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kzakza

カテゴリー: アクセシビリティメタデータ

Schema.orgにアクセシビリティに関する語彙が追加された(その2)

2019-01-06 kzakza

もはや旧聞に属することですが、2017年3月にSchema.org3.2でアクセシビリティに関する以下の語彙が追加されています(すでにこのブログでは繰り返し触れている語彙ですが)。EPUB Accessibility 1.0(2017年1月公開)がSchema.orgの語彙を採用する形で以下の語彙を導入していましたが、順序としては、Schema.orgに正式に取り込まれる方が後だったのですね。

  • accessMode
  • accessModeSufficient
  • accessibilitySummary

それぞれの語彙の詳細は、すでにEPUBのアクセシビリティ仕様のエントリで書いたので、そちらを参照してください。この3つの語彙は、digital publishing communityとEpub 3.1 Accessibility Working Groupからの提案だったようです。EPUB Accessibility 1.0の検討と同時変更だったのですね。アクセシビリティメタデータの中でaccessModeとaccessModeSufficientの語彙は考え方としてかなり画期的だと考えていますが、この語彙が検討された経緯、もう少し調べてみたいですね。以下にリンクだけ掲載しておきますが、GitHubのスレを読めばよいのだな、たぶん。

  • schema blog: Schema.org 3.2: courses, fact-checking, digital publishing accessibility, menus and more…
  • リリースノート
  • Proposal of accessMode, accessModeSufficient, and accessibilitySummary properties for e.g. epubs · Issue #1100 · schemaorg/schemaorg · GitHub

関連エントリ

  • Schema.orgにアクセシビリティに関する語彙が追加された
EPUB, Metadata, アクセシビリティ, アクセシビリティメタデータ, 電子出版, 電子書籍

多くの公共図書館でたぶんすぐに始められる障害者サービス-バリアフリーDVDの提供

2018-12-232022-06-11 kzakza

 障害者向け資料の録音図書や点字資料、大活字資料などは意識して収集しないといけませんが、すでに所蔵している資料が障害のある方に提供できれば、その部分だけも「障害者サービス」をすぐに始められます。DVDが実はそれの可能性があります。
 
 多くの図書館でDVDを収集し、利用者に提供していると思いますが、最近のDVDは、視覚障害者向けの音声ガイドや聴覚障害者向けの字幕を提供していることが多くあります。特に聴覚障害者向けの字幕はかなりの割合でついているのではないかと思います。パッケージの裏側に邦画や日本で作成された映像作品で「字幕:日本語」と書いていれば、大体がそれです。
 2015年に書いた「テレビ放送のバリアフリー化(視聴覚障害者向け放送の普及促進)の状況について」で書いたように、テレビ放送で、バリアフリー化が進んでおり、それがDVD化されている場合はだいたいがついています。映画についても、UDcastが出てきて、映画公開時点ですでにバリアフリー化も進んできているので、それらがDVD化された際はバリフリーなDVDになっているはず。メディア・アクセス・サポートセンタの以下のページも参考になるはず。
映像バリアフリー情報 | メディア・アクセス・サポートセンター
 障害者サービスを意識なくても、収集したDVDがバリアフリーなDVDであるものが多くあるはずなので、すでに収集したDVDのうち、どれがバリアフリーなのかを調べておくだけでも、視覚障害や聴覚障害のある利用者に提供できるものがでてくるはず。一般資料に埋もれがちだけど、障害のある方でも利用できるという情報こそメタデータとして整備されているべきと思う私ですが。

参考サイト

  • メディア・アクセス・サポートセンター
    映像のバリアフリー化に関する情報が集約されています。

関連エントリ

  • テレビ放送のバリアフリー化(視聴覚障害者向け放送の普及促進)の状況について
  • アマゾンがバリアフリーDVD/Blu-Rayのコレクションを追加
EPUB, Metadata, アクセシビリティ, アクセシビリティメタデータ, 図書館, 障害者サービス, 電子出版, 電子書籍

アクセシビリティメタデータを提供する、ということ(その2)

2018-12-12 kzakza

 一年前に書いたアクセシビリティメタデータを提供する、ということの続きを今になってなんとなく書いてみます。問題意識は1年前から変わっていませんが、このエントリでも書いた「だれでもない、自分が今、読むことができるコンテンツを探せる」メタデータのあり方についてもう少し考えてみたい。

 アクセシビリティメタデータの1つとして、その資料、データ、コンテンツがどのようなアクセシビリティ上の措置がなされているかという情報があります。たとえば、以下のようなものです。

  • 代替テキストが提供されている
  • 読み上げ対応している
  • バリアフリー対応の字幕や音声ガイドがついている

 これについては、表に出る形ではアマゾンが頑張っています。

  • アマゾンがKindleの読み上げ可否についてメタデータを提供するようになっている
  • アマゾンがバリアフリーDVD/Blu-Rayのコレクションを追加

 どのようなアクセシビリティ上の措置がなされているという情報がメタデータとして提供される動きが出てきていることは、本当に歓迎しています。ただ、この情報の意味するところを理解し自分が使える/使えないコンテンツだと、ユーザー側で判断するのは、まだ1つ大きな山があるように感じています。そこで、アクセシビリティ上の措置がメタデータとして提供される動きがでてくるようになったので、さらにもう1歩踏み込んで、そのアクセシビリティ上の措置の結果としてどのような人がこのコンテンツを利用できるのかという情報もメタデータとして提供することについても考えてみたい。つまり、例えば、

  • 「バリアフリー字幕:日本語」の結果、視覚機能を持ち(つまり、視覚障害ではない)かつ日本語を利用できる方が利用できる
  • 「バリアフリー音声ガイド:日本語」の結果、聴覚機能を持ち(つまり、聴覚障害ではない)かつ日本語を利用できる方が利用できる
  • つまり、「バリアフリー字幕:日本語」と「バリアフリー音声ガイド:日本語の両方を備えたDVDの場合、そのDVDは以下の方が利用できることなる
    • 日本語を利用できる方であり、かつ
    • 視覚機能または聴覚機能の少なくともいずれかを持っている方

こういう情報までメタデータとして提供することはできないかと。

 すでにこれを目的とするメタデータの語彙がSchema.org にあります。以下の2つの語彙です。

  • accessMode (そのコンテンツが製作されたままの状態で正確に理解するに必要な人間の機能を明示する語彙)
  • accessModeSufficient (代替テキスト、音声ガイド等の追加されたアクセシリティ機能を考慮した上でそのコンテンツの内容を利用するのに必要な人間の機能を示す語彙)

 それぞれの語彙の詳細については、EPUBのアクセシビリティ仕様が求めるアクセシビリティメタデータでも書きましたので、詳しくはそちらを参照してください。このエントリにも書いたてあるとおり、EPUBのアクセシビリティ仕様EPUB Accessibility 1.0でもEPUBに同梱すべきアクセシビリティメタデータとして採用されています(これがEPUB Accessibility 1.0を推したい理由の1つでもあります)。

 図書館の話。図書館では、資料についてなされたアクセシビリティ上の措置についてさえも、メタデータとして提供することは実は十分にされていません(少なくとも私はそう認識。注記にその種の情報が書かれることもあるはあるのですが、自由記述の注記欄だけに、その対応も一律ではなかったり、記述が統一されていないような)。代わりに図書館の障害者サービスでは、多くの場合、点字資料、録音図書、拡大図書、LLブックといった障害者向け資料の区分で、資料種別単位で管理することで障害者サービスにおいて資料提供をしています。前のエントリでも書いたように、自分の障害の特性を自覚かつ理解し、かつ、点字資料、録音図書、拡大図書、マルチメディアDAISYのような資料の特徴の理解した上で資料のジャンルから、自分が利用できるもの選ぶと利用者自身で行うことはかなり難しいと思います。場合によって図書館司書の介在が必要になってしまいます。

 しかし、ここ最近の図書館の動きで「おおぉ」と思ったのが、昨年のエントリで紹介したMARC21に上のアクセシビリティメタデータを追加する提案に関する動きの続報です。2017年から2018年の議論の結果、11月にMARC21の341のフィールドと532のフィールドにアクセシビリティに関する項目が追加されました。

  • MARC 21 Format for Bibliographic Data: Appendix G: Format Changes (Network Development and MARC Standards Office, Library of Congress)

 これは別のエントリで少し詳しく書きますが、341のフィールドでaccessModeとaccessModeSufficientの概念が導入されているっぽいですね。どの範囲の資料までこのフィールドが使用されるかわかりませんが、障害者用資料に限定されず、広範な資料にこのフィールドが使用されるようになると非常に大きいかも(「障害者用資料」という区分が良い意味で意味がなくなりますね)。注目したいと思います。

 見つけられないコンテンツはそのユーザーにとって存在しないと同義です。必要な人に必要な時に自分が利用できるコンテンツが発見できる、を実現するためには、アクセシビリティメタデータの提供が欠かせません。というわけで、アクセシビリティメタデータの情報はまめに収集してこのブログでもエントリを書いて行きたいと思います(このブログでも「アクセシビリティメタデータ」のカテゴリを新設)。

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