6月 07

20言語のPDF、EPUB、DASIY等を読み上げ可能なiOSアプリ、Voice Dream Reader

 PDFやEPUB、DASIYなどの読み上げに対応している多言語読み上げソフト、iOSアプリのVoice Dream Readerです。


Voice Dream Reader – Text to Speech

Voice Dream
http://www.voicedream.com/

もしかしてすごいアプリでは。

言語/音声

 日本語を含む20言語のコンテンツについて計78音声(日本語は3音声)による読み上げが可能。
 ※各種音声はアドオンとして購入

対応ファイル形式
  • PDF
  • EPUB(EPUB3も一応対応)
  • DAISY
  • Plain Text、
  • Rich Text Format (RTF)
  • Microsoft Word
  • Microsoft PowerPoint
  • Apple Pages
  • Apple Keynote
  • HTML
アクセシビリティ対応
  • 細かな再生制御機能
  • 読み上げ箇所及びそのセンテンスをそれぞれ異なる色でハイライト表示
  • ディスレクシアフレンドリーなオープンソースフォントOpenDyslexiaも利用可能
  • フォントの拡大縮小
  • フォント、背景色、ハイライトの色の変更
  • など

その他
  • 読み上げ辞書の作成
  • Dropbox、Google Drive、Evernote、Instapaperとの連携

 EPUBに対応したDAISYリーダーについては以下のようなエントリを書いたことがありましたが、これを書いた時点では完全に見落としていました。ありゃりゃりゃ・・・

関連エントリ

EPUB 3とDAISY 4の関係
DAISYからEPUB 3に変換する
DAISY再生ソフト・機器のEPUB対応
5月 03

PDFのリフロー表示

 PDFは固定レイアウトの印象が強いフォーマットですが、テキスト情報を持っていれば、リフロー表示に切り替えることができるPDFリーダーもあります。代表的なものはAdobeが出しているAcrobatシリーズでしょうか。

  例えば、内閣府が公開している『平成24年版障害者白書』のPDF版をAcrobat Readerで開いてみます。

『平成24年版障害者白書』
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/pdf/index.html

  とくに設定をせずにPDFを開くと、レイアウトが固定された状態で表示されます。
固定レイアウト時の平成24年版障害者白書。2段レイアウト。

 固定レイアウトですので、ウィンドの大きさを変更すれば、レイアウトを保持しつつ、文字も縮小されます。

 これをリフロー表示します。

 Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択してください。

Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択
 
 

  「折り返し」を選択すると、表示がリフロー型に変更されます。

リフロー型表示に変更された平成24年版障害者白書。1段レイアウトに変更されている
 

 ウィンドウのサイズを変更しても、フォントのサイズを維持したまま、テキストはウィンドウの幅に合わせて改行されます。

ウィンドウの幅に合わせて改行されたテキスト

 
 
 フォントを拡大してもこの通りウィンドウの幅に合わせて改行されます。

フォントを拡大しても文字数はかわっても幅は変わらない

 
 Acrobat Readerのリフロー型への切り替え機能は、内部的には一時的にタグを付与することで実現されているそうです。プログラムが判別して機械的にタグを付与しますので、文章や図が正しい順序で表示されるとは限りませんが、あらかじめ作成者がタグをPDFにふっている場合(つまり、タグ付きPDFの場合)、作成者が意図とした通りの正しい順序でリフロー表示されます。

 リフロー表示機能を実装しているPDFリーダーはあまり多くないようですが、願わくばモバイル端末用のPDFリーダーではぜひ実装していただきたいものです。あと、6インチサイズの電子書籍端末とか(ブツブツブツ・・・・

5月 03

アクセシブルPDF(その2) – アクセシビリティに配慮したPDF作成のガイドライン WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)  –

 前のエントリに続いてアクセシビリティに配慮したPDFについて。 

 アクセシビリティに配慮したPDF作成のための公的なガイドラインとしてWCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)の2つのガイドラインがあります。 

 PDF/UA(ISO 14289-1)の策定時にインプットとしてWCAG2.0が用いられたことから、この2つのガイドラインの要件に矛盾はないそうですが、立ち位置が異なるため完全に同一というわけではありません。PDF/UA(ISO 14289-1)の要件を満たすことと、WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)の要件を満たすことは区別して考えなければなりません。

 PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を作成したAIIMが”Achieving WCAG 2.0 with PDF/UA“というWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)の違いを解説したドキュメントを公開していますので、それをベースにWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)を比較してみたいと思います。

PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を超えるWCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)の要件

 以下は、PDF/UA(ISO 14289-1)に言及がないため、WCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)を参照しなければなりません。

  • 映像・音声の代替コンテンツ、試験に用いられる非テキストコンテンツ、感覚的な非テキストコンテンツ、CAPTCHA
  • 音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ(PDF/UAは文法的な要件についてのみ触れている)
  • 映像コンテンツのキャプション
  • JavaScript設計
  • JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ
  • 特定デバイスの制御
  • 設計上の考慮事項(PDF/UAは全般的に外観、内容、またはデザインについて言及していない)

 また、動的なXFA(Adobe XML Forms Architecture )の使用はWCAG 2.0では禁止されていませんが、はPDF/UAでは使用が禁止されているので注意が必要です。

 

WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)で言及されていないPDF/UA(ISO 14289-1)の要件

 逆に以下のようなWCAG2.0では言及されていないPDF/UAの要件もあります。

  • 相互運用性(PDFでは重要な相互運用性をWCAG2.0は規範的に求めていない)
  • フォント(WCAG2.0には、視認性の観点からのフォントに関する要件がない)
  • ナビゲーションとしての見出し
  • 記事スレッド

 

WCAG2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1)マッピング表

 PDF/UA(ISO 14289-1)の仕様を作成したAIIMとAdobeがそれぞれWCAG2.0とPDF/UA(ISO 14289-1)マッピング表を以下の文書で公開しています。

 

 これらをを総合する形で以下のようにまとめてみました。どちらか一方にしか掲載されていないものについても基本的に削らずに掲載しています。

WCAG 2.0
(括弧内は達成等級)※1
ISO 14289-1
(PDF/UA)
PDFファイルの要件
ISO 14289-1
(PDF/UA)
PDFリーダーの要件
ISO 32000-1 (PDF1.7) ※2 PDF/UAを超えるWCAG2.0の要件 関連のWCAG2.0の解説書実装方法集 ※3
1.1.1 非テキストコンテンツ (A) 7.3
7.18.1(パラグラフ4)
7.18.6.2
7.1(パラグラフ1)
8.1 14.8.4.5
14.9.3
映像・音声の代替コンテンツ、試験に用いられる非テキストコンテンツ、感覚的な非テキストコンテンツ、CAPTCHA 実装PDF1
実装PDF4
解説書
1.2.1 収録済の音声しか含まないメディア及び収録済の映像しか含まないメディア(A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.2 収録済の音声コンテンツのキャプション (A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
映像コンテンツのキャプション 解説書
1.2.3 収録済の映像コンテンツの代替コンテンツ又は音声ガイド(A) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.4 ライブの音声コンテンツのキャプション (AA) 7.18.6.2 8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
映像コンテンツのキャプション 解説書
1.2.5 収録済の映像コンテンツの音声ガイド (AA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.6 収録済の音声コンテンツの手話通訳(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.7 収録済の映像コンテンツの拡張した音声ガイド(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.8 収録済のメディアの代替コンテンツ(AAA) 7.11
7.18.6.2
7.18.7
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.2.9 ライブの音声しか含まないコンテンツの代替コンテンツ(AAA) 7.11
7.18.6.2
8.11.3 7.11.3
13.2.4.2
音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.3.1 情報及び関係性(A) ○コンテンツ内の構造と関係性について
7.1
7.2
7.3
7.4.1
7.5
7.6
7.7
7.8
7.9
7.10
7.20○annotation内の構造と関係性にについて
7.17と7.18
8.1 7.7.2
7.7.3.3
7.9.2
8.11.2.1
8.11.4.5
9.10.2
12.2
12.3.3
12.5.6.5
12.5.6.15
12.6
13.2.4.2
14.7.2
14.8
14.9.2
14.9.3
14.9.4
実装PDF6
実装PDF9
実装PDF10
実装PDF11
実装PDF12
実装PDF17
実装PDF20
実装PDF21
解説書
1.3.2 意味のある順序(A) 7.2(パラグラフ2)
7.17
7.18.3
8.2 (パラグラフ1) 7.9.2
14.8.2.4.2
14.9.2
14.9.4
実装PDF3
解説書
1.3.3 感覚的な特徴(A) 7.1(パラグラフ6、7) 解説書
1.4.1 色の使用(A) 7.1(パラグラフ6) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.2 音声制御(A) 適応不可 8.10.3 解説書
1.4.3 最低限のコントラスト(AA) 7.1 (パラグラフ6、ノート4) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.4 テキストのサイズ変更(AA) 7.2 7.9.2
14.8.2.4.2
14.9.2
14.9.4
解説書
1.4.5 画像化された文字(AA) 7.3(パラグラフ6) 実装PDF7
解説書
1.4.6 より十分なコントラスト(AAA) 7.1(パラグラフ6) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.7 小さい背景音又は背景音なし(AAA) 音声のみコンテンツ、映像のみのコンテンツ、映像と音声が同期したコンテンツ 解説書
1.4.8 視覚的な表現(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
1.4.9 画像化された文字(例外なし)(AAA) 7.3(パラグラフ1) Graphic design 解説書
2.1.1 キーボード操作(A) 7.19(パラグラフ3) 8.1 (パラグラフ2の箇条2と箇条3) 12.6 Control device specific 実装PDF3
実装PDF11
実装PDF23
解説書
2.1.2 フォーカス移動(A) 8.7 JavaScript設計 解説書
2.1.3 キーボード操作(例外なし)(AAA) 7.19(パラグラフ3) 8.1 (パラグラフ2の箇条2と箇条3) 12.6 Control device specific 解説書
2.2.1 調整可能な制限時間(A) 7.19(パラグラフ3) 8.10.3 (パラグラフ2,3) 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.2 一時停止、停止、非表示(A) 7.19 8.6
8.7
8.10.3
12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.3 制限時間なし(AAA) 7.19 8.7 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.4 中断(AAA) 7.19 8.7 12.6 JavaScriptまたはマルチメディアコンテンツ 解説書
2.2.5 再認証(AAA) 7.19 12.6 JavaScript設計 解説書
2.3.1 3回の閃光又は閾値以下(A) 7.1 (パラグラフ5) 解説書
2.3.2 3回の閃光(AAA) 7.1 (パラグラフ5) 解説書
2.4.1 ブロック・スキップ(A) 7.4
7.8
7.1 (パラグラフ1、2)
8.9 (箇条2) 14.8 実装PDF9
解説書
2.4.2 ページタイトル(A) 7.1 (パラグラフ8、9) 8.8 12.2 実装PDF18
解説書
2.4.3 フォーカス順序(A) 7.1 (パラグラフ2)
7.18.1 (パラグラフ2)
7.18.3
8.1
8.9
14.8.4.4.3 実装PDF3
解説書
2.4.4 文脈におけるリンクの目的(A) 7.18.1 (パラグラフ2)
7.18.5
8.1 12.5.6.5
12.6.4.7
14.8.4.4.3
14.9.3
実装PDF11
実装PDF13
解説書
2.4.5 複数の到達手段(AA) 7.17
7.18.5
8.9 12.3.3
12.5.6.5
12.6.4.7
Table 28
14.9.3
実装PDF2
解説書
2.4.6 見出し及びラベル(AA) 7.4 設計上の考慮事項 解説書
2.4.7 視覚的に認識可能なフォーカス (AA) 設計上の考慮事項 解説書
2.4.8 現在位置(AAA) 7.4
7.17
設計上の考慮事項 解説書
2.4.9 リンクの目的(AAA) 7.18.5(パラグラフ2) 8.10.1 14.9.3 設計上の考慮事項 解説書
2.4.10 セクション見出し(AAA) 7.4 8.9(箇条2) 14.8.4.3.2
14.8.4.3.5
設計上の考慮事項 解説書
3.1.1 ページの言語(A) 7.2(パラグラフ3) 8.2(パラグラフ3) 実装PDF16
実装PDF19
解説書
3.1.2 部分的に用いられている言語(AA) 7.2(3パラグラフ目) 8.2(2パラグラフ目と3パラグラフ目) 実装PDF19
解説書
3.1.3 一般的ではない用語(AAA) 14.9.5 設計上の考慮事項 解説書
3.1.4 略語(AAA) 14.9.5 実装PDF8
解説書
3.1.5 読解(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.1.6 発音及び読み仮名(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.2.1 オン・フォーカス(A) 7.19(パラグラフ2) 8.7 設計上の考慮事項 解説書
3.2.2 ユーザインタフェース・コンポーネントによる状況の変化(A) 7.19(パラグラフ2) 8.7 設計上の考慮事項 実装PDF15
解説書
3.2.3 一貫したナビゲーション(AA) 7.1(パラグラフ1)
7.17
設計上の考慮事項 実装PDF14
実装PDF17
解説書
3.2.4 一貫した識別性(AA) 7.1(パラグラフ1) 設計上の考慮事項 解説書
3.2.5 利用者の要求による状況の変化(AAA) 7.19(パラグラフ2) JavaScript設計 解説書
3.3.1 入力エラー箇所の特定(A) 設計上の考慮事項 8.7 JavaScript設計 実装PDF5
実装PDF22
解説書
3.3.2 ラベル又は説明文(A) 6.2
7.18.1
7.18.3
7.18.4
8.10.2 14.8.4.4.3
14.9.3
14.8.4.5
実装PDF5
実装PDF10
解説書
3.3.3 入力エラー修正方法の提示(AA) 8.10.2 設計上の考慮事項 解説書
3.3.4 法的義務・金銭的取引・データ変更・回答送信のエラー回避(AA) 8.10.2 設計上の考慮事項 解説書
3.3.5 ヘルプ(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
3.3.6 エラー回避に関する例外なし(AAA) 設計上の考慮事項 解説書
4.1.1 構文解析(A) 動的なXFA 解説書
4.1.2 プログラムが解釈可能な識別名・役割及び設定可能な値(A) 7.13
7.14
7.18
8.10
8.11.2
実装PDF10
実装PDF12
解説書

関連エントリ

ウェブアクセシビリティガイドラインについて
代替テキスト
リンクのはり方
テキスト
動画・音声
EPUB
PDF
5月 02

アクセシブルPDF(その1)- アクセシビリティに配慮したPDF作成のために必要な8つのこと –

 PDF(Portable Document Format)はドキュメントを環境に依存せずに交換できることから、電子文書フォーマットとして使用されています。もともとはAdobe社が開発したフォーマットでしたが、先のエントリで紹介したように、PDF1.7が2008年にISO規格になりましたので、国際規格の使用が推奨されている公的機関の利用も進んでいると思われます。PDFはWebに特化したフォーマットではありませんが、環境に依存しせずに文書を交換できるという特性からドキュメントの配布フォーマットとしてWeb上でも幅広く使用されています。

 そんな電子文書ファイルとして確固たる地位を築いているPDFは、アクセシビリティの機能がPDF1.4以降で大幅に強化されています。例えば、以下のような機能をPDFに持たせることができます。

  • スクリーンリーダー等支援ソフトウェア等による音声による読み上げ機能のサポート
  • 文字の拡大縮小をしても1行の文字数が行の幅に合わせて調整されるリフロー型表示、それを正しい順序で表示
  • 点字プリンタによるプリントアウトなど支援技術、支援ソフトウェアによる読者に適した形でコンテンツを出力するためのテキストデータ抽出

 そう、PDFはやればできる子。

アクセシブルPDFを作成するために必要なこと

 そのための条件を8つに分けてまとめてみました。

1.全ての文字情報に対してテキストデータを保持

 スクリーンリーダーによる読み上げや点字プリンタによる打ち出しを可能にするため、使用されているフォントはテキストとして抽出可能でなければなりません。スキャンしたドキュメントはOCR処理をかけてテキストデータを抽出可能にする必要があります。

参考

2.ドキュメントのタグによる構造化(タグ付きPDF)

 プログラムが理解できるようにドキュメントをタグによって構造化し、見出し、段落、リスト、表などをきちんと指定する必要があります。つまり、タグ付きPDFにすることです。タグの付与によってドキュメントを構造化することでスクリーンリーダー等の支援ソフトウェアで正しい順序で読み上げられるようになります。
 
 Acrobat Reader等一部のPDFリーダーでは、PDF文書をリフロー表示する機能を備えています。タグ付けをきちんとすることで、リフロー表示に切り替えた時に正しい順序でテキストや画像を表示されます。

参考

 

3.代替テキストの提供

 スクリーンリーダーなどできちんと読み上げられるように画像などの非テキストコンテンツには代替テキストを提供する必要があります。ウェブサイトと同様です。

参考

4.適切なナビゲーションの提供

  適切なナビゲーションの提供が重要であることは言うまでもありませんが、PDFの場合は、しおりの付与によってドキュメントのアウトラインを知らせること、ヘッダー/フッターやページ番号を提供することで現在位置を知らせるなどの方法があります。

参考

5.メタデータの提供

 ドキュメントのメタデータを提供することで、支援技術、支援アプリケーションのユーザーがドキュメントを複数の文書内から検索、または選択しやすくなります。メタデータがきちんと提供されていれば、読者は自分が現在どのドキュメントを開いているのか、つまり、現在位置を知ることができます。特にタイトルの提供は必須です。タイトルが提供されない場合、多くはファイル名が読み上げられることになるでしょう。

参考

6.フォーム

 フォームに求める条件はウェブサイトと同じだと思われますが、フォームを支援ソフトウェア等による読み上げでフォームを理解できること、そして、入力できること、キーボードによる操作が可能であること、フォームの記入による状況の変化を読者がコントロール可能であることなどが求められています。

参考

7.ドキュメントと文中の言語の指定

 ドキュメントと文中の言語が指定されていることで、スクリーンリーダー等の支援技術は適切な言語を選択して読み上げることができます。

参考

8.支援ソフトウェアに干渉しないようにセキュリティ設定

 PDFはコピー、印刷、抽出、注釈の付加、編集に制限をかける設定が可能です。これらの制限は読上げ機能や点字プリンタへの打ち出し等に干渉してしまう可能性がありますが、アクセシビリティがサポートされているPDF オーサリングツールは、制限の対象からスクリーンリーダーを除外する設定が可能になっていますので、それを有効にする必要があります。

 

PDFのアクセシビリティに関するガイドライン

 PDFのアクセシビリティに関する要件をまとめた主なガイドラインとして、WCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)とPDF/UA(ISO 14289-1:2012)があります。

WCAG 2.0(JIS X8341-3:2010)

 
 W3CのウェブアクセシビリティガイドラインWCAG2.0(とJIS X8341-3:2010)はWeb上に公開するPDFファイルに対してもアクセシビリティ上の配慮を求めています。

WCAG2.0(とJIS X8341-3:2010)の要件を満たすPDFの作り方はWCAG2.0の関連文書であるWCAG 2.0 実装方法集にまとめられています。

 WCAG 2.0 実装方法集のPDF1〜PDF23は、日本語でかつWeb上で無料で入手可能なもののなかでは最も詳細でまとまっているものの1つです。導入編である「PDFテクノロジーノート」は、PDFのアクセシビリティの機能、オーサリングツール、支援技術の対応等がコンパクトにまとまっています。

PDF/UA(ISO 14289-1:2012)

 PDF1.7(ISO 32000-1:2008)をベースとして、アクセビリティに配慮したPDFであるPDF/UAが2012年にISO 14289-1:2012として国際規格化されました。

 PDF/UA(ISO 14289-1:2012)には、PDFファイルの要件(7章)、PDFリーダーの要件(8章)、支援技術の要件(9章)がまとめられています。本文のみだと20ページを切る短い規格ですが、PDF1.7(ISO 32000-1:2008)を参照する形で記述されていますので、PDF1.7(ISO 32000-1:2008)を並行して読む必要があります。

 なお、PDF1.7(ISO 32000-1:2008)は700ページを超える大部な仕様で価格もお求めやすくはありませんが、幸いAdobeのウェブサイト内で無料で公開されています(章節番号を含め、ISOのものと同じものだそうです)。

 

Adobe作成のガイドライン

 AdobeがアクセシブルPDF作成のガイドラインを公開しています。WCAG2.0(とJIS X8341-3:2010)やPDF/UA(ISO 14289-1:2012)のような公的なガイドラインではありませんが、Adobeのアプリケーションを使用するのであれば、実作業レベルで参考になります。ちなみにここで公開されているガイドラインはタグが付与されている等アクセシビリティに配慮されたPDF形式で公開されています。

関連エントリ

ウェブアクセシビリティガイドラインについて
代替テキスト
リンクのはり方
テキスト
動画・音声
EPUB
PDF

 

4月 14

PDF関係の国際規格(ISO規格)

 国際規格化されたPDF関連の規格が多すぎるので少し整理してみました。

PDFの全機能を盛り込んだ国際規格

PDF 1.7をベースにPDFの全機能を盛り込んだ国際規格が2008年にISO 32000-1:2008として承認されました。現在、後継のPDF 2.0がISO/DIS 32000-2として検討されています。
 なお、PDF1.7の国際規格化以降はPDFはAdobeの手を離れて、ISOが管理する規格になり、仕様の策定は情報やイメージ管理の非営利の標準化団体AIIM (Association for Information and Image Management) が進めているようです。

 
 規格書は約25,000円強とお求めやすいとは言い難い価格ではありますが、幸いISO 32000-1はAdobeが以下のサイトで無料で公開してくれています。ありがたい。

参考

 

PDFのサブセット版国際規格

 PDFの仕様を目的に応じて部分的に切り出して国際規格化したものを挙げてみました。まだ、国際規格化されていないので、ここでは挙げていませんが、PDF/H(ヘルスケア)も国際規格化にむけて検討が進められているようです。

PDF/A(長期保存用)

長期保存用に利用されることを目的とした規格で。フォントの埋め込みや暗号化の禁止や外部依存性の排除など長期的なコンテンツへのアクセスの担保に適したものになっています。

  • PDF/A-1(ISO 19005-1:2005)
    • PDF1.4がベース。
    • PDF/A-1a(ISO 19005-1完全準拠)。
    • PDF/a-1b(ISO 19005-1一部準拠)。
  • PDF/A-2 (ISO 19005-2:2011)
    • PDF 1.7(ISO 32000-1)がベース。
    • PDF/A-2a(ISO 19005-2完全準拠)。
    • PDF/a-2b(ISO 19005-2一部準拠)。
    • PDF/a-2u(ISO 19005-2一部準拠。bに加えてテキスト内のユニコード値を取得できること)。
  • PDF/A-3(ISO 19005-3:2012)
    • PDF 1.7(ISO 32000-1)がベース。
    • PDF/A-2を任意のファイル形式の埋め込みに対応させたもの。
    • PDF/A-3a(ISO 19005-3完全準拠)。
    • PDF/a-3b(ISO 19005-3一部準拠)。
    • PDF/a-3u(ISO 19005-3一部準拠。bに加えてテキスト内のユニコード値を取得できること)。
参考

  

PDF/X(印刷用)

  商用ベースの印刷に利用されることを目的とした規格シリーズ。さすがに沢山ありますねぇ・・・。

参考

 

PDF/E(エンジニアリング用)

 技術文書の交換に使用されることを目的とした規格のようです。

参考

 

PDF/VT(バリアブルデータ・トランザクション印刷用)

  可変するデータに応じた印刷(差し替え印刷みたいなもの?)に使用されることを目的とした規格のようです。

参考

 

PDF/UA(ユニバーサルアクセシビリティ)

 PDF/UAについては、また後日別のエントリで紹介しようと考えていますので、ここでは簡単に述べるにとどめますが、アクセシブルなPDFを作成するための一連のガイドラインを提供することを目的としているようです。

参考