1月 23

DAISY Pipeline 2 ver.1.9公開。EPUB3からDAISY2.02への変換機能を実験的に実装

  DAISY Pipeline 2 ver.1.9が公開されました。

 追加された主な機能は以下の通りで、EPUB3からDAISY2.02への変換機能が実験的に実装されました。数の増えてきたEPUB3コンテンツをDAISY環境で利用することを実現するこの機能は、EPUB3の閲覧環境がDAISYユーザーが整備されるまでの繋ぎとして、非常に重要な機能だと思います。

* a new command line tool, with native executables
* new schema-based DAISY 2.02 validation script
* new DTBook to ODT script
* new EPUB 3 to DAISY 2.02 script (experimental)
* TTS-narration support in DTBook to EPUB 3
* audio-only DAISY 2.02 to EPUB 3 conversion aligned with the TIES guidelines
* and many other bug fixes and improvements

 というわけで、早速試してみました。今回ためしたのは、WebUI版ですが、コマンドラインでも利用することができます。

DAISY Pipeline 2
DAISY Pipeline 2 のWeb UI画面。字が小さくて見づらいがScript欄に”EPUB3 to DAISY 2.02″が表示されている。

 とりあえず以下で公開されているEPUBでDAISY2.02の変換を試みてました。

結果は・・こんな画面が表示されて2つともとりあえず成功です。パチパチパチ。
Successと変換成功を知らせる画面

 しかし、残念ながら、どちらもDAISY2.02の再生ソフトで開けない。具体的にいえば、AMIS 3.13Voice of DAISYで開けない。
 
 まだまだ課題は多そうですが、実験的に実装されたことを考えれば、現時点では暖かい目で見守るべきところでしょうか。今後、どんどん改善されていくでしょうから。

 EPUB3コンテンツの提供者が、DAISY2.02も同時に提供できるようになる日もそう遠くなさそうですね。

1月 21

研究集会 「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ」(2/7-2/8)

研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ」と日本点字図書館とNPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネットによるワークショップ「「マルチメディアDAISYコンテンツ制作システム ChattyInfty」」が2月7日、8日と開催されます。

概要

日本学術振興会 平成26年度科学研究費補助金等による研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ」
および日本点字図書館とNPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネットによるワークショップ
「マルチメディアDAISYコンテンツ制作システム ChattyInfty3 開発の現状と今後の展望」
「ChattyInfty3 によるマルチメディアDAISYコンテンツ制作体験講習会」

開催日:平成27年2月7日(土),8日(日)
会場:日本大学理工学部駿河台校舎5号館2階(東京,お茶の水)

 プログラムの詳細、参加申し込み方法等は以下をご覧ください。
URL http://www.sciaccess.net/jp/workshops/

プログラム(予定)

〔研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ」〕

平成27年2月7日(土) (13:00 受付開始)

13:20 開会
13:30 – 14:00 「マルチプラットフォーム数式処理アプリの作成について」
藤本 光史(福岡教育大)

14:00 – 14:30 「数式の検索と理解を支援するためのテキスト処理技術」
○相澤 彰子(国立情報学研,東京大),大橋 駿介,服部 一浩,Giovanni Yoko Kristianto (東京大),Goran Topić(国立情報学研)

14:30 – 15:00 「ボイス オブ デイジーによるデイジー教科書の利用と課題」
工藤 智行(有限会社サイパック)

15:00 – 15:30 「クラウドソーシングとオープン・コミュニティを活用したテキストDAISY製作の取り組み」
澤村 潤一郎(日本点字図書館)

15:30 – 16:00 休憩

16:00 – 16:30 「視覚障碍者の触図作成時における入力方法と触図提示方法について」
○出町 駿明(富山県立大大学院),守井 清吾(富山大),髙木 昇(富山県立大)

16:30 -17:00 「触知グラフ作成Webアプリケーションの開発」
○荒木 康輔,山口 俊光(新潟大),南谷 和範(大学入試センター),渡辺 哲也(新潟大)

17:00 – 17:30 「視覚障害者の学習支援:描画ソフト『橋立』の開発報告」
DSSP(障害学生学習支援プロジェクト):石川 健司,薄倉 淳子,加納 仁司,○鈴木 公,諏訪 美佐子,樋川 恭平,松村 想子,宮川 貴彦,八木 稔,山廣 真之

18:00 懇親会

平成27年2月8日(日)

10:00 – 10:30 「見えない2次元コードを利用した音声付教科書の普及に向けた取り組み」
○藤芳 明生(茨城大),大澤 彰子,藤芳 衛(テストのユニバーサルデザイン研)

10:30 – 11:00 「点字情報を含むマルチメディアDAISYコンテンツの実現に向けた取り組み」
澤村 潤一郎(日本点字図書館),鈴木 義則(ケージーエス株),鈴木 昌和(サイエンス・アクセシビリティ・ネット),山口 雄仁(日本大),金堀 利洋(筑波技術大)

11:00 – 11:30 「新しいコンセプトによるマルチメディアDAISYプレイヤーの紹介」
○鈴木 昌和(九州先端科学技術研,サイエンス・アクセシビリティ・ネット),山口 雄仁(日本大)

11:30 研究集会まとめ

〔ワークショップ「マルチメディアDAISYコンテンツ制作システム ChattyInfty」〕

平成27年2月8日(日) (12:30 受け付け開始)

13:00~14:00 「マルチメディアDAISYコンテンツ制作システム ChattyInfty 開発の現状と今後の展望」
鈴木 昌和(サイエンス・アクセシビリティ・ネット),澤村 潤一郎(日本点字図書館)

14:00~14:30 休憩

14:30~17:00 「ChattyInfty によるマルチメディアDAISYコンテンツ制作体験」
サイエンス・アクセシビリティ・ネット,日本点字図書館

1月 21

「京都市内の大学における点字図書について」京都大学点訳サークル2011 年京都大学 11 月祭個人研究

 京都大学点訳サークルが京都大学の学園祭11月祭で毎年、研究発表をしているそうですが、2011年度に京都市内の大学における点字図書の蔵書について調査し、発表したものが公開されていました。

 他の発表も以下に公開されています。

 この点訳サークルの11月祭での発表は1970年代から行われていたそうなので、上で公開されているものはそのごく一部なのでしょうね。

1月 12

数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3

 数式を含む理数系のDAISY, EPUB3製作に焦点を当てたChattyInfty3というアプリケーション。LaTeX 文書の編集、PDF ファイル出力、MathML などによるWeb教材作成など、数式などを含む理数系の教材の製作に焦点が置かれて開発されているようです。

 鈴木昌和先生のInfty Projectプロジェクトの一環として製作されたもので、他にも日英混在文や数式を含む科学技術分野の文献を対象としたOCRソフトなども開発されているようです。

 ChattyInftyについては以下もご参照ください。

 その他、鈴木昌和先生のお名前でCiniiを検索すると、数学文書点訳について、日本語分かち書き仮名変換処理、文書構造処理、表の自動点訳などおもしろそうな論文がぞろぞろ(一通りざっと読んでみましたが、さすがにちょっと私にはハードルが高かった・・・)

 研究集会「科学情報の電子化・自動処理,およびそのアクセシビリティ― デジタル教科書のアクセシビリティ」が今年も2月に東京で開催されることになっていて、私も参加する予定なのですが、そこで鈴木昌和先生と山口雄仁先生のお話が聞けることが楽しみだったりします。

参考(昨年の上の研究集会の案内)

1月 12

デジタル教科書の固定レイアウトについて(日本DAISYコンソーシアム2014年度総会講演及び意見交換会 2014年10月)

2014年10月18日に行われた日本DAISYコンソーシアム2014年度総会でのJEPA村田真さんの講演と意見交換の会のテキスト書き起こしが掲載されています。

 EDUPUBの最新動向、文部科学省で行われているデジタル教材標準化の話などHPで公開されていない話が結構出ています。DAISYで教科書を実際に制作している関係者が参加しての意見交換会だったので、村田真さんとの意見交換も実務者レベルの踏み込んだものになったようです。行きたかった・・・。

村田真さんのお話では、欧米を中心に検討が進んでいるEDUPUBでは、高等教育寄りでになってしまっており、日本でニースのある小中等教育はそれほどメインじゃないということ(河村宏さん曰く、「アメリカの場合は、もう連邦法で幼稚園から高校まではライマスで全部のテキストファイルがNIMASフォーマットでナショナルレポジトリーに全部入ってしまっているので、そこはもう済んでいる」と)。

 文部科学省では、電通が受託する形で「デジタル教材等の標準化に関する企画開発委員会」(生涯学習局が所管)という事業を行っているようですが、文部科学省のサイトではこの事業についてまったくといってよいほど情報が公開されていないので、状況がほとんど見えていませんでしたが、ここでの検討状況も村田真さんがわりと詳しく話をされていたようです。構成は親委員会があって、その下にコンテンツ関係の第1分科会と、それ以外の第2分科会があるそうです(村田真さんは親委員会の委員)。教科書会社の参加が中心でアクセシビリティ関係者の参加は一人もいないので、村田真さんが孤軍奮闘されている状況がよくわかります。この事業では報告書も作成さているのですが、公開もされていないというのが解せませんね・・・。

 同じ生涯学習局が行っている事業である学びのイノベーション推進協議会でもデジタル教科書のあり方について検証がされているようですが、上の委員会との関係も正直よくわからない。

参考

1月 11

DAISY Consortiumのアクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)日本語訳を公開します

 DAISY Consortiumが2013年5月20日に公開した「アクセシビリティスクリーニング方法論のガイドラインとチェックリスト」(Accessibility Screening Methodology Guidelines and Checklist)を日本語に翻訳してみましたので、公開します。

これは電子書籍ビューアが障害者(全盲者、ロービジョン、ろう者、難聴者、ディスレクシア、学習障害者、そして、移動に障害のある者))にとってどの程度使いやすいものかを評価するためのもので、評価のためのガイドライン及びチェックリストで構成されています。

 まだ、Rev 1.0版ですので、まだドラフトの段階のドキュメントのようです。正直、通して読んでいて全体の構成が分かりづらく、前半はもっと短くできるのではないかと思わせるところがありますが、チェックリストを掲載する「機能テスト」の項は、電子書籍ビューワにどのような機能が求められるかが一覧されていて参考になるところが多いのではないかと思います。ここに上げられた要件に日本語特有の要件を加えれば、必要な要件は揃うのではないかと個人的には思います。

関連エントリ

12月 24

DAISY Planet 2014年12月号紹介

11月号に引き続き、DAISYコンソーシアムのウェブマガジンDAISY Planet Newsletters | DAISY Consortiumの2014年12月号を概要だけですが、紹介します。いつまで続くか…。

DAISY CEO Designate Appointed: Introducing Richard Orme

 Richard Orme氏がDAISY ConsortiumのCEO(最高経営責任者, chief executive officer)に任命されたことを紹介する記事。CEOのことをよくわかっていないのですが、PresidentのStephen King氏とは異なるんですね、とWikipediaのCEOの項を読んでもよく分からなかったりと・・・・。
 
 Richard Orme氏の経歴も紹介されています。一言で言えば、技術畑の人で、Royal National Institute of Blind People (RNIB)でアクセシブルな新聞サービスを開発したり、Dolphin Computer Access LtdでInnovation Directorを務めたり、発展途上国の視覚障害のある若者に教育環境の改善を目的するICEVI (International Council for the Education of Visually Impaired People)では、アクセシブル技術で途上国の若者の教育や社会参加を改善するプロジェクトでリーダーシップととっていたようです。また、Dolphin Computer Access Ltdなどで ディスレクシアなどの障害学生支援としてBookshareの英国内の大学での導入を支援したりもしていたようです。

 Richard Orme氏のウェブサイトにもこれまでの活動が掲載されています。

Accessible Books Consortium: Capacity Building Projects Galvanize Local Partnerships

 WIPOのマラケシュ条約で中心的な役割を果たすAccessible Books Consortiumは、”born accessible”な出版物の普及促進を目的とするInclusive Publishing、アクセシブルなコンテンツの共有・交換の促進を目的とするTIGAR Service、DAISYを利用できるICTスキルを持っていないプリントディスアビリティが発展途上国には多いため、そのICTスキル向上を目的とするCapacity Buildingの3つのプロジェクトを遂行しています。今回のこの記事では、そのうちのCapacity Buildingの一環としてバングラディッシュとスリランカでの活動を紹介しています。

バングラディッシュ

 現地のNGO法人Young Power in Social Action (YPSA)と共同でアクセシブルな本の製作/変換を目的とするプロジェクトをABCは行っています。2014年11月に終了した1フェーズでは90のアクセシブルな本を製作したそうです。政府や商業出版社を対象としたインクルーシブ出版に関するワークショップも開催しています。このワークショップについては、DAISY Planet 2014年9月号でも紹介されています。

スリランカ

ABCは、現地のNGO法人DAISY Lankaと了解覚書(Memorandum of Understanding)を交わして1000のアクセシブルな教材の製作を1年かけて行うプロジェクトを2014年8月から開始しています。スリランカの商業出版社3社とは、そのための電子ファイルの提供を合意しているそうです。

 なお、Accessible Books Consortiumについては、一度このブログでも紹介したことがありますので、こちらをご参照ください。

Availability above all!

Swedish DAISY Consortium Annual Conferenceがストックホルムで11月13日から14日に開催されました。この記事はその会議の概要を紹介しています。

 会議の資料と動画が公開されています(スウェーデン語ですが・・)

Obi & Tobi: New Releases Deliver Advance & Requested Features

 Obiがver.3.6にアップデートし、Tobiのver.2.4.3のテスト版が公開されたとのこと。Obiは音声DAISY、TobiはマルチメディアDAISYの製作を主とするDAISYコンソーシアムのOSSで、どちらもEPUB3の出力もサポートしています。Obiは今回のアップデートで出力する際の音声ファイルのフォーマットが増えたそうです。その他にも改良点がいくつか。Tobi 2.4.3では、構造化の機能が強化されているようです。
 今回のアップデートの詳細はこの記事(原文)か、それぞれのリリースノートをご覧ください。

DAISY Information Resources & Support Summary

DAISYコンソーシアムは情報提供のためのチャンネルをいろいろと持っていますが、それを紹介する記事です。それで終わってしまう記事ではあるのですが、せっかくなのでリンクだけも掲載しておきます。

12月 24

IFLA年次大会における 特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会(LSN)によるオープンセッション報告

 8月にフランスのリヨンで行われた国際図書館連盟(IFLA)・世界図書館情報会議(WLIC)の年次大会でIFLAのLibrary Services to People with Special Needs Section(LSN)が開催した2つのオープンセッションの報告が障害保健福祉研究情報システム(DINF)に掲載されています。発表者のスライドも日本語訳されている。素晴らしい!

 また、日本障害者リハビリテーション協会の野村美佐子氏によるLSNの動きを中心としたIFLA年次大会の報告もDINFに掲載されています。

オープンセッションと大会のウェブサイトは以下。

12月 24

アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン (Accessible Books Consortium)

世界知的所有権機関(WIPO)のマラケシュ条約で中心的な役割を果たすAccessible Books Consortium(ABC)は、”born accessible”な出版物の普及促進を目的とするInclusive Publishing、アクセシブルなコンテンツの共有・交換の促進を目的とするTIGAR Service、DAISYを利用できるICTスキルを持っていないプリントディスアビリティが発展途上国には多いため、そのICTスキル向上を目的とするCapacity Buildingの3つのプロジェクトを遂行しています。この3つのプロジェクトの中のInclusive Publishingの中で、「アクセシブルな出版物の制作 出版社のためのベストプラクティスガイドライン」(Accessible Publishing Best Practice Guidelines for Publishers)というものを公開しています。

これは、WIPOの出資によってEDItEURのSarah Hilderley氏が作成したもので、これまではEDItEURのウェブサイトで公開されていたのですが、2014年6月にABCが発足したタイミングでABCのウェブサイトに移ったみたいです。ちなみにこのガイドラインは日本障害者リハビリテーション協会が日本語に翻訳して公開しています。

 なお、Accessible Books Consortiumについては、一度このブログでも紹介したことがありますので、こちらをご参照ください。

12月 24

全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?(DAISYpediaの記事紹介)

 DAISYコンソーシアムがDAISY規格に関する情報発信を体系的に行うために設置しているDAISYpedia で「全ての人のために出版物をアクセシブルにするには?」(Making publications accessible for all)というエントリが掲載され、出版物をアクセシブルにする条件や方法等を紹介しています。

 全ての人にとってアクセシブルな出版物の条件として以下を挙げています。

  • Compatibility with screen readers and text to speech (TTS)
    スクリーンリーダー及び音声合成に対応していること
  • Reflowability in order to fit all screen sizes
    全てのスクリーンサイズに対応できるようリフローであること
  • Rich navigability
    章節単位、ページ単位、センテンス単位など様々なレベルでのフォーカスの移動が可能なほか、注やサイドバーなどのスキップが可能であるなど、豊富なナビゲーションを用意していること
  • Support for multiple input methods
    キーボード、マウス、タッチ入力など多様な入力方法に対応していること
  • Accessible images: 画像についてキャプションやテキストによる説明が用意されているなど、画像がアクセブルであること。ビデオについても字幕かテキストのスクリプトが用意されているべきである
  • Multi-platform support
    PC、携帯、タブレット、点字ディスプレイなど様々な端末に対応していること