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kzakza

カテゴリー: アクセシビリティメタデータ

アマゾンがバリアフリーDVD/Blu-Rayのコレクションを追加

2018-12-08 kzakza

 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンターのfacebookで知りましたが、、アマゾンがバリアフリーDVD/Blu-Rayのコレクションを追加していました。

  • Amazon.co.jp: バリアフリーページ: DVD
声ガイド(副音声)や字幕スーパー付のバリアフリー対応のDVD・ブルーレイを集めたアマゾンのコレクションのスクリーンショットです。
Amazon.co.jp: バリアフリーページ: DVD

 これは以前からかもしれませんが、個々のDVDのページにもバリアフリーに関するメタデータも提供されています。以下は、「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~ Blu-ray」のメタデータ。

登録情報欄のスクリーンショット。出演者、監督、形式、言語ともに、「バリアフリー字幕: 日本 バリアフリー音声ガイド: 日本語」の情報が提供されている。
登録情報に提供されているバリアフリー情報

 しかし、コレクションとして、バリアフリーDVDができたことまではよいのですが、「バリアフリー音声ガイド」、「バリアフリー字幕」がついているもの、それぞれで絞り込めないところがかなり残念。利用層がかなり異なるので、使いたい人はどちらかで検索したいはず。

とはいえ、今回のアマゾンの対応は、バリアフリー情報を収集しているという点も含めて、とても素晴らしい取り組み。

 私が図書館の人間だからということもあるけど、図書館側でもなんとかできなかったのかなという若干悔しい気持ちにもなったりも。バリアフリーDVDを絞り込んで探し出せないという問題は、つまるところ、メタデータに由来する問題でもあるので、メタデータの重要性を知悉している図書館で取り組めることもあるはず。

※2018/12/9追記  メディア・アクセス・サポートセンターの川野浩二さんがこれについて、以下のようにツィートされていました。「日本映像ソフト協会の働きかけで呼称の統一を行って実現できたもの」とのこと。「アクセシビリティメタデータを提供する、ということ」でも書いたことがありますが、バリアフリー対応DVDについては、対応したこと示すメタデータの記述が統一されていないことが検索時に、絞り込むができない大きな原因になっていました。これが業界の働きかけで統一できたことはすごく大きい。これの波及効果の大きさを考えると、単にアマゾンでコレクションができたことより、こちらのほうが大きいかもしれません。アマゾンだけではなく、レンタルビデオ、動画配信サービスなどの映像を扱う商業の各種データベースへの波及されていくことが期待できますし、DVDを収集する図書館が作成するメタデータにおいても記述されることが期待できます。

これは、業界団体である、日本映像ソフト協会の働きかけで呼称の統一を行って実現できたものです。もちろんAmazon以外の販売サイトでも同様のボタンが設置されていくと思います。

— 川野浩二[MASC] (@npomasc) December 9, 2018
EPUB, Metadata, アクセシビリティ, アクセシビリティメタデータ, 電子出版, 電子書籍

OPDSの動きが再び活発になってきた(主観)のでアクセシビリティメタデータをのせる夢がみられるか

2018-11-04 kzakza

 OPDS (Open Publication Distribution System)という電子書籍のメタデータをRSSに近い仕組みで公開する規格というか、仕組みがあります。JEPAがわかりやすく解説を書いています。

  • JEPA|日本電子出版協会 OPDSとは?

 この規格については、私も2011年から2013年にかけて、OPDS 1.1の日本語訳を公開したり、ブログ(前身のブログ含む)で積極的に紹介するなどして、かなり推していた仕組みなのですが、残念ながら十分に普及するに至っていません(推していた理由はこのエントリあたり)。日本でも、2012年ごろ、電子書籍クラスタの間でも盛り上がったりもしたのですが。
 ところが、米国のOPDS関係者のメーリングリストを久しぶりに見てみると、2016年でほぼ止まっていたやり取りが今年の3月くらいから少しずつ再開し、6月から月1回の電話会議も開催されているよう。何が起きているのだろう。しばらく見ないうちに、OPDS 2.0のドラフトが公開されたりして。

  • [drafts]OPDS Catalog 2.0| Contains all the current drafts for the OPDS specifications

 
 2.0になって、AtomベースからJSONベースになっている。Readium Web Publication Manifestをベースにしているとのことですが、電話会議のEPUB4とも呼ばれることのあるWeb Publicationsを意識したものらしく、なるほどという感じ。デジタルアーカイブの国際規格IIIF (International Image Interoperability Framework) が次のバージョンで、画像だけではなく、テキストなどにも対象を広げるという話があるので、IIIFのmanifestに期待しているところもあったけど、いずれにしても、manifestに集約されていくのか。妙に感慨深い。
 2013年以降で、OPDSに関する米国で大きな動きとしては、New York Public Library が10の図書館と、Library Simplifiedというプロジェクトを2015年に立ち上げて、これがOPDSを採用しているらしい。Library Simplifiedは、OverDrive、3M、and Baker & Taylorといった複数の電子書籍ベンダOPDSが提供する電子書籍を統合的かつシンプルな手順で利用者に提供するプラットフォームの構築を目指すプロジェクトで、プラットフォーマごとに分担されて利用者に一元的に提供しづらいという、図書館にとっても電子書籍の課題に真正面から取り組んでいて、OPDSを差し置いても興味深い動き。

  • Library Simplified
  • Library Simplified · OPDS
  • Library Simplified · Integration and Architecture
  • Library Simplified(American Libraries Magazineの紹介記事)

 OPDSの図書館のユースケースにあわせた拡張も検討しているらしい。

  • OPDS For Library Patrons · NYPL-Simplified/Simplified Wiki · GitHub

 Library Simplifiedは、あくまでユーザー側に配信するところで、OPDSを活用するようですが、EPUBにアクセシビリティメタデータを搭載することもできるので、それをそのまま流用して、出版社がOPDSとしてアクセシビリティメタデータを公開することができないのかでしょうか。それをアグリゲータが収集して統合的に検索できるようにしたり、DAISY再生環境やEPUBの再生環境でアクセシビリティを検索条件に直接検索できることができればと考えて、理想的なような。
 アクセシビリティメタデータについて、昨年、以下のエントリを書きました。以下のエントリを書いた想いとしては、(OPDSでもmanifestでもよいのですが)出版社にかぎらず、電子書籍を製作するに個人や機関が負担のない方法で標準的な形式でメタデータ(アクセシビリティメタデータを含む)を公開する、それをアグリゲータが収集して統合的に検索する、EPUBやDAISYの再生環境でアクセシビリティ上の要件も検索条件として検索して自分が利用できるコンテンツにたどり着ける未来を引き寄せたい、というのがあります。引き寄せたい。

  • アクセシビリティメタデータを提供する、ということ

 いずれにしても、OPDSについては、2010年頃から議論が始まっていますが、盛り上がったときもあれば、低調だったときもあったのではないかと思います。8年以上、コミュニティを支え続けているFeedBooksのHadrien Gardeur氏をはじめとするOPDS関係者には敬意を表したい。

EPUB, Metadata, OPDS, アクセシビリティ, アクセシビリティメタデータ, 電子出版, 電子書籍

アマゾンがKindleの読み上げ可否についてメタデータを提供するようになっている

2018-03-24 kzakza

2015年に「メタデータを電子書籍のアクセシビリティの議論の俎上にそろそろのせませんか」というエントリで、アマゾンのKindle Storeが Kindeコンテンツについて、合成音声による読み上げが可能かどうかの情報を、個々のタイトル詳細画面で提供していないと書いたことがありましたが、いつの間にかアマゾンのKindleストアが、それをメタデータとして提供するようになっています。
 合成音声による読み上げが可能となっているKindleコンテンツについては、登録情報欄に「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効」という情報が掲載されています。 
登録情報欄の「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効」が記載されている画像
 逆に読み上げができないコンテンツについては、「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効になっていません。」というメタデータが記載が掲載されています。
 
登録情報欄の「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能): 有効になっていません。」の画像
 
 PC版のサイトで、「有効」の横にあるリンクをクリックすると「テキスト読み上げは、Alexa が有効になっている端末で利用できます。」というポップアップが表示されます。iOS版のKindleでも利用できるようになっているはずで、「ちょっと、あれ?」という感じもします。 Alexa対応スマートスピーカーがKindleコンテンツの読み上げに対応した時期に読み上げ可否のメタデータが提供されるようになったのかもしれませんね。
 
「テキスト読み上げは、Alexa が有効になっている端末で利用できます。」というポップアップが表示サれる画面
 
 ちなみにモバイル版のサイトだと、PC版のポップアップに相当する箇所には、「Kindle端末のみ有効」と記載されています。PC版とモバイル版の情報の違いは、なんなんでしょうか。 
モバイル版サイトのTTS(Text to Speech)有効の詳細について、「Kindle端末のみ有効」と記載されている箇所の画像

関連エントリ

  • アクセシビリティメタデータを提供する、ということ
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