シンポジウム「図書館におけるディスレクシアの人への支援」(11月8日 新宿区)に参加しました。

11月8日(土曜日)に行われたリハビリテーション協会が主催するシンポジウム「「図書館におけるディスレクシアの人への支援」」に参加してきました。
 
 シンポジウムの内容は、Twitterで実況したものを以下にまとめましたので、こちらをご覧ください。

 
 なお、実況はあくまで私の主観によるものであり、講演者の意図とした内容と異なる場合があります。ご注意ください。また、講演についていくために速度優先で投稿していったので、普段から多い誤字脱字がさらに多くなってしまいました。大変申し訳ございません。
 日本では、ディスレクシアを診断できる医療機関がかなり少ないのが現状ですが、著作権法第37条及びそのガイドラインで、図書館職員がその利用者がディレクシアだと判断すれば、著作権法第37条に基づいて製作されたDAISYなどのその利用者にとって使いやすい資料を医師の判断を待たずに提供することができます。抱える困難を軽減できる手段や方法を図書館が持っているにも関わらず、図書館がもっとも救えていない層がディスレクシアの方々なのかもしれない。図書館職員がディスレクシアに対する理解を深め、自信をもって判断できるようになることが重要だろうと今回のシンポジウムと、先週の図書館大会、先々週の全視情協徳島大会に参加して思いました。
 あと、このシンポジウムで河村宏さんが「アクセシブルな電子書籍」について以下のように少し触れられていましたが、全く同感です。


 図書館は、「アクセシブルな電子書籍」を企業が出してくれることをただ期待するのではなくて、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」が何かを明示する必要があると思います。「アクセシブルな電子書籍」と一言で言っても、図書館が考える「アクセシブルな電子書籍」と企業側が考えるそれが同じとは限りません(というより、まず同じではない)。図書館側が求める「アクセシブルな電子書籍」の要件を整理して、まずは認識に齟齬が生じさせないことが重要です。
 少なくとも以下ぐらいは要件を整理し、優先順位を示したガイドラインを提示するべきではないかと思います。

  • 出版社と電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」とは何か。
  • 電子書籍プラットフォームに対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の提供方法とは何か。
  • ビューワー開発者に対しては、図書館が求める「アクセシブルな電子書籍」の閲覧環境とは何か。

 図書館が求める「合理的配慮」を優先順位をつけたガイドラインという形で明示しておけば、企業も全ての要件を一気に満たすことは難しくても、「合理的配慮」の範囲内で少しずつ実装してくれるかもしれない。
 障害のある利用者に対して直接接サービスを提供する図書館は、障害者のニーズをくみ上げて出版社やベンダーに「アクセシブルな電子書籍」とは何かを伝えることができるし、その役割を果たすことでアクセシブルな電子書籍の普及に貢献することができる。
以上、「図書館」を中心に述べてきましたが、視覚障害者情報提供施設(いわゆる、点字図書館)に置き換えても同じことが言えるはず。図書館と点字図書館が連携して取り組めればよいですね。

「DAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)仕様(2010年5月29日付)」の日本語訳を公開します。

DAISY ConsortiumのDAISYオンライン配信プロトコル(DAISY Online Delivery Protocol)の仕様を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

 この日本語訳は、私自身がDAISYオンライン配信プロトコルを理解するために個人的に訳したものであり、当然ですが、DAISY Consortiumの公式な日本語訳ではありません。また、翻訳の正確性、その内容について一切保証をするものではありません。ご注意ください。
 DAISYオンライン配信プロトコルについては、以下の記事をご参照ください。

関連エントリ

カレEに「Open Annotation,Web標準へ W3C Annotation WG始動」という記事を書きました。

カレントアウェアネス-EというメルマガにOpen AnnotationとW3C Web Annotation WGを紹介する記事を書きました。

 
 図書館向けのメルマガですので、図書館向けの内容を少し多めにもりこみました(Open Annotation、図書館も無縁ではないですよとということで)が、W3C Web Annotation WGのAnnotaionがいわゆる「注釈」に限定されるものではないこと、Annotationの対象がWebや電子書籍に限定されず、デジタルリソース全般を対象としていることが伝われば、書いた意図としては成功かなと思います。
 それにしても、最初に提出した原稿と比べると、校正を経て公開された今回の記事は贅肉もとれてすっきりとしたものになったと思います。本当にありがとうございます。まだ読みづらいところがあったとしても、それは私が提出した元の原稿が校正でどうにかなるレベルではなかったということで、責任は書いた私にあります。
 By the way、この原稿では、やや本筋から外れてしまうので書きませんでしたが、Open AnnotationにもHerbert Van de Sompel氏が関係しています(Open Annotaton Data Modelのエディタに名も連ねている) 。氏の活動は本当に幅広く、私が追っているテーマ全てに氏が関わっている感じです。氏の追っかけをしているつもりはないのですが、結果としてそうなっちゃっている。とはいえ、氏の活動は、本質的なところの根っこはみんな同じで、Webリソースを縦軸(時間軸)と横軸(オリジナルコンテンツと付加情報)に多層レイヤー化させて、いろいろな方法でアクセスできるようにしようとしているのだろうと思います。そんな感じに最近では、氏の日本における最大の理解者になった気に勝手になっている。
 今回のこの原稿は、氏の思惑パズルの一片を紹介したことにもなります。
W3C Web Annotation WGに氏が加わっているかはよくわかりませんが、WGのMLにはまだ現れていませんねぇ・・・。
 

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Open Annotation関連の動き