点字データのフォーマットに関するメモ

点字の電子データのフォーマットに、どういうものが存在するのか興味があったため調べてみました。私は点字を読むことができず、点字の利用状況を具体的に把握しているわけはないため、表面を撫でる程度に調べたものをまとめたにすぎません。ご了承ください。
 点字データのフォーマットについて、視覚障害者ITサポートとやまさんが以下にまとめてくれています。

 視覚障害者ITサポートとやまさんの上の紹介では、以下のフォーマットが紹介されています。

  • BET形式
  • BES形式
  • BSE形式
  • ブレイルスターが採用している形式(BLS形式、BLE形式、BS形式)
  • など

 各フォーマットの詳細は上の視覚障害者ITサポートとやまさんのページをご覧ください。ソフトウェアごとに異なるフォーマットが採用されているというのが、フォーマットが複数存在する原因のようです。上に挙げられているフォーマット以外にMBD形式やMSE形式というものもあるようです。あるなぁ・・。
 ちなみにサピエ図書館では、IBMのBES形式を使用しています。

 
 北米では、BRF(Braille Refreshable Format)が広く普及しているようです(おそらく・・・)。

 視覚障害者のためのオンライン図書館である米国のBookShareが点字コンテンツのフォーマットとしてBRF形式を採用しています。

 DAISY ConsortiumはPEF(Portable Embosser Format)を提案してます。

 環境に依存せずに点字データの交換をできるようにすることを目的とするフォーマットのようです。名前からもその意図が感じられますが、PDF形式の点字版といったところでしょうか。
 PEF形式は、DAISY形式(DAISY3、DAISY4など)を各種フォーマットに変換するツールであるDAISY Pipeline 2の点字データのインプット/アウトプット形式としても採用されています(アウトプットについては、BRF形式も対応しているようです)。

世界知的所有権機関(WIPO)が6月17日から28日にモロッコで視覚障害者等のための権利制限及び例外に関する国際条約について外交会議を開催。そして、採択へ?

 視覚障害者等のための権利制限及び例外に関する国際条約の制定に向けた世界知的所有権機関(WIPO)の外交会議が6月17日から28日にかけてモロッコのマラケシュで開催されます。うまくいけば、この会議で国際条約の「採択(adopt)」という運びになるようです。

 なお、国際条約の2012年11月23日時点の草案は、文化庁の文化審議会著作権分科会の平成24年第3回国際小委員会(2012年年12月4日開催)の資料として、日本語訳(参考訳)が公開されています。

参考

PDFのリフロー表示

 PDFは固定レイアウトの印象が強いフォーマットですが、テキスト情報を持っていれば、リフロー表示に切り替えることができるPDFリーダーもあります。代表的なものはAdobeが出しているAcrobatシリーズでしょうか。
  例えば、内閣府が公開している『平成24年版障害者白書』のPDF版をAcrobat Readerで開いてみます。
『平成24年版障害者白書』
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/pdf/index.html
  とくに設定をせずにPDFを開くと、レイアウトが固定された状態で表示されます。
固定レイアウト時の平成24年版障害者白書。2段レイアウト。
 固定レイアウトですので、ウィンドの大きさを変更すれば、レイアウトを保持しつつ、文字も縮小されます。
 これをリフロー表示します。
 Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択してください。
Mac版Acrobat Reader XI であれば、「表示」>「ズーム」>「折り返し」で「折り返し」を選択
 
 
  「折り返し」を選択すると、表示がリフロー型に変更されます。
リフロー型表示に変更された平成24年版障害者白書。1段レイアウトに変更されている
 
 ウィンドウのサイズを変更しても、フォントのサイズを維持したまま、テキストはウィンドウの幅に合わせて改行されます。
ウィンドウの幅に合わせて改行されたテキスト
 
 
 フォントを拡大してもこの通りウィンドウの幅に合わせて改行されます。
フォントを拡大しても文字数はかわっても幅は変わらない
 
 Acrobat Readerのリフロー型への切り替え機能は、内部的には一時的にタグを付与することで実現されているそうです。プログラムが判別して機械的にタグを付与しますので、文章や図が正しい順序で表示されるとは限りませんが、あらかじめ作成者がタグをPDFにふっている場合(つまり、タグ付きPDFの場合)、作成者が意図とした通りの正しい順序でリフロー表示されます。

 リフロー表示機能を実装しているPDFリーダーはあまり多くないようですが、願わくばモバイル端末用のPDFリーダーではぜひ実装していただきたいものです。あと、6インチサイズの電子書籍端末とか(ブツブツブツ・・・・