11月 21

EPUB3によるデジタル教科書の標準化を目的とするワークショップEDUPUB Workshop の資料一式が公開された

10月29日にボストンで行われたたIDPFワークショップ「EDUPUB」のスライドや議事録が公開されています。EDUPUBはEPUB3によるデジタル教科書の標準化を目的とするワークショップです。

 EDUPUBについては、10月30日のJEPAセミナー「電子書籍、電子教科書のアクセシビリティ」で、ちょうどこの時EDUPUBに参加されていた上智大学の田村恭久先生が第1日目の模様を、写真とSkypeで現地から報告されています。


[PDF]EDUPUB Workshopレポート(田村先生の上のJEPAセミナーの発表資料)

 JEPAセミナーでは、電子教科書をテーマとしたセミナーを2013年に入って上のセミナー以外にすでに2回も開催しています。教育分野、熱いです。

 私はまだEDUPUBのスライドや議事録を読めていませんが、ちらちら議論を追っていると初見の教育関係の規格やメタデータが出てきて、とても整理しきれない。いつか整理せねばと思います。2日目15.25-16.15の”Key Work Areas moving forward”のスライドで関連するプロジェクトが一覧されていますが、これを1つ1つ追っていくだけでけも沼は実に深い。

29
from “Key Work Areas moving forward” presentation

 11月25日には場所を変えて今度は韓国で以下のようなイベントが開催されるようです。

 そして、EDUPUB Workshopに参加された方による報告会が12月4日にあるので、かなり気になりますね。

11月 11

EPUBにOpen Annotationを組み込むための検討が始まったようです

 11月7日の村田真さんのツィートによるとEPUBにOpen Annotationを組み込むための検討がはじまったようです。EPUB3.01に係る議論※1の中での話でしょうか?

議論の詳細は不明ですが、アノテーション機能が仕様で規定されているPDFのように、どのビュワーでもアノテーションが付与できて、どのビュワーでもそのアノテーションを閲覧・編集することができるようになるのでしょうか。

Readiumの開発の議論を追っていると、Open Annotation Data Modelを利用したアノテーション機能の実装も提案されているようですし、EPUBにおけるアノテーションの標準化がここ数年で一気にすすむかもしれませんね。

※1 EPUB 3.01に関する情報はepub-revisionの以下のページに集約されているようですが、残念ながらドキュメントは非公開で詳細を知ることが現時点ではできません。

 Matt Garrish氏が以下のブログである程度まとまった情報を発信されているようです。

 

Open Annotationに関するエントリ

10月 24

iBooks for Mac OSのMedia Overlays対応

 結論から申せば、iOS版と同じく、固定フォーマットのEPUB版のみでのMedia Overlays対応でした。

 固定フォーマットMedia OverlaysありのEPUBはkintaさんがすでに試されていますが、テキストハイライトに同期させての音声再生が可能です。

 しかし、固定フォーマットでないMedia OverlaysなEPUB(IDPFが公開している以下のサンプル)で試したところ、再生はできませんでした。

 朗読のUIだけは表示されるんですけどね・・


iBooks for Mac OSで固定フォーマットでないMedia OverlaysなEPUBを開いた状態
(朗読メニューが表示されているが、アイコンなどは非アクティブ状態)

10月 18

EPUB 3の長期保存に関する検討を行うISOとIECの共同分科会が設置されることに

ISO/IEC JTC 1/SC 34※1、IEC/TC 100/TA 10※2、ISO/TC46/SC 4※3 による共同分科会(Joint Working Group)がEPUB 3のarchivability、つまり、長期保存に関する検討を行うために設置されることになったそうです。

 将来的にOOXMLとODFにもスコープを拡げてることを想定しているようですが、まずはEPUB3の長期保存に適したMETS(Metadata Encoding and Transmission Standard)のプロファイルを作成することを目的としているようです。METSのプロファイル作成はTC 46/SC 4が中心となって進めるようですね。

EPUBの長期保存に関するISO関係の参考文献
METSについての参考文献

※1 ISO/IEC JTC 1/SC 34
International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission Joint Technical Committee 1/SubCommittee 34(国際標準化機構 (ISO) と国際電気標準会議 (IEC) の第一合同技術委員会第34専門委員会)。文書の記述と処理の言語の標準化について検討する専門委員会です。
http://www.itscj.ipsj.or.jp/sc34/ 

※2 IEC/TC 100/TA 10
International Electrotechnical Commission/Technical Committee 100 Technical Area10 (国際電気標準会議第100技術委員会第10テクニカルエリア)。 オーディオ・ビデオ・マルチメディアシステムおよび機器に関する専門委員会の下に設けられたマルチメディア電子出版と電子書籍技術に関するテクニカルエリア(という名前のプロジェクトチーム)
http://tc100.iec.ch/about/structure/tc100_ta10.htm

※3 ISO/TC46/SC 4
International Organization for Standardization/Technical Committee 46/SubCommittee 4(国際標準化機構 (ISO) 第46技術委員会第4専門委員会)。 情報とドキュメンテーションに関する技術委員会です。
http://www.iso.org/iso/iso_technical_committee.html?commid=48750

関連エントリ

10月 09

教科書バリアフリー法によって提供が教科書発行者に義務づけられた教科書デジタルデータ

 拡大教科書、点字教科書、DAISY教科書を作成しているボランティア団体等の負担を軽減する目的で、2008年9月に施行した教科書バリアフリー法(障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律)では、教科書発行者に教科書のデジタルデータの提供が義務づけられています(第5条)。

(教科用図書発行者による電磁的記録の提供等)
第五条  教科用図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する者(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。
2  教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。
3  国は、教科用図書発行者による検定教科用図書等に係る電磁的記録の提供の方法及び当該電磁的記録の教科用特定図書等の作成への活用に関して、助言その他の必要な援助を行うものとする。
from 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律

 
 この第5条に係り、具体的に提出義務のある教科書データの範囲、提出先、提出フォーマットは以下の実施要領などにまとめられています。

 まとめると以下通りです。

提出義務のある教科書データ
小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校において教科書を使用している全ての科目の教科書に掲載されているすべてのデータ(本文、図・写真、脚注、表紙など)が対象です。
データ提出先であるデータ管理機関
法第5条で「文部科学大臣等」とされている提出先たるデータ管理機関ですが、当面の間は、文部科学大臣とし、必要な業務は文部科学省初等中等教育局教科書課において行うことになっています。データ管理機関における業務を、第三者に委託して実施することができるということで、平成25年度は.富士ゼロックスに業務が委託されているようです。
提出するデジタルデータの形式
 教科書発行者が提出が義務付けられている形式はPDF形式のファイルです。テキスト形式のデータの提供も可能な限り求められています。また、正しく表現されず、適切な活用ができない図や写真等の画像データについては、必要に応じ、JPEG形式のファイルを併せて提供することになっています。
デジタルデータを受け取れる者

 以下のいずれかの教科用特定図書等の発行をする者

  1. 教科用拡大図書を製作する者
  2. 教科用点字図書を製作する者
  3. 音声読み上げのコンピュータソフトを利用した教材(教科用図書に準ずるものと認められるものに限る。)を、障害のある児童生徒に向けて製作する者
  4. 教科用拡大図書を製作する高等学校及び特別支援学校(視覚障害等)高等部(以下「高等学校等」という。)

 教科書デジタルデータの受け取り手続きと渡されるデータの概要については、データ管理業務を受託している富士ゼロックスが教科書デジタルデータ運用マニュアルとしてまとめられています。

参考

提出が義務づけられる教科書データがPDF形式になった理由

 提出が義務づけられる教科書データがPDF形式になった理由は以下のようです(拡大教科書普及推進会議 第一次報告より)。

  • DTPからの変換が比較的容易で、教科書発行者の負担が少ない
  • ボランティア団体等が、教科書の紙面と同じレイアウトを見ながら作業できる
  • PDF形式のデータを読み込むソフトは、無料で入手できる
  • テキスト形式のデータを抽出することができる
  • 文章のデータとともに、図や写真等の画像データも提供することができる

 なお、同報告書では、「教科書発行者がデータ管理機関に提供する教科書デジタルデータについては、より正確で使い勝手のよいデジタルデータの提供促進や、一つのデータを多様な用途に使用できる「ワンソース・マルチユース」の実現に向け、文字の大きさ・レイアウト変更やテキスト形式のデータ抽出などが容易にできるXMLやアクセシブルPDFなどの導入の可能性についても、今後、必要な検討を進めていくことが望まれる。 」ともあります。

 その延長かどうかわかりませんが、平成25年度にはEPUB形式によるデジタルデータの提供についても検討が今年度から始まったようです。

EPUB形式による教科書デジタルデータ作成・提供のための調査研究

 拡大教科書等の作成にあたって効果的に教科書デジタルデータを活用できるよう、ボランティア団体及び高等学校等への支援の在り方を検証するためとして、EPUB形式による教科書デジタルデータ作成・提供のための調査研究に平成25年度から予算がついています。

関連エントリ

9月 27

DAISY再生機PLEXTALK Pocket、ファームウェアのアップデートでEPUB2に対応

DAISY再生機であるシナノケンシのPLEXTALK Pocketのファームウェアがver.6.00にアップデートし、EPUB2に対応しました。現時点ではver.6.00へのファームウェアのアップデートは残念ながら英語版のみのようです。日本語版のアップデートはいつでしょうか。


PLEXTALK Pocket(PTP1)

 EPUB2リーダーでも読めるように配慮されたEPUB3コンテンツであれば、今回のファームウェアアップデートで読むことができるはずですので、日本語版のファームウェアも期待したいところです。PLEXTALK Pocketのように読み上げる機器の場合、レイアイトは問題になりませんし、普通に作られるEPUBの場合、EPUB2とEPUB3の違いは大きくないかもしれません(TTSに配慮されたEPUBであればともかく)。

もっとも今回は、英語版ファームウェアのみのアップデートという事情を想像してみますと、英語圏は日本語圏ほどEPUB3でなければならないという事情はあまりなく、対応もEPUB3に比べ簡単?なEPUB2でEPUBに対応させたという気がしないではありません。日本語版ファームウェアの場合は、EPUBに対応するとしてもEPUB3で対応しようとするかもしれません(あくまで想像ですが)。

9月 26

シナノケンシが総務省の補助を受けてDAISY/EPUBの製作ソフトウェアと再生ソフトウェアを開発中とのこと

 視覚障害者向けのDAISY録音図書再生機プレクストークなどを開発・生産しているシナノケンシが総務省の補助を受けてDAISY/EPUBの製作ソフトウェアと再生ソフトウェアを開発しているようです。

開発中のソフトウェアの概要

 それぞれ以下のようです。

マルチメディア DAISY/EPUB の製作ソフトウェア

  • OCR機能を搭載して、印刷物からのテキスト取得を簡便化するともに、そのテキストと肉声音声との同期を、音声認識を用いることで自動化し、製作を容易にする。
  • 出力形式は最新のDAISY規格であるEPUB3に適合させる。

 これは、印刷物にOCR処理をかけて抽出したテキストと音声認識によって音声データから抽出したテキストをマッチングさせることで、マルチメディアDAISYやEPUB3 with Media Overlaysを自動作成するということでしょうか。音声DAISYをマルチメディアDAISY化するためにも使えるかもしれませんね。
 

マルチメディア DAISY/EPUB の再生ソフトウェア

  • DAISY2.02 とEPUB3の再生に対応するAndroid タブレットにマルチメディア DAISY 再生ソフトウェア。

 
 このブログで何度か紹介していますが、現時点ではDAISYユーザーが満足するような機能を備えているEPUB 3再生ソフトウェアはほとんどありません(あってもVoice Dream Readerぐらいでしょうか)。

 DAISYユーザーがEPUB 3の恩恵を受けるためにはDAISY再生ソフトウェアのような、読み上げの細かな制御ができる機能などが必要ですが、シナノケンシが開発しているという再生ソフトウェアはDAISY2.02とEPUB 3の再生に対応しているということ。DAISY再生ソフトウェアとして求められる機能は備えていそうですし、それがEPUB3でも利用できるのではないかと。さらに日本語のTTSエンジンが搭載されていれば、理想的なビューワーになることが期待できそうです。

平成25年度末の商品化を目指すとのこと

 「平成25年度は、今年度の実証実験で寄せられた要望事項を反映して、機能改善 を図るとともに、配信部分を開発し、作って(製作)、配って(配信)、利用 (再生)を実現して、実証実験を重ねて有効性を確認し、平成 25 年度末の商品 化を目指す」とのこと。楽しみです。

※201403/02追記 014年3月2日のみんなのデジタル教科書教育研究会発表資料

2014年3月2日に行われたみんなのデジタル教科書教育研究会 Open Meeting 09 Saitamaにおいて、シナノケンシの方が上のアプリケーションを紹介しています。

参考 総務省のデジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発

 なお、総務省の補助は「デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発(情報通信利用促進支援事業費補助金)」によるもので、高齢者・障害者の利便の増進に資する通信・放送サービスの研究開発を行う民間企業等に対して、その研究開発資金の一部を補助する事業です。

9月 25

障害と開発に関する国連総会ハイレベル会合で成果文書として配布された手話動画とテキストハイライトを同期させたHTML5文書

 9月23日にニューヨークの国連本部で、障害と開発に関する国連総会ハイレベル会合が開催されました。

 この会合の成果文書が、HTML5 with video、マルチメディアDASIY、EPUB3など様々なアクセブルな形式で公開されています。

 

 この中ですごいのはHTML5 with videoでしょうか。手話動画とテキストハイライトが同期されています。


Sign language with text (HTML5 with video)

 マルチメディアDAISYやMedia OverlaysなEPUBの動画版といったものですが、動画とテキストハイライトの同期はDAISYやEPUB3の仕様のではサポートされていません(EPUB3は動画を埋め込むこと自体は可能です)。

 なお、この国連総会の会合は、NHK WORLDでも報道されています。

9月 13

スーパーマリオ EPUB

 @commonstyle さんのツィートより。

https://twitter.com/commonstyle/status/378448635253387264
https://twitter.com/commonstyle/status/378452814004899841

EPUB3でスーパーマリオを作った方がいるようです。

 こういうのを紹介すると、ゲームをEPUB内にいれて何の意味があるのかという意見を聞くことがあるのですが、こういうのは、どんなものが作れるのかということをやってみせるということがなにより重要です。スーパーマリオはもってこいの素材ですね。

9月 04

EPUB版点字図書(点字記号フォント埋め込み版)をつくってみた

 @momdo_さんのブログの中で言及されている点字記号フォント同梱のEPUBがなかなか興味深かったので作ってみました。
 
 EPUB版点字図書の作成には、Project Gutenbergで提供されている以下の図書のテキストデータを使用しました。

 上のProject Gutenbergの図書のテキストデータを元に作成したのが以下のUnicode点字のEPUB版点字図書です。


図 iBooksで開くEPUB版点字図書

 TrueTypeとWOFF、OpenTypeの点字記号フォントを同梱しています。端末に点字フォントがない場合でも、WOFFとTrueType、OpenTypeのWebフォントにEPUBビューワーが対応していれば表示できるはずです(埋め込んだフォントの関係で、空白スペース部分は以下のように□が表示されます。ご了承ください)。
※なお、点字プリンタ、点字ディスプレイを利用する場合、出力先の機器がユニコードに対応していればよいだけですので、ここで行っているような点字フォントの埋め込みは本質的には必要ありません。

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 点字コンテンツの作成中に晴眼者がコンテンツを確認する以外にフラットなスマートフォンやタブレット端末で点字記号を表示させることに、あまり意味はないかもしれません。しかし、点字プリンタや点字ディスプレイにつなげることができれば話は別です。少なくともiOS端末は点字ディスプレイに対応しているようです。ここで作成したEPUB版点字図書を点字ディスプレイで閲覧するためには、さらに点字ディスプレイがUnicodeに対応している必要がありそうですが、ここで作成したEPUB版点字図書が使用できるかどうか気になるところです。

 なお、このEPUB版点字図書を作成するために変換に変換を重ねた上に(後述の「参考 作成のプロセス」を参照)、私自身、点字を読むことができないため、最終的にできあがったEPUB版点字図書には見出しがない、目次がない、パラグラフが適切でない、そもそも点訳がおかしいなどなどいろいろと問題があろうかと思います。今回はあくまで実験的にEPUB版点字図書を作ることに主眼をおいていますので、点訳の不備等についてはご了承ください。

 以下、蛇足ですが、変換するまでのプロセスです。

参考 作成のプロセス

 適度の量のUnicode点字のテキストファイルがなかなか見つからないため、以下の手順でProject Gutenbergで公開されている図書のテキストデータからEPUB版点字図書に変換しました。

  1. 元となる図書のテキストデータを用意
  2. テキストファイルをBRF形式の点字ファイル(Braille ASCII点字)に変換
  3. BRF形式の点字ファイルをPEF形式の点字ファイル(Unicode点字)に変換
  4. PEF形式の点字ファイルをEPUBに変換しやすいテキスト形式のUnicode点字ファイルに整形
  5. Unicode点字のテキストファイルをEPUB形式に変換
  6. EPUBに同梱する点字フォントを用意
  7. EPUB形式の中のメタデータを修正
  8. EPUBファイルを再作成
  9. 作成したEPUBファイルをバリデート
  10. デキタ! ヽ(`・ω・´)ノ

1.元となる図書のテキストデータを用意

  Project Gutenbergで提供されている以下の図書のテキストデータを使用します。

 私は点字を読むことができないため、この段階で意味のある単位である程度ファイルを分割・修正しておきます。
分割・修正後のファイル一式: pg35597_src.zip

2.テキストファイルをBRF形式の点字ファイル(Braille ASCII点字)に変換

 テキストファイルをBRF形式のBraille ASCII点字に変換してくれるWebサービスで1で用意したテキストファイルを点字ファイルに変換します。

変換後ファイル一式: pg35597_brf.zip
※上はBraille ASCII点字であり、1文字1点字の逐字点訳ですので、通常のテキストエディタで開くと、それなりに理解できるセンテンスや単語が表示されます。

3.BRF形式の点字ファイルをPEF形式の点字ファイル(Unicode点字)に変換

 BRFファイルからPEFファイルへの変換します。変換にはDAISY Piplelineを使用しました。このブログでよく紹介しているDAISY Pipleline 2のほうではなく、DAISY Pipleline 1のほうです。

47
図 DAISY Pipleline 1でBRF形式の点字ファイルをPEF形式の点字ファイルに変換

変換後ファイル一式: pg35597_pef.zip
※上はUnicode点字です。テキストエディタで開くと昨今の最新のOSであれば、点字記号の並んたテキストが表示されるはずです。

4. PEF形式の点字ファイルをEPUBに変換しやすいテキスト形式のUnicode点字ファイルに整形

 PEF形式の点字ファイルをEPUBに変換するコンバータは残念ながら、見つかりませんでした。次で変換に使用する「でんでんコンバーター」で変換できるようにテキストファイルに変更し、でんでんマークダウンの記述に変更します(ここは手作業)。

整形後ファイル一式: pg35597_txt.zip

5.Unicode点字のテキストファイルをEPUB形式に変換

 でんでんコンバーターで4までで作成したテキスト形式のUnicode点字ファイルをEPUBに変換します。
 

電書ちゃんのでんでんコンバーター – でんでんコンバーター

変換後: a_treatise_on_the_brewing_of_beer_e_hughes.epub

6.EPUBに同梱する点字フォントを用意

5で作業を終えてもよいのですが、点字フォントを搭載していない端末もまだ多いため、点字記号フォントをEPUBに同梱します。今回使用したの@momdo_さんに教えていただいたライセンスフリーの以下のフォントです。

 ただし、上で提供されているものは、TrueTypeフォントですので、EPUB 3の仕様でフォントのコアメディアタイプに指定されているWOFFフォントとOpenTypeフォントも用意したいところ。

 今回は以下を使用してTrueTypeからWOFFフォントとOpenTypeフォントに変換しました。

 5で作成したEPUBファイルの中を開いて以下の記述をそれぞれ追加します。

@font-face {
	font-family: Braille6;
	src: url(font/braille6.otf) format('opentype'), url(font/braille6.ttf) format('truetype'),url(font/braille6.woff) format('woff');
}
body {
  text-align: justify;
  text-justify: inter-ideograph;
	font-family: "Apple Braille", Georgia, "Segoe UI Symbol", Braille6, monospace;
  vertical-align: baseline;
  word-wrap: break-word;
}

OEBES/style.css

<manifest>
・・・
<item media-type="application/font-woff" href="font/braille6.woff" id="_braille6.woff" />
<item media-type="application/x-font-ttf " href="font/braille6.ttf" id="_braille6.ttf" />
<item media-type="application/x-font-opentype " href="font/braille6.otf" id="_braille6.otf" />
</manifest>
</metadata>

OEBES/content.opf

追記 埋め込みに使用した点字フォントについて

埋め込んだ点字フォントが表示される場合は、以下のようにスペースに当たる部分が□で表示されます。
38

 これは埋め込み使用した点字フォントにUnicodeにおけるU+2800に割り当てるべきフォント(点字における全く点のないフォント、つまり、点字における空白スペース)が用意されていないために生じている問題です。この問題を改善するためには埋め込むフォントそのものに手を入れる必要がありますが、フォントの改修はこのエントリの目的を超えるものになりますので、このままとさせていただきます。ご了承ください。

参考

 点字フォントの埋め込みについては、@momdo_ さんが以下のブログでまとめていただいていますので、こちらもご参照ください。

7.EPUB形式の中のメタデータを修正

 現時点ではメタデータの拡張どころか、詳細なメタデータ情報を表示するリーディングシステムがあまり多くないため、メタデータの記述で頑張ってもそれをあまり生かせませんが、せっかくの点字図書なので、メタデータのタイトルと著者には、墨字と点字の両方を記述したいところです。というわけで、dcterms:alternativeとdcndl:creatorAlternativeを使用して点字版のタイトルと著者をそれぞれ記述しました。点字記号のタイトルや点字記号の著者の方をdc:titleやdc:creatorにするべきかもしれませんが、スクリーンリーダーなどで読み上げることを考慮して墨字タイトル・著者をdc:titleやdc:creatorにあてました。

<package xmlns="http://www.idpf.org/2007/opf" unique-identifier="identifier0" version="3.0" prefix="dcndl: http://ndl.go.jp/dcndl/terms/ ibooks: http://vocabulary.itunes.apple.com/rdf/ibooks/vocabulary-extensions-1.0/">
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<dc:title id="title0">A Treatise on the Brewing of Beer[braille]</dc:title>
<meta property="dcterms:alternative">⠂⠁⠀⠂⠂⠞⠗⠑⠁⠞⠊⠎⠑⠀⠂⠂⠕⠝⠀⠂⠂⠞⠓⠑ ⠂⠃⠗⠑⠺⠊⠝⠛⠀⠂⠂⠕⠋⠀⠂⠂⠃⠑⠑⠗⠡</meta>
<dc:creator id="creator0">E. Hughes</dc:creator>
<meta property="dcndl:creatorAlternative">⠀⠂⠑⠹⠀⠂⠂⠓⠥⠛⠓⠑⠎⠹</meta>
<dc:format>application/epub+zip</dc:format>
<dc:language>en-US</dc:language>
<meta property="ibooks:specified-fonts">false</meta>
<meta property="dcterms:modified">2013-09-03T16:30:43Z</meta>
</metadata>

OEBES/content.opf
※dcterms:alternativeとdcndl:creatorAlternative部分の点字記号がうまく表示できない場合はこちら

8.EPUBファイルを再作成

 以上の修正を終え、zipコマンドで再度、EPUBを再作成します。

cd pg35597
zip -0 -X ../pg35597.epub mimetype
zip -r ../pg35597.epub * -x mimetype


図 EPUBへ変換する前のソースファイル

9.作成したEPUBファイルをバリデート

 8で作成したEPUBを念のため、バリデータで確認します。ここで結構ひっかかりました・・。

10.デキタ! ヽ(`・ω・´)ノ

 バリデータが祝ってくれたら完成です ヽ(`・ω・´)ノ
39
図 問題なしということで、祝ってくれるEPUB Validatorの図

完成版(再掲): pg35597.epub

関連エントリ