAISY2.0に対応していた。 参考 プレクストークユーザーズマニュアル1998年10月 TK-300,TK-300B共通)。

■ 6月

 W3CがSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language) 1.0の仕様を勧告。
※SMIL1.0の草案を確認すると、1998年2月から4月の間の時期からDAISY Consortium の George Kerscher 氏は、SMIL 1.0仕様の開発に加わったと思われる。

■ 9月

 DAISY Consortium が、HTML4.0とSMIL1.0をベースにしたDAISY2.0の仕様を勧告。

2001年

■ 2月

 DAISY Consortium が、XHTML1.0とSMIL1.0をベースにしたDAISY2.02の仕様を勧告。XMLをベースとしたDAISY3が安定するまでの経過期間中のDAISY図書の基礎となるように意図された。

■ 12月

 DAISYの正式名称が “Digital Audio-based Information SYstem”から “Digital Accessible Information SYstem” となる。

5. DAISYの日本における普及(1998年から2004年)

厚生省(現在の厚生労働省)補正予算事業(平成10年度から平成12年度)

 平成10年度から平成12年度の厚生省の補正予算事業によって、全国の点字図書館等にDAISYの全国的な一斉導入される。500ユニット以上の製作システムと8800台のDAISY再生機器が日本障害者リハビリテーション協会から貸与される。2580タイトルのDAISY録音図書と601タイトルのデジタル法令集も製作され、全国の点字図書館等に日本障害者リハビリテーション協会から提供される。
2001年2月末までに13万タイトル以上のDAISY図書の貸し出しがあり、あらたに5500タイトルのDAISY録音図書が製作された。

<参考文献>

1998年

■ 4月

・名古屋ライトハウスがDAISY録音図書の貸し出しを開始。

2004年

 日本点字図書館がネットワーク配信サービス「びぶりおネット」がサービスを開始。

2006年

 著作権法が改正され、点字図書館等が視覚障害者に著作権者の許諾を得る必要なく、録音図書データの自動公衆送信を行うことが可能になる。

6. DAISY3の開発(1996年から2004年)

 DAISY3の仕様の開発が、DAISY2の開発と並行する形で、米国の規格としてNLSの主導?で始まる。上で述べたようなNLSのデジタル録音図書に対する対応を鑑みると、このタイミングでDAISY3の規格に結実するデジタル録音図書の標準化の議論が米国のNLS主導で始まる経緯はよくわからない。ここは、NLSという組織ではなく、人をみるべきところかもしれない(公刊あるいは公開された情報ではそこまでは読み取れなかったが)。もしかすると、NISOでWGの議長を務めたNLSのMichael M. Moodie 氏のリーダーシップによるところが大きかったのではないかと想像する。

1996年

■ 12月

 米国のNLSがデジタル録音図書の規格を米国情報標準化機構(NISO)を通じて策定することを発表する。

1997年

■ 5月

 米国情報標準化機構(NISO)のデジタル録音図書のあり方を議論する標準化委員会の最初の会議が開催される。NLSのMichael M. Moodie 氏がNISOのワーキンググループの議長を務めた。ここでの検討に DAISY Consortium も参加する。

1998年

■ 7月

 NLSが将来計画 “Digital Talking Books: Planning for the Future“で、デジタル録音図書のNISO内での標準化(つまり、DAISY3の開発)を含め、次世代のデジタル規格の録音図書に移行する計画を発表する。

2002年

■ 3月

 DAISY3仕様がANSI/NISP Z39.86-2002として米国の標準規格の1つに認定。

2004年

 米国で障害者教育法(Individuals with Disabilities Education Act : IDEA)が改正され、DAISY-XML方式の全国指導教材アクセシビリティ標準規格(National Instructional Materials Accessibility Standard : NIMAS)が制定される。就学前から高校までの全ての教科書をNIMASファイルに変換して、全国指導教材アクセシビリティセンター(NIMAC)を通じて配信されることになる。

2005年

■ 4月

 ANSI/NISO Z39.86-2002ANSI/NISO Z39.86-2005として改訂される。

<参考文献>

7. EPUBとDAISY(1998年から2012年)

1998年

■ 10月

 Open eBook initiative が発足。

<参考文献>

1999年

■ 9月

 Open eBook Publication Structure 1.0 が公開される(エディタの一人がDAISY Consortium の George Kerscher氏)。

2000年

■ 1月

 Open eBook Forum(OEBF) が発足。

■ 3月

 Open eBook Forum(OEBF) がニューヨークで最初の総会を開催。DAISY Consortium の George Kercher 氏がOEBFの理事会の議長に選出される。

<参考文献>

2007年

■ 9月

 IDPFが、EPUB2を構成する仕様であるOpen Packing Format (OPF) 2.0 と Open Publication Structure (OPS) 2.0の仕様を承認。EPUB2でDAISY XMLの語彙とDAISYのナビゲーションモデルをEPUBに採用される。

2008年

 ANSI/NISO Z39.86(DAISY3)の後継規格を、交換フォーマット(Part A : Authoring and Interchange Framework)と配布フォーマット(Part B : Distribution)を分けて開発する方向で DAISY Consortium が開始。

<参考文献>

2010年

■ 5月

 IDPF内においてWorking Groupが立ち上がり、EPUB3(当時は、EPUB 2.1)の開発が正式に開始される。

■ 10月

 IDPFが開発中しているEPUB3において、DAISY4世代の配布フォーマットとして求められる主要な要件が全て採用されることになったため、 DAISY Consortium の理事会はインドにおける会議において、DAISY4の配布フォーマットとEPUB3の”merger(統合)”を決定する。以後、DAISY4世代の仕様の開発は、DAISY AIの開発に注力することになる。

<参考文献>

2011年

■ 11月

 IDPFがEPUB 3.0の仕様を勧告。

2012年

■ 7月

 DAISY Consortium のDAISY AI (ANSI/NISO Z39.98-2012(Authoring and Interchange Framework for Adaptive XML Publishing Specification)) が米国の標準規格として承認される。

全体の主な参考文献

  全体を通してDAISYの開発の歴史を理解する上で、参考にした主な文献です。上で掲載した参考文献も一部再掲しています。

関連エントリ

2月 15

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のオンラインサービスLegimusなど

 DAISY Consortiumは今年で20周年を迎えるのだそうです。そして、昨年、2015年6月の理事会で、スウェーデンのMTM(Swedish Agency for Accessible Media)のJesper Klein氏がDAISY Consortiumの新しい会長(Chairman of the Board)に選任されています。38歳。若い。

 で、前置きが長くなってしまいましたが、そのJesper Klein氏が、以下の記事でDAISY Consortiumが今年で20周年を迎えることを紹介しつつ、所属するMTMの活動について紹介していました。MTMの最近の活動がよくまとまっていますので、この記事を箇条書きで要点をまとめてみました。

スウェーデンの概要

  • スウェーデンの人口:あまり多くない。980万人。移民が160万人と移民が占める割合が大きい。
  • インターネット利用率:世界でももっとも高い国の1つ
  • DAISY規格が生まれた国でもある。
  • MTMのターゲットである視覚障害者とディスレクシアは人口のおおよそ6パーセント、つまり、約60万人。この60万人に含まれない知的障害、認知障害などもMTMのターゲットになると思われるが、正確な数は分からない。

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のオンラインサービスLegimus

  MTM(Myndigheten för tillgängliga medier : 英語でSwedish Agency for Accessible Media)

  • MTMのアクセシブルな資料を提供するサービス、Legimus(http://www.legimus.se/)
  • コンテンツの提供インターフェイスは、ウェブサイト。iOSアプリや、Androidアプリ、DAISY配信プロトコルを用いたサービス
  • Legimusの登録ユーザー数は10万人(スウェーデンの人口の約1%)
  • 提供するコンテンツ数は、2016年初めで肉声で読み上げ録音したスウェーデン語のDAISY図書111,181点。全て無料で提供されている
  • 2014年は、その年にスウェーデン語で刊行された市販本(trade books)とテキストブックの約25%の録音図書を追加することができた。
  • その録音のほとんどが、商用のオーディオブックで朗読する俳優のような有名人ではないが、熟練した音訳者に読み上げによるもの。

MTM(Swedish Agency for Accessible Media)のその他

  • Legimusのオンラインサービス以外に、CDベースのサービスを図書館経由で利用しているものが、高齢の視覚障害者を中心に2万から3万人いる。
  • Legimusの利用者10万人とあわせると、MTMは13万人の利用者を持つことになる。ターゲットとなる人口の60万人の21.7%だ。
  • なぜ、たった21.7%しかいないのか。Klein氏は以下の4つの理由を挙げている。
    • ロービジョンやディスレクシアの人で、聞いて読書するよりがんばって目で読むほうがよい人は、大活字本を含む印刷した書籍、PDFやEPUB2で刊行された商用の電子書籍を読んでいる。
    • 読書をする習慣がそもそもない人がいる。
    • 多くのプリントディスアビリティのある人にまだサービスが知られていない。
    • 既存のオーディオブックサービスがベストセラーのタイトルを押させており、それで十分にニーズが満たせている。
11月 11

「ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)(いわゆるDAISY 3)(2005年4月21日付承認)」の仕様の日本語訳を公開します。

ANSI/NISO Z39.86-2005 (R2012)、いわゆるDAISY3の仕様の日本語訳を公開します。私自身のDAISY 3に対する理解のために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。

 DAISY3については、DAISYの各バーションを紹介した以下のエントリをご参照ください。

DAISY3には関連ドキュメントがまだあるので、これで十分というわけではないのですが、DAISY2.02はすでに翻訳済みで、EPUB3の仕様一式はIMAGEDRIVEさんが翻訳してくださっていますので、DAISYの各バージョンの日本語訳が一応、一通りそろったことになるのかな(DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)は見なかったことにしてる、使われているのを見たことがないので…)。

参考

8月 18

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)(テキスト形式)

 先のエントリにおいて、表形式で公開した「図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)」のテキスト版です。こちらのほうがスクリーンリーダーによる読み上げでもわかりやすいだろうということで、作成してみました。内容は表形式のものと同じです。

参考 表形式版

 各年ごとにその年に起こった出来事を図書館関係、点字図書館関係、著作権法関係、その他で分類してあります。

 年表中のリンクは、該当する機関や団体のホームページへのリンクだったり、関連する参考資料へのリンクです。

年表(1825年から2016年まで)

1825年

(その他)
  • ルイ・ブライユがアルファベットの6点式点字を開発

 

1854年

(その他)
  • ブライユ式点字がフランスで正式に採用

1880年(明治13年)

(図書館・点字図書館関係)
  • キリスト教宣教師ヘンリー・フォールズ、築地病院に「盲人図書室」を設置(日本における施設としての障害者への情報提供の最初の事例?)

1890年(明治23年)

(その他)
  • 石川倉次が日本語の6点式点字を考案、同年に東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で採用

 

1901年(明治34年)

(その他)

 

1916年(大正5年)

(図書館関係)
  • 東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の学生である加藤梅吉が自身が所蔵する点字図書200冊を東京市立本郷図書館に寄託。それを受けて、東京市立本郷図書館は点字文庫開設(公共図書館による障害者への情報提供の嚆矢)

 

1922年(大正11年)

(点字図書館関係)
(その他)

 

1931年(昭和6年)

(その他)

1932年(昭和7年)

(点字図書館関係)
  • 岩橋武夫、自宅にて点字図書貸出事業を開始

1933年(昭和8年)

(図書館関係)
  • 第27回全国図書館大会で「点字図書及盲人閲覧者の取扱」というテーマで障害者への情報提供が取り上げられる。

 

1934年(昭和9年)

(その他)

 

1936年(昭和11年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、世界で13番目のライトハウとして公認される(4月)

 

1937年(昭和12年)

(その他)
  • ヘレン・ケラー、来日

 

1940年(昭和15年)

(点字図書館関係)

 

1948年(昭和23年)

(点字図書館関係)
  • 日本盲人図書館、「日本点字図書館」と名を改める(4月)
(その他)

 

1949年(昭和24年)

(点字図書館関係)

 

1950年(昭和25年)

(図書館関係)
  • 図書館法公布

 

1953年(昭和28年)

(その他)

 

1955年(昭和30年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始(1月)
(その他)
  • ヘレン・ケラー、3度目の来日

 

1957年(昭和32年)

(点字図書館関係)
  • 国際基督教奉仕団(現・日本キリスト教奉仕団)テープライブラリ発足(2月)
  • 厚生省が点字図書館設置基準暫定案を作成(3月)

 

1958年(昭和33年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館が録音図書の製作を開始し、「声のライブラリー」を設置

 

1959年(昭和34年)

(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、「声の図書館」(テープライブラリー)を開設。

 

1961年(昭和36年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館・日本ライトハウス、厚生省委託声の図書製作・貸し出し事業開始。
  • 日本点字図書館、「声のライブラリー」を「テープライブラリー」と改称(4月)
(その他)
  • 郵便法改正(盲人用郵便が無料化)

 

1963年(昭和38年)

(点字図書館関係)
  • 日本ライトハウス、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始

 

1967年(昭和42年)

(その他)
  • 京都で視覚障害学生と点訳サークル学生を中心に関西SL(Student Library)発足(4月)

 

1969年(昭和44年)

(図書館・点字図書館関係)
  • 国立国会図書館と東京都立日比谷図書館に対して、日本盲大学生会・関西SL等が図書館蔵書の開放運動を行う。

 

1970年(昭和45年)

(図書館関係)
  • 東京都立日比谷図書館、視覚障害者サービスを開始(4月)
(著作権法関係)
  • 旧著作権法を全部改正した著作権法(①)公布。37条(点字による複製等)等を新たに規定(5月)
(その他)
  • 日本盲大学生会・関西SL等が視覚障害者読書権保障協議会(視読協)結成(6月)

 

1971年(昭和46)

(図書館関係)
(その他)
  • 著作権法(①)施行(4月)

 

1972年(昭和47年)

(点字図書館関係)
  • 京阪神点字図書館連絡協議会発足(参加4館) (6月)

 

1973年(昭和48年)

(その他)

 

1974年(昭和49年)

(図書館・点字図書館関係)
  • 京阪神点字図書館連絡協議会から近畿点字図書館研究協議会が発足(近点協)に(参加12館、うち公共図書館2館)(11月)
(図書館関係)
  • 大阪府立夕陽丘図書館開館、対面朗読サービスや郵送貸出を開始(5月)
  • 全国図書館大会で初めて障害者サービスの分科会「身体障害者への図書館サービス」が設置される(11月)

 

1975年(昭和50年)

(図書館関係)
  • 公共図書館の録音サービスが日本文芸著作権保護同盟から、著作権侵害と指摘する新聞記事報道(『愛のテープは違法の波紋』報道)(公共図書館における録音図書の製作が著作権者の許諾を取らなければ行えないということが明確に)(1月)
  • 国立国会図書館、学術文献録音サービス開始(10月)

 

1977年(昭和52年)

(点字図書館関係)
  • 第1回点字図書館館長会議(東京)開催

 

1978年(昭和53年)

(図書館関係)
  • 日本図書館協会(JLA)、障害者サービス委員会設置(最初から関東小委員会と関西小委員会があった)(4月)

 

1979年(昭和54年)

(その他)
  • IFLA/RTLB(盲人図書館会議)発足

 

1981年(昭和56年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • 全国点字図書館協議会、発足(4月)
  • 全国点字図書館長会議、「点字・録音・拡大資料の相互貸借に関する申し合せ」決議(11月)
(その他)

 

1982年(昭和57年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」(冊子体)を刊行開始(3月)

 

1984年(昭和59年)

(その他)

 

1986年(昭和61年)

(図書館・点字図書館関係)
  • IFLA、東京で世界大会開催(8月)
(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録データベース(AB01)」提供開始。国会、行政・司法の各支部図書館、都道府県立・政令指定都市立図書館のほか、一部の点字図書館にオンラインで提供を開始。
(点字図書館関係)
  • 近点協、「製作資料の着手情報システム(NLB)」を開始(3月)
(その他)

 

1987年(昭和62年)

(その他)
  • 点訳絵本/点訳入りFDの郵送料が無料になる(8月)

 

1988年(昭和63年)

(点字図書館関係)
  • 日本IBMが点訳オンラインサービス「IBMてんやく広場」開始
(その他)
  • スウェーデン国立点字録音図書館(TPB)がデジタル図書開発を計画

 

1989年(平成元年)

(図書館関係)

 

1990年(平成2年)

(点字図書館関係)
(その他)
  • スウェーデンのラビリテンテン社、DAISYの開発に着手
  • 米国でADA法案可決(5月)

 

1991年(平成3年)

(図書館・点字図書館関係)
  • IFLA視覚障害者セミナーを東京(東京大学安田講堂、国立国会図書館東京本館新館講堂など)で開催(1月)

 

1993年(平成5年)

(点字図書館関係)
  • 運営を日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)点字図書館部会 特別委員会が引き継ぎ、「IBMてんやく広場」から「てんやく広場」に改名
(その他)
  • 障害者基本法公布

 

1994年(平成6年)

(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託事業として、「点字図書情報サービス事業」(点字図書・録音図書目録の一括化)を開始(1月)。
  • てんやく広場、国立国会図書館点字図書・録音図書総合目録(AB01)のデータを借り受けてテスト稼働(11月)
  • 第19回全国点字図書館大会(この年から「全国点字図書館長会議」が「全国点字図書館大会」に)
(その他)
  • 『障害者白書』が刊行される(12月)

 

1995年(平成7年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「NDL CD-ROM Line点字図書・録音図書全国総合目録」頒布開始
(点字図書館関係)
  • てんやく広場、1994年の点字図書・録音図書全国総合目録データのテスト稼働をもとにオンラインリクエストの試行を開始(2月)
  • 日本点字図書館と東京都公共図書館の蔵書目録を搭載した「NIT(ニット)」に国立国会図書館の点字図書・録音図書全国総合目録のデータを搭載し、ニットプラスと改称(6月)
(その他)
  • シナノケンシがデジタル録音図書の試作一号機を開発

 

1996年(平成8年)

(図書館関係)
  • 新しくオープンした大阪府立中央図書館が児童室の場所を「視覚障害児のためのわんぱく文庫」に提供
(点字図書館関係)
  • 日本点字図書館、厚生省委託点字図書近代化事業を受け、点字資料のデジタル化を開始(5年間)(4月)
  • 全国点字図書館協議会、全国視覚障害者情報提供施設協議会に名称変更(11月)
  • 日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)、点字図書館部会の名称を「情報サービス部会」に変更
(その他)
  • DAISY Consortium設立

 

1997年(平成9年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
(その他)
  • DAISY Consortium、DAISY 2.0の仕様を公開
  • IFLA盲人図書館会議で DAISYがデジタル録音図書の標準規格になることが決定(8月)

 

1998年(平成10年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館の「点字図書・録音図書全国総合目録」の冊子体が34号(1997年2号)で終刊
(点字図書館関係)
  • 「てんやく広場」を全視情協に移管(7月)
  • 「ないーぶネット」に名称を変更(9月)
(その他)

 

1999年(平成11年)

(点字図書館関係)
  • 全国視覚障害者情報提供施設協議会、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)に名称変更(6月)
  • 日本点字図書館と全視情協と協議の結果、類似した2つのサービスである日本点字図書館の「ニットプラス」と全視情協の「ないーぶネット」を一本化し、「点字図書情報ネットワーク整備事業」として、両者の協力のもとに全視情協が運営する「ないーぶネット」の構築を行うことで合意(12月)
  • 日本ライトハウス、DAISY図書製作・貸出開始
  • 日本点字図書館、DAISY図書(デジタル録音図書)の貸出開始

 

2000年(平成12年)

(著作権法関係)
  • 著作権法改正(②)。点字の公衆送信が可能になり、著作権法第37条の2(聴覚障害者のための自動公衆送信)が新たに規定される(5月)

 

2001年(平成13年)

(図書館関係)
  • 文部科学省、公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準に障害者サービスをはじめて明記
(点字図書館関係)
  • インターネット版ないーぶネット(総合ないーぶネット)本格運用を開始。Web上からの貸出申し込みが可能に(4月)
(著作権法関係)
  • 著作権法(②)が施行(1月)
(その他)
  • シナノケンシが、DAISYのインターネット配信実証実験
  • DAISY Consortium、DAISY 2.02の仕様を承認(2月)
  • DAISY Consortium、DAISYの正式名称を”Digital Audio-based Information SYstem”から” Digital Accessible Information SYstem”に変更(12月)

 

2002年(平成14年)

(その他)

 

2003年(平成15年)

(図書館関係)
  • 「図書館等における著作物等の利用に関する当事者協議」開始(1月)
  • 国立国会図書館、点字図書・録音図書全国総合目録をNDL-OPACにおいてインターネット公開(1月)
  • 大阪府立中央図書館、録音図書ネットワーク配信事業開始(4月)
(その他)
  • 郵政公社発足。盲人用郵便物の表示が「盲人用」から「点字用郵便物」に変更(4月)

 

2004年(平成16年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
  • DAISY配信サービス「びぶりおネット」が日本点字図書館と日本ライトハウス盲人情報文化センターにより開始(4月)
(その他)
  • DAISY再生機器が「日常生活用具給付制度」の給付対象に(4月)
  • 障害者基本法改正(6月)

 

2005年(平成17年)

(点字図書館関係)
  • 録音図書ネットワーク製作事業「びぶりお工房」本格運用開始(4月)
  • 「びぶりおネット」に点字データ配信サービスを追加(10月)

 

2006年(平成18年)

(著作権法関係)
  • 著作権法(③)改正。これにより点字図書館は、視覚障害者向けの録音データの公衆送信可能になる(12月)
(その他)
  • 障害者権利条約採択(6月)

 

2007年(平成19年)

(著作権法関係)
  • 著作権法③施行(7月)

 

2008年(平成20年)

(点字図書館関係)
(その他)
  • 教科書バリアフリー法施行(9月)

 

2009年(平成21年)

(図書館関係)
  • 「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾終了(12月)
(点字図書館関係)
  • びぶりおネット個人ユーザーへのダウンロードサービス開始(2月)
  • 平成21年補正事業で、厚生労働省の委託事業として、日本点字図書館が「視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業」を受託。「ないーぶネット」と「びぶりおネット」を統合した「視覚障害者情報提供ネットワーク(サピエ)」を構築(11月)
(著作権法関係)
  • 著作権法(④)改正。視覚障害者「等」のために録音図書に限定されず、必要な方式で製作できることに、また、点字図書館だけではなく、図書館等も複製の主体になる。また、第三十七条の二が全部改正され、(聴覚障害者等のための複製等)に(6月)

 

2010年(平成22年)

(図書館関係)
(点字図書館関係)
(著作権法関係)
  • 著作権法(④)施行(1月)
(その他)
  • 特定非営利活動法人大活字文化普及協会が専門委員会としての読書権保障協議会設置(12月)

 

2011年(平成23年)

(図書館関係)
(その他)
  • 障害者基本法改正(8月)
  • IDPF、EPUB 3の仕様を勧告(10月)

 

2012年(平成24年)

(その他)

 

2013年(平成25年)

(その他)
  • 盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティ(印刷物を読むことが困難)のある人々の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約採択(6月)
  • 障害者差別解消法成立(6月)

 

2014年(平成26年)

(図書館関係)
  • 国立国会図書館、「視覚障害者等用データの収集及び送信サービス」開始(1月)
  • 「視覚障害者等用データ送信サービス」と「サピエ図書館」のシステム連携。「視覚障害者等用データ送信サービス」のコンテンツが「サピエ図書館」から利用可能に。(6月3日)
(その他)
  • 日本、障害者権利条約の批准書を寄託(1月。2月に効力が発生)

 

2016年(平成28年)

(その他)
  • 障害者差別解消法施行(4月)

主な参考文献

図書館関係

点字図書館関係

DAISY

8月 11

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)(表形式)

 施設としての障害者への情報提供の歴史について、年表形式でまとめてみました。

※2016/8/18 追記
同じ内容のものをでテキスト版としても作成してあります。読み上げ等で利用したい場合はこちらのほうがよいかもしれません。
テキスト版

 年表中のリンクは、該当する機関や団体のホームページへのリンクだったり、関連する参考資料へのリンクです。

図書館の障害者サービスと点字図書館関係年表(1825年から2016年まで)
図書館関係 点字図書館関係 著作権法 その他
1825年 ・ルイ・ブライユがアルファベットの6点式点字を開発
1854年 ・ブライユ式点字がフランスで正式に採用
1880年
(明治13年)
・キリスト教宣教師ヘンリー・フォールズ、築地病院に「盲人図書室」を設置(日本における施設としての障害者への情報提供の最初の事例?)
1890年
(明治23年)
・石川倉次が日本語の6点式点字を考案、同年に東京盲唖学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)で採用
1901年
(明治34年)
石川倉次の考案した点字が官報に「日本訓盲点字」として公示(4月)
1916年
(大正5年)
・東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の学生である加藤梅吉が自身が所蔵する点字図書200冊を東京市立本郷図書館に寄託。それを受けて、東京市立本郷図書館は点字文庫開設(公共図書館による障害者への情報提供の嚆矢)
1922年
(大正11年)
・ 岩橋武夫、大阪の自宅で点字出版を開始(日本ライトハウスの創業) ・大阪毎日新聞社(現・毎日新聞社)が「点字大阪毎日」(現・点字毎日)創刊
1931年
(昭和6年)
・米国でプラット・スムート法成立。これを受けて米国議会図書館は、障害者サービス部門である視覚障害者および身体障害者のための全国図書館サービス(National Library Service for the Blind and Physically Handicapped : NLS)設置し、成人の視覚障害者を対象とした全国的な貸出しサービスが開始。
・IFLAでSub-committee on Hospital Libraries(病院図書館小委員会)が設置される(後のIFLA/LSN。)
1932年
(昭和7年)
・岩橋武夫、自宅にて点字図書貸出事業を開始
1933年
(昭和8年)
・第27回全国図書館大会で「点字図書及盲人閲覧者の取扱」というテーマで障害者への情報提供が取り上げられる。
1934年
(昭和9年)
米国でLPレコードのトーキングブック(録音図書)が発明される
1936年
(昭和11年)
東京盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)の卒業生が帝国図書館に点字図書144冊を寄贈(10月)
『帝国図書館報』第29冊第12号に点字図書の書誌が掲載される
・日本ライトハウス、世界で13番目のライトハウとして公認される(4月)
1937年
(昭和12年)
・ヘレン・ケラー、来日
1940年
(昭和15年)
・本間一夫、日本盲人図書館(後の日本点字図書館)を創立(11月)
1948年
(昭和23年)
・日本盲人図書館、「日本点字図書館」と名を改める(4月) ・ヘレン・ケラー、2度目の来日
日本盲人会連合(日盲連)発足(8月)
1949年
(昭和24年)
身体障害者福祉法公布。更正養護施設として点字図書館を規定。公共図書館にあった多くの点字文庫が点字図書館として切り離される契機に。
1950年
(昭和25年)
・図書館法公布
1953年
(昭和28年)
日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)発足(9月)
1955年
(昭和30年)
・日本点字図書館、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始(1月) ・ヘレン・ケラー、3度目の来日
1957年
(昭和32年)
・国際基督教奉仕団(現・日本キリスト教奉仕団)テープライブラリ発足(2月)
・厚生省が点字図書館設置基準暫定案を作成(3月)
1958年
(昭和33年)
・日本点字図書館が録音図書の製作を開始し、「声のライブラリー」を設置
1959年
(昭和34年)
・日本ライトハウス、「声の図書館」(テープライブラリー)を開設。
1961年
(昭和36年)
・日本点字図書館・日本ライトハウス、厚生省委託声の図書製作・貸し出し事業開始。
・日本点字図書館、「声のライブラリー」を「テープライブラリー」と改称(4月)
・郵便法改正(盲人用郵便が無料化)
1963年
(昭和38年)
・日本ライトハウス、厚生省委託点字図書製作・貸出事業開始
1967年
(昭和42年)
・京都で視覚障害学生と点訳サークル学生を中心に関西SL(Student Library)発足(4月)
1969年
(昭和44年)
国立国会図書館と東京都立日比谷図書館に対して、日本盲大学生会・関西SL等が図書館蔵書の開放運動を行う。
1970年
(昭和45年)
・東京都立日比谷図書館、視覚障害者サービスを開始(4月) ・旧著作権法を全部改正した著作権法(①)公布。37条(点字による複製等)等を新たに規定(5月) ・日本盲大学生会・関西SL等が視覚障害者読書権保障協議会(視読協)結成(6月)
1971年
(昭和46)
・視読協、全国図書館大会で「図書館協会会員に訴える-視覚障害者の読書環境整備を」と訴える。大会で初めて「障害者サービスの推進」が決議される(10月) ・著作権法(①)施行(4月)
1972年
(昭和47年)
・京阪神点字図書館連絡協議会発足(参加4館) (6月)
1973年
(昭和48年)
ふきのとう文庫開設(11月)
1974年
(昭和49年)
・京阪神点字図書館連絡協議会から近畿点字図書館研究協議会が発足(近点協)に(参加12館、うち公共図書館2館)(11月)
・大阪府立夕陽丘図書館開館、対面朗読サービスや郵送貸出を開始(5月)
・全国図書館大会で初めて障害者サービスの分科会「身体障害者への図書館サービス」が設置される(11月)
1975年
(昭和50年)
・公共図書館の録音サービスが日本文芸著作権保護同盟から、著作権侵害と指摘する新聞記事報道(『愛のテープは違法の波紋』報道)(公共図書館における録音図書の製作が著作権者の許諾を取らなければ行えないということが明確に)(1月)
・国立国会図書館、学術文献録音サービス開始(10月)
1977年
(昭和52年)
・第1回点字図書館館長会議(東京)開催
1978年
(昭和53年)
・日本図書館協会(JLA)、障害者サービス委員会設置(最初から関東小委員会と関西小委員会があった)(4月)
1979年
(昭和54年)
・IFLA/RTLB(盲人図書館会議)発足
1981年
(昭和56年)
・国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」の編纂開始 ・全国点字図書館協議会、発足(4月)
・全国点字図書館長会議、「点字・録音・拡大資料の相互貸借に関する申し合せ」決議(11月)
・国際障害者年
視覚障害児のためのわんぱく文庫開設
1982年
(昭和57年)
国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録」(冊子体)を刊行開始(3月)
1984年
(昭和59年)
・岩田文庫(てんやく絵本ふれあい文庫の前身)開設
1986年
(昭和61年)
・国立国会図書館、「点字図書・録音図書全国総合目録データベース(AB01)」提供開始。国会、行政・司法の各支部図書館、都道府県立・政令指定都市立図書館のほか、一部の点字図書館にオンラインで提供を開始。
・IFLA、東京で世界大会開催(8月)
・近点協、「製作資料の着手情報システム(NLB)」を開始(3月) 東京で開かれたIFLA(国際図書館連盟)の大会での専門家会議で視覚障害者のためのデジタル録音図書の標準化が国際的に議論
1987年
(昭和62年)
・点訳絵本/点訳入りFDの郵送料が無料になる(8月)
1988年
(昭和63年)
・日本IBMが点訳オンラインサービス「 IBMてんやく広場」開始 ・スウェーデン国立点字録音図書館(TPB)がデジタル図書開発を計画
1989年
(平成元年)
公共図書館で働く視覚障害職員の回(なごや会)、発足(9月)
1990年
(平成2年)
身体障害者福祉法改正。第34条で規定される「点字図書館」が「視聴覚障害者情報提供施設」に変更(6月) ・スウェーデンのラビリテンテン社、DAISYの開発に着手
・米国でADA法案可決(5月)
1991年
(平成3年)
・IFLA視覚障害者セミナーを東京(東京大学安田講堂、国立国会図書館東京本館新館講堂など)で開催(1月)
1993年(平成5年) ・運営を日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)点字図書館部会 特別委員会が引き継ぎ、「IBMてんやく広場」から「てんやく広場」に改名 ・障害者基本法公布
1994年(平成6年) ・日本点字図書館、厚生省委託事業として、「点字図書情報サービス事業」(点字図書・録音図書目録の一括化)を開始(1月)。
・てんやく広場、国立国会図書館点字図書・録音図書総合目録(AB01)のデータを借り受けてテスト稼働(11月)
・第19回全国点字図書館大会(この年から「全国点字図書館長会議」が「全国点字図書館大会」に)
・『障害者白書』が刊行される(12月)
1995年
(平成7年)
・国立国会図書館、「NDL CD-ROM Line点字図書・録音図書全国総合目録」頒布開始 ・てんやく広場、1994年の点字図書・録音図書全国総合目録データのテスト稼働をもとにオンラインリクエストの試行を開始(2月)
・日本点字図書館と東京都公共図書館の蔵書目録を搭載した「NIT(ニット)」に国立国会図書館の点字図書・録音図書全国総合目録のデータを搭載し、ニットプラスと改称(6月)
・シナノケンシがデジタル録音図書の試作一号機を開発
1996年
(平成8年)
・新しくオープンした大阪府立中央図書館が児童室の場所を「視覚障害児のためのわんぱく文庫」に提供 ・日本点字図書館、厚生省委託点字図書近代化事業を受け、点字資料のデジタル化を開始(5年間)(4月)
・全国点字図書館協議会、全国視覚障害者情報提供施設協議会に名称変更(11月)
・日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)、点字図書館部会の名称を「情報サービス部会」に変更
・DAISY Consortium設立
1997年
(平成9年)
・国立国会図書館、「全国の点字図書・録音図書製作速報」をHPに掲載開始 ・第23回全国視覚障害者情報提供施設大会開催(帯広)(全国点字図書館大会から変更)
・近畿点字図書館研究協議会、名称を「近畿視覚障害者情報サービス研究協議会(近畿視情協)」とする
・DAISY Consortium、DAISY 2.0の仕様を公開
・IFLA盲人図書館会議で DAISYがデジタル録音図書の標準規格になることが決定(8月)
1998年
(平成10年)
・国立国会図書館の「点字図書・録音図書全国総合目録」の冊子体が34号(1997年2号)で終刊 ・「てんやく広場」を全視情協に移管(7月)
・「ないーぶネット」に名称を変更(9月)
・視覚障害者読書権保障協議会、解散
・シナノケンシ、日本初のDAISY再生機プレクストークTK300発売(4月)
厚生省(現在の厚生労働省)の平成10年度~12年度(1998-2000年)補正予算事業。これによりDAISYの全国的な点字図書館への導入が実現
1999年
(平成11年)
・全国視覚障害者情報提供施設協議会、全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)に名称変更(6月)
・日本点字図書館と全視情協と協議の結果、類似した2つのサービスである日本点字図書館の「ニットプラス」と全視情協の「ないーぶネット」を一本化し、「点字図書情報ネットワーク整備事業」として、両者の協力のもとに全視情協が運営する「ないーぶネット」の構築を行うことで合意(12月)
・日本ライトハウス、DAISY図書製作・貸出開始
・日本点字図書館、DAISY図書(デジタル録音図書)の貸出開始
2000年
(平成12年)
著作権法改正(②)。点字の公衆送信が可能になり、著作権法第37条の2(聴覚障害者のための自動公衆送信)が新たに規定される(5月)
2001年
(平成13年)
・文部科学省、公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準に障害者サービスをはじめて明記 ・インターネット版ないーぶネット(総合ないーぶネット)本格運用を開始。Web上からの貸出申し込みが可能に(4月) ・著作権法(②)が施行(1月) ・シナノケンシが、DAISYのインターネット配信実証実験
・DAISY Consortium、DAISY 2.02の仕様を承認(2月)
・DAISY Consortium、DAISYの正式名称を”Digital Audio-based Information SYstem”から”Digital Accessible Information SYstem”に変更(12月)
2002年
(平成14年)
・DAISY Consortium、DAISY 3(ANSI/NISO Z39.86 2002)を承認(3月)
・米国の非営利の社会的企業Benetech社、Bookshareを立ち上げる。
2003年
(平成15年)
・「図書館等における著作物等の利用に関する当事者協議」開始(1月)
・国立国会図書館、点字図書・録音図書全国総合目録をNDL-OPACにおいてインターネット公開(1月)
・大阪府立中央図書館、録音図書ネットワーク配信事業開始(4月)
・郵政公社発足。盲人用郵便物の表示が「盲人用」から「点字用郵便物」に変更(4月)
2004年
(平成16年)
・日本図書館協会と日本文芸家協会の間で視覚障害者のための録音図書作成についての許諾契約(公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書)を締結。「障害者用音訳資料利用ガイドライン」発表(4月)
・関係団体で「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」(リンク先はPDFファイル)設置(5月)
日本文藝家協会と交わした「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾開始(8月)
・DAISY配信サービス「びぶりおネット」が日本点字図書館と日本ライトハウス盲人情報文化センターにより開始(4月) ・DAISY再生機器が「日常生活用具給付制度」の給付対象に(4月)
・障害者基本法改正(6月)
2005年
(平成17年)
・録音図書ネットワーク製作事業「びぶりお工房」本格運用開始(4月)
・「びぶりおネット」に点字データ配信サービスを追加(10月)
2006年
(平成18年)
著作権法(③)改正。これにより点字図書館は、視覚障害者向けの録音データの公衆送信可能になる(12月) ・障害者権利条約採択(6月)
2007年
(平成19年)
・著作権法③施行(7月)
2008年
(平成20年)
平成19年度障害者保健福祉推進事業「視覚障害者に対する新たな情報提供システムに関する研究」報告書公開(3月) ・教科書バリアフリー法施行(9月)
2009年
(平成21年)
・「公共図書館等における音訳資料作成の一括許諾に関する協定書」に基づく障害者用音訳資料作成の一括許諾終了(12月) ・びぶりおネット個人ユーザーへのダウンロードサービス開始(2月)
・平成21年補正事業で、厚生労働省の委託事業として、日本点字図書館が「視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業」を受託。「ないーぶネット」と「びぶりおネット」を統合した「視覚障害者情報提供ネットワーク(サピエ)」を構築(11月)
著作権法(④)改正。視覚障害者「等」のために録音図書に限定されず、必要な方式で製作できることに、また、点字図書館だけではなく、図書館等も複製の主体になる。また、第三十七条の二が全部改正され、(聴覚障害者等のための複製等)に(6月)
2010年
(平成22年)
「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」策定(2月) 視覚障害者情報総合システム「サピエ」運用開始(4月) ・著作権法(④)施行(1月) ・特定非営利活動法人大活字文化普及協会が専門委員会としての読書権保障協議会設置(12月)
2011年
(平成23年)
・国立国会図書館、国立国会図書館サーチで障害者向け資料検索機能の追加(9月) ・障害者基本法改正(8月)
・IDPF、EPUB 3の仕様を勧告(10月)
2012年
(平成24年)
DAISY Consortium、DAISY AI(ANSI/NISO Z39.98-2012)承認(7月)
2013年
(平成25年)
・盲人、視覚障害者およびプリントディスアビリティ(印刷物を読むことが困難)のある人々の出版物へのアクセス促進のためのマラケシュ条約採択(6月)
・障害者差別解消法成立(6月)
2014年
(平成26年)
国立国会図書館、「視覚障害者等用データの収集及び送信サービス」開始(1月)
・国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」と「サピエ図書館」のシステム連携。「視覚障害者等用データ送信サービス」のコンテンツが「サピエ図書館」から利用可能に。(6月3日)
・日本、障害者権利条約の批准書を寄託(1月。2月に効力が発生)
2015年
(平成27年)
2016年
(平成28年)
・障害者差別解消法施行(4月)

主な参考文献

 

図書館関係

点字図書館関係

DAISY

7月 24

プリントディスアビリティのある人を対象とした世界最大のアクセシブルなオンライン図書館 Bookshare

 Bookshareは、視覚障害その他の理由で通常の印刷物を読むことができないプリントディスアビリティのある人にアクセシブルなコンテンツを提供するオンライン図書館です。非営利の社会的企業Benetech社が2002年に立ち上げたもので、プリントディスアビリティのある人を対象としたオンライン図書館としては世界最大のものです。

誰が利用できるのか

 米国の著作権法の権利制限規定またはそれにならって権利者から得た許諾に基づいてコンテンツを製作・収集・提供しているため、利用できるのは、プリントディスアビリティとしてBookshareに会員登録した人に限定されます。具体的には、視覚障害、肢体不自由などの理由でページをめくれない等の身体障害、読書に困難のある学習障害のある障害者で、専門家によってそれを証明してもらう必要があります。

 会費は個人会員であれば、基本的に入会費25ドル年会費50ドルですが、ユーザーの身分によって無料になったり、ユーザーがいる国によってディスカウントされることもあります。

 プリントディスアビリティがあることの証明のところで、ハードルが高くなりますが、海外の人間でもプリントディスアビリティがあることが証明可能であれば、登録することが可能です。

参考

利用できるコンテンツ

 Bookshareは2015年7月24日現在で約35万点のアクセシブルなコンテンツを提供しています。

 ダウンロードして利用できるコンテンツの形式は以下のとおりで、ソースとなるテキストデータから自動的にユーザーが選択したいずれかの形式に変換されてダウンロードできるようになっているようです。

  • テキストDAISY(DAISY3)
  • 音声DAISY(DAISY3。合成音声によって読み上げた音声データを格納したDAISY)
  • 音声データ(MP3形式。合成音声によって読み上げた音声データ)
  • 点字データ(BRF形式)

 35万点のコンテンツのソースは以下の通りです。Bookshareといえば、米国の著作権法の権利制限規定に基づいてボランティアが紙の印刷物をスキャニング・OCR処理して作成したものが有名ですが、現在では、全体から見れば一部にすぎず、出版社から直接提供を受けるデータの方が数としては多くなっています。

ボランティアによる製作

ユーザーからの製作のリクエストを受けて、ボランティアが製作したテキストデータで、米国の著作権法の制限規定に基づいて製作しています。音楽共有サービスNapsterにヒントを得て、図書をスキャニングしたデータを合法的に共有できたらよいのではないかというところからフルックターマンは、Bookshareを着想したと言われているそうで、Bookshareが2002年に立ち上がった当初から現在に至るまで行われています。

 製作フローは1人のボランティアが紙の書籍をスキャニング・OCR処理を行い、別のボランティアがそれをテキスト校正するという製作フローになっており、リクエストを受けてから数週間から数ヶ月で完成するそうです。

参考

出版社から提供を受けたデータ

 出版社からもデータの提供を受けています。現在は、500以上の出版社からデータの提供を受けており、Bookshareが提供する35万点のうち、2/3は出版社からデータの提供を受けたコンテンツではないかと思います。

 出版社から提供を受けているフォーマットはEPUB 2とEPUB3で、PDFは現在、受け付けていません。メタデータは、ONIX2かExcelによって提供を受けているとのこと。

参考

著者から提供を受けたデータ

著者からのデータ提供も受け付けています。これまで数百の著者から直接データの提供を受けたそうです。受け付けるファイル形式はEPUB 2、EPUB 3、Word及びRTFで、紙版の書籍とPDF版による提供は受け付けていないとのこと。

参考

初等・中等教育の教科書

 Bookshareの存在を際だたせているもう1つのコンテンツがこの初等・中等教育の教科書データの提供です。

 米国では、個別障害者教育法(IDEA 2004)により、教科書の購入者である州や地方教育局の求めに応じて教科書出版社は教科書などの教材のデータをNIMAS(National Instructional Materials Accessibility Standard)というフォーマットで提出することが義務づけられています。Bookshareは、このNIMASファイルを元にテキストDAISYを作成して障害児に提供しています。米国教育省のOSEP(Office of Special Education Programs)から資金援助をうけて、無償で提供しています。

 また、Bookshareは紙の教科書を裁断して、スキャニングしてテキストDAISY化もしています。
 詳細は、参考に挙げた近藤武夫先生の論文に詳しいので、そちらをご参照ください。

参考

大学からアップロードされたデータ(University Partner Program)

 読書障害のある大学生支援を目的に、各大学が障害学生のためにスキャニングして製作した教科書などのテキストデータを収集しています。2015年7月24日現在で35校の大学がこのプログラムに参加しています。各大学は、Bookshareのボランティアマニュアルにしたがって教材をスキャニング・OCR処理をしてテキストデータを製作し、RTF形式でアップロードします。ただし、ボランティアが製作したものと異なり、大学がアップロードしたものの場合は、テキスト校正のフローが省略され、すぐに提供に回すことができます。

参考

NFB-NEWSLINEの雑誌・新聞

 National Federation of the Blind(NFB)の新聞・雑誌の音声提供サービスNFB-NEWSLINEと提携してNFB-NEWSLINEのコンテンツを利用できるようになっています。

参考

コンテンツの利用方法

 Bookshareはウェブサイトから直接閲覧することができるブラウザベースの閲覧システムBookshare Web Readerを提供しているほか、

Bookshareのウェブサイトで一覧されているように、デスクトップPC上のアプリケーションや、タブレット端末・スマートフォン端末用のアプリケーションやハードウェアデバイス(再生機器)で利用することが可能です。中にはBookshareのウェブサイトを訪問してコンテンツをダウンロードしなくても、ソフトウェア、デバイス上でBookshareのコンテンツを直接ダウンロードできるものもあります。

参考

Bookshareを運営するBenetchとは

 Benetechはテクノロジーの力で世界をより良くしていこうと、人権、リテラシー、環境をテーマに取り組んでいる非営利の社会的企業です。ジム・フルックターマン(Jim Fruchterman)氏が立ち上げたもので、前身となるArkenstone社のプロダクトラインを2000年に他の企業に売却し、社の名前をBenetechに、組織形態を非営利の社会的企業に改めて生まれた企業です。なお、Arkenstone社は、視覚障害者向けのOCRソフトウェアを開発していた企業で、それを用いた音声読書システム(スキャナとOCRソフトウェアで紙の資料をテキスト化し、合成音声で読み上げるシステム)が1990年代に60カ国で3万5千台販売されたそうです。

 Bookshareは、Benetechが進めるGlobal Literacy Programの1つで、同プログラムの下には、他にアクセシビリティに関する標準化やツールの研究・開発を行うDIAGRAM Centerや、大人の読み書き能力の向上を目的としたリテラシー教育プロジェクトRoute 66 Literacyがあります。

参考

7月 21

BookshareのDAISY化のためボランティアによるの紙の書籍のテキストデータ化・テキスト校正作業の流れ

 Bookshareは、米国の著作権法の権利制限規定に基づき、ボランティアによる紙の書籍のテキスト化(DAISY化)を行っています。ユーザーがテキストDAISY製作のリクエストをしてから、ボランティアが製作にとりかかり、提供に至るまでのフローの一部がボランティアマニュアルとしてBookshareのサイトに公開されています。

流れは以下の通りです。2のスキャニング・OCRと、3のテキスト校正は、クオリティコントロールのために、同一のボランティアが行わないようになっているそうです。ユーザーからリクエストを受けて提供するまでにかかる期間は、資料にもよりますが、数週間から数ヶ月とのこと。

  1. ユーザーからのリクエスト
  2. スキャニング・ OCR
  3. テキスト校正
  4. Bookshare管理者による承認・(DAISY化)・提供
  5. ユーザーからの指摘による修正
  6. 画像の説明文の追加

この作業に携わる者

 上では、「ボランティアによって」という表現を用いましたが、正確には製作には以下の3者がこの作業に関わっています。

  • 米国内のボランティア
  • Bookshareのスタッフ
  • 障害者(多くは聴覚障害者)を雇用している海外(インド、ラオス、ケニアなど)のパートナーへのアウトソーシング(雇用によって障害者のITスキルを向上させ、さらなる雇用につなげることを目的にしている)

 ボランティアを米国内に限定しているのは、おそらく著作権法上の制約なのだと思いますが、そうであるなら、海外にアウトソーシングしているのは、どういう法理なのかというところがよくわかりませんでした。

流れ

1 ユーザーからのリクエスト

 Bookshareの登録利用者が本のテキスト化(DAISY化)をフォームからリクエストします。

 製作のリクエストを受け、ボランティアが製作に取りかかるのを待っているタイトルが以下で公開されています。

参考

2 スキャニング・OCR

2.1 スキャニングするタイトル選択

 ボランティアはWish Listからスキャニングするタイトルを選択します。選定時の注意事項は以下。

  • すでにBookshareにないコンテンツであること
  • タイトルページがあること
  • 著作権情報が掲載されているか、パブリックドメイン/CCライセンス
  • 35ページ以上の書籍の場合は、ページ数が記載されていること
  • New York Times Best Sellersと主な雑誌は定期的に製作されているので、対象から外す
  • 以下の製作は受け付けないこと
    • 電子書籍として出ているもの(過去に印刷版として刊行またはスキャニングされたことがあったとしても)
    • 共通テスト(standardized tests)
    • 教科書の教師版
    • 著作権保護期間中の脚本
参考
2.2 スキャニング・OCR

 ボランティアが自身で保有しているスキャナーとOCRソフトウェアで紙の資料をスキャニングし、OCR処理を行います。

  • スキャナの設定
    • ページの区切り(ページブレイク)は残す。
    • 原資料記載のページ番号を入れる(ヘッダーやフッター機能は用いない)
    • 画像を取り除く(自動的に行えなければ、ボランティアが手動で行う)、代わりに取り除いた画像の説明を追加してもよい。
    • リッチテキスト形式((RTF)で保存する。
  • タイトルページ、著作権情報が記載されているページ、空白のページを含めて全てのページをスキャンする。

 原本では、ボールド、イタリック体等になっていないのに、OCRをかけて製作したRTFファイルはそうなっていないか、1語が2語に分割されていないか等の確認を行い、問題なければ、次のステップのアップロードになります。
 

参考
2.3 アップロード

 BookshareのボランティアアカウントでVolunteer Homeにログインして2.2で作成したRTF形式のデータをアップロードします。ファイルは複数のファイルに分割せずに1ファイルでアップロードします

参考
2.4 メタデータの記入

 アップロード終了後にメタデータを記入する画面が表示されるので、その場面でメタデータを記入します。記入するメタデータは以下の通り(ISBNを記入することで自動的に記入される項目あり)。

  • 品質分析(アップロード時にエラーの数に基づいた判定結果によって自動記入されるフラグ)
  • ISBN
  • タイトル(タイトルページのタイトルに一致するタイトル)
  • 著者
  • 著作権者(原本の著作権情報ページの情報と一定している必要がある)
  • 著作権が発生した日(原本の著作権情報ページの情報と一定している必要がある)
  • 出版者(原本の著作権情報ページの情報と一定している必要がある)
  • 短い概要または長い概要
  • 著作権上の理由による利用にあたっての地理的な制約
  • カテゴリ
  • アダルトコンテンツ情報(18歳未満のユーザー及び公共図書館では利用させないために、セクシャルコンテンツにはそれを示すフラグをたてる)
参考

 アップロードが完了すると、Checkout Listと呼ばれるリストにタイトルが掲載され、テキスト校正を行うボランティアが作業できるようになります。

3 テキスト校正(proofreading)

3.1 タイトルの選定/テキスト校正の期限

 テキスト校正は、クオィリティコントロールのためスキャニングを行ったボランティアと別のボランティアが担当します。1タイトルにつき、1人のボランティアが責任もって担当する仕組みになっています。1人のボランティアが多くのタイトルを抱え、提供期間がおそくなることがないように、一度に引き受けることができる条件は5タイトルまで、校正のしめきりはタイトル選定後2週間以内(1度は延長可)となっています。
テキスト校正を行うボランティアは、Checkout Listからテキスト校正を行うタイトルを選定し、Bookshareの管理者の承認をうけて、2で作成されたRTFファイルをダウンロードします。

参考
3.2 テキスト校正

 ダウロードしたRTFファイルをWORDなどの編集ソフトで校正・編集します。
主なチェック項目。

 
 上で触れたように、フォントサイズが以下のようにきちんとサイズまで規定されています。 RTFファイルからDAISYに変換する際の構造化(見出しレベルのレベル1、レベル2、レベル3の設定や目次の作成など)に使用されるのでしょうか。

タイトル: 20 point and bold
部: 18 point and bold
章: 16 point and bold
節、小節: 14 point and bold
本文: 12 point (not bold) 

参考
3.3 アップロード

校正が完了したら、Volunteer Homeにログインした後にアップロードします。このタイミングで、2.4で記入されたメタデータに誤りがないかを再度確認します。

参考

4 Bookshare管理者による承認・(DAISY化)・提供

 3までの行程を経たコンテンツをBookshareの管理者が承認して、ユーザーに提供します。3までで製作されたテキストデータ(RTFファイル)のDAISY化については、ドキュメントが見つからないので、どのようにやっているかは不明ですが、1点1点手動でやっているようには見えないので、おそらく自動的にDAISYに変換するプログラムが組まれていると思われます。

5 ユーザーからの指摘

 提供に至ったコンテンツの中にはできのよくないものも存在します。そういうコンテンツに対してユーザーからの指摘を受けつけ、問題があるものは、再スキャンなどの処理に回されます。品質に問題があり、再スキャンというの作成の対象に挙がっているタイトルが以下で公開されています。

画像の説明文の追加

図のような画像データで表現する必要があるものは、スキャニングの段階で取り除かれてしまいます。図の説明はスキャニング・OCR時に可能なら入れてというスタンスで、ボランティアに委ねています。ボランティアが追加する場合は、以下のマニュアルに従って記述します。

 上のような運用であるため、Bookshareには図の説明がないコンテンツが大量に存在することになるのですが、これに対しては、Bookshare運営元の Benetechが立ち上げたDIAGRAM CenterPOETという、 DAISYやEPUBの画像にテキストの説明を挿入するためのオンラインツールを開発し、Booksahreがこれを用いた Image Description Projectを2012年から進めています。

参考

テキストデータの品質

テキストデータの品質は、メタデータの”Book Quality”という項目で確認することができます。以下の4つのランクで評価されています。Publisher Qualityが出版社から提供を受けたテキストデータで、Excellent、Good、Fairがボランティアが製作したコンテンツです。

  • Publisher Quality
  • Excellent(1ページに平均1つ以下のエラー)
  • Good(1ページに平均2つ以下のエラー)
  • Fair

その他

 以下は、いろいろ調べてみたのですが、よくわかりませんでした。情報求ム。

  • スキャニングする原本はボランティアが用意するのか、Bookshareが用意するのか。前者であれば、学術書などであれば、ボランティア側に相当な費用負担が発生するはずであるが、どう解決しているのか。
  • マニュアルを見る限り、スキャニング→OCRで作成したテキストデータ(RTF形式)のみをアップロードし、スキャニング画像はアップロードされていないようであるが、どうやってテキスト校正を行うのか。
6月 12

リハ協が平成26年度マルチメディアデイジー教科書アンケートの結果を公開

 日本障害者リハビリテーション協会が行った平成26年度マルチメディアデイジー教科書アンケートの結果が公開されています。