1月 14

米国の出版団体AAPのEPUB 3 Implementation Project 報告書

米国の出版団体 Association of American Publishers (AAP) が2013年7月に立ち上げたEPUB 3の普及を目的とするプロジェクト”EPUB 3 Implementation Project”の報告書がhtml形式、EPUB形式、doc形式で2013年10月に公開されています。

AAPのEPUB 3 Implementation Projectには、出版社、リーディングシステム開発者、コンテンツ販売者、サービスプロバイダ、そして、アクセシビリティ関係のコミュニティが参加し、以下のテーマでチーム(Work Stream)をつくり、検討を進めました。

  • Features Work Stream
    EPUB3 のリーディングシステムの実装の優先順位の検討
  • Accessibility Work Stream
    EPUBのアクセシビリティのベストプラクティス
  • Features Work Streambr>EPUBのメタデータ
  • Use Cases Work Stream
    出版社が直面している課題の例をユースケースとしてまとめる

 10月に公開された報告書は、上の検討チームが9月10日にニューヨークにあつまり、議論した結果をまとめたもので、リーディングシステムに優先的に実装してもらいたい10の機能や13のEPUB 3 アクセシビリティのベストプラクティスTipsを中心にまとめられています。

  報告書の詳細は後日のエントリでまた紹介したいと思います。

 なお、Metadata Work StreamとFeatures Work Streamが9月10日のワークショップで発表した資料は以下で公開されています。

関連エントリ

1月 10

DAISYからいつEPUBに移行するべきか(EPUB3エディタのMatt Garrish氏のブログ紹介)

DAISYの後継の規格がEPUB 3にという話になると、これまでDAISYでコンテンツを作成してきた機関もいつEPUBに移行するべきなのかという話にもなるかと思います。

 IDPFDAISY Consortiumにおいて、EPUB 3Z39.98-AI(いわゆる「DAISY4」)などでエディタとして仕様の作成に貢献したMatt Garrish氏が自身のブログで、DAISYからEPUBへの移行をいつ行うべきかについて書いています。移行のタイミングについてよく相談をうけているみたいですね。

 
 Matt Garrish氏はEPUBへの移行のタイミングについて完璧な回答は難しいとしつつ、以下のように書いています。箇条書きでポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • EPUB 3のリーディングシステムの実装がまだ不完全。
  • EPUBに対応していないDAISYプレイヤーを設置し、利用者に使わせているのであれば、EPUBへの移行の可否はそれらのデバイスのアップデート次第。
  • 移行コスト次第では、EPUB 3の新機能も魅力的ではないこともあるだろう。
  • EPUBが機能的にDAISYに勝っている点は、多くの読者にとってはあまり重要でないことである。
  • 同じSMIL技術を活用しているので、音声ありEPUBとDAISY3、DAISY2.02を区別できるユーザーは多くない。
  • ユーザーがほぼ障害者に限定されていたDAISYと異なり、EPUBのようなメインストリームのフォーマットは著作権法に定める権利制限の規定と衝突するかもしれない。
  • 上の理由で、EPUBへの移行は、図書館の資料の製作・購入及び図書館間貸出の方法を変更することを意味する。出版社からライセンスの提供を受ける必要があるかもしれない。
  • 既存のDAISY関係のツールが最新のOSで動かなくなれば、変化へ踏み出す動機も持ちうるだろう。
  • Webコンテンツの同様、EPUBの変化は早い。 EPUB 4が出ても後方互換性は保証されない(かもしれない)。DAISYフォーマットのように静的ではないので、アウトプットフォーマットを1つに絞るべきか、複数管理するべきかでずっと悩むことになる。
  • EPUB 3の転換点は、教育の領域から来るかもしれない。EPUB 3の新機能は、教育関連のコンテンツに向いているので、EPUB3の採用への後押しが教育分野に来るようになっている(例えば、EDUPUB参照)
  • 教育分野の後押しはEPUBのリーディングシステムや製作ツールの改善を推し進めるだろうが、それでも、あなたの置かれているユニークな状況のために移行の問題を完全に解決することは決してないだろう。

DAISYユーザーにはEPUBに移行したメリットは感じづらい。ビューワーなどの実装も完全ではないので、無理してて今移行する必要はない。あなたの環境も含めて機が熟するまで待てということでしょうか。

EPUBに移行した場合、ビューワーの操作方法の習熟などの学習コストをユーザーに強いることになりますし、DAISYユーザーが自然とEPUBを使用するようになるまでは難しかろうと思います。そのためには、DAISYユーザーでも使えるEPUBビューワーの普及と、アクセシブルなEPUBコンテンツの質量ともの拡大が必要でしょうか。

2014/02/19追記
 上で紹介したMatt Garrish氏のブログは、その後、DAISY Planet2014年1月号に転載され、それが日本障害者リハビリテーション協会によって日本語に翻訳されて、以下で公開されています。

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
1月 08

EPUBを読み上げ音声付きEPUBに変換できる日立の音声合成システム 「ボイスソムリエ ネオ」

 日立ソリューションズ・ビジネスの音声合成システム 「ボイスソムリエ ネオ」が、2013年9月に販売を開始したver 1.6でEPUBを音声合成による読み上げ音声付きEPUB(メディアオーバーレイ対応)に変換できる機能を実装しました。この機能でテキストDAISY的なEPUBをマルチメディアDAISY的なEPUBに変換することができます。

 少し技術的な話ですが、EPUBファイルを読み込むと、EPUB内のテキスト情報が抽出され、音声合成による音声データ、そして、テキストデータと音声を同期させるためのSMILファイルが生成され、メディアオーバーレイ対応のEPUBが出力されるようです。


from 日立ソリューションズ・ビジネス ニュースリリース

参考 読み上げ音声付きEPUB(メディアオーバーレイ対応)について

 読み上げ音声付きEPUB(メディアオーバーレイ対応)は、以下のように音声とテキストを同期させて読み上げ箇所のテキストをハイライト表示させることができます。

※上の動画は、あくまで読み上げ音声付きEPUB(メディアオーバーレイ対応)を紹介するためのもので、「ボイスソムリエ ネオ」で作成したEPUBを読み上げたものではありません。上の動画で読み上げているEPUBファイルは以下で公開されています。

関連エントリ

EPUB 作成ソフト
EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
11月 25

EPUB内のアノテーションの標準化を目指す「Open Annotations in EPUB プロジェクト」、始動。

先のエントリでも少し紹介しましたが、IDPFが11月にEPUBのアノテーションの仕様化の検討を開始しました。Open Annotationが、アノテーションの仕様として組み込まれることになりそうです。

 EPUBにコメントを付与したり、ハイライトする機能は、ほとんどのEPUBのリーディングシステム(ビューワー)で備えられています。しかし、ある特定のリーディングシステムでつけたコメントを他のリーディングシステムで共有することができないため、同じリーディングシステムを常に利用するような個人のユーザーの個人的な利用に利用範囲が限定されざるを得ませんでした。

 これはそれぞれのリーディングシステムにアノテーション機能が独自実装されているためですが、アノテーションが標準化されることで、あるリーディングシステムで付与されたコメント、ハイライトなどが他のどのリーディングシステムにおいても表示できるようになるはずです。当然ですが、複数の人間でアノテーションを共有することも可能になりますので、利用範囲は後述するユースケースのように大幅に拡がります。

プロジェクトの概要

 プロジェクトの概要はIDPFの以下のドキュメントで知ることができます。

 EPUBのための相互運用可能なアノテーションの検討は、EPUB 3の仕様策定の段階からサブグループが立てられ、その中で検討されていました。しかし、EPUB3の仕様が公開された時点では結論が出ずに保留扱いになっていたようです。その後、W3CのOpen Annotation Data Modelが仕様として安定してきたということで、その成果を取り込む形でEPUBのアノテーションの標準化を実現しようということのようです。

 プロジェクトの期間は、2013年11月から2014年3月。検討メンバーにはW3CのOpen Annotation Community Groupの共同チェアであるロスアラモス国立研究所のRob Sanderson氏とハーバード大学の Paolo Ciccarese氏も加わっています。Rob Sanderson氏はMarkus Gylling氏ともにOpen Annotations in EPUB Projectのチェアにもなっています。

 なお、アノテーションの仕様は、EPUB 3.0.1の拡張モジュールとしてまとめられるそうです。

アノテーションの標準化にあたっての要検討事項

 検討事項がまだドラフトですが、以下にまとめられています。

  簡単に挙げると以下になるようです。

  • 識別(識別子)
  • アノテーションのアクセシビリティ
  • アノテーションの格納、アクセス、同期
  • アノテーションの移動、集約、管理

   
 識別(識別子)については、プラットフォームや出版社の間で共有できるような出版物の識別の課題、出版物内のある特定のセグメントの識別の課題、リーディングシステム内の出版物の識別の課題(コンテンツがローカル環境に置かれる事が多いためURIでどう表現しようか)と様々なレベルで課題が挙げられており、個人的に興味がつきません。これらの識別子の課題がクリアできたら、アノテーションだけではなく、電子書籍の抱える様々な問題が解決できるのではないかと期待してしまいます。

EPUBアノテーションのユースケース

  まだドラフトであり、書きかけの段階ですが、EPUB内アノテーションのユースケース案も公開されています。

 内容は以下に挙げたとおりです。先のエントリで「Open Annotationにおけるアノテーションの本質は、オリジナルのコンテンツ本体に異なる別のレイヤーとして付加的な情報を追加すること」と紹介したことがありましたが、まさにそんなイメージです。
コンテンツレイヤーにアノテーションレイヤーを追加する

著者・出版社が付与するアノテーション

 コンテンツ作成時にコンテンツに補助的なコンテンツをつけるケースです。

  • 著者によるコメント・解説(例えば音声、テキスト、ビデオなど)
  • アクセシビリティの確保を目的としたより詳細な記述

読者がプライベートで付与するアノテーション

 1人のユーザーがプライベート目的で使用するケースです。

  • 重要な箇所(テキスト、画像、表、ビデオなど)にアンダーライン、ハイライト
  • ブックマーク(リーディングシステムが読んだ最終地点を自動的に記録する機能も含む)
  • ある選択された範囲(テキスト、画像、音声、ビデオ)にコメントを追加
  • あまり深く考えずに絵を描く、落書きをする
  • ある選択された範囲に画像を追加
  • ある選択された範囲に録音された音声もしくは動画を追加
  • あるドキュメントのある地点とその他のドキュメントのある地点の間に関係をつくる(リンクさせる)
  • 離れた複数の箇所にアノテーションを追加
  • 出版物の一部分にタグ付けさせる
  • 出版物全体に対してアノテーションを付与またはタグ付けをする
  • アノテーションにアノテーションを付与する
  • 画像、オーディオ、テキストなど複数のリソースからなる1つのアノテーション

公開されるアノテーション

 商業目的に付加されるか、特定のグループ内でシェアすることを目的とするケースです。

  • これまで上で挙げられたもの全て
  • 先生用の課題の回答
  • 一人の人間から複数の人間にむけてのメモ、または一人の人間から特定に複数の人間に向けたメモ(学校の先生から学生へ、自分自身からブッククラブのメンバーへ など)
  • オリジナルの著者からのメモ
  • 追加の実験データを持った表を、既存の表に追加する(学術誌)
  • すでに出版された出版物に対して第三者の出版社や出版物の著者がオーバーレイする追加の情報を販売・配信
  • 発音(音声、発音記号など)
  • ユーザーがアノテーションを受け取って、発信元を確認する(認証?)

関連エントリ

11月 21

EPUB3によるデジタル教科書の標準化を目的とするワークショップEDUPUB Workshop の資料一式が公開された

10月29日にボストンで行われたたIDPFワークショップ「EDUPUB」のスライドや議事録が公開されています。EDUPUBはEPUB3によるデジタル教科書の標準化を目的とするワークショップです。

 EDUPUBについては、10月30日のJEPAセミナー「電子書籍、電子教科書のアクセシビリティ」で、ちょうどこの時EDUPUBに参加されていた上智大学の田村恭久先生が第1日目の模様を、写真とSkypeで現地から報告されています。


[PDF]EDUPUB Workshopレポート(田村先生の上のJEPAセミナーの発表資料)

 JEPAセミナーでは、電子教科書をテーマとしたセミナーを2013年に入って上のセミナー以外にすでに2回も開催しています。教育分野、熱いです。

 私はまだEDUPUBのスライドや議事録を読めていませんが、ちらちら議論を追っていると初見の教育関係の規格やメタデータが出てきて、とても整理しきれない。いつか整理せねばと思います。2日目15.25-16.15の”Key Work Areas moving forward”のスライドで関連するプロジェクトが一覧されていますが、これを1つ1つ追っていくだけでけも沼は実に深い。

29
from “Key Work Areas moving forward” presentation

 11月25日には場所を変えて今度は韓国で以下のようなイベントが開催されるようです。

 そして、EDUPUB Workshopに参加された方による報告会が12月4日にあるので、かなり気になりますね。

11月 11

EPUBにOpen Annotationを組み込むための検討が始まったようです

 11月7日の村田真さんのツィートによるとEPUBにOpen Annotationを組み込むための検討がはじまったようです。EPUB3.01に係る議論※1の中での話でしょうか?

議論の詳細は不明ですが、アノテーション機能が仕様で規定されているPDFのように、どのビュワーでもアノテーションが付与できて、どのビュワーでもそのアノテーションを閲覧・編集することができるようになるのでしょうか。

Readiumの開発の議論を追っていると、Open Annotation Data Modelを利用したアノテーション機能の実装も提案されているようですし、EPUBにおけるアノテーションの標準化がここ数年で一気にすすむかもしれませんね。

※1 EPUB 3.01に関する情報はepub-revisionの以下のページに集約されているようですが、残念ながらドキュメントは非公開で詳細を知ることが現時点ではできません。

 Matt Garrish氏が以下のブログである程度まとまった情報を発信されているようです。

 

Open Annotationに関するエントリ

10月 24

iBooks for Mac OSのMedia Overlays対応

 結論から申せば、iOS版と同じく、固定フォーマットのEPUB版のみでのMedia Overlays対応でした。

 固定フォーマットMedia OverlaysありのEPUBはkintaさんがすでに試されていますが、テキストハイライトに同期させての音声再生が可能です。

 しかし、固定フォーマットでないMedia OverlaysなEPUB(IDPFが公開している以下のサンプル)で試したところ、再生はできませんでした。

 朗読のUIだけは表示されるんですけどね・・


iBooks for Mac OSで固定フォーマットでないMedia OverlaysなEPUBを開いた状態
(朗読メニューが表示されているが、アイコンなどは非アクティブ状態)

10月 18

EPUB 3の長期保存に関する検討を行うISOとIECの共同分科会が設置されることに

ISO/IEC JTC 1/SC 34※1、IEC/TC 100/TA 10※2、ISO/TC46/SC 4※3 による共同分科会(Joint Working Group)がEPUB 3のarchivability、つまり、長期保存に関する検討を行うために設置されることになったそうです。

 将来的にOOXMLとODFにもスコープを拡げてることを想定しているようですが、まずはEPUB3の長期保存に適したMETS(Metadata Encoding and Transmission Standard)のプロファイルを作成することを目的としているようです。METSのプロファイル作成はTC 46/SC 4が中心となって進めるようですね。

EPUBの長期保存に関するISO関係の参考文献
METSについての参考文献

※1 ISO/IEC JTC 1/SC 34
International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1/SubCommittee 34(国際標準化機構 (ISO) と国際電気標準会議 (IEC) の第一合同技術委員会第34専門委員会)。文書の記述と処理の言語の標準化について検討する専門委員会です。
http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc34/ 

※2 IEC/TC 100/TA 10
International Electrotechnical Commission/Technical Committee 100 Technical Area10 (国際電気標準会議第100技術委員会第10テクニカルエリア)。 オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステムおよび機器に関する専門委員会の下に設けられたマルチメディア電子出版と電子書籍技術に関するテクニカルエリア(という名前のプロジェクトチーム)
http://tc100.iec.ch/about/structure/tc100_ta10.htm

※3 ISO/TC46/SC 4
International Organization for Standardization/Technical Committee 46/SubCommittee 4(国際標準化機構 (ISO) 第46技術委員会第4専門委員会)。 情報とドキュメンテーションに関する技術委員会です。
http://www.iso.org/iso/iso_technical_committee.html?commid=48750

関連エントリ

10月 09

教科書バリアフリー法によって提供が教科書発行者に義務づけられた教科書デジタルデータ

 拡大教科書、点字教科書、DAISY教科書を作成しているボランティア団体等の負担を軽減する目的で、2008年9月に施行した教科書バリアフリー法(障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律)では、教科書発行者に教科書のデジタルデータの提供が義務づけられています(第5条)。

(教科用図書発行者による電磁的記録の提供等)
第五条  教科用図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する者(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。
2  教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。
3  国は、教科用図書発行者による検定教科用図書等に係る電磁的記録の提供の方法及び当該電磁的記録の教科用特定図書等の作成への活用に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。
from 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律

 
 この第5条に係り、具体的に提出義務のある教科書データの範囲、提出先、提出フォーマットは以下の実施要領などにまとめられています。

 まとめると以下通りです。

提出義務のある教科書データ
小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校において教科書を使用している全ての科目の教科書に掲載されているすべてのデータ(本文、図・写真、脚注、表紙など)が対象です。
データ提出先であるデータ管理機関
法第5条で「文部科学大臣等」とされている提出先たるデータ管理機関ですが、当面の間は、文部科学大臣とし、必要な業務は文部科学省初等中等教育局教科書課において行うことになっています。データ管理機関における業務を、第三者に委託して実施することができるということで、平成25年度は.富士ゼロックスに業務が委託されているようです。
提出するデジタルデータの形式
 教科書発行者が提出が義務付けられている形式はPDF形式のファイルです。テキスト形式のデータの提供も可能な限り求められています。また、正しく表現されず、適切な活用ができない図や写真等の画像データについては、必要に応じ、JPEG形式のファイルを併せて提供することになっています。
デジタルデータを受け取れる者

 以下のいずれかの教科用特定図書等の発行をする者

  1. 教科用拡大図書を製作する者
  2. 教科用点字図書を製作する者
  3. 音声読み上げのコンピュータソフトを利用した教材(教科用図書に準ずるものと認められるものに限る。)を、障害のある児童生徒に向けて製作する者
  4. 教科用拡大図書を製作する高等学校及び特別支援学校(視覚障害等)高等部(以下「高等学校等」という。)

 教科書デジタルデータの受け取り手続きと渡されるデータの概要については、データ管理業務を受託している富士ゼロックスが教科書デジタルデータ運用マニュアルとしてまとめられています。

参考

提出が義務づけられる教科書データがPDF形式になった理由

 提出が義務づけられる教科書データがPDF形式になった理由は以下のようです(拡大教科書普及推進会議 第一次報告より)。

  • DTPからの変換が比較的容易で、教科書発行者の負担が少ない
  • ボランティア団体等が、教科書の紙面と同じレイアウトを見ながら作業できる
  • PDF形式のデータを読み込むソフトは、無料で入手できる
  • テキスト形式のデータを抽出することができる
  • 文章のデータとともに、図や写真等の画像データも提供することができる

 なお、同報告書では、「教科書発行者がデータ管理機関に提供する教科書デジタルデータについては、より正確で使い勝手のよいデジタルデータの提供促進や、一つのデータを多様な用途に使用できる「ワンソース・マルチユース」の実現に向け、文字の大きさ・レイアウト変更やテキスト形式のデータ抽出などが容易にできるXMLやアクセシブルPDFなどの導入の可能性についても、今後、必要な検討を進めていくことが望まれる。 」ともあります。

 その延長かどうかわかりませんが、平成25年度にはEPUB形式によるデジタルデータの提供についても検討が今年度から始まったようです。

EPUB形式による教科書デジタルデータ作成・提供のための調査研究

 拡大教科書等の作成にあたって効果的に教科書デジタルデータを活用できるよう、ボランティア団体及び高等学校等への支援の在り方を検証するためとして、EPUB形式による教科書デジタルデータ作成・提供のための調査研究に平成25年度から予算がついています。

関連エントリ